個人事業主の社会保険|加入義務や負担額をケース別に解説

個人事業主本人は、基本的に国民健康保険と年金保険への加入が必要です。従業員を雇うときは、健康保険や年金保険のほかにも、労働者に労災保険、雇用保険等への加入義務が生じるため注意しましょう。

以下では、個人事業主と社会保険の関係や、国民健康保険・国民年金への加入方法、年金を上乗せする制度、社会保険料控除についてなど、個人事業主になる方が知っておきたい、社会保険関連の情報をご紹介していきます。

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目次

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社会保険の制度

社会保険は広義の意味では健康保険(40歳以上は介護保険も)と年金保険、雇用保険、労災保険を指します。文脈によっては、健康保険、介護保険、年金保険を社会保険と、雇用保険、労災保険を労働保険と、厳密に区別することもあります。それぞれの基本について見ていきましょう。

健康保険と年金保険

日本は国民皆保険制度を導入しており、どのような人も医療保険への加入が必要です。企業に勤務する人は健康保険、自営業者や短時間労働者、無職の人などは国民健康保険に加入し、診療や治療の際に自己負担額が軽減される保険となっています。

公的な年金保険は、厚生年金と国民年金、共済年金の3種類。会社に勤める人は厚生年金、自営業者や短時間労働者、無職の人などは国民年金、公務員や私立学校の教職員は共済年金です。

パートやアルバイトなどの雇用形態を問わず、企業に勤務する人を対象とした健康保険と厚生年金保険には加入条件があり、以下のようになります。

  • 1週間の所定労働日数と1ヶ月の所定労働日数が一般社員の4分の3以上である

また、上記の条件を満たさない人でも、以下の条件をすべて満たす場合は満たす場合は健康保険と厚生年金保険に加入します。

  • 1週あたりの決まった労働時間が20時間以上であること
  • 雇用期間の見込みが1年以上であること
  • 1ヶ月あたりの賃金が8.8万円以上であること
  • 学生でないこと
  • 従業員数が501人以上の会社、もしくは社会保険への加入が労使協定で合意されている500人以下の会社で働いていること

参照 : 厚生労働省「平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)」

雇用保険

雇用保険は、労働者の雇用の安定や就職促進を図る制度です。雇用保険の加入条件は以下の通りです。

  • 所定労働時間が1週あたり20時間以上であること
  • 雇用期間が31日以上の見込みであること

雇用保険に加入し一定の条件を満たした場合、下記のような給付を受けられます。

  • 基本手当(失業手当)
  • 就業促進手当
  • 教育訓練給付金 など

雇用保険は失業した際に給付を受けられる制度のため、失業保険とも呼ばれます。

労災保険

労災保険は、労働者が業務・通勤中に怪我をしたり病気になったりした際、労働者や家族を保護するために保険給付を行う制度です。保険料は事業主が全額負担します。

業務災害や通勤災害による労災保険の給付の例は、下記のとおりです。

  • 傷病のため働けず、収入を得られないとき…休業(補償)給付
  • 労災病院や労災指定医療機関で療養を受けるとき…療養の給付
  • 労災病院や労災指定医療機関以外で療養を受けるとき…療養の費用 など

上記のような保険給付だけでなく、被災労働者の援護を図るための事業も行っています。

介護保険

介護保険は介護が必要な人に適切なサービスを提供するための制度で、40歳以上の人が加入します。

介護保険のサービス対象者は、下記のとおりです。

  • 65歳以上の人(第1号被保険者)…要介護、要支援状態になったとき
  • 40歳~64歳までの人(第2号被保険者)…特定疾病により要介護、要支援状態になったとき

要介護状態は、寝たきり、認知症などによって介護を必要とする状態、要支援状態は家事・身支度など日常生活のサポートが必要な状態を指します。特定疾病に該当するのは、脳血管疾患や骨折を伴う骨粗しょう症、初老期における認知症など老化が原因とされる病気です。

