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最終更新日:2024年3月26日

特定派遣廃止による偽装請負増加について

2015年9月、派遣事業の一つであった「特定派遣」が廃止。経過措置として設けられていた3年も過ぎ、2018年に特定派遣は完全廃止となりました。特定派遣として働くことで労働者の雇用が不安定になっていたようですが、廃止後「偽装請負」が増加する可能性があると指摘されています。本記事では、エンジニアの派遣やSES利用を検討しているIT企業で気をつけたい偽装請負について、特定派遣廃止の背景とともにご紹介していきます。

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特定派遣とはどのような制度だったのか

IT業界における「特定派遣」とは、エンジニアが派遣元会社に常時雇用され、派遣先企業に常駐して働く雇用形態です。

派遣先企業での派遣期間終了後も、派遣元会社との間で雇用関係が続いているため、一定の報酬を受け取りつつ、派遣元会社の社員として次の派遣先企業を探せるというメリットがありました。特定派遣は、2015年9月29日をもって廃止されており、現在派遣社員としての働き方は「労働者派遣事業」に一本化されています。

一般派遣との違い

特定派遣が廃止される以前、派遣事業は主に「一般派遣」と「特定派遣」の2つの区分に分かれていました。一般派遣とは、派遣元会社に登録し、派遣先の企業で一定期間就労する雇用形態です。一般派遣の場合、派遣先企業が決まらない限り就業できず、その間は報酬を得ることができません。

「派遣先企業が決まらなければ就業できない」という点で、不安定な雇用形態ともいえる一般派遣。一般派遣事業を行う際は、国から「事業許可」を取得する必要があります。許可を取得するためには多くの要件をクリアしないといけないため、中小企業にとってはハードルが高いとされています。

特定派遣は届出制だった

先述のとおり特定派遣では、派遣先企業が決まっていない場合でも、派遣元会社で常時雇用する決まりがありました。そのため労働者にとっては、一般派遣に比べ比較的安定した雇用が保証されていたといえます。特定派遣は一般派遣と違い、許可制ではなく「届出制」でした。一般派遣の許認可制ほどハードルの高い要件がなかったので、比較的容易に特定派遣に参入する企業も多かったようです。

関連記事 : 特定派遣廃止とSES契約について

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特定派遣廃止後の変化

特定派遣廃止後の変化や影響についてお伝えします。

特定派遣廃止による変化

特定派遣が廃止されたことにより、「一般派遣」と「特定派遣」の間に区別がなくなり「労働者派遣事業」に一本化されることになりました。そして、すべての派遣事業は「許可制」に。廃止後は派遣事業のルールが一般派遣で用いられていたものが使用されることになったので、実質派遣事業の多くが「一般派遣」と同様の形態にになったといえるでしょう。

エンジニアの正社員化が促進

特定派遣の廃止により、エンジニアの正社員化が促進されたといわれています。現行の派遣法では、一般的な派遣契約における派遣期間は最長3年と定められています。

この「3年ルール」の存在は、これまで特定派遣に頼ってエンジニアを確保し続けていたIT業界・企業にとって、エンジニアを正社員として雇用したり、新たなエンジニア獲得方法を模索したりするきっかけとなったようです。

特定派遣廃止の「経過措置」

お伝えしたとおり、特定派遣は、2016年9月29日で廃止され、2015年9月30日から「労働者派遣事業」は一本化されました。しかし、もともと特定派遣事業を営んでいた派遣元会社は、3年後の2018年9月29日まで引き続き特定派遣事業を行うことが可能でした。これを「経過措置」といいます。

ただし経過措置後、つまり2018年9月30日以降も派遣事業を続ける場合、「許可制」になったため新たに許可を取得する必要がありました。そのため、特定派遣に頼っていた派遣元会社のなかには、許可申請で苦心し、事業継続が困難となった場合もあったようです。

参照元:厚生労働省-「(旧)特定労働者派遣事業」を行っている事業主の皆さまへ

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特定派遣廃止によって偽装請負が増加?

特定派遣が廃止されたことにより、偽装請負が増える可能性があると考えられます。

そもそも偽装請負とは

偽装請負とは、「請負契約」「準委任契約」「業務委託契約」などの契約形式を取っているにも関わらず、実態としては「職業安定法第44条」で禁止されている労働者供給、または「労働者派遣法第2条」で定める労働者派遣にあたるものを指します。たとえば、「準委任契約」において、業務を受託した企業のエンジニアに対して委託先が指示命令をすることは禁止されています。この場合、「偽装請負」とみなされ法令違反となってしまう恐れがあるので、十分に注意しましょう。

SES契約が増えたことにより偽装請負増加の可能性も

特定派遣が廃止されたことにより、「SES契約」によってエンジニアを確保する企業が増えたようですが、「SES契約」では偽装請負について注意する必要があります。

 SES契約とは、「システムエンジニアリングサービス契約」の略称です。SES契約に明確な定義は存在せず解釈や実際の契約形態に幅はあるものの、基本的にSESを提供するための、ソフトウェア・システム開発における契約を指していると考えて良いでしょう。SES契約では、SES企業がクライアントであるユーザー企業にエンジニアを送り、常駐で働く場合が多いです。廃止された特定派遣に変わるエンジニア確保手段として、今後さらに主流になっていくことが予想されます。

しかし、客先常駐という形をとるSES契約には、「偽装請負」とみなされるリスクが潜んでいます。前に述べたように、「請負契約」や「準委任契約」などでSES企業のエンジニアをプロジェクトに参画させる場合、エンジニアをユーザー企業の指揮に従って業務させることは認められていません。

偽装請負にならないよう対策を徹底しよう

企業でエンジニアを確保し業務を進める際、偽装請負とみなされないよう対策しておくことが大切です。

事前にプロジェクトの内容を固めていた場合でも、作業の進捗や状況によって変更が生じることもあるでしょう。しかし、その際にユーザー企業側が、エンジニアに直接業務変更の指示を行うと、偽装請負と判断されるリスクが高まります。そのため、事前に仕様書を定め、また、SES企業とユーザー企業の間で、業務が変更された際の手続きを明確にしておきましょう。

参照元:e-Gov 職業安定法 第44条労働者派遣法 第2条

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※本記事は2020年7月時点の情報を基に執筆しております。

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