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東南アジア市場と日本を、ソーシャルメディアでつなぐ。ASEAN10カ国を飛び回る起業家、高橋 学さん

ASEAN

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起業家・高橋学 さん

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ASEAN 10カ国を週替わりで移動する起業家、高橋 学さん。シンガポールで経営する「ASIACLICK ASIA PACIFIC REGIONAL OFFCE PTE.LTD.(Singapore)」(通称:アジアクリック)は、日本のビジネスのASEAN市場進出や、東南アジアからの観光客誘致を支援するコンサルティング企業だ。市場人口は約6億人。多民族、多言語、多宗教のASEAN※1諸国で、高橋さんがビジネスを始めた理由とは?高橋さんが手がける「日本とアジアをつなぐ」マーケティングとはどのような仕事か?お話を伺った。

※1:ASEAN(東南アジア諸国連合):
東南アジア10カ国(インドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス)から成る、経済・社会・安全保障・文化に関する地域協力機構。1967年の「バンコク宣言」によって設立された。

プロフィール

現在の滞在国
ASEAN 10カ国
お名前
高橋学さん
業種
起業家(マーケティング・コンサルタント)
経歴
1975年生まれ。宮城県仙台市出身。
国際派の経営者である父に影響を受け、子供の頃から多言語を用いたビジネスに憧れを抱く。リクルートで雑誌の創刊に携わった後、語学学校ベルリッツグループのマーケティングマネージャーとして勤務。その後、単身世界一周の旅を経て中国でビジネスの経験を積み、現在はシンガポールを拠点として「ASIACLICK ASIA PACIFIC REGIONAL OFFCE PTE.LTD.(Singapore)」を経営。ASEAN各国を週替りで飛び回っている。

1分で分かる「ASEAN 10カ国で働く」ということ

① ASEAN経済の中心は華僑。華僑人口の約8割が東南アジアに居住しているといわれている。

② スマートフォン普及率、SNS使用率は日本より高い。小学生から高齢者までが、スマホでSNSを使っている。

③ 多民族・多宗教のため、ビジネスや日常の場では民族・宗教・政治の話はタブー。

④ 一般市民でも、英語、中国語、マレー系言語など、複数の言語を話せることが多い。

━現在のお仕事について教えてください。

「日本とアジアの消費者が『知る・つながる・うまく行く』」ための支援をする企業、「ASIACLICK ASIA PACIFIC REGIONAL OFFCE PTE.LTD.(Singapore)」の代表を務めています。

事業内容は、日系企業や自治体がタイやシンガポール、インドネシア、ベトナム等、ASEAN諸国に進出する際の市場調査や、現地へのプロモーション、進出アドバイザリーなどのワンストップサポートです。特に、FacebookやTwitter、微博(Weibo)、微信(WeChat)※2などSNSを活用したマーケティングに強みがあります。

会社の拠点はシンガポールにありますが、特派員をASEAN 10カ国に約20名配置しており、横断的な市場比較や、各国の風土に合わせたプロモーション支援を行えるようにしています。

私自身は、ASEAN各国を週替りで移動する生活を3年ほど続けています。会社のスタッフ、顧客、プロジェクトが複数国に分布しているため、仕事の効率化にはテレビ会議システムが欠かせません。

※2:微博(ウェイボー)、微信(ウィーチャット):
中国で運営されているSNS。中国では政府によりFacebookやTwitter等の世界的なSNSの使用が規制されているため、同様の機能を持った独自のSNSが発達している。

━高橋さんはいつから海外で働きたいと考えていたのですか?

小学生のころから、将来は多言語を使いこなし、海外で働きたいと考えていました。それは経営者である父が国際派で、様々な国の言語を学び、3年毎にマイルを貯めては海外を飛び回っていた姿に憧れを抱いたからです。

また、かつてシンガポールとマレーシアの華僑家庭にホームステイをした際、家庭の中で複数の言語が話されていたことに、とてもショックを受けました。日本とあまりに違う環境を目の当たりにして、そのとき、改めて自分も国際社会に挑戦しようと決意したのです。

その後、世界に挑戦する前に、日本でビジネスの基礎力をつけておこうと考え、当時営業力が強いと言われていたリクルートに就職しました。リクルートでは、旅行雑誌じゃらんと結婚情報誌ゼクシィの広告営業として東北中を奔走しました。

それから、語学学校のベルリッツグループでマーケティングマネージャーを務めた後、単身で世界30カ国を周り、中国で起業。2年間奮闘しましたが、残念ながら最初の起業はチャイナ・リスク※3にひっかかり、撤退に追い込まれました。しかし、その経験があったからこそ、現在の複数市場へのリスク分散というビジネススタイルにつながったのです。

