個人事業主の契約ガイド!業務委託契約のチェックポイントと注意点 | レバテックフリーランス
個人事業主の契約ガイド!業務委託契約のチェックポイントと注意点
- 業務委託契約の概要や種類
- 契約内容のチェックポイント
- 偽装請負を防ぐための注意点
個人事業主の業務委託契約の結び方や注意点を知りたい人向けに、概要や契約内容のチェックポイントなどを解説します。
実際、契約に関する理解が浅いまま締結してしまうと、トラブルにつながる恐れもあるため、十分に注意が必要です。
具体的に記載すべき内容や契約作成の手間をなくす手段なども紹介するので参考にしてください。
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目次
個人事業主が知るべき業務委託契約の種類
業務委託契約は、企業が個人事業主や他企業に、業務の一部を委託する契約です。業務委託契約には、「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の3種類あります。受託者が負う義務や、報酬などに違いがあります。
請負契約は、業務の完成を約束し、成果物に対して報酬が発生します。たとえばフリーランスエンジニアの場合、Webサイトやアプリの開発・納品といった案件で請負契約を結びます。
委任契約は、法律行為を委託する契約で、弁護士に訴訟の提起を依頼するときに締結します。請負契約との違いは、完成(勝訴)しなくても、注意義務をつくして業務をすれば契約違反にならない点です。
準委任契約は、法律行為以外の業務を委託する契約です。成果ではなく、業務の遂行自体に報酬が発生します。フリーランスエンジニアの場合、企業に常駐して業務を遂行する案件で、準委任契約を結びます。
業務委託の種類について、より詳しくは以下の記事をご覧ください。
業務委託にはどんな種類があるの?委任と請負の違いとあわせて解説
個人事業主の仕事に業務委託契約が必要な理由
個人事業主として仕事をする上で、業務委託契約は必要です。口約束では報酬が払われないリスクなどがあります。実際、フリーランス協会が「約7割のフリーランスが報酬未払いトラブルにったことがある」と報告しています。
また、企業は専門知識やスキルが必要になったとき、業務委託契約を活用しがちです。従業員を雇用するより、コストをおさえられるためです。また、人手不足解消のために、個人事業主に業務委託する場合もあります。
したがって、個人事業主が企業の仕事を巻き取るには業務委託契約の締結が必要になります。
契約の重要性は、副業の場合も変わりません。副業として個人事業主になる場合に知っておくべきことについては、以下の記事で詳しく解説しています。
個人事業主として副業するには?開業するメリットや確定申告の基礎も解説
業務委託契約の流れ
個人事業主が、業務委託契約を結ぶ流れを解説します。契約の内容や契約書の作成法など、4つのステップに分けて解説していきます。
①業務委託契約の内容を話し合う
はじめに業務委託契約の内容を委託者と話し合います。契約の種類は、請負・委任・準委任のどれかも決めます。
受託業務によって異なりますが、以下が業務委託契約で決めるべき項目です。
- 契約の目的
- 委託業務の内容
- 契約期間、契約の解除
- 報酬に関する定め(報酬額や諸経費・支払期日、方法)
- 契約条件の変更
- 補修、損害賠償
- 知的財産の帰属
- 再委託の禁止、許諾
- 秘密保持
- 禁止事項
特に業務内容をあいまいにすると、後々トラブルに発展する恐れがあります。納得いくまで話し合いましょう。
厚生労働省がライター用の業務委託契約書の参考例を紹介しているので、参考にしてください。より汎用的な契約書のテンプレートについて知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスの契約書ガイド|テンプレートや業務委託の基礎知識
②契約書を作成する
話し合いの内容をもとに、契約書を作成します。契約書は、委託者、受託者どちらが作成してもかまいません。話し合いの際に、いつまでに、誰が作成するかきちんと決めておきましょう。
③契約内容の確認
契約書を作成したら、内容に誤りや齟齬がないか、委託者、受託者の両方が確認すべきです。PCなどの画面上で確認すると、見落としが多くなりがちです。必ず、印刷した紙面上で確認しましょう。
④契約書を製本
双方の確認が終わったら、契約書原本を製本します。2部作成して、委託者、受託者それぞれが保管します。契約書の改ざんや偽造していないことを証明するために、1部ずつ双方が割印しておきます。
最後に、2部のうちどちらか1部に収入印紙を貼付します。印紙の金額は、国税庁の「印紙税額一覧表」を確認しましょう。
個人事業主の契約書のチェックポイント
下の表は、個人事業主が契約書を作成する際の、チェックポイントです。契約内容を話し合う際、参考にしてください。
項目 | チェックポイント |
---|---|
契約の種類 | 請負契約・委任契約・準委任契約どれか |
委託業務の内容 | 業務内容や範囲は具体的に特定されているか/意味を取り違えやすい表現はないか |
