移り変わりの激しいweb業界をどのように生き抜く?
「webエンジニアがこの先生きのこるには」白石俊平氏×菅原のびすけ氏対談

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web業界における技術トレンドの移り変わりは激しいもの。次から次へと押し寄せる波を乗りこなし、荒波にのまれることなく、この先もwebエンジニアとして生き残っていくためには、どうすれば良いのでしょうか。

そこで今回は、web技術者向けメディア「HTML5 Experts.js」編集長、「TechFeed」プロダクトマネージャーを務める白石俊平氏と、webエンジニアとしてイベントや書籍の執筆など精力的な発信を行い、「dotstudio」でIoTプロダクトの開発などを手掛ける菅原のびすけ氏に、webエンジニアとして生き抜く秘訣を伺いました。
 
<webエンジニアがこの先生きのこるには>
1. 思い切って踏み出すこと
2. 向上心を持ってスキルを磨き続けること
3. 自分のブランディングを意識すること

 
 

 









 


白石俊平(しらいし しゅんぺい)氏(写真左)
株式会社オープンウェブ・テクノロジー代表取締役として、ITエンジニア向けニュースキュレーションサービス「TechFeed」の開発と運用を行う。Web技術者向け情報メディア「HTML5 Experts.jp」初代編集長。日本最大のHTML5開発者コミュニティ「html5」ファウンダー。著書に「HTML5&API入門」(2010,日経BP)、「Google Gearsスタートガイド」(2007,技術評論社)などがある。



菅原のびすけ(すがわら のびすけ)氏(写真右)
dotstudio株式会社代表取締役。国内最大規模のIoTコミュニティであるIoT縛りの勉強会「IoTLT」主宰。岩手県立大学大学院卒業。学生時代にベンチャー企業役員の経験を経て、2014年LIG入社。エンジニアとしてweb制作に携わる。2015年にはIoT関連の活動を開始し、テクノロジーを開発者に届けるDevRel事業の責任者に就任。現在は、2016年7月にdotstudio株式会社を設立しIoTプロダクトの開発・プロモーション・販売を手がけている。
 


 

踏み出すことで道が拓けていく


—おふたりともエンジニア出身で現在は経営者をされているということで、これまでの経歴を教えていただけますか?
 
白石:僕はフリーランスから2010年に法人化して、一人会社としてずっとやってきたのですが、スタートアップとして大きくしていこうと、2016年から取締役を入れて3人体制になりました。2013年頃からコミュニティ活動一本に絞っていたのですが、1年半の間に2000人規模のカンファレンスと「HTML5 Japan Cup」というコンテストを主宰したら、相当やりきった感があったんですよね。そこで、次はきちんとビジネスをやってみたいと思ったのがきっかけです。
 
のびすけ:コミュニティ活動に絞っていた時は、受託もしていなかったんですか?
 
白石:当時は「お金なんかどうでもいいや!」という気持ちがあったので、コミュニティ活動のみでしたね。ただ、僕の人生はいつもそうなんですけど、思い切って踏み出してみると、何かしらの救いの手が差し伸べられるんです。コミュニティ活動に一本化したいと思って「コミュニティ1本に絞ります」とソーシャルで宣言したところ、NTTコミュニケーションズさんから声をかけていただけまして。結果、「HTML5 Experts.jp」を協業で始めることになり、ご支援もいただけました。
 
のびすけ:僕は情報系の大学で、一年生からC言語をやっていたのですが、当時はプログラミングに対してすごく萎えていたんですよね。試合に出ないで筋トレばっかりやっている部活みたいな感じで(笑)。その後、大学3年生からPHPを始めて、“なんて素晴らしいんだろう!”と感激して。そこがwebって楽しいなと思ったタイミングです。
 
ただ、岩手のような地方にいると情報があまり流れてこないんですよね。岩手でweb技術を調べていたころは、都会でコミュニティ活動やイベント登壇している人たちのスライドばかりを目にしていたので、“web界隈で技術をやって、どんどん個人の力で発信していく世界って、かっこいいなぁ”という憧れがありました。そうした思いから上京してLIGにwebエンジニアとして入社しました。現在では、2016年7月に設立したdotstudioという会社でIoTプロダクトの開発・プロモーション・販売を手がけています。
 
—お二人ともwebエンジニアとしてのご経験があり、会社の社長であるという以外にも、外部への発信を行っているという点で共通していますよね。
 
のびすけ:そうですね。最近、自分の行動原理について振り返ってみて、承認欲求が強いことに気がついたんです。webエンジニアって、承認欲求が強い人が多い気がするんですけど、そんなことはありませんか?
 