※3:チャイナ・リスク:
外国企業が中国国内で経済活動を行う際に生じるリスク。中国独自の政治・経済・社会的要因などにより、外国企業が収益を損なったり、事業運営が阻害されたりすること。

━「ASIACLICK ASIA PACIFIC REGIONAL OFFCE PTE.LTD.(Singapore)」設立の経緯を教えて下さい。なぜネットマーケティングの事業をASEANで展開しようと思われたのでしょうか。

雑誌という紙媒体を扱っていた私にとって、ネットマーケティングを選んだのは、施策の結果が数値ですぐに目に見えるという面白さに惹かれたからです。また、インターネットならリアルタイムで消費者ともっとつながることができると考えました。

ASEANで起業した理由は2つあります。1つめは、華僑がビジネスの中心であるため、中国でのビジネス経験と中国語力を活かせると考えたからです。

もう1つは、ASEAN市場はSNS文化が旺盛で、ネットマーケティング事業として挑戦しがいのある市場だと判断したためです。スマートフォン普及率は、日本が5割ほどなのに対し、シンガポール、マレーシアでは8割を超えています。公共の無料Wi-Fiも普及しており、老若男女を問わずインターネットでSNSを利用する風土があります。

ASEANに進出したい日本企業や自治体に、SNSを用いたマーケティング手法を提供することで、日本とアジアの新しい関係性が築けるのではないかと思い、2回目の起業に踏み切りました。ASEANにはインドネシア、ベトナム、マレーシアなど日本語学習人口の上位国が複数並び、親日家も多いため、中国に比べてビジネスがスムースに進みやすいですね。

━ASEAN諸国で働くにあたって、押さえておくべきルールはありますか?

ASEANと付き合う大前提として、「民族、宗教、政治のことには触れない」ことが重要です。

たとえば民族の面から見ると、ASEAN各国の経済の中心にいる華僑は、祖先は同じ中国人ですが、今や“中国人”として一括りにすることはできません。宗教ではマレーシアとインドネシアなど、多くの地域でキリスト教とイスラム教との確執がありますし、タイでの一連のクーデターに代表される通り、政治も市民によって様々な立場・考え方があります。

無用な争いや誤解を避けるためにも、ビジネスや日常の場で、これらのことは決して話題に出さないように肝に銘じています。

また、ASEANでビジネスをする上で大事なことが3つあります。

1つは「報酬はなるべく前金でもらうこと」。信用社会である日本のビジネス界とは異なり、未回収のリスクにはつねに気を配るようにしています。ちなみに、シンガポールや、バンコク、クアラルンプールなどの比較的経済が発展している地域では銀行振込や手形が利用されますが、一部では現金での取引も残っています。

2つめに、ビジネスパートナーやスタッフの「『できる』という言葉を信用しすぎないこと」「でもリスクも飲み込んで信用して任せ切ること」、3つめに「時間は日本での倍見積もっておくこと」です。日本のように指定した納期が守られるつもりでいると、痛い目に合うことが多々あるからです。東南アジアでは比較的人件費が安いことを活かして、別のスタッフを手配しておくなどの保険をかけておくことも検討すべきかもしれません。

━ネット回線やスマートフォンの普及状況について教えて下さい。

先ほど述べたとおり、無料Wi-Fiの普及は日本より進んでおり、レストランやカフェなど屋内スペースでは無料Wi-Fiがあることが殆ど。 スマートフォンも安価で、Android搭載のスマートフォンなら3,000円程度から売られています。種類も豊富で、iPhoneからローカルメーカー製品までのシムフリースマホで何百という選択肢があります。

通信料は、各国各キャリアのプランによりますが、平たく言えば2GBの使用料で月額約1,500円ほどです。ベトナムなど月額約500円でネット使い放題の国もあります。ほかにもLINEやFacebookは無料使い放題、電話かけ放題、インターネット使い放題などのプランが各国ごとに数十種類用意されています。

支払いは基本的にはコンビニや自動チャージ機での前払いで、使い切ったら追加料金を払います。このことを「トップアップ」する(フィリピンは「ロード」する)と呼んでいます。

スマートフォンの使い方にも、各国の個性がありますね。たとえばタイ人は「1年に8行しか文字を読まない」と言われ、読み書きを好まないため、スタンプが豊富なLINEが流行っています。一方で「生き抜くためにおしゃべりをしろ」と言い伝えられているインドネシアでは、文字を入力しやすい物理キーボードがついたBlackBerryが大人気の時代がありました。

━ASEAN諸国には、フリーランスの人は多いのでしょうか?