契約期間、契約の解除 | 自動更新又は契約の有効期間が定められているか/中途解約に対する保障はあるか |
報酬に関する定め | 報酬が発生する条件が記載されているか/支払いはいつまでに行われるか |
補修、損害賠償 | 委託先側、受託先側に契約違反があった場合の責任の範囲と損害賠償額が定められているか |
知的財産の帰属 | 業務で完成した成果物の著作権や知的財産権の帰属先は定められているか |
再委託の禁止、許諾 | 再委託を行う際の条項が細かく定められているか |
秘密保持 | 提供された情報の秘密保持の条件や情報の取り扱い、処理方法の決まりはあるか |
禁止事項 | 委託者と競合する同業他社との取引に制限はあるか |
上記のほかにも、業務を完成させて報酬を受け取るまでの流れに照らし合わせて、不備がないか確認しましょう。
少しでも懸念があるなら、契約前に相談すべきです。契約内容の精査に不安がある場合は、弁護士に相談する方法もあります。
業務委託契約のメリット・デメリット
個人事業主は、企業などと直接、業務委託契約を結ぶメリット・デメリットを知っておくべきです。自ら労働条件や単価交渉できる一方で、交渉や手続きの手間がかかるデメリットもあるからです。それぞれ具体的に解説します。
業務委託契約のメリット
以下は、個人事業主が業務委託契約を結ぶ際のメリットです。
- 自分で単価交渉できる
- スピード感ある交渉・契約ができる
- 手数料がかからない
交渉が得意であれば、自分の望む単価で受託できる可能性が高まります。仲介手数料がかからない点もメリットです。
業務委託契約のデメリット
以下は、個人事業主が業務委託契約を結ぶ際のデメリットです。
- 営業や交渉に時間をとられる
- 契約書作成や事務手続きを行わなければいけない
- トラブルが発生した場合、自ら対応しなければいけない
直接契約を結ぶ場合は、営業から契約締結までの時間や手間がかかります。トラブルが発生した場合、対応に追われる可能性もあるでしょう。
個人事業主が偽装請負を防ぐポイント
業務委託契約でありながら、実態は労働者派遣として扱う偽装請負が行われるケースがあります。待遇の悪化などが懸念され、偽装請負を防ぐために具体例を知っておくべきです。偽装請負の概要と、具体例を解説します。
そもそも偽装請負とは?
厚生労働省の説明によると、偽装請負とは請負・委任・準委任契約にもかかわらず、実際は労働者派遣である状態です。
請負・委任・準委任契約を結んでいる人を、指揮命令下に置き、労働者として扱うと偽装請負、法律違反になります。偽装請負は、不当な搾取が行われ、待遇の悪化・不安定化をもたらします。
偽装請負の具体例
個人事業主は、偽装請負を防ぐために契約内容を十分に理解すべきです。また、下記のような偽装請負の具体例を知っておけば、対処へとつながるでしょう。
- 業務について委託者が受託者に指示を出している
- 委託者が労働時間や出社・退社時間、休日といった労務管理をしている
- 専門的な技術や経験に基づく業務処理ではなく、単なる肉体労働をしている
- 委託者者側の従業員と同等の服務規定を要求されている
偽装請負が疑われる場合は、弁護士や労働基準監督署などに相談しましょう。
直接契約が不安な個人事業主はエージェントを活用
業務委託契約に関して、契約内容の精査や交渉など不安に思う人は、エージェントを活用するのも1つの手です。レバテックフリーランスでは、案件の紹介から条件の交渉、契約など全面的なサポートを行っています。
大手の企業は、個人事業主との直接契約を行わないところも少なくありません。本業に集中するためにも、エージェントの活用を検討しましょう。
個人事業主の契約に関するよくある質問
個人事業主の契約に関する、よくある質問に答えます。トラブルを防ぐためにも、契約形態や、契約を結ぶ際の注意点を、参考にしてください。
Q. 個人事業主との契約形態には何がありますか?
業務委託契約には、以下のとおり請負契約・委任契約・準委任契約があります。
- 請負契約:業務の完成を約束、成果に報酬が発生
- 委任契約:法律行為を委託する契約、労務の提供、成果に報酬が発生
- 準委任契約:法律以外の業務委託契約、業務遂行に報酬が発生
Q. 個人事業主が契約書なしで業務委託を受けられますか?
契約書がなくても法律上は、問題ありません。しかし、契約書で明文化しておかないと、後々トラブルにつながる恐れがあります。受託する業務の内容や契約期間、報酬、知的財産の帰属など、事前にしっかりと取り決めをして契約書を交わすべきです。
Q. 個人事業主が業務委託契約を結ぶ際の注意点は?
個人事業主が業務委託契約を結ぶとき、以下の点に注意しましょう。
- 業務内容や範囲は具体的に特定されているか
- 意味を取り違えやすい表現はないか
- 自動更新又は契約の有効期間が定められているか
- 委託者と競合する同業他社との取引に制限はあるか
※本記事は2023年10月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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