白石:人によるでしょうけど、承認欲求はとても大事ですよね。僕もSIerでJavaを書いていた頃はエンジニア向けの技術書を書くのが夢だったので、「日本Androidの会」名誉会長の丸山不二夫先生が学長をされていた稚内北星学園大学という社会人大学に入ったんです。
 
なぜかというと、勉強したい気持ちももちろんありましたが、同校にIT系のスター選手のような方々が客員教授として名を連ねていたんです。そこへ入ったら、「もしかしたら雑誌で書いたり、本を書いたりできるかもしれない」と思って。結局その狙い通り「JavaWorld」という雑誌で書くことになったし、のちに「JavaWorld」の編集の人がwebメディアに移ると連絡をくれて、記事を書くことにもなりました。
 
のびすけ:おぉ。
 
白石:そこからエンジニアを廃業して、テクニカルライターとして記事を書きまくっていたら、Google Gearsの本を書くことになって。それがGoogleさんの目に留まって、お付き合いも始まりました。そうやって承認欲求に突き動かされるままに活動していた結果、今に至るという感じですね。
 
ただ、僕は一回やるとそれで結構満足しちゃうんですよね。本も1冊目は本を書くことが目的でしたが、「HTML5&API入門」に関してはHTML5を勉強したいというのがモチベーションだったので。
 
のびすけ:すごくわかるなぁ。僕の場合、岩手のような地方だとイベントがないから「gihyo.jp」や「CodeZine」といった有名なwebメディアや書籍が主な情報源になっていたんですね。だから「そういったメディアで執筆をしている人はすごいなぁ」といった憧れを抱くようになって。そこから僕の場合も白石さんと似たような流れで編集の方と知り合いになって、「gihyo.jp」や「CodeZine」で記事も書きましたし、共著という形で書籍も3冊出せたので達成感はありましたね。
 

自身との共通項が多く、かつ経験の豊富な白石氏のお話に聞き入るのびすけ氏

 

まずは1つの言語を極めること、そして向学心を持ち続けること

—普段おふたりはwebエンジニアとして、どのように技術のキャッチアップをされていますか?
 
のびすけ:僕は基本的にRSS登録したフィードを見ているのですが、いまだに「Qiita」で指定したタグのタイムラインや「GitHub」のJavaScriptで検索してスターが高いものは必ず見ています。あとは「はてなブックマーク」のテクノロジーの分野でバズっているものはチェックしますね。
 
それとやはり白石さんの「TechFeed」は推したいです。海外の情報もあるので効率がいいですよね。
 
白石:ありがとうございます(笑)。のびすけさんが地方にいると情報が入ってこないと言っていたように、僕もコミュニティで地方巡業をしていた時に同じような話をよく聞いたんですよね。インターネットが発達している世界で、すごく不思議なんですけど。そこを均一化したく「TechFeed」を作ったんです。「TechFeed」を通して誰もが同等にベストな情報に接することができる世界を作ることで、日本全土のITスキルを底上げしたいと考えています。
 

「アメリカよりも日本の方が情報は遅れてくるし、日本の中でも都会と地方とで差がある」と述べる白石氏

 
あともう一つの理由としては、情報をプッシュすることでエンジニアの技術への興味・関心を高いレベルで保っておきたいというのもあります。地方の方からよく聞いたのは、1人のエンジニアに任される役割が非常に広いというケース。たとえば「webサイトを作っています」という方の話を詳しく聞いてみると、コーディングもデザインもやるし、自分で撮影して素材作りも担当していたりする。そういった状況では担当領域の幅が広すぎて、1つの技術を追いきれないこともあるはずです。
 
—技術のキャッチアップをする際のコツなどはありますか?
 
白石:マニアックな言語でも、まずは今やっているものを1つ極めた方がいいと思います。1つの言語を極めておけば、別の言語を勉強してもスイスイ入ってきますから、割と転換は容易だと思います。
 
僕はJavaを割ときちんとやっていたおかげでJavaScriptを学ぶ際にも役だったし、今やっているTypeScriptだってスムーズに扱えています。最近やったSwiftは結構違っていて面白かったですけど、だからと言って基本的なロジックで困ることはありません。
 
仮に転職して「PHPできる?」と聞かれたとしても、「やったことはないけど、これとこれはやってきたので、すぐに書けるようになる思います」と自信を持って言えます。この“自信を持って言えるかどうか”というのは大事。1つの言語をちゃんとやった自信があるのとないのとでは、大きく違ってくると思うんですよね。
 
のびすけ:それはありますね。ただ個人的にはLispとかはよくわからないな、とも思ってますけど(笑)。Emacsをカスタマイズしたときに、めっちゃ括弧が多いことに戸惑いましたね。
 
白石:確かに(笑)。LispやHaskellのような関数型言語をいきなりバリバリやれるかというと、自分も難しいと感じます。ただ、今メジャーな言語ってだいたい似通っているので、やはり1つの言語をちゃんとやっておけば、他にも応用は効きやすいはずです。
 
—動きの激しいweb界隈で、1つの技術だけを続けていくことに不安を覚える方もいるのでは?
 
