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シンガポールで、ソーシャルメディアを活用した求人サイト「JOB Forward」を運営する家田佳明さん。日本のリクルートで働いていたという彼が、なぜシンガポールで同サービスを始めたのか? 競合するサービスとの違いはどこにあるのか? また、国籍も住む場所もバラバラだというチームのメンバーとは、どのように仕事を進めているのか? そんな数々の疑問についてうかがった。
プロフィール
① 複数の欧米系企業のアジアヘッドクォーターが拠点を置いており、ビジネス習慣の欧米化が進んでいる
② 会社員の勤務先へのロイヤリティが低く、キャリアや給与の向上を目的とした転職が行われやすい
③ ビジネスや行政の場では主に英語が用いられる。中華系民族が多いので、口語では中国語も使われている
④ 近年、様々なコワーキングスペースが登場し、フリーランスの働き方の選択肢が充実してきている
-シンガポールで「JOB Forward」を起業するまでの経緯を教えてください
学生時代、フランスのビジネススクールで教員を務めていた恩師の元で、「持続可能な社会に向けて人類が取り組むべきこと」というテーマで学んでいました。例えば、環境や資源・エネルギーの問題が一例です。その中で漠然と「途上国の問題をビジネスで解決する、グローバル・ビジネス・リーダーになりたい」と思うようになりました。
大学卒業後、電通→独立→リクルートと経験を積む中で、学生時代に抱いていた情熱が強くなっていき、MBA留学をするための準備をしていたんです。そんなとき、たまたまP&Gシンガポールでマーケターを募集していることを知りました。
P&Gは170年以上の歴史を持つ、マーケティングに極めて力を入れている企業であり、その道のパイオニア的存在です。多くのビジネススクールで同社のマーケティング手法が研究されていて、P&Gのマーケティング部門で働くことは、海外MBA取得に等しい価値があるといわれています。考えた結果、ビジネススクールに通うよりも早く海外で働くことができる、P&Gシンガポールへの転職を決めました。
P&Gシンガポールでは高級化粧品のマーケティングを担当する傍ら、「起業するなら何をやるか」を構想していましたね。その中で注目したのが、東南アジアのオンライン求人市場でした。理由としては、地域経済の伸びとインターネット普及率の増加から市場としてのポテンシャルが見込めたからです。加えて、東南アジアの求人市場は先進国ほど進んでおらず、大手はすでに存在するものの、チャレンジできる余地が十分にあると判断しました。
また、リクルート時代にアド・オプティマゼーションの業務を担当していた経験があることも理由の一つです。クライアントが持つマーケティングやプロモーション上の課題を、アドテクノロジーを使って解決していたため、そこで培ったWebマーケティングや人材ビジネスの知識と経験を活かせると考えました。
そして、最新のインターネット技術を用いたサービスを提供することで新しい価値を創造でき、ひいては途上国の発展に貢献できると考え、「JOB Forward」を創設しました。
-「JOB Forward」のビジネスについて教えてください
「JOB Forward」では、東南アジアの市場に向け、Facebookを用いたソーシャルリクルーティング・プラットフォームを提供しています。ソーシャルメディアを活用することで、求職者は企業の文化を、企業は求職者の人柄やスキルを理解しやすくなり、より的確なマッチングを見込むことができます。
「JOB Forward」では、サービスを通じてマッチングが生まれた場合、採用された本人だけでなく、Facebookで求人情報を拡散した人全員に、謝礼が支払われる仕組みをとっています。また、企業の求人広告掲載は基本的に無料で、雇用が決まった場合のみ、企業への費用が発生する成功報酬型を採用しています。日本でも一般的になりつつある形態ですね。
「JOB Forward」の求人広告の掲載企業には、国内のネット系スタートアップが多く、サービスに登録している求職者にはエンジニア、セールス、マーケティングといった人材が目立ちます。年齢でいうと、20代後半~30台前半の一定のキャリアを積んだ層をメインターゲットにしています。
━シンガポールにフリーランスはどの程度いるのでしょうか?
