2016年3月から、千葉県富津市にある海沿いの町、金谷でWebサイト制作&ライティングを請け負うフリーランスとして活動し始めた上谷さん。大学在学中に「就職活動をすることが当たり前」であることに疑問を持ち、新卒でフリーランスを志したのだという。また、上谷さんは地元も大学も神戸でありながら、活動の場として、あえて地方で金谷を選んだのだとか。とても興味深い経歴を持つ上谷さんにお話を伺った。
プロフィール
①美味しい食べ物が多く、特に海産物が秀逸
②最寄り駅の浜金谷駅から東京駅へは、総武線特別快速を利用すれば乗り換えなしで行ける
③2階建て、風呂付きの一軒家が1ヶ月3万円で借りられる。風呂なしなら1ヶ月1万円の物件も
―上谷さんは、新卒でフリーランスになられたとお聞きしています。上谷さんは在学中に就職活動はされなかったのでしょうか?
いえ、就職活動はしました。受けた企業はIT系企業、特にソフト開発を行っているような企業でした。とはいえ、説明会には30~40社ほど参加しましたが、実際に応募したのは10社もありません。私は「就職活動をすることが当たり前」という考え方に疑問を持っていたので、身を入れて就職活動をしていなかったんです。
―「就職活動をすることが当たり前なこと」に疑問を持ったのはなぜですか?
周りにただ流されて、「みんながやっているから自分もやる」という状態が嫌だったからです。人間は自分の行動を自分で考えて決めることで、初めて生きているといえるのではないか、と私は考えています。 そのため就職活動についても、本当に就職したいのかを自分で考えた上で判断したかったんです。
説明会に参加する中で、就活生側と採用者側との間でなされるやり取りは、形式に則ったものばかりだと感じました。そしてサラリーマンになると、形式やしきたりでもっと窮屈になるだろうなとも思いました。 かつて体育会系の部活に所属していたときは、これまでの慣例から外れることを嫌う体育会的風潮が苦手だった自分からすると、「枠にはまることが求められるサラリーマンは向いていないな」と考えるようになったんです。
また私の同級生の中には、すでに社会人として働いている人もいたのですが、「毎日がしんどい」「理不尽な辛さが多い」とあまり楽しくない話も聞いていましたし。
そうした経緯で、フリーランスとして独立する方向を決意しました。
―新卒でフリーランスになろうと考えた背景には、そういった思いがあったのですね。フリーランスになろうと思った時点で、何か特定のスキルなどをお持ちだったのですか?
いえ、フリーランスになると考え始めた時点で、スキルは何もありませんでした。学部で学んだプログラミングの基礎や統計学などの知識はありましたが、実務を行えるレベルではないと思っていましたので実質的にはゼロからのスタートでした。
―その状態から、どのようにしてスキルを習得されたのですか?
まずはフリーランスとしての方向性を決めるところから始めました。
もともと私は小学生くらいのころからパソコンを触っており、当時から「パソコンを使う人はかっこいい」と思っていました。大学で「知能情報学部」を選択した理由も、その思いを持ち続けていたからです。 そういった漠然とした憧れの状態から具体的な職種を考える中で、「現実世界ではつながれないような遠い距離でも、Webを使えば簡単につながれる」という点に面白みを感じ、Webサイト制作のフリーランスを目指そうと決めました。
Webサイト制作のスキルを学ぼうと決めてからは、プログラミング学習サービスの「ドットインストール」を利用して勉強していました。「ドットインストール」では、プログラミングやコーディングを動画で解説しているので、まずはWebサイト制作に関連する動画を見て実践の繰り返しでしたね。「ドットインストール」以外にも、「作りながら学ぶ HTML/CSSデザインの教科書」「WordPress 3.x 現場のワークフローで覚えるビジネスサイト制作」といった本も読み込みました。
また、実際の案件のレベルやギャンランティーの相場を知るために、クラウドソーシングを利用してみました。その過程で、クラウドソーシングにはライティングの案件が多くあると感じ、ライターとしても活動できれば強みが増えると考えて、ライティングの勉強も平行して行いました。ライティングに関してもゼロからのスタートでしたので、易しい案件を数多くこなすことでスキルを磨いていきました。
―なるほど。その後、2016年2月に1ヶ月間、千葉県富津市金谷という土地で開催されている「まるも田舎フリーランス養成講座」という講座に参加されたと聞いています。なぜ遠く離れた金谷での講座を受講されたのでしょうか?
