税理士でもコンサルティング業務はできる?仕事内容や始め方を解説! | レバテックフリーランス
税理士でもコンサルティング業務はできる?仕事内容や始め方を解説!
- 税理士が行う経営コンサルティングの概要
- コンサルティングを行うために必要なこと
- コンサルティングの依頼を考えている人が注視しているポイント
税理士の役割は、税務の専門家として主に会計処理をサポートすることです。しかし、近年は業務範囲を広げて、コンサルティングを行う税理士法人やフリーの税理士も増えてきました。士業の業務が曖昧なものになりつつあり、有資格者や競合の増加などによって、生き残りが難しくなってきたことが背景にあります。
変化の激しい現代、選ばれる税理士となるためには何をすれば良いのでしょうか。ここでは税理士の方が知っておくべき選択肢のひとつ、経営コンサルティングについて解説します。
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目次
税理士にコンサルティング業務がおすすめな理由
会計ソフトの登場・発達などによって顧客の獲得が難しくなっている昨今、税理士の新たな戦略の一つとしてコンサルティング業務に注目が集まっています。
背景としては、従来の税務に関する業務だけでなく、経営コンサルタントとして経営全般のアドバイスを行うため、クライアントからの幅広い要望に応えることが可能な点があります。また、コンサルティングにも対応できれば新しいキャリアプランが開けるほか、業務範囲が広がることで収入の増加も見込めます。
税理士の資格を取得したものの、現在のキャリアや収入に満足できていない方は、業務の幅をコンサルティングへと広げることも検討してみるとよいでしょう。
税理士と経営コンサルタントの違い
税理士としての業務は分かっていても、コンサルティング業務について十分に理解できているか不安だという方もいるでしょう。コンサルティングは戦略系や総合系、IT系といった分け方をする場合もありますが、税理士の方が行うコンサルティングであれば経営コンサルがおすすめです。
ここでは特に、経営コンサルティングはどういったことを行うのか、税理士の業務と合わせて確認していきましょう。
税理士とは
税の専門家である税理士が業務を行うためには、税理士試験に合格して国家資格を取得しなければなりません。また、税理士事務所などで「租税あるいは会計に関する事務の実務」を2年以上経験することで、日本税理士会連合会に登録でき、税理士としての仕事を始められます。
なお、税理士にのみ認められた業務内容は「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つで、各種税金に関するアドバイスや申告書作成などが主な業務です。しかし、会計ソフトなどのサービスを使う法人・個人も増えてきたため、契約内容によっては依頼が決算報告書の作成のみということも増えています。こういった事情から、税理士への依頼が小さくなり、税理士事務所の利益につながりにくくなってきたというケースは少なくありません。
経営コンサルタントとは
国家資格が必要な税理士とは違い、経営コンサルタントの業務を行うために必要な資格はありません。中でも経営コンサルタントは企業の経営課題を解決するためのアドバイスを主な業務としており、経営戦略や事業再生、資金調達などのサポートを行います。
経営コンサルティングを行うための方法はいくつかありますが、コンサルティング会社に就職するか、公認会計士や税理士の方が業務範囲を広げて参画するケースが多いでしょう。税理士が経営コンサルティングを行う場合、クライアントから求められているのは税理士・経営コンサルタントの両面でのサポートです。「税理士だから、すぐにコンサルティングができる」というわけではなく、経営に関するインプットやコンサルティング業務の実績が必要となります。
参考:経営コンサルタントの仕事内容は?やりがいや向いている人の特徴などを解説
税理士が経営コンサルタントになる方法
税理士の資格を活かしてコンサルティング業務を行う方法として、主に3つの方法があります。実際にコンサルティング業務を行っている税理士法人に勤めるか、コンサルティングを中心に行っているコンサルファームで働くか、あるいは副業からコンサルティング業務に挑戦するかです。
いずれもメリット・デメリットがあるため、理想のキャリアプランを思い描きながら、ご自身に合った方法を選ぶようにしましょう。
コンサル業務を行っている税理士法人に務める
税理士としての実績を着実に積みたい方は、経営コンサルティング業務を行っている税理士法人がおすすめです。特に、組織化された大規模の税理士法人であれば、税務顧問の業務と経営コンサルティングの兼務も不可能ではありません。
