Mojoプログラミング言語の特徴とは?将来性は?よく分かる入門資料まとめ | レバテックフリーランス
Mojoプログラミング言語の特徴とは?将来性は?よく分かる入門資料まとめ
2023年5月に発表された新しいプログラミング言語「Mojo」が世間で注目を浴びています。
PythonをベースにしたAI向きの言語であるということで、どんな言語なのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、Mojoの特徴や機能、今後の将来性について解説します。Mojoを学んでみたい方向けの学習方法もまとめているので、これからMojoを勉強すべきか検討している方は、ぜひご一読ください。
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目次
注目のプログラミング言語「Mojo」とは?
プログラミング言語「Mojo」とは、どのような目的で作られ、他の言語と比べて何が新しいのでしょうか。まずはMojoの概要と特徴についてチェックしていきます。
Mojoプログラミング言語の概要
「Mojo(モジョ)」とは、Modular社が2023年5月に発表した新しいプログラミング言語です。
開発元のModular社は2022年に設立され、「AIインフラの開発によって幅広い人々にAI技術の開発機会を与える」ことをビジョンに掲げているAIテクノロジー企業です。
注目すべき点は、Swift言語の設計者であるクリス・ラトナー、機械学習ライブラリTensorFlowの開発元であるGoogleのチームにてAIインフラに携わったティム・デイビスの二人が共同創業者として手を組んでいること。これらの背景から、新言語Mojoにも期待が集まっています。
参考:Modular: Vision
Mojoプログラミング言語の特徴
Mojoの特徴となるコンセプトは、AI開発者向けに「様々な言語との互換性や代替可能性、ハードウェア間での互換性を重視して設計されている」点です。
例えば、MojoはPythonとの互換性をもつよう設計されています。これまでのAI開発者は、コードの書きやすさと処理速度を担保するためにPython、C、C++など様々な種類の言語を理解し、使い分ける必要がありました。その問題に着目したModular社は、AI開発のためのバックエンド言語として、Pythonの機能を備えつつ、さらに拡張したMojoを開発しました。
Pythonを中心とした様々な技術との互換性を守ることで、「Pythonで書かれた既存のコード資産を活かすことが簡単になる」「AIを開発するための学習コストが下がる」など、色々なメリットがあるといわれています。
参考:Mojo : Programming language for all of AI
Mojoプログラミング言語が優れている3つの利点
ここからは、Mojoの機能的な利点について、具体的にみていきます。Mojoの利点は以下の3つが挙げられます。
- Pythonからの移行コストの低さ
- 処理パフォーマンスの高さ
- ハードウェア間での高い互換性
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
Pythonからの移行コストの低さ
Pythonの扱いやすさとC言語の処理速度を兼ね備えたアイデアそのものは、決して新しいものではありません。これまでにも同じようなコンセプトの言語は存在しましたが、既存のシステムからの移行コストが障害となり、普及が進まないケースも多かったのが実情です。
そんな中、Mojoのユニークな特長といえるのは、Pythonとの互換性です。このため、Pythonで作られた既存のAIシステムからの移行がしやすいという利点があります。さらに、Mojoへの移行後には今までのように複数のプログラミング言語に別々にアクセスする必要がなくなるため、利便性も上がるといえるでしょう。
Mojoの互換性は、「AIの開発者個人」「コストを負担するビジネス側」の双方にとって利点が大きい技術なのです。
参考:Modular Docs - Why Mojo
処理パフォーマンスの高さ
Pythonのような書きやすさでありながら、高い処理パフォーマンスを実現しやすい点もMojoの特長の一つです。
その理由は「SIMD」という命令方式を、組み込み関数で使えることにあります。
SIMD(single instruction, multiple data)一つの命令で複数のデータを処理する並列計算に長けており、このSIMDを動かせる機能がMojoには初めから組み込まれています。
これにより、Mojoを使うことで容易に高いパフォーマンスを発揮しやすくなっているのです。
参考:GPUとGPGPUの概要| 映像情報メディア学会誌 66巻 (2012) 10号
ハードウェア間での高い互換性
ハードウェア間での高い互換性もMojoの特長に挙げることができます。これまでのAI開発においては、異なるCPUやGPUを使おうとすると、それに合わせてプログラムを書き換える必要がありました。
Mojoでは、MLIRを使いやすくする仕組みをプログラミング言語の機能に組み込むことで、異なるハードウェアやアーキテクチャタイプ間でも高い互換性を持たせています。
MLIR (Multi-Level Intermediate Representation)とはプログラミング言語から機械語への翻訳方法を統一する中間言語基盤の一つです。MLIRを使うことで、異なるプログラムとハードウェアの組み合わせにも対応しやすくなっているというわけです。
『Modular: What’s the difference between the AI Engine and Mojo?』に掲載の階層モデル図より一部加工して作成
また、開発中の「Modular AI Engine」という実行エンジンでは、同じ互換性をスケーラブルかつポータブルに実現するというコンセプトが掲げられており、将来的にシステムを拡大したり移植したりすることを見越して新しいAIを設計することも、ますます簡単になっていく可能性が高いといえるでしょう。
Mojoプログラミング言語は流行るのか?気になる将来性
現役のエンジニアや研究者にとって、Mojoが現実的に今後普及していくのかどうかは特に気になるポイントでしょう。
そこで、Mojoプログラミング言語の登場によるAI開発の現場への影響や、将来性について考察します。
AI開発者の学習コストが下がる
Mojoが発展すれば、一つの言語によってAI技術を扱えるようになるため、AIの研究・開発に携わるエンジニアが学習しなければならない技術の種類やボリュームも必然的に減ることになります。
また、Mojoの互換性によって、AI技術を導入する際に、特定のソフトウェアやハードウェアに縛られにくくなります。つまり、エンジニアのキャリアパスも限られた領域の専門性に縛られにくくなり、より柔軟になっていくと考えられます。
上記のシナリオ通りであれば、AIの開発に携わるエンジニア、AIの導入に挑戦する企業の両方が増え、AI市場も拡大していくと予想されます。
スタートアップ企業での導入が普及のカギを握る
では、実際にMojoが今後のAI開発におけるメジャーな言語として、世の中に定着していく可能性はあるのでしょうか?
