リクルートを退社し、ベトナムでクラウドソーシングを行う会社を設立。現地のフリーランスに活躍の舞台を提供する矢積 悠紀子さん

ベトナム

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起業家・矢積悠紀子 さん

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ベトナム・ホーチミンで、クラウドソーシングビジネスを展開する矢積 悠紀子(やずみゆきこ)さん。大学卒業後、リクルートホールディングスでホットペッパーの事業企画などに携わり、順調にキャリアを重ねていた彼女が、活躍の舞台をベトナムに移した理由とは。また、現地企業とフリーランサーとを結ぶ事業を通して、目指す方向とは。クラウドソーシングを手がける彼女だからこそ分かる、ベトナムならではのフリーランス事情も含めて、お話を伺った。

プロフィール

お名前
矢積悠紀子(やずみゆきこ)さん
現在の滞在国
ベトナム
業種
クラウドソーシング
経歴
2004年にリクルートホールディングスに入社し、採用や人事企画、ホットペッパーでの事業開発業務などを経験する。2012年12月、同社が出資する「Mytour Vietnam company limited」に出向。ベトナムのオンライン旅行予約サイトの運営に、現場リーダーとして携わる。2014年9月、リクルートホールディングス退社とともに、ベトナム・ホーチミンでクラウドソーシング事業を行う会社を立ち上げ。現地企業とフリーランサーとのマッチングを行い、両者がWin-Winになる仕組みを提供している。

1分で分かる「ベトナムで働く」ということ

① ベトナムでは、フリーランサーがフルタイムの仕事も持っていることが多い。

② 残業をするという概念がほぼない。昼寝をする習慣もある。

③ 年に数回、光海底ケーブルの切断事故が起こり、ネットの通信速度が遅くなる。

④ 休みが少ない。大型連休は2月のテト正月と4月末のメーデーくらい。

━まず、ベトナムで働かれるようになった経緯について伺えますか。

2012年12月、当時勤めていたリクルートホールディングスから、ベトナムでオンライン旅行予約サイトを運営する「Mytour Vietnam company limited」へ出向になりました。それがベトナムで働くようになったきっかけです。「Mytour Vietnam」では事業企画、マーケティング、プロダクトの責任者を任されて、非常に充実した時間を過ごしていました。

━いつ頃からアジアでビジネスを行うことに関心をお持ちだったのでしょうか。

大学時代、研究室で訪れたインドネシアがとても印象に残ったんです。その時から、将来は東南アジアでビジネスを通じて社会の役に立ちたいと、漠然と心に決めていました。社会人になってからも想いは消えず、東南アジアのどこかの国で勤務するチャンスをずっと探していました。ですからベトナム勤務になり、学生時代からの夢をようやく叶えることができて、とてもうれしかったですね。

━「Mytour Vietnam」での日々は、いかがでしたか。

「Mytour Vietnam」は今でこそベトナムで知られるようになりましたが、私が赴任した当初はまだ知名度も低く、所帯も10数名と小さなものでした。それまで、日本でホットペッパーという800名近いスタッフが席を置く部隊で仕事をしていた私にとって、「Mytour Vietnam」が初めて経験するスタートアップの現場となりました。

リソースが限られているので、ひとり何役もこなさなければならないという物理的な負荷はありましたが、スタートアップならではの面白さは、何物にも変えがたいものがありました。例えば、意思決定から現場オペレーションまでの速さをはじめ、社員一人ひとりとの関わりの濃さ、影響力の大きさなど、ビジネスパーソンとして非常に刺激的な環境でしたね。

━そんな中、なぜ起業しようと考えられたのでしょうか。

「Mytour Vietnam」での仕事は、とても楽しかったんですよ。セクションの責任者としてある程度の裁量を与えられて、がんばればがんばるほど業績が伸びていく手ごたえも感じていました。会社と事業に大きな愛着が湧いていましたね。

しかし、当時パートナー会社の創業者の方とお話をさせていただく機会があり、従業員として会社に関わった場合と、創業者や株主として会社に携わった場合では、リスクとリターンに大きな差があるということを身近に感じるようになっていきました。

そんな中、リクルートへ入社してから10年という節目が来て、私の背中を押してくれたんです。人生で一度、リスクを取り、大きなリターンを取りにいくという挑戦をしてみたい。もちろん失敗するかも知れないですが、今、失敗しても10年後よりはずっとリカバリーのチャンスが大きいと思えました。

その結果、2014年9月、長い間お世話になったリクルートホールディングスを退職して、ベトナムでの起業を決意しました。

━現在のビジネスについてお話を伺えますか。

2014年12月から、ホーチミンで「GetJobDone」というクラウドソーシングの会社を経営しています。ベトナムに籍を置く外資・内資の企業と、デザイン、開発、マーケティングなどのベトナム人フリーランサーとを結ぶビジネスを行っています。