コンサル業務と聞くと、コンサルファームが思いつくかもしれませんが、税理士法人ではMAS(Management Advisory Service)と呼ばれる経営サポートが行えます。実際に創業支援や経営計画の策定、資金調達、事業継承などの相談を受けている税理士法人もあり、税理士としてのキャリアアップが叶うでしょう。
コンサルファームに転職する
コンサルティングファームとはコンサルティングを行う企業を指す通称で、経営戦略やM&A、財務、組織人事など、クライアントの抱えている課題に合わせて専門の担当者が解決へとサポートします。税理士の方であれば、税務の専門家という観点から経営改善のサポートを行うことが主なコンサル業務となるでしょう。
また、会計系のコンサルファームは税理士法人の子会社であったり、子会社から独立した会社であったりするケースも多く、税理士の方が転職する際に有利です。
副業からコンサル業務に挑戦する
税理士法人やコンサルファームへの転職以外にも、副業でコンサル業務にチャレンジする選択肢もあります。この方法の大きなメリットは、勤めている税理士法人でコンサル業務を行っていない場合でも、転職をせずにコンサルティングの実務経験が積めることです。さらに、副業コンサルで実績を積むうちに人脈が広がり、フリーランスとして独立した際も継続してコンサルティングが行える可能性があります。
ただし、勤務先で副業が禁止されているケースもあるため、事前に就業規則を確認しておきましょう。
副業の注意点については以下の記事で解説しています。
副業にはどのような種類がある?メリットやデメリット、注意点なども紹介
経営コンサルに必要なスキル
経営コンサルになるために資格は不要だからといって、すぐにコンサルティング業務をはじめられるわけではありません。仮にすぐに仕事が見つかったとしても、スキルが不足していれば、クライアントの満足する結果とならない可能性も考えられます。
経営コンサルタントを検討している税理士の方は、「経営・業界に関する知識」「ヒアリング能力」「情報処理能力・ITの知見」「プレゼン能力」のスキルを身につけておきましょう。
経営・業界に関する知識
経営コンサルティングと聞くと、経営に特化した専門家をイメージする方もいるでしょう。しかし、実際のコンサルティング業務では、クライアントの経営について相談するだけでなく、同業他社の状況や一般的な企業の事例などを尋ねられることもあります。そのため、税理士の方が経営コンサルタントを目指す場合は、業界に関する幅広い知識を蓄えることが大切なのです。
また、特定の業界に関する知識を深め、その業界に属する企業の経営コンサルタントとして経験を積めば、自身の強みにもなるでしょう。クライアントからの期待以上の成果を出すだけでなく、自身のキャリアプランを盤石なものとするためにも、経営・業界に関する知識は欠かせないスキルといえます。
ヒアリング能力
経営コンサルタントをはじめ、コンサルティング業務を行うためにはヒアリングがベースとなります。企業の経営状況を把握したうえで経営戦略などの立案を行うため、相手がどういった状況にあるのかを聞き出す力が必要です。
このほか、ステークホルダーや外部の人も含めて関係調整をすることも欠かせません。クライアントの要望だけでなく周囲の人間から情報収集するスキルも得ることで、より高い視点からコンサルティングを行えるようになるでしょう。
情報処理能力・ITの知見
経営コンサルティングを行う税理士は、クライアントから合理的なアドバイスが求められています。そのため課題を抽出するだけでなく、クライアントの経営状況などに関して数字をベースにした情報の収集・処理能力が必要です。
また、情報処理能力は市場の動向を読む際にも欠かせないスキルであるため、日々インプットした情報の中からクライアントに必要なものを取捨選択する際にも役立ちます。
このほか、クライアントによっては、企業向けシステムの導入やIT関連に興味があるものの、詳しくないところもあるでしょう。企業の負担を減らし、業務効率を改善させられるツールについても、知見を深めておくことをおすすめします。
ITを専門とするコンサルタントはITコンサルタントとよばれます。こちらの仕事内容について詳しく知りたい方は以下の解説をご覧ください。
ITコンサルタントとは?仕事内容やフリーランス事情を解説
プレゼン能力
クライアントの課題解決をするためには、経営という大きな課題に対して的確な提案が必要となります。そのため、事前に集めた企業の情報やマーケットの動向といった分析結果をもとに、自ら考え抜いた戦略を提案しなければなりません。
そして、提案した戦略に取り組んでもらえるかどうかは、経営コンサルタントのプレゼンにかかっています。限られた時間の中で相手の理解度に合わせて分かりやすく伝える力は、どのコンサル業務においても必須のスキルといえるでしょう。