なお、介護保険のサービスを利用するためには、市町村による要介護・要支援認定を受ける必要があります。

関連記事 : フリーランスと失業保険

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社会保険の強制加入と任意加入の違い

社会保険には、強制加入と任意加入の2種類があります。

強制加入とは、加入を拒否することができない保険のことです。たとえば健康保険は「国民皆保険制度」という決まりがあるため、すべての日本人に加入が義務付けられています。年金保険(40歳以上の場合には介護保険)に関しても、一定の就業条件を満たす従業員の場合には加入が義務付けられています。

一方で任意加入とは、社会保険の加入適用対象外の従業員が、社会保険に自ら加入することです。あくまで任意なので、加入しなかったからといって特別な罰則があるわけではありません。

たとえば、従業員500人以下の企業に勤め、社会保険に加入する義務を負わなかった人であっても、労使で合意すれば、会社経由で健康保険と年金保険(厚生年金保険)に加入できます。

社会保険加入が労使間で合意されると、労使折半、つまり保険料の半分を会社が支払ってくれるので、個人で任意加入をしていた人の場合、保険料の支払いが安くなることもあります。

参照 : 厚生労働省「人を雇うときのルール
平成28年10月から厚生年金保険・健康保険の加入対象が広がっています!(社会保険の適用拡大)

関連記事 : 業務委託での社会保険の手続き

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個人事業主の社会保険

従業員を雇う個人事業主の場合

正社員(家族従事者を含まない)が5人未満の個人事業所は、協会けんぽなどの適用事業所になりません。そのため、国民健康保険や国民健康保険組合に個人で加入することになります。ただし、労働者の2分の1以上に加入の同意がある場合、健康保険に任意加入できます。

なお、法人事務所もしくは正社員(家族従事者を含まない)が5人以上の個人事業所は、適用事業所となります。法人代表者や役員、正社員は強制適用となりますが、個人事業主とその家族の従業員は適用除外です。

また、1週あたりの所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3未満である人は、適用対象外となりますが、平成28年10月から適用範囲が変わり会社の規模によっては短時間労働者でも加入対象となります。将来的には規模関係なく、週20時間以上働く短時間労働者も適用対象となります。

年金保険

正社員(家族従事者を含まない)が5人未満の個人事業所は厚生年金保険の適用事業所ではないため、個人で国民年金に加入します。ただし、労働者の2分の1以上に加入の同意がある場合、厚生年金保険に任意加入することが可能です。

法人事務所もしくは正社員(家族従事者を含まない)が5人以上の個人事業所は、厚生年金保険が適用されます。法人代表者や役員、正社員は強制的に適用となりますが、個人事業主とその家族の従業員は適用除外。

また、1週あたりの所定労働時間と1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3未満である従業員は適用対象外となりますが、平成28年10月から適用範囲が変わり会社の規模によっては短時間労働者でも加入対象となります。将来的には規模関係なく、週20時間以上働く短時間労働者も適用対象となります。

雇用保険

事業主や代表者、役員は雇用保険の適用対象外です。一方、労働者は所定労働時間が1週あたり20時間以上で雇用期間が31日以上のときは、加入が必須となります。

労災保険

従業員を1人以上採用している事業所は、労災保険が適用されます。個人事業主や自営業者、家族従事者は労災保険の加入対象になりませんが、事業によっては特別加入制度が適用されることになります。対象者は中小事業主や一人親方、特定作業従事者、海外派遣者となっています。

従業員を雇わない個人事業主の場合

健康保険

個人事業主は、住所地の役所で手続きする国民健康保険か、業種ごとの健康保険組合に加入します。配偶者や両親の扶養家族に入った場合は保険料の負担がありませんが、扶養家族となるには年収が130万円以下になる必要があります。

業種ごとの健康保険組合の例として、Webデザイナーやイラストレーターといったクリエイティブ系の職種に従事する方は、文芸美術国民健康保険組合が行う医療保険への加入が可能なこともあります。

国保の保険料は前年度の所得や住所地、家族構成などによって異なりますが、文美国保は所得に関わらず保険料の額が一定です。国保と文美国保では特徴が異なるため、ご自身の状況に合わせて選択するようにしましょう。