フリーランスとして活動することを見据えて、生活費や固定費がかからない田舎に住もうと考えていたのが大きな要因です。案件のやりとりはWebを通じて行おうと思っていたので、ネット回線さえつながっていれば田舎も都会も関係ないですから。
そういった考えを持っていましたので、「まるも田舎フリーランス養成講座」の存在を知ってから、すぐに飛びつきましたね。講師の方も新卒でフリーランスになったという方で、千葉の金谷で暮らしていたということにも後押しされました。
―「まるも田舎フリーランス養成講座」では、どういったことを学ばれたのでしょうか?
「フリーランスとして稼ぐのに必要なスキル全般」ですね。
重点的に学習したのは、Webサイト制作についてです。Webサイト制作の流れから、求められるデザインスキル・コーディングスキル・ヒアリングスキルなど、まんべんなく教えてもらいました。具体的には、IllustratorやPhotoshopによるイラスト作成やデザインの方法や、Wordpressでオリジナルテーマを作る方法など。他にもメディア運営、記事制作、営業の仕方なども教えてもらいました。
―幅広い講座内容だったんですね。その中で最も印象に残っていることはなんでしょうか?
他の参加者の方も、自分と同じくフリーランスとしてやっていこうという強い意志を持っていて、そういった方と知り合えたことがとても大きかったです。地元の神戸では、そこまで強い自分の意志を持って生きている方とは出会う機会がありませんでした。自分の意志で生きようとする方たちと、同じ時間を過ごせたことは一生忘れません。
―その後、3月には開業届を出され、フリーランスとして活動されていると聞いています。「新卒でフリーランス」という選択に対して、ご両親を始め周囲の方はどのような反応をされましたか?
ほとんどの方から理解は得られませんでした。サラリーマンの友人からは「やめとけ」と言われることが多かったです。地元で「新卒でフリーランス」という選択に理解を示してくれたのは、わずか2人しかいませんでした(笑)。
―そういった声がありつつも、自分の意志を貫いたんですね。それでは現在の活動をお伺いしたいのですが、まずはWebサイト制作の案件の状況を聞かせてもらえますか?
現在は、クラウドソーシングか知人の紹介で案件をいただいています。直近で手がけたものでいうと、音響系の企業のWebサイトを制作しました。また最近では金谷で知り合った方から、「アマチュア養蜂家 養成講座」や「林業&Myきのこワークショップ」などを行う農業系サークルのWebサイト制作の案件をいただいております。
いずれも何のつながりもない状態からお付き合いをするため、クライアント様としっかりコミュニケーションを取ることを大事にしています。特にWebサイト制作を依頼される場合、Webの知識がない方が多いので、相手の不安や疑問に思う点を全て解消するようにしています。そうすることでクライアント様から信頼を得ることを意識しています。
―ライティング案件はどうでしょうか?
ライティングの案件もクラウドソーシングを利用するか、もしくはメディアを運営している企業へ直接応募をしています。
書いている記事は、フリーランスに関するコラムが多いですね。自分の実体験を基にしたものや、実際にフリーランスになっている方から伺った話などを基に記事を書いています。また、Webサイト制作のノウハウ系のコラム記事なども最近執筆しました。
―実際にフリーランスとして活動された上で、どのような変化がありましたか?
フリーランスとしての生活を始めてから、お金の価値についてよく考えるようになりましたね。特に案件の単価の見積もりを出す際の、金額の付け方には非常に悩みます。当然ながら案件ごとに作業内容が違いますし、経験が浅いため相場がつかみきれていません。
また、フリーランスはサバイバルであるという印象を持ちました。自分で行った全てのことが自分に返ってくるという責任の重さを感じています。一方で、私は自分の意志で生きるということを重視していますので、自分の意志で全てが決められるフリーランスは向いているとも思っています。
―上谷さんが現在課題に感じていることと、今後の目標を教えてください。
まだまだフリーランスとしての経験が少ないので、まずはさまざまな案件をこなして経験を積むことが最優先課題ですね。そのため、案件をいただくための営業や、作業効率を上げるためのスキルの向上に励む毎日です。
年内の目標としては、1ヶ月あたりの所得50万円を突破させることを考えてます。そして、法人化を検討するレベルに設定している年間所得900万円を、3年以内に達成したいとも思っています。
またビジネスとは別に、新卒でフリーランスという生き方を一般的にできれば、という思いもあります。そのためにも、自分からどんどん情報発信をしていきたいですね。
―最後に、上谷さんのように「卒業後、就職をすることが当たり前なことに疑問を感じてる人」「独立を考えてる人」に向けてアドバイスをいただけますでしょうか?
疑問に思っている、考えているのならまず行動してみましょう。逃げの一手としてでなく、自分が本当にしたいことなら、とにかく行動しないと人生もったいないです。
-ありがとうございました。上谷さんのお仕事やセミナー活動に興味を持たれた方は、以下のブログのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
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