税理士が経営コンサルタントを目指す場合の注意点
税理士の方が経営コンサルタントとなれば、新たなキャリアプランが開けて収入の増加も期待できます。しかし、安易にコンサルタント業務に着手すると、クライアントからの信用を失ったり、キャリアの方向性を見失ったりするかもしれません。
経営コンサルタントを目指している方は、クライアントから求められていることだけでなく、自分の得意分野についても把握しておきましょう。
経営・税務の両面でのサポートが求められる
まず、経営コンサルタントを目指す税理士に注意してもらいたいのは、クライアントが求めているサポートの内容です。税理士の仕事では、税務に関する相談や税務書類の作成など、限られた業務領域で正確性が求められることが多いですが、経営コンサルタントはより幅広い対応能力が求められます。
税理士の資格を持っていると、経営コンサルタントとしても、財務に関する知識を活かした経営状況の分析を期待されることがあるでしょう。税務の知識をクライアントの成果につなげる積極的なスタンスが必要です。コンサルと税務の両面でクライアントをサポートできているか、自らを振り返ってみましょう。
専門外の勉強が必要
クライアントから求められていることだけでなく、自分の得意分野に目を向けることも大切です。経営コンサルタントは経営全般の悩みをはじめ、利益改善や株式上場、後継者といったさまざまな悩みを相談されます。
自分が詳しくない分野について聞かれた際、適切な提案ができなければクライアントからの信用を損なうかもしれません。そのため、自分の得意分野だけでなく不得意な分野についても把握し、強みを伸ばしつつ弱みを補う努力が必要です。
なお、コンサルティングの内容として可能性があるものを整理すると、以下のように大別できます。自分がどのコンサルティングに対応できるのか確認してみましょう。
- MAS:経営全体の相談、利益や赤字の改善など
- 事業再生コンサル:利益や赤字の改善など
- IPO向けコンサル:株式の上場
- 事業継承コンサル:後継者問題について
- 業種特化コンサル:建築、医療、介護、理容、飲食など
- 経理コンサル:経理体制の相談など
- 人材コンサル:人事労務、採用、教育など
経営コンサルティングといえば、財務の観点からサポートを行うMASが主です。しかし、上記のようなコンサルの分野を把握しておけば、自身の強みを見つけたり新しく知識と経験を積んだりする際に役立つ知識となるでしょう。
税理士が目指す経営コンサルに関してよくある質問
経営コンサルティングを検討している税理士の方が疑問に感じやすいポイントを、Q&Aでまとめました。転職で経営コンサルを目指そうと考えている方、これから準備を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Q.転職を考えていますが、コンサルファームか税理士法人のどちらが良いですか?
コンサルファームか税理士法人で迷っている方は、自分が何を目的に経営コンサルを行うのかを具体的に考えることが大切です。
たとえば、経営コンサルをはじめコンサルティング業務に特化して力をつけたい方は、コンサルティングファームがおすすめ。また、税理士としてのキャリアアップが目的であれば、税理士法人の方が適しているでしょう。
Q.経営コンサルにおすすめの資格はありますか?
経営コンサルに必須の資格はありませんが、「中小企業診断士」や「社会保険労務士」、「公認会計士」などの資格もコンサル業務に活かせます。中小企業診断士とは、中小企業を対象にした経営コンサルタントのような存在なので、経営コンサルを目指す方にはぴったりの資格です。
また、社会保険労務士は社会保険や労務管理などを扱う専門家のこと。企業と従業員の関係性を向上させるサポートなどを行います。そして、会計監査の専門家である公認会計士は、監査や税務だけでなく、経営コンサルタントに携わることも珍しくありません。
Q.フリーランスの税理士ですが、コンサルはできますか?
税理士法人やコンサルティングファームに所属していなくても、税理士がコンサル業務を行うことは可能です。近年はフリーランスで活躍する税理士の方も多く、法人に勤めるよりも自由に働ける点はメリットといえますが、安定的に税務・コンサルの依頼がくる保証はありません。コンサルの実務をはじめ、出版や講演などで実績を増やし、HPなどを通じてアピールすることも大切です。
※本記事は2023年08月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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※相場算出に個人情報の取得はおこないません。
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