いわゆる会社員の割合は低く、自分で商売をするか、元手がなく自身で商売を始められなければ、レストランやホテルなどサービス業で働くことが多いです。ですので、ASEANではフリーランスというよりは、商店や屋台、タクシーなどの自営業と言ったほうが正しいでしょうか。シンガポールでは起業のハードルが日本より低く、資本金2シンガポールドル(約180円)※4から1日で起業できますので、大学生から複数の企業を持つ若者も少なくありません。

以上の理由から、発展途上国が多いASEAN諸国では会社員になることは一般的ではありません。一部の大卒は国内企業や外資系に就職しますが、それはシンガポールやバンコク、クアラルンプール、マカティ、セブ、ジャカルタ、ハノイ、ホーチミンなどの大都市だけの話です。

ただし、2015年度末には「アセアン経済共同体(AEC)」が発足し、10カ国間の「人・物・金」の動きが自由化される予定です。これによって関税が撤廃されたり、域内移動のビザが不要になるなど、ASEAN経済はさらに活発化が見込まれています。ASEANでは一般市民も英語・中国語・マレー系言語語など複数の言語を話せますから、これからは国を越えて自由に働くスタイルがより活発になるでしょう。

※4:シンガポールドル:
2015年7月23日 シンガポールドル/円90.704308の為替レートで計算。

━高橋さんのお仕事に興味を持たれた方に向けて、PRをどうぞ。

弊社「アジアクリック」の“CLICK(クリック)”には「知る・つながる・うまく行く」という意味があります。

人口約6億人のASEAN市場には、約1,000もの民族が暮らしており、多文化・多民族・多宗教で一枚岩の世界ではありません。私達は、そんな東南アジアの消費者と、日本の企業が「知り合う・わかりあう・繋がりあう」ための支援を行っています。

市場の横断的な調査、現地へのプロモーション、進出アドバイザリーなど、ASEAN市場でのマーケティングをワンストップで提供しております。また、現地のローカル企業を対面で12,000社以上つないでいる「ジャパンサークル」も運営しておりますので、現地でのビジネスパートナー探しもお任せください。

そのほか、ASEANでの活動について、気になることを質問してみました!

起きてから、寝るまでの暮らしぶりを教えてください。
ある1日のタイムスケジュールです。
7:00
起床(日本は9時。日本との時差は2時間)
8:00
チャットソフトのチェック
(ASEANでも、メール以外の多方向ツールが主流になりつつあります)
9:00
企画、記事執筆などクリエイティブな仕事(頭が疲れていない午前に)
11:00
テレビ会議。各国スタッフや日本の顧客とミーティング
13:00
ランチ(12時台の混雑を避けるため。忙しい時はネットで出前)
14:00
テレビ会議
15:00
スタッフとおやつ休憩
16:00
テレビ会議
18:00
現地ビジネスパートナーやスタッフたちとミーティング兼夕食。
東南アジアでは、残業は自主的なものを除き、基本的にしません。
家族や個人が優先、残業は効率が悪いという価値観のためです。
21:00
帰宅。または週に1度、他国へ移動。2〜3時間で他国拠点へ到着。
1:00
就寝
ASEAN諸国の物価水準について教えてください。
1番高いのはシンガポール、安いのはベトナムです。500mlのミネラルウォーターの値段で比較すると、シンガポールが200円程度、ベトナムが30円程度です。

タクシーの初乗り料金は、ホーチミンで70円程度、バンコクで100円程度、シンガポールで250円程度と日本の730円に比べ大変安いです。ベトナムやフィリピンなどでは数時間借りても数千円程度で済み、日常の足として充分に使えますが、現地の日本人ビジネスマンは、比較的グレードと安全性の高い、車の送迎システムアプリ「Uber(ウーバー)」を毎日のように使っています。

ただ、シンガポール以外でも、今やASEANの物価は日本に近づきつつあります。

ローカルな食事や美容などのサービス業は、まだ人件費が比較的安価なため、日本より大分、割安感はありますが、円安と日本円の弱体化は、東南アジア現地に住む日本人たちの家計に大打撃を与えています。反対に、タイやマレーシア、インドネシア人観光客などが日本に来ると「質が高いのに安い」と思うようです。

また、将来において、アジアでの日本の存在が益々薄まっていくのをひしひしと肌で感じています。21世紀はアジアの時代ですが、このまま内側にこもっていては、アジアの時代に日本は含まれなくなるでしょう。

しかしながら、アジアに住む多くの人々が日本と日本人を尊敬しているのも事実。日本語を話せる人も増えています。ぜひ皆さんも、明るい未来に輝いた親日のASEAN市場を見に来てください。
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