依頼主である企業は、コストを抑えながらさまざまなアイディアや人材を確保することができ、一方のベトナム人フリーランサーは、ライフスタイルや環境に合わせて収入や実績を得るチャンスを手にできる。企業とフリーランサーが、Win-Winの関係を築く仕組みを提供しています。

ベトナム国内の案件には、自国の文化や市場に通じたベトナム人フリーランサーだからこそ発揮できるバリューがあります。弊社が企業様にクラウドソーシングを活用した課題解決の提案を行い、さまざまな機会をベトナム人フリーランサーに提供することで、彼らが技術やスペシャリティに磨きをかけるお手伝いをしていきたいと考えています。

そしていずれは、ベトナム人フリーランサー、引いてはベトナムの人材が、世界でより高い評価を得ることに少しでも貢献できればうれしいですね。
実は、この記事に掲載されている写真のほとんどが、一度弊社でもお仕事をさせていただいたことのあるベトナム人のフリーカメラマンによって撮影されたものなんですよ。

━ベトナムにフリーランスの方は多いのでしょうか。

ベトナム全体のことは分からないのですが、弊社のビジネス領域であるデザイン、マーケティング、開発などについて言えば、ベトナムにはフリーランスとして働く若者が数多く存在しています。

ただ日本とは違い、彼らの多くは完全にフリーランスではなく、企業に勤務してフルタイムの仕事を持ちながら、フリーランスとしても働いているケースが多いのです。実はそこに大きなメリットが存在します。

まずフリーランサーは、フルタイムで勤務する職場から継続的にスキルを学ぶことができ、知識や経験をアップデートする機会も得られます。また、それらをフリーランスで受けた仕事に反映することができます。

フリーランサーを活用する企業にとっては、彼らがWワークをしてくれることが、委託する作業のクオリティを確保するうえでのアドバンテージになります。さらに、フルタイムでフリーランサーを雇う側の企業にとっても、彼らがフリーランスの仕事を通して腕を磨き、職場にフィードバックしてくれることは、大切な財産になるはず。ベトナムでフリーランスの活躍を支援することは、すべてのステークホルダーにとって、プラスの要素になるんですよね。

それらに加え、特筆すべきは彼らの英語能力です。若者の英語能力は、日本人とは比べものにならないほど高い。ほとんどの人は、読み書きに問題がないレベルです。もちろん、日本語となると一気にハードルはあがりますが、英語が流暢なので「oDesk」や「Freelancer.com」などといったグローバルなクラウドソーシングサービスを活用して、積極的に海外の仕事を取りにいってますね。

━ベトナムで働く時に抑えておくべきルールや文化の違いなどについて教えてください。

ベトナムで働くのも日本で働くのも、実はそんなに大きな違いがないというのが正直な感覚です。あえて挙げるとすれば、ベトナムには残業するという概念がほぼないということでしょうか。

ほとんどのビジネスパーソンが、勤務時間内に業務を終了します。日本のように勤務時間外まで残るのが当たり前、というような文化は無いに等しい。私はこのベトナム人の働き方について、フリーランスとしての働き方を後押しする、とてもいいカルチャーだと感じています。

残業をしないことで、ベトナム人のビジネスパーソンには、平日の夕方に仕事を終えてからの時間と週末に2日間、自由な時間があることになります。

実際にこの時間を使って、フルタイムの仕事をしながらフリーランスとして活躍する若者をたくさん見てきました。それが、ベトナムでクラウドソーシングビジネスを立ち上げるうえで、強い判断材料になりました。

また、お昼休みも基本的に不可侵領域です。ベトナム人の社員は、昼休みに昼寝をする習慣があります。ですから、できるだけ昼休みに仕事を依頼することは避けるようにしています。

━ベトナムの通信環境について教えてください。

インターネット回線については、普段は速くて快適です。ベトナムは海外と4本の光海底ケーブルでつながれているのですが、一年に数回の割合でしょうか。ケーブルの切断事故が起こるんです。すると、インターネットの速度が大幅に落ちてしまい、海外サイトへアクセスするのに時間がかかったりします。それは不便ですね。

Wi-Fiの環境については、ベトナムは日本よりも優れていると思います。ほとんどのオフィスや飲食店で環境が整備されていますし、無料で利用することができます。携帯電話は現地の通信会社でSimカードを購入して、Simフリーの端末に挿入すれば使えますよ。

携帯料金については、日本のように毎月固定で支払うスタイルではなく、使用量に応じたプリペイド式、またはポストペイ式が主流です。無駄な料金を払わずに済むので、とても経済的ですね。