白石:そこでポイントになるのは向学心があるかどうかではないでしょうか。自分の周囲に限った経験でお話しすると、「スキルチェンジそのものがネック」というよりも「向学心を失っている方が転職に苦労している」というように見受けられます。特に、SIerで働いていた時なんかはそういう例をいくつも見ました。
 
一方でFlashをやってらっしゃった方々なんかは勉強が好きというタイプが多いのか、HTML5への乗り換えもスムーズに行っていた印象があります。たしかに1つの技術のみに固執するのはリスク以外の何物でもありませんが、それと「1つの物事をきちんと学ぶ」というのは話が別です。1つの物事を深く理解して、向学心を高く保つのなら、技術は連続性のあるものなので、ピボットはさほど困難ではないのではないでしょうか。
 

webエンジニアが生き残るには

—おふたりの共通点にはコミュニティ活動があると思うのですが、そこに力を入れてきた理由は何ですか?
 
のびすけ:僕がLIGにいたときに、部下には「会社が潰れたとしても生き残れますか」という話はよくしていました。自分のブランディングで仕事がもらえる状態を保っていれば、会社が潰れてもなんとかなるという自信にはなります。webエンジニアリングももちろん大事なんだけど、それ以外の何かも大事なんじゃないかなと。コミュニティ活動は僕にとっての、まさにそれで。
 
白石:そうだね。ぼくもコミュニティ運営を行っていく中で、参加してくれる人にちゃんと役に立っているのかいつも不安だったのだけど、のびすけさんの話を聞いて、しっくりきました。どんな人でも、コミュニティの中だと会社の規模とか上下とか関係なくつながることができる、というのはとてもいいところですよね。
 
のびすけ:コミュニティ活動自体はビジネスではないけれど、人とつながりが増えることでビジネスの種はいっぱいありますよね。営業的なプッシュじゃなくてプルというか。引きが強くなるイメージです。
 

「人脈を作ることを目的にコミュニティ活動をすると、どうしても態度に現れてしまう」とお二人の意見は一致

 
—引きつけ力は、生き残るために大切なことのひとつなんですね。
 
白石:僕ものびすけさんも、たぶんワガママだし欲が強いと思うんです。まずは自分が欲さないと、何も得られませんから。技術の話だけでなく、結婚したいとか彼女欲しいとか言いながら動かない人を見ていると、「動けばいいじゃん!」と思ってしまいます。何かを引きつけたいなら、欲を持たないと。
 
もちろん、必ずしも講演したり本を書いたりして目立つ必要はないんです。外に出なくても実力があるエンジニアは世の中にいっぱいいますから。
 
のびすけ:地方に居たということもあり、僕の中のwebエンジニア像は、白石さんのように技術をやりながらコミュニティ活動もしている人だったんですけど、東京に出てくるとそういう人って一部だったんだと気付かされましたね。現場で粛々と業務をこなして技術を高めている人も当然いるわけですし。
 
白石:コミュニティ活動は企画とか運営とか、エンジニアリング以外の作業も多いですからね。そういう人たちは、ある意味僕らがコミュニティ活動にかまけて本業をおろそかにしている間に技術を高めているわけで。
 
のびすけ:webエンジニアとしての生き残り方を考えたとき、技術者を貫くのか、CTOや経営者を目指すのか、いろいろありますよね。
 
白石:僕の場合は生涯エンジニアでいたいと強く思う一方、エンジニアリング以外のことも色々やりたいんです。エンジニアリングに強みがある経営者というのが、ひとつの目指すところかなと感じています。
 
のびすけ:ほんとに僕もそんな感じです。ただもう1点付け加えると、エンジニアリングがわかる経営者はそこそこいるけど、さらにコミュニティ活動もしてきた人は少なくなるんじゃないかなと。そこが白石さんと僕に共有する強みなはずなので、磨いていこうと思っています。
 
—最後に、「webエンジニアがこの先生きのこるには」というところをまとめていただけますか?
 
白石:「webエンジニアがこの先生きのこる」という言葉には、“会社に縛られることなく”という但し書きがつくわけですよね。年功序列・終身雇用という世界ならば、会社の中でいかに立ち回るかが大事になりますから。そうではなく会社に縛られず生き残るには、汎用的なスキルを身に着けていくことが重要です。
 
のびすけ:webエンジニアにとっての汎用的スキルというとパッと浮かぶのは、web標準やHTML5とかですかね。ほかにもセキュリティ周りやアルゴリズムに対する理解など、エンジニアとしての基礎練も長く活きてきそうです。
 
白石:そのあたりのスキルはたしかに価値がありそうですよね。その上で思うのは、エンジニアは会社がつぶれてもどうにかなる職業の筆頭でもある。自分から何かを学びにいく姿勢を持てば、業界がどうなっても「webエンジニアがこの先生きのこっていく」ことは難しくないでしょう。
 

インタビューを終えて

白石さんとのびすけさんのお話から、webエンジニアにとって「向学心を持ってスキルを磨くこと」「自分のブランディングを意識すること」「思い切って踏み出すこと」の3つが重要だとわかりました。

動きの激しいweb界隈に身を置くエンジニアの方にとって、参考になるところもあったのではないでしょうか。

そのほか、今後のキャリアについてお悩みや不安がある方は、ぜひ一度レバテックへご相談ください。




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