年金保険

個人事業主が加入する年金は国民年金です。しかし国民年金だけでは、厚生年金に加入しているサラリーマンと比べて、将来受け取れる年金が少なくなってしまうため、任意で付加保険料を納めたり、国民年金基金やiDeCoに加入したりすることもできます。これらの制度の概要に関しては後述します。

雇用保険と労災保険

個人事業主は、基本的に雇用保険と労災保険の加入対象にはなりません。ただし労災保険は、従事する事業によっては特別加入制度が適用されることがあります。特別加入できる事業は下記のとおりです。

  • 自動車を使用する旅客または貨物の運送の事業(個人タクシー業者や個人貨物運送業者など)
  • 土木、建築、工作物の建設、改造、保存、破壊、解体などの事業(大工、左官、とび職人など)
  • 漁船による水産動植物の採捕の事業
  • 林業の事業
  • 医薬品の配置販売業
  • 再生利用を目的とする廃棄物の収集、運搬、選別、解体などの事業
  • 船員法第1条に規定する船員が行う事業

参照 : 厚生労働省「特別加入者の範囲」
関連記事 : iDeCoに興味がある個人事業主のための参考記事まとめ

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個人事業主の社会保険料負担額

個人事業主は、従業員を雇うか雇わないかによって社会保険料の負担が大きく変わってきます。

個人事業主が保険料を負担する社会保険には、以下のようなものがあります。

  • 国民健康保険
  • 健康保険
  • 国民年金保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

国民健康保険

個人事業主は、原則として自治体が運営する「国民健康保険」への加入が必要です。従業員を雇わない場合や、雇う場合であっても5人以下の場合は国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険料の納税額は、「所得割」「資産割」「均等割」「平等割」の4つの額の合計です。住んでいる市区町村によって料率は異なるので、保険料も変わります。

所得割は、以下のような計算式で算出されます。

(前年の総所得金額-基礎控除33万円)×各市区町村の保険料率

資産割は、以下のような計算式が用いられます。

固定資産税額(※)×各市区町村の保険料率

(※)当年度の固定資産税額のうち、土地・家屋にかかる分のみ

均等割は、被保険者1人あたり×各市区町村の均等割額であり、平等割は、市町村によって「定額」が定められています。

国民健康保険料の納税方法は、自宅に届く納付書での銀行振込やコンビニ支払い、また口座振替などから選択可能です。納税回数は、7月~翌年3月までの9回納付が基本ですが、自治体によっては6月も含めた10回納付となることもあります。

詳しい計算方法、納税方法は、お住まいの市区町村に確認してください。

健康保険

個人事業主は、原則として国民健康保険に加入するため、業種ごとの健康保険組合がある場合を除いて「健康保険」には加入できません。しかし、会社員から個人事業主になった人の場合、以下の2点を満たすと、会社員時代に加入していた健康保険に最大2年まで継続加入することができます。

資格喪失日の前日までに「継続して2ヶ月以上」の被保険者期間を有する
資格喪失日から「20日以内」に任意継続被保険者資格取得申出書を提出・申請

一方、従業員を常時5人以上雇用している個人事業主は、社員を健康保険に加入させなくてはいけません。5人未満であっても、従業員の半数以上の加入の同意がある場合は健康保険に任意加入できます。ただし、個人事業主本人と従業員となっている家族は除外されるので注意しましょう。

従業員を雇用する個人事業主が健康保険料を支払う場合、労使折半の原則が適用されるので、個人事業主が健康保険料の半分を事業者負担として支払わなければなりません。

健康保険料は、基本的には「標準報酬月額×料率」という計算式で算出します。

標準報酬月額とは、毎月の給料などの報酬を所定の区分によって定めたものです。健康保険の場合は、全50等級に区分されています。

国民年金保険

国民年金保険は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人であれば、すべての人に加入が義務付けられている保険です。そのため、個人事業主は国民年金保険に加入しなければなりません。

国民年金の保険料は定額ですが、金額の微調整が毎年行われます。参考までに令和2年度の1ヶ月あたりの保険料は16,540円です。

保険料は、口座振替、納付書によるコンビニ支払い・クレジットカード支払い、または年金事務所での直接支払いも可能です。

口座振替は払い漏れがない方法なので、国民年金を運営する「日本年金機構」でも推奨されています。ちなみに納付書支払いに関しては、「Pay-easy(ペイジー)」と呼ばれる決済方法も利用可能です。ペイジーとは、スマホやパソコンから保険料を納付できるサービスで、忙しくて外出できない場合などに利用すると便利です。

