個人事業主も源泉徴収が必要?源泉徴収税額の計算方法や注意点も解説

個人事業主になると、源泉徴収をする側にもされる側にもなる可能性があります。源泉徴収についてあらかじめ理解していないと、手続きの際に慌ててしまうおそれがあるでしょう。

この記事では、個人事業主が源泉徴収をする場合とされる場合について説明します。源泉徴収の計算方法や注意点などを解説しますので、これから個人事業主として開業する方や、源泉徴収についてよくわからないという方はぜひ参考にしてみてください。

目次

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源泉徴収とは

源泉徴収とは、所得を支払う人が、その所得を受け取るべき人の代わりに、所得税を天引きして納税する制度です。 この制度の目的は、納税者の負担を軽減し、税金の徴収漏れを防ぐことにあります。

会社員が受け取る給与には源泉徴収が適用され、毎月一定額の所得税が天引きされています。 一方で、個人事業主は給与所得者ではなく事業所得者として扱われるため、給与のように毎月源泉徴収されることは基本的にはありません

源泉徴収制度については、国税庁のホームページを参照してください。
源泉徴収制度について|国税庁
源泉徴収については、下記の記事でも解説しています。
源泉徴収ってどんな制度?フリーランスが知っておきたい基礎知識

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個人事業主は源泉徴収をする側にもされる側にもなる可能性がある

前述した通り、個人事業主は基本的に源泉徴収が必要ありませんが、事業形態や取引内容によっては、源泉徴収をする側にもされる側にもなり得ます。

個人事業主が源泉徴収をする場合

個人事業主が源泉徴収をする場合には、下記の2パターンがあります。

  • 従業員を雇用している場合
  • 外注費が一定額を超える場合

それぞれ詳しく説明します。

従業員を雇用している場合

個人事業主が従業員を雇用している場合、給与を支払う際に源泉徴収を行う必要があります。 従業員が受け取る給与が源泉徴収の対象となる所得であるためです。

従業員を雇用すると、自動的に源泉徴収義務者となるため、従業員の給与から所得税を天引きし、税務署に納付しなければなりません。

源泉徴収の手続きに関しては、国税庁のホームページを参考にしてみてください。
No.2110 事業主がしなければならない源泉徴収|国税庁

外注費が特定の報酬・料金に当てはまる場合

個人事業主が他の事業者から業務委託を受けている場合、外注費が特定の報酬・料金に当てはまる場合は、源泉徴収をする必要があります。

源泉徴収が必要となる主な報酬・料金は下記のとおりです。

  • 原稿料や講演料
  • 弁護士、公認会計士、司法書士などに支払う報酬料金
  • プロ野球選手やプロサッカーの選手、モデル、外交員などに支払う報酬料金
  • 映画、演劇その他芸能に支払う報酬料金
  • 広告宣伝のための賞金

そのほかの源泉徴収の対象となるものについては、国税庁のホームページを確認してみてください。
No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

個人事業主が源泉徴収をされる場合

個人事業主が企業などから業務委託を受けて報酬を得る場合、報酬を支払う側が源泉徴収を行うことがあります。個人事業主は確定申告で所得税を納める義務があるため、その前払いとして、クライアント企業は所得税の一部を差し引くというものです。

また、外注費と同様に、支払われる報酬・料金が上の見出し内で紹介した項目に当てはまる場合も源泉徴収されます。

源泉徴収された所得税は、確定申告時に所得税額から控除することができます。確定申告の際に、確定申告書の「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」の欄に源泉徴収された額を記載するようにしましょう。

申告が漏れると、二重に税金を支払うかたちとなるので注意しましょう。

源泉徴収で対象となる報酬については、下記の記事でも解説しています。
源泉徴収票(支払調書)は発行義務がない?フリーランスが知るべき源泉徴収の仕組み

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個人事業主が源泉徴収する際の計算方法

源泉徴収税額の計算方法は、給与所得かどうかで異なります。
主な計算方法としては、以下の2つがあります。

源泉徴収税額表による計算

従業員に支払う料金が給与所得だった場合、国税庁が公表している「源泉徴収税額表」を用いて計算する方法になります。この表では、支払う報酬や賃料の金額に応じて、源泉徴収すべき税額が定められています。

この源泉徴収税額表は、毎年変わるため、必ず国税庁のホームページで確認するようにしましょう。
令和6年分 源泉徴収税額表

定められた税率による計算

従業員に支払う料金が給与所得ではない場合は、定められた税率で計算します。税率は報酬・料金の種類によって異なり、以下のようになります。

  • 原稿料、講演料などの報酬: 支払金額 × 10.21%(復興特別所得税を含む)
  • 不動産の使用料: 支払金額 × 20.42%(復興特別所得税を含む)

たとえば、フリーランスのWebデザイナーにWebサイトのデザインを依頼し、報酬として100万円を支払う場合の源泉徴収税額を計算してみましょう。この場合、報酬は「原稿料、講演料などの報酬」に該当するため、以下の計算式を用います。

  • 源泉徴収税額 = 1,000,000円 × 10.21% = 102,100円

つまり、Webデザイナーに支払う報酬から102,100円を差し引いた897,900円を支払い、差し引いた102,100円を税務署に納付する必要があります。

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源泉徴収をするときは源泉徴収票が必要

個人事業主が源泉徴収をするときは、源泉徴収票を提出しなければなりません。源泉徴収票とは、給与や報酬などの支払者が、所得税を天引きしたことを証明する書類です。

下記で、源泉徴収票の書き方と提出方法について紹介します。

源泉徴収票の記載事項

源泉徴収票には、以下の事項を記載する必要があります。

  • 支払者の氏名または名称および住所
  • 受取人の氏名または名称および住所
  • 支払金額
  • 源泉徴収税額
  • 源泉徴収税率
  • 支払年月日

これらの記載事項は、所得税法施行規則によって定められています。

国税庁の資料には、源泉徴収票の記載例が掲載されているため、作成時に参考にすると良いでしょう。
給与所得の源泉徴収票等の 法定調書の作成と提出の手引|国税庁

源泉徴収票の提出方法

個人事業主は、原則として、給与や報酬などの支払をした年の翌年1月31日までに、源泉徴収票を税務署に提出する必要があります。

万が一、提出期限に間に合わなかった場合でも、すぐにペナルティが課されるわけではありません。数日程度の遅れであれば、管轄の税務署に連絡し、事情を説明すれば、提出期限の延長が認められるのが一般的です。

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個人事業主が源泉徴収する際に注意すべきポイント

個人事業主が源泉徴収を行う際には、いくつかの注意すべきポイントがあります。

消費税を分けて請求する

個人事業主が、他の事業者から業務委託を受けた場合など、源泉徴収の対象となる取引には、消費税が含まれていることがあります。この場合、消費税と源泉徴収税を分けて請求する必要があります。

なぜなら、消費税は事業者が納付する税金である一方、源泉徴収税は所得を支払う側が納付する税金であるためです。

確定申告で源泉徴収税の還付申告をする

個人事業主は、確定申告の際に、源泉徴収税の還付申告をすることができます。源泉徴収税は、所得税のような予定納税的な性格を持っているため、確定申告の結果、所得税額が源泉徴収税額よりも少ない場合には、その差額が還付されます。

還付申告を行うためには、確定申告書に源泉徴収税額を記載する必要があります。

詳しくは国税庁のホームページを参照してください。
確定申告をすれば税金が還付される方|国税庁

※本記事は2024年5月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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