フリーランスは請求書に源泉徴収について書くべき?必要性や対象範囲を紹介

この記事でわかること
  • フリーランスが請求書に源泉徴収額を書く必要性について
  • フリーランスの源泉徴収の対象範囲
  • フリーランスが発行する請求書の書き方

フリーランスになると自分で対応しないといけない源泉徴収。計算方法や請求書への書き方、問題なく対応できているか気になりがちです。

そこで本記事では、源泉徴収の必要性や対象範囲を解説します。請求書の主な記載項目や書き方の見本、作成を楽にするサービスの紹介もするので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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フリーランスが源泉徴収額を請求書に書く必要性

フリーランスが源泉徴収額を請求書に記載しなくてはならない法・ルールはありません。一方、一定の報酬を支払う側は「源泉徴収義務者」となり、源泉徴収をして納付する義務があります。

しかし、クライアントが源泉徴収をせず請求書に記載された額のまま報酬を支払ってしまうケースも見られます。

クライアントが源泉徴収義務者の場合には、フリーランス側で請求書に記載しておいたほうがトラブルを避けられます

金額を書かないで源泉徴収されなかった場合の対処法

源泉徴収をされずに報酬が支払われたら、クライアントに延滞税や不納付加算税などのペナルティが課せられます。フリーランス側に不利益はないものの、支払いの不備が分かった時点でクライアントに連絡すると親切です。返金処理をするか確認しましょう。

フリーランス側は返金処理をする・しないに関わらず、確定申告で未払い分となった税金を収めれば問題ありません

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源泉徴収の対象となる所得の種類・範囲は決まっている

源泉徴収はすべての事業にかかるわけではありません。対象となる所得の種類と範囲は以下のとおりです。

⑴ 原稿料、デザイン料、講演料、放送謝金、工業所有権の使用料、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料など ⑵ 弁護士、公認会計士、税理士等の報酬・料金
⑶ 社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬
⑷ 外交員、集金人、電力量計の検針人、プロ野球の選手、プロサッカーの選手等の報酬・料金
⑸ 芸能、ラジオ放送及びテレビジョン放送の出演、演出等の報酬・料金並びに芸能人の役務提供事業を行う者が支払を受けるその役務の提供に関する報酬・料金
⑹ バー・キャバレー等のホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の報酬・料金
⑺ 使用人を雇用するための支度金等の契約金
⑻ 事業の広告宣伝のための賞金及び馬主が受け る競馬の賞金

引用元: 令和4年版 源泉徴収のあらまし|国税庁

フリーランスエンジニアの場合、上記を見ても自分が該当するのか判断しにくい一面もあります。たとえばフリーランスエンジニアの業務である企画・設計やプログラミング、ディレクション、テスト作業などは対象外です

「原稿を書いた」「デザインをした」「講演を行った」などは源泉徴収対象なので請求書作成や報酬受け取り時に気を配りましょう。

交通費をはじめ間違えがちな源泉徴収の対象・非対象

フリーランスが行う活動は幅広いため、「原稿料の中には交通費や取材費は含まれるのか?」といった疑問を持ちがちです。フリーランスエンジニアを例に、対象を解説します。

  源泉徴収の対象になる項目 源泉徴収の対象にならない項目
原稿料・デザイン料・講演料 調査費/取材費/
交通費/旅費/宿泊費
支払い者が直接旅行会社・宿泊先に支払った料金/
試験問題の出題・採点料


ただし、交通費や宿泊費などは常識の範囲内の金額のみが対象です。逸脱した金額だと対象とみなされないので、良識の範囲内で行動しましょう。

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フリーランスが発行する請求書の記載項目と書き方見本

請求書を作成する際は、以下の項目を記載します。クライアントが源泉徴収義務者ではない場合は、「源泉徴収税」の欄は不要です。

  • 宛先(請求先の社名・住所等)
  • 請求者名(請求者の氏名または会社名、住所等)
  • 請求額
  • 請求書No.
  • 請求日・支払い期日
  • 取引内容(品目、単価、数量、金額)
  • 小計
  • 消費税
  • 源泉徴収税(額)
  • 合計(小計+消費税-源泉徴収税)
  • 振込先口座

以下は、源泉徴収を含めた場合の請求書の書き方見本です。

品目 単価 数量 金額
デザイン料 100,000 1 10,000
原稿料 10,000 1 10,000
 
小計 ¥110,000
消費税(10%) ¥11,000
源泉徴収税 △¥11,231
合計 ¥109,769


源泉徴収税の金額では「-」または「△」を記載すると、小計・消費税の合計から源泉徴収額を引いていると分かりやすくなります。他の請求書の項目や注意点を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスが請求書を作るために知っておきたいこと|源泉徴収や消費税の書き方とは?

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源泉徴収額の計算方法

源泉徴収額の計算方法は、支払う金額が100万円以下・以上のどちらになるかで異なります

支払金額(=A) 税額
100万円以下 A×10.21%
100万円超 (A-100万円)×20.42%+102,100円

引用元: No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき|国税庁

なお、金額にかけられている数値は、所得税額と復興特別所得税です。10.21%なら10%が所得税額、0.21%が復興特別所得税額です。20.42%では20%が所得税額、0.42%が復興特別所得税額となります。

また、算出された額に端数があるときは切り捨てます。

報酬と消費税を分けて記載するかで源泉徴収額は変わる

源泉徴収額は原則的に消費税を含めた報酬額で計算しなければなりません。しかし、請求書で消費税額と報酬額が分かれているときは含まなくて良いとされています。

たとえば、報酬額10万円、消費税額1万円では以下のように源泉徴収額・請求額に差が出てきます。今回の例では少ない金額に見えますが、より高額になると差は広がっていくため、日頃から分けて記載するのがおすすめです。