━ベトナムの物価や給与水準についてはいかがでしょうか。

物価については、ローカルの水準だと日本の3分の1から5分の1くらいの感覚です。例えばローカル食のお昼ご飯は100~200円ほど。ベトナムにいても、日本や欧米の食材でないと安心できないという方もいらっしゃるかもしれませんが、そうした食材には関税と輸送のコストが乗せられているため、本国で売られている1.5倍から2倍程度の値段がかかります。こちらで何を買うかによって、生活のコストがまったく違ってくるわけです。

マクドナルドやスターバックスなどの商品については、日本で購入する場合とほとんど変わりはありません。給与水準については一概に言えませんが、新卒で300~400ドルが一般的なのではないでしょうか。管理職クラスになると、1000ドルを超える人も出てきます。

エンジニアや日本語が話せる人たちの給与については、近年日系のオフショア企業間での人材獲得競争が激しくなっていることもあり、高騰してきていると聞いています。

━ベトナム料理は日本でも人気ですが、ベトナムでの食生活について伺えますか。

ベトナムに住むメリットとして、美味しい食べ物は欠かせません。ベトナム料理には、かつて植民地支配を受けていた中国やフランスの影響が残っていて、辛すぎずマイルドな味わいが特徴的です。

最近、日本でも人気を集めている「フォー」をはじめ、同じく米でできた麺の「ブン」、フランスパンに野菜や肉、ハーブなどの食材を挟んで食べる「バインミー」など、ベトナムにはまだまだ安くて美味しいローカルフードがたくさんあるんです。

また、同じ国内でも料理の味付けや食材にさまざまな特徴があります。例えば北部ではちょっと塩辛い味付けであまりハーブを使わなかったり、南部ではココナッツを使った甘めの味付けが多いなど、地方によって料理のバリエーションが楽しめるのも魅力的です。

━ベトナムで流行しているWebサービスやアプリはありますか。

とにかく仕事でもプライベートでも、Facebookが若者の生活のベースになっている感じです。オフィスでパソコンを立ち上げてから帰宅するまで、全員つねにFacebookはオンラインの状態です。弊社では、チャットやマーケティングにも利用しているので、私自身、Facebookがないベトナム生活は想像がつきません。

━ベトナムの人は、日本にどのようなイメージを持っているのでしょうか。

ベトナムは、対日感情がとても良い国です。その理由のひとつとして、日本のODA(政府開発援助)の成果をベトナム政府がしっかりとPRしていることが考えられます。例えば、ベトナム国内で日本のODAによってつくられた道路、橋、空港などには、両国の国旗が飾られたりしています。

また、ベトナムの人たちは、日本人のマネジメントに「洗練されている」というイメージを持っているようです。おかげで「日本人経営」を打ち出している弊社は、非常に採用を行いやすいですね。採用費は一切かからないですし、Facebookで告知すれば、ひとつのポジションに80人以上の応募が集まることもあります。

━休日をどのように過ごされていますか。

業務のピーク時以外、リフレッシュをするために休日はなるべくちゃんと休むようにしています。平日はベトナム人と過ごす時間がほとんどなので、休日には日本人と過ごすことが多いですね。

ベトナムにいる日本人の友人たちと美味しいランチを食べにいったり、ホーチミンからバスで2時間ほどかけてブンタウというビーチに行ったり。あとは本を読んだりして過ごしています。

━ベトナムにはバカンスがあるのでしょうか。

よくベトナムには連休が少ないと言われます。実際、年間でまとまった連休と言えば、2月の旧正月「テト正月」と、4月末のメーデー前後くらい。それ以外に大型連休はありません。テト正月にはベトナム人の多くがそれぞれの故郷に戻り、家族と貴重な時間を過ごしています。

旧正月は、ベトナム人にとって非常に大切な期間で、ビジネスにも大きな影響を与えます。消費者向けのビジネスでは旧正月前が繁忙期になり、一方の企業向けのビジネスでは、旧正月前が閑散期になります。

初めてベトナムで旧正月を迎えたときには、みんなが一斉に「忙しい」と言い始めて、急にアポイントが取れなくなりました。企業の意思決定のプロセスがストップしてしまうのには、正直参りましたね。お客様がみんな「テト明けにね」と言うのを聞いて、テトが恨めしくなった記憶があります(笑)。

━日本の皆さんに向けて、PRがあればお願いします。

現在、弊社では主にベトナムに籍を置く外資・内資の企業とお取引をさせていただいています。しかし今後は、一部作業を海外にアウトソースすることでコスト削減が期待できる、日本に籍を置く日本企業様のお手伝いも、積極的にさせていただきたいと考えています。

ベトナム国内でのデザイン、マーケティング、市場調査、開発または日本からの作業のアウトソーシングなどでご要望がありましたら、気軽にy.yazumi@gmail.comまたは+84-90-479-3422(ベトナム国内携帯)までお問い合わせください。

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