シンガポール国内のフリーランスの割合は、日本と変わらないような印象があります。シンガポールの求職者は比較的、公務員や大企業で働く志向が強いようですね。
なお、2012年にシンガポール初のコワーキングスペースがオープンして以来、様々なコワーキングスペースが登場しています。規模の大小だけでなく、特色あるコワーキングスペースが増えてきていて、フリーランスの働き方の幅を広げています。
━シンガポールでおさえておくべき文化や価値観はどのようなものでしょうか?
シンガポールでは英語による教育が行われており、基本的にビジネスや行政の場などでは英語が用いられています。また、中華系民族が多いため、口語では中国語も使われていますね。
ビジネスにおける一番の違いは、シンガポールには終身雇用という概念がない点です。そのため、会社員は勤務先への帰属意識が薄く、キャリアや給与の向上を目的とした転職が当たり前に行われます。
また、複数の欧米系企業のアジアヘッドクォーターの拠点が置かれていることから、ビジネス習慣などの欧米化が進んでいます。キャリアアップは転職を通じて行うもの、という価値観はこの影響を受けていると考えられます。
━他の求人市場と比較した場合、「JOB Forward」の独自性はどういったところでしょうか?
ソーシャルリクルーティングの分野では、「JOB Forward」は現在、シンガポールにおいて唯一の存在だといえます。ただし、人材市場として広く捉えた場合、競合は少なくありません。
例えばマレーシア発の最大手ジョブポータルサイト「JobStreet」は、シンガポールにおいても大きなシェアを獲得しています。そういったサービスが提供する求人情報ページには、テキストのみで構成されたシンプルなものが多いですが、「JOB Forward」ではクリエイティブでの差別化を試みています。
また、成功報酬型という企業への料金体系も、東南アジアではまだ普及していないため、その点でも競争力を増しています。
━メンバーはどういった方々でしょうか?
例えば、CTOはビッグデータを用いたソリューション開発の経験があるインド人、プロダクトマネージャーは、スタートアップ経験が豊富なマレーシア人が務めています。ウェブデザイナーはネパール人で、もともとフリーランスだったのですが、スキルや人柄が信頼できましたので社員として採用しました。さらに、プログラマーは友人から紹介されたベトナム人で、安定したコーディングでプロダクトを支えています。
このようにメンバーの人種や勤務地はバラバラで、出会った経緯も様々なのですが、スキルや経験、情熱などが信頼に足るという点は全員に共通しています。
━スタッフが散り散りの状態で業務を遂行するにあたり、気をつけているのはどのような点でしょうか?
意識しているのは次の3つです。
1つ目は、メンバーへの認識共有の徹底です。普段から頻繁に、目的達成に向けた意識のすり合わせ、優先順位の明確化などを行い、認識のズレが生じないように心がけています。そのための手段として、Skype、プロジェクトマネジメントツールなどを活用し、誰でもどこでもそれぞれの業務の進捗が把握できるようにしています。
2つ目は、一人ひとりにプロフェッショナルとしての自覚を持ってもらうことです。プロ意識を持って、成果にコミットすることを重視しているため、細かな業務管理を行っておりません。
3つ目は、会社として、チームとしての一体感を保つことです。会社としての文化を文書に書き示すことで理解を促したり、メンバー間でのコミュニケーションを奨励しています。各々が自立して業務に臨むのも大切ですが、組織としての結束力を欠かすことはできません。
━チームにおける家田さんの役割はどういったものでしょうか?
小さな会社なので、ほぼ全てに携わっています。主に担当しているのは、事業課題およびKPIの設定、プロダクト設計、オペレーション管理、採用、資金調達ですね。
━「JOB Forward」でのやりがいや喜びはどういったところでしょうか?
多国籍チームとともに、1つのゴールを目指していくプロセスには、非常に面白みを感じます。「JOB Forward」のサービスを通して、企業と人材とのよりよいマッチングを実現することで、東南アジアの労働生産性向上、ひいては東南アジア経済の発展に貢献できれば、と考えています。
また、現在10人以上のメンバーが集まっていますが、チームメンバーがお互いを非常に信頼しており、「JOB Forward」で働くことを楽しいと感じてくれていることも、大変うれしく思います。
━最後にメッセージがあればお願いします。
スタートアップ企業として今の状況に慢心せず、急成長するカーブを描くことが最も重要だと考えます。より多くの人へ価値のあるサービスを作るため、株主の皆様に成果を還元するためにも、日々の成長を加速してきたいと思っています。
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