Mojoには冒頭で紹介したように、開発者の実績による注目度と信頼性があります。必ずしもAI開発のインフラにおけるスタンダードになるとまでは言い切れませんが、時代の流れ次第では利用が拡大していく可能性はあるのではないでしょうか。
今後の流行のカギを握るのは、増えつつあるAI関連のスタートアップ企業です。特に、ハードウェアの最適化ができる強みから、自動運転やIoTの分野ではMojoへの人気が集まりやすい可能性があるといえます。
ただし、異なる技術にシステムを移行するには、膨大なコストがかかります。そのため、大手の企業が新しく生まれたばかりのプログラミング言語であるMojoを導入することは考えにくいでしょう。その一方で、Mojoに独自の価値を見出し、あえてリスクを取って新しい技術を導入するスタートアップでは、使われ始める可能性も比較的高いといえます。
Mojoを学びたい初学者のための入門資料・学習方法まとめ
Mojoは発表されてまだ間もないため、オンライン上にもまだまだ情報が少ない状態です。Mojoの勉強を始めたいと思っても、どこから始めるのがよいか迷う方は多いでしょう。
そこで、Mojoの環境構築やオンライン上の入門資料など学習に必要な基本的な情報をまとめました。
Mojoの開発環境を試す方法
Mojoの開発者ツール「Mojo SDK」が2023年9月7日にModular社からリリースされています。Mojo SDKには開発環境を構築するために必要なものが全てそろっているので、これをダウンロードし、インストールすればローカルでMojoを実行できる環境が整います。
ダウンロードするにはアカウント登録が必要ですが、Mojoによる開発を無料で実際に試すことができます。
また、Modular社のGitHubにはサンプルコードも公開されているため、こちらも参考にしながら勉強を進めていくとスムーズでしょう。
参考:Modular Docs - Get started with Mojo
Mojo学習のための外部リソース
Mojoを学ぶのに便利な外部リソースを紹介します。これからAI開発やMojoの勉強を始める方は、ぜひお役立てください。
公式ドキュメントを利用する
Mojoの開発元であるModular社が公開している公式ドキュメントには、構文や関数の定義方法、ライブラリなど、言語の扱い方に関する基本的な知識が網羅的に紹介されています。
コンテンツの量としてはかなり充実しているので、体系的にMojoの知識をインプットしたい方は公式ドキュメントで最新の情報をもとに学ぶのがおすすめです。
参考:Modular Docs
動画で情報をチェックする
より短時間で、分かりやすくMojoについて知りたいという方には、開発元のModular社がYouTubeに公開しているイントロダクション動画もおすすめです。
以下の動画では、約15分でMojoの基本的な特徴や書き方について解説しています。ライブコーディング形式で実際のプログラムを基に説明しているので、ひとまずイメージを掴みたいという方はチェックしてみるとよいでしょう。
コミュニティやQ&Aサイトを活用する
Mojoは公開から間もない言語であるため、個人のレベルに合わせて着実に学習できるメディアや書籍などの情報はまだ乏しい状態です。そこで、他のエンジニアと直接やりとりできるコミュニティやQ&Aサイトを活用するのもよいでしょう。
他のエンジニアとのコミュニケーションをとりながらであれば、新しい疑問点に対して他の意見やフィードバックをもらいながら学習することができ、モチベーションも保ちやすいです。
公式のMojoコミュニティも存在しており、GitHubやDiscordで盛んに意見交換が行われています。
参考:Mojo community
今後のMojoエンジニアの需要は?
今後、Mojoを扱えるエンジニアの需要は増えていくのでしょうか?
近年、ChatGPTの登場をはじめ急速にAI技術の普及が進んでいることはいうまでもありません。少なくとも、これから社会全体でAIを活用したビジネスの市場が拡大していくことはほぼ確実といえるでしょう。
参考までに、MojoのベースとなっているPythonの人気はすさまじく、レバテックによる8月の調査では、Pythonの転職希望者が前年同月比2倍・フリーランス希望者は3.9倍にまで増加していることが分かります。
参考:「コンサル」フリーランス案件数が前年同月比7.2倍、 正社員求人倍率は52倍 – レバテック
MojoがAI開発におけるメジャー言語になっていくとすれば、今後も需要が大きく拡大するポテンシャルがあるといえるでしょう。
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