国民年金の保険料は、「毎月払い」が基本です。1年に換算すると12回支払うことになります。ただし「1年分をまとめて払う」などの支払方法も可能とされていて、この場合、保険料の割引を受けることができます。詳しくは、日本年金機構のWebサイトで確認してください。

参照 : 日本年金機構「国民年金保険料」

厚生年金保険

個人事業主は国民年金保険に加入するため、基本的には厚生年金保険の支払いの義務を負いません。

ただし、従業員を常時5人以上雇用している個人事業主は、社員を厚生年金保険に加入させる必要があります。5人未満であっても、従業員の半数以上の加入の同意がある場合には、厚生年金保険に任意加入できます。

厚生年金の保険料は、事業者と従業員が半分ずつ負担します。つまり、個人事業主は保険料の半額を事業者負担として支払う必要があるのです。

厚生年金保険は、納税者の給与によって支払額が異なります。具体的には、以下の計算式が使われます。

毎月の保険料額=標準報酬月額×保険料率
賞与の保険料額=標準賞与額×保険料率


「保険料率」は18.3%で固定です。保険料率は毎年段階的に引き上げが行われていましたが、2017年9月を最後に18.3%で固定されることが厚生労働省から発表されています。

参照 : 厚生労働省「厚生年金保険料率の引上げが終了します」

納税者の「標準報酬月額」は、4月から6月の給与をもとに、毎年9月に決定されます。

一方で賞与に関しては、支払われた賞与から千円未満を切り捨てた額が「標準賞与額」とされ、例えば9,999円を賞与としてもらった場合は、9,000円が標準賞与額となります。なお、150万円超の場合は150万円になります。

参照 : 日本年金機構「保険料と総報酬制について」

雇用保険

個人事業主は、基本的に雇用保険の加入対象にはなりません。ただし、以下の条件を全て満たす労働者を1人でも雇っている場合は、原則としてその労働者を雇用保険に加入させる義務を負います。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上の雇用見込みがある

ただし、昼間学校の学生などは例外となります。

参照 : 厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き 第4章 被保険者について」

雇用保険の支払額は「月額賃金×雇用保険料率」の計算式で算出します。

月額賃金とは、月給や賞与、通勤手当などを含んだ金額のことです。雇用保険料率は毎年改定が行われ、農林水産や建設事業を営む事業者以外では、令和2年度の雇用保険料率は0.9%となっています。

この0.9%のうち、個人事業主が0.6%、労働者が0.3%を負担します。

参照 : 厚生労働省「雇用保険制度」

労災保険

個人事業主自身は、基本的に労災保険の加入対象になりませんが、事業の種類によっては特別加入制度の適用があります。

個人事業主として労働者を1人でも雇用していれば、原則として労災保険料を支払わなければいけません。

労災保険料は「従業員に支払った賃金の総額×労災保険料率」という計算式をもとに算出します。

労災保険料率は定期的に改正が行われていて、業種ごとに料率が異なることがポイントです。厚生労働省が発表した「労災保険料率(平成30年4月1日施行)」をみると、卸売業・小売業では0.3%、一方で林業では6%など、業務上の怪我のリスクが高い業種ほど料率が高く設定されていることが分かります。

参照元 : 厚生労働省「労災保険・雇用保険の特徴」
関連記事 : フリーランスなら押さえておきたい!今さら聞けない「税金・保険・年金」のキホン

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国民健康保険・国民年金への加入方法

もし従業員を雇わない個人事業主となる場合、国民健康保険または業種ごとの健康保険組合と、国民年金に加入する必要がありますが、これらは自分で手続きを行わなければなりません。

