フリーランスも入れる労災保険の特別加入制度|メリットや概要を解説

この記事でわかること
  • フリーランスも加入できる労災保険の特別加入について
  • フリーランスが労災保険に特別加入するメリット
  • フリーランスが労災保険に特別加入する方法

フリーランスも特別加入制度によって労災保険に加入できます。この記事では、フリーランスも加入できる労災保険の特別加入制度や、通常の労災保険の違いについて紹介します。

労災保険に特別加入するメリットや加入方法についても紹介するので、加入を検討する際にぜひお役立てください。

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フリーランスも加入できる労災保険の特別加入制度

企業に雇用される労働者を対象に、政府が管理している社会保険制度である労災保険。業務中の事故などへの医療費負担や給付金で労働者を守ってくれます。

労災保険は労働者のものですが、場合によってはフリーランスも労災保険に特別加入できます。どんなフリーランスが加入対象か解説していきましょう。

令和3年9月1日から新たに対象となったフリーランス

令和3年9月1日から新たに「自転車で貨物運送事業を行う人」「ITフリーランス」が対象となりました。保険料率は「自転車で貨物運送事業を行う人」は12/1000、「ITフリーランス」は3/1000で、計算方法を解説していきます。

「給付基礎日額×365」にそれぞれの保険料率をかければ、年間保険料を算出できます。もし、給付基礎日額が1万円のITフリーランスなら、365万円の1000分の3で1万950円となります。

給付基礎日額自体は原則、自分で選べます。しかし、日々の負担を減らそうと安く設定すると、もしものときの給付も少なくなるので、よく考えて設定しましょう。

自転車で貨物運送事業を行う人

令和3年9月1日から、自転車を使用して貨物運送事業を行うフリーランスも労災保険に特別加入できるようになりました。理由は宅配・デリバリーサービスの普及により、自転車で貨物運送事業を行うフリーランスが増えたことだと考えられます。

自転車で貨物運送事業を行う人が労災保険へ特別加入するには、一人親方等としての手続きが必要です。

ITフリーランス

令和3年9月1日からは、ITフリーランスも労災保険に特別加入できるようになりました。具体的な対象者は以下のとおりです。

  • ITコンサルタント
  • プロジェクトマネージャー
  • プロジェクトリーダー
  • システムエンジニア
  • プログラマ
  • サーバーエンジニア
  • ネットワークエンジニア
  • データベースエンジニア
  • セキュリティエンジニア
  • 運用保守エンジニア
  • テストエンジニア
  • 社内SE
  • 製品開発・研究開発エンジニア
  • データサイエンティスト
  • アプリケーションエンジニア
  • Webデザイナー
  • Webディレクター

そのほかの職種であっても、以下の業務をしている人は対象となります。

  • 情報処理システムの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理
  • 情報システムに関する業務の一体的な企画
  • ソフトウェアやウェブページの設計、開発、管理、監査、セキュリティ管理、デザイン
  • ソフトウェアやウェブページに関する業務の一体的な企画とその他の情報処理

ITフリーランスが労災保険へ特別加入する際は、特定作業従事者としての手続きが必要です。

そのほか特別加入の対象となるフリーランス

ほかにも、大きく分けて以下の4区分に該当するフリーランスは特別加入の対象です。

  • 中小事業主
  • 一人親方
  • 特定作業従事者
  • 海外派遣者

上記以外にも、令和3年4月には以下の業務に携わる人も、特別加入の対象となりました。

  • 芸能関係者
  • アニメーション制作者
  • 柔道整復師
  • 創業支援等措置に基づいた事業を行う人

芸能関係者はタレントや芸人のように人前に出る人だけでなく、マネージャーやメイク、証明や音響も対象です。なお、声優はアニメーション制作者には含まれず、芸能関係者として特別加入の対象になります。

自分の業務が、特別加入の対象となるかどうか気になるという人は、厚生労働省のホームページでチェックしてみましょう。

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「通常の労災保険」と「特別加入」の違い

フリーランスが加入できる特別加入の労災保険では、加入が任意か義務かという違いがあります。また、手続きや保険料の負担を誰がするかなども違います。

そこで、「通常の労災保険」と「特別加入」の違いについてまとめました。加入を検討している人はチェックしてみてください。

加入が任意か義務か

企業に雇用されている労働者は、労災保険への加入が義務付けられています。一方、フリーランスが加入できる特別加入対象者の労災保険は基本的に任意です

手続きを会社がするか自分でするか

企業に雇用されている労働者の場合、雇用契約を結べばあとは会社が労災保険の手続きをしてくれます。しかし、フリーランスの場合、特別加入は任意であることもあり、加入の意志を伝える必要があります

ただし、直接手続きはできず、特別加入団体を通じての手続きが必要です。

保険料を負担するのが会社か自分か

会社員が加入する通常の労災保険は会社が保険料を負担してくれるのに対し、特別加入の労災保険は自己負担です。さらに、加入の手続きの際に所属することになる特別加入団体への会費が発生することもあります。