  源泉徴収額 請求額
消費税込みの場合 110,000(税込み)×10.21%
=11,231
110,000(税込み)-11,231=98,769
消費税抜きの場合 100,000(報酬額のみ)×10.21
=10,210
100,000(報酬額)+10,000(消費税額)-10,210
=99,790


消費税を抜いた報酬額のみで計算したほうが、請求できる金額は増えます

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請求書作成はテンプレートやフリーランスエージェント活用が便利

請求書は型を作っておき、名称や数値を変えるだけにしておくと作業が楽になります。請求書の型に決まりはないので、出回っているテンプレートを利用するのもよいでしょう。代表的なテンプレートサービスを紹介します。

テンプレートサービス 特徴
bizocean書式テンプレ シンプルで見やすく、
どのようなビジネスシーンにも合う
みんエク!「みんなのExcelテンプレート」 デザインの多様さをはじめ、
自動計算できる関数が入っているものもあるなど種類が豊富
マネーフォワードクラウド請求書 カラフルな色合いのデザインもあり、
おしゃれでインパクトのある請求書が作成できる


また、フリーランス向けのエージェントサービスには、請求書といった書類作成ツールを利用できるところもあります。レバテックフリーランスは、簡単に作業報告書や請求書の作成ができるので、検討してみてください。

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フリーランスが請求書に源泉徴収額を書くときの注意点

フリーランスは請求書の作成時に、消費税や源泉徴収の取り扱いに注意すべきです。クライアントと相違があると、お互いに信用をなくしかねません。確定申告で手間が増える可能性もあります。

契約や請求書発行の前に消費税や源泉徴収の扱いを決めておけば避けられるので、解説する注意点3つを確認していきましょう。

支払調書がなくても手続きできるようにしておく

支払調書とは、税務署が納税者の税の支払い状況を把握するための書類です。報酬の支払い者が受取人に年間で支払った報酬・源泉徴収額や内容を記載し、所轄の税務署へ提出します。

税務署への提出義務はありますが、受取人に対する発行義務はないため交付してくれるかはクライアントによります。請求書または別紙などで源泉徴収額や消費税額がわかるようにしておき、送付されないのを前提に動きましょう。

消費税の扱いをクライアントと相談しておく

消費税は抜いて計算したほうが、フリーランスにとっては得です。しかし、クライアントによっては受注者側で記載せず、計算を任せてほしいと希望される場合もあり、事前の取り決めは必要です

勝手に消費税抜きでの請求書を作成し発行するとトラブルになりかねないので、契約時点で決めておきましょう。

源泉徴収の記載についても取り決めておく

源泉徴収はクライアント側での支払い義務があり、納付を忘れるとペナルティが課せられます。納付期日までに気づき返納処理ができればペナルティは回避できますが、無駄な作業が発生するのには変わりません

フリーランス側で源泉徴収額を記載しなかったがために問題が起きたのであれば、お互いに今後の信用に関わります。源泉徴収については契約時点でルールを決め、契約書に決定事項を添えておくと良いでしょう。

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請求書で源泉徴収された報酬の確定申告方法

確定申告では、すでに源泉徴収された分の額は実際に受け取った報酬額とは別に記載します。確定申告の書類に「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」という欄があるので、年間で徴収された額を算出し記載しましょう

会計ツールの中には自動で合計額が出るものもあり、手続きの負担を軽くしてくれます。税理士の代行があるほか相談会を開くエージェントもあるので、難しく感じる方はサービスを活用していきましょう。

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源泉徴収とは所得税を天引きで納税してもらう制度

そもそも源泉徴収制度とは、報酬の受取人に代わって支払い者が報酬額から納税額を天引きして所得税を納税する制度です。報酬の受取人側でしなければならない事柄はありません。一方、支払い者は納付義務があり支払いを忘れると延滞税を課せられます。

源泉徴収制度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
源泉徴収ってどんな制度?フリーランスが知っておきたい基礎知識

インボイス制度は源泉徴収には関係がない

インボイス制度は消費税の仕入税額控除方式で、正式名称は「適格請求書等保存方式」です。売り手が買い手に正確な税率・税額を伝えるために必要な、適格請求書(インボイス)の交付・保存などの取り決めがされています。

インボイス制度は消費税にかかる制度のため、所得税に関する源泉徴収とは関係がありません。インボイス制度の概要を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスに消費税が課される条件とは?インボイス制度の影響も解説

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フリーランスの請求書・源泉徴収に関するよくある質問

請求書や源泉徴収の扱いに関してよくある疑問を紹介します。たとえば源泉徴収額の算出には消費税が絡みますが、計算するための報酬額を税込みにするかは争点になりやすいです。フリーランスが契約前に解消すべき、請求書・源泉徴収の疑問を見ていきましょう。

請求書に源泉徴収額を記載したほうが良いですか?

フリーランスに、請求書へ源泉徴収額を記載する義務はありません。クライアントは源泉徴収額の記載有無に関わらず源泉徴収を行う必要があるので、基本は相手に任せて大丈夫です

フリーランスの源泉徴収額の割合を教えてください

フリーランスの源泉徴収額は、報酬の10.21%です。ただし、報酬額に消費税額が含まれているかどうかで金額は多少変わります。消費税抜きで計算したほうが、手取り額が多いです。事前の話し合いは必要ですが、消費税抜きの計算で良いか確認すると良いでしょう。

フリーランスの場合、源泉徴収は誰が行いますか?

フリーランスは、報酬請求時にクライアントに源泉徴収をしてもらいます。ただし、フリーランス側が従業員を雇用した場合は源泉徴収義務者となり、労働者の源泉徴収をしなければなりません。従業員が2名以下の家事使用人だった場合は例外です。

※本記事は2023年7月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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