以下では、国民健康保険と国民年金への加入方法を解説しますので、勤めている企業を退職して個人事業主になろうと考えている方は、参考にしてみてください。

国民健康保険の加入手続き

国民健康保険に加入する際は、居住する地域の市区町村役場へ以下の4点※を持っていきます。

  • 退職日が確認できる書類(社会保険資格喪失証明書、退職証明書、離職票)
  • 印鑑
  • 身分証明書(運転免許証、パスポート等)
  • 個人番号が分かるもの(個人番号通知カード、個人番号カード、個人番号ありの住民票)

この手続きは、退職日翌日~14日以内までに行わなければなりません。もし14日を過ぎてしまった場合、手続きを行うまでは医療費が自己負担となってしまう場合があり、その間も保険料は発生しているので、退職日の翌日を含む月からの未払い保険料を遡って納める必要が発生する場合もあります。

※役所によっては提出書類が異なりますので、実際に申請に行く前に居住地域を管轄する役所のHP等で事前に確認することをおすすめします。

国民年金の加入手続き

国民年金の加入手続きを行う場所は、国民健康保険と同様、居住する地域の市区町村役場で、必要な持ち物は以下の2点です。

  • 退職日が確認できる書類(社会保険資格喪失証明書、退職証明書、離職票)
  • 基礎年金番号が確認できるもの(年金手帳、ねんきん定期便)

こちらも、退職日翌日~14日以内までに手続きを行う必要があるので、国民健康保険の加入手続きを行うと同時に、速やかに済ませておきましょう。

退職から2年間は任意継続にするという選択肢もある

条件次第では、国民健康保険に切り替えることで負担が大きくなってしまうことがあります。そういった場合は、任意継続にすることも考えておきましょう。

任意継続とは、退職前の会社で協会けんぽもしくは健康保険組合に2ヶ月以上加入していれば、退職後も最大2年間健康保険を継続できるというものです。保険料は、これまで会社側が負担してくれていた分も合わせて、全額自己負担となります。

では、どういった人が任意継続を選ぶべきかというと、退職前の標準報酬月額が30万円以上の人と、扶養家族が多い人です。

任意継続の保険料は最高限度額があるため、それを超えている場合は本来支払わなければならない保険料よりも安くなります。また、国民健康保険には扶養という概念がないため、基本的に家族全員別々に保険料がかかってしまいますが、任意継続の場合、これまでどおり被保険者1名分の保険料で年収130万以下の家族を扶養に入れることが可能です。

任意継続の条件が整っている人は、国民健康保険と料金を比較して検討してみてください。

任意継続保険の手続きは、協会けんぽの場合、公式サイトにある「任意継続被保険者資格取得申出書」に必要事項を記入し、居住地を管轄する協会けんぽ支部に提出するという流れになります。期限は、退職日翌日~20日以内です。加入している間は、保険料を滞納したらすぐに脱退となり、再加入はできなくなるので注意しましょう。

参照 : 協会けんぽ「任意継続の加入手続きについて」
関連記事 : 健康保険・年金の切り替え手続き

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個人事業主が任意加入できる年金制度

会社を辞めて厚生年金から脱退するとなると、気になるのが将来受け取れる年金が少なくなってしまいますが、その際には前項で触れた、国民年金基金などの制度が役に立ちます。これらの年金制度の加入は任意ですので、必ず入らなくてはいけないものではありませんが、資金にゆとりがある場合は入っておいたほうが安心できるでしょう。

国民年金基金

国民年金法の規定に基づいた公的な年金制度で、サラリーマンの「厚生年金」に相当する、自営業者などのための上乗せ年金です。

対象者は、自営業者やその家族である第1号被保険者および、海外に居住していて、国民年金に任意加入している人等になります。また、前提として、国民年金保険料をきちんと納めていることが条件になるため、未納であったり、免除・猶予などを受けていたりする場合は加入することができません。加入後、途中で解約するのも原則不可です。

毎月の掛け金と将来の受給額・受給期間は、性別や加入時の年齢、選択するプランによって異なりますが、掛け金の月額上限は68,000円と決められています。加入方法は、公式サイトから資料請求を行い、その後申込書の提出を行うという流れになります。