なお、通常の労災保険の保険料は賃金と業種に応じて決まりますが、特別加入では「3,500円~25,000円」の間で選べます。

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フリーランスが労災保険に特別加入するメリット

フリーランスが労災保険に特別加入するメリットとして、業務上で心身に支障をきたした際に保障を受けられることがあげられます。休業で収入がなくなってしまうフリーランスにとって、給付があれば安心でしょう。

休業補償のほかに、怪我などで障害が残った場合の障害補償、死亡時には遺族補償給付が受けられます。

手厚い補償が受けられる

労災保険に特別加入すると、手厚い補償が受けられることが最大のメリットだといえるでしょう。労災保険は労働者の保護を目的とされており、万が一に備えて加入しておけば、いざというときに給付を受けられます。

労災保険の特別加入のほかにも、フリーランスが万が一に備えて入る保険として「民間保険」もあげられます。しかし、比べてみると特別加入の方が内容が充実しているうえ、金額的に安いことから特別加入を選択する人が多いようです。

不安を払拭しやすくなる

フリーランスは「もしも働けなくなったら収入がなくなる」という不安定さに不安を覚える人が多い傾向があります。実際、会社員と比べると社会保障は少ないです。

会社員であれば、怪我や体調不良で休んでいてもある程度の収入が保障されますが、フリーランスは違います。労災保険に特別加入することで、さまざまな補償が受けられ、こうした悩みや不安を払拭しやすくなったと感じる人は多いようです

不安を抱えたままでは、本来のパフォーマンスを発揮できない人もいるでしょう。少しでも不安が軽減すれば本来の力を発揮でき、安心して仕事に打ち込めるようになるという点もメリットになると考えられます。

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フリーランスが労災保険に特別加入する方法

フリーランスが労災保険に特別加入するにあたって、2種類の方法があります。いずれにせよ、特別加入の申請は本人が直接行えず、特別加入団体を通じて行う必要があることを覚えておきましょう

1つは、都道府県労働局長に認められている既存の特別加入団体を通じて、加入申請する方法です。もう1つ、新たに特別加入団体を立ち上げて申請も可能です。


加入時に提出が必要になる書類は「特別加入に関する変更届」で、監督署長を経由して労働局長に提出します。

フリーランスが労災保険に特別加入するための手続き方法や保険料の計算方法などを紹介します。 労災保険への特別加入を検討している人はぜひ参考にしてください

保険料を試算する

労災保険の特別加入時の保険料は、加入者自らが決められます。年間の保険料は、以下のような計算式で求められます。

年間保険料=保険料算定基礎額×保険料率

自己計算が難しいと感じる人は、サイト上で自動計算できるツールがあるので、そちらを活用しましょう。保険料率は事業内容によって異なるので、自分の事業では何%になるのかチェックしておくことをおすすめします。

情報を登録する

情報をサイトで以下の個人情報を入力することで、本人確認手続きの案内のEメールが届きます

  • 氏名
  • メールアドレス
  • 電話番号

それぞれサイト上の流れに従って情報を登録してください。

保険料を支払う

登録が済んだあとに届く費用の支払い通知に従って、支払いを済ませます。なお、支払い期限は費用の全額を登録から5日以内です

費用の支払い後は、特別加入団体が加入手続きを進めてくれ、手続き完了後は電子特別加入者証が発行されます。

新たに特別加入団体を立ち上げて申請することもできる

新たに特別加入団体を立ち上げて、申請する方法では、まず都道府県労働局長から承認を得る必要があります。特別加入団体として認められるには、下記のような要件を満たす必要があります。

  • 一人親方等の相当数で構成される単一団体である
  • 構成員の範囲や地位の得喪の手続きなどが明確である
  • 団体の運営方法などが整備されている
  • 事業内容に見合った労働保険事務を処理できる体制が整えられていること

なお、会社員が加入する通常の労災保険は会社が保険料を負担してくれるのに対し、特別加入の労災保険は自己負担です。さらに、加入の手続きの際に所属することになる特別加入団体への会費が発生することもあります。

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フリーランスの労災保険に関するよくある質問

フリーランスの労災保険に関するよくある質問をまとめました。

Q. 労災保険への加入は義務?

フリーランスの場合、労災保険への加入は義務ではありません。義務付けられているのは、すべての法人事業所もしくは従業員を5人以上雇用している個人事業所です。フリーランスは該当しないため、労災保険への加入の義務はありません。

Q. 一人親方の労災休業補償はいくら?

一人親方労災保険における休業補償では、給付基礎日額の6割が支給されます。さらに特別支給金として、給付基礎日額の2割も支給されます。 給付基礎日額は、一般的に年収から1日あたりの収入額を算出した金額を参考に決められるものです。

※本記事は2023年6月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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