参照 : 国民年金基金連合会「国民年金基金とは」

付加年金制度

付加年金制度は国民年金の保険料に毎月上乗せして、将来受け取れる年金を増やせる制度です。対象者や条件は国民年金基金と同様ですが、同制度との併用は不可となっています。

毎月の掛け金は一律400円で、一年あたりの受給額は掛けた月数×200円となっており、受給開始から死亡するまで受け取ることが可能です。たとえば、20歳~60歳までの40年間付加年金を納めた場合は、480×200=96,000となるため、1年間に96,000円(月8000円)が基本の年金に上乗せされるということになります。加入・解約手続きは、市区町村役場または年金事務所にて申込書を提出することで行えます。

参照 : 日本年金機構「付加保険料の納付のご案内」

iDeCo(イデコ)

付加年金制度と併用できる年金制度としては、個人型確定拠出年金のiDeCoがあります。iDeCoは、自分で掛け金を決め、自分で積み立てて運用し資産形成を図るため、運用の結果次第で将来受け取れる受給額が変わってくるのが特徴です。

個人事業主の場合、掛け金の上限は68,000円となっていますが、付加年金制度または国民年金基金とiDeCoを併用する際は、付加年金の付加保険料や国民年金基金の掛け金と併せた金額が上限となります。

例えば付加年金との併用であれば、付加保険料の400円をiDeCoの掛け金の上限額68,000円から差し引きます。また、iDeCoの掛け金は1,000円単位であるため、このケースの上限額は67,000円です。

iDeCoへの加入は、iDeCoを取り扱う運営管理機関で行えますが、各運営管理機関で運用商品や手数料が異なるので、気になる方は公式サイトから運営管理機関一覧を確認してみてください。

参照 : 厚生労働省「iDeCoの概要」
関連記事 : 老後の不安・心配に備える!フリーランスの家計管理・老後対策入門

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個人事業主の社会保険は控除対象

個人事業主になったら、確定申告を行わなければなりませんが、その際に覚えておきたいのが、「本人または生計を一にする(※)配偶者などが支払った社会保険料は、その全額が所得控除の対象になる」ということです。

※同じ家計で生活しているということ

実際に社会保険料控除を受けるには、その保険料または掛け金の金額を証明する書類を、確定申告書に添付する必要があります。

とはいえ、国民年金と国民年金基金以外は、控除証明書が送られてこないので、提出すべきはこの2つのみです。それ以外の国民健康保険などは、納付書や通帳などで確認し、自分で金額を計算して記載することになります(自治体によっては、確認書を送ってくれる場合もあるようです)。

社会保険料控除を受ければ税金が軽くなるので、個人事業主になったら忘れずに手続きを行うようにしましょう。

参照 : 国税庁「社会保険料控除」
関連記事 : フリーランスが経費にできる保険

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個人事業主の社会保険に関するよくある質問

ここでは、個人事業主の社会保険に関するよくある質問に答えていきます。

Q. 個人事業主が社会保険に加入するメリットは何ですか?

個人事業主が社会保険に加入するメリットは、年金や保険の恩恵を受けられること、確定申告の際に社会保険料は控除対象になることがあります。

Q. 退職後に国民健康保険や国民年金の手続きを行わなかった場合、どのようなリスクがありますか?

退職後に国民健康保険や国民年金の手続きを行わなかった場合、医療費が自己負担になることや年金の受給に制限が生じることがあります。また、滞納や未納の場合には罰則や追加費用が課されることもあります。早めに手続きを行うことが重要です。

Q. 個人事業主が国民年金基金やiDeCoに加入することで、どのようなメリットがありますか?

国民年金基金やiDeCoに加入することで、将来の年金額を増やすことができます。また、確定申告をする際に、所得税や住民税を節税することができます。

Q. 個人事業主が労災保険に加入する場合、特別加入制度が適用される条件は何ですか?

個人タクシー業者や大工、漁業、林業といった、業務上特に保護することがふさわしいと判断された個人事業主が加入できます。

Q. 国民年金基金への加入条件は何ですか?

国民年金基金は、国民年金の第1号被保険者または海外に居住していて国民年金に任意加入している人が対象です。ただし、国民年金の未納や免除を受けている方は加入できません。

最後に

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