オンラインカウンセリング実施中

フリーランスの消費税納税義務|請求書や確定申告、インボイス制度について

フリーランスは、一定の要件を満たすと売上にかかる消費税の納税義務が生じます。納税義務のあるフリーランスは、原則として消費税の確定申告をして、売上にかかる税金を納付しなくてはいけません。

本記事ではフリーランスに消費税の納税義務が生じる基準や、消費税の請求書への記載方法、確定申告による消費税の納税方法、2023年のインボイス制度の導入に伴うフリーランスへの影響などについて解説しています。

フリーランスの税金について相談する

この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士 小池 康晴(こいけ やすはる)氏

SESや受託開発を行うIT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。中小企業庁による認定経営革新等支援機関の認定済み。

小池康晴氏プロフィールページ

目次

フリーランスの消費税納税義務
クライアントへの請求書と消費税
消費税の確定申告
フリーランスとインボイス制度
フリーランスの消費税節税対策
消費税は経費で落とせるか
フリーランスは消費税を正しく理解しよう

フリーランスの収入見込みをチェック

 

簡単60秒! 無料登録

フリーランスの消費税納税義務

消費税は製品を販売する場合だけでなく、サービスの提供などにおいても課せられます。消費税は「間接税」に区分され、納税者(消費者)が直接納付するのではなく、事業者が預かって納付する税金です。そのため、フリーランス(個人事業主)の売上には消費者から預かった消費税が含まれていると解釈されます。 

課税事業者と免税事業者

フリーランスの場合「課税事業者」になると消費税を納めなければなりません。課税期間の前々年を「基準期間」とし、1年間の課税売上高が1,000万円超となった場合に課税事業者となり、消費税の納付義務が生じます。ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、「特定期間」(課税期間の前年の1月1日〜6月30日)において「課税売上高が1,000万円超」かつ「賞与や手当含めた従業員の給与等支払額が1,000万円を超えた場合」も課税事業者となります。

つまり、従業員へを給与支払っていないフリーランスの場合は、基準期間の売上高を確認すれば、課税事業者であるのか、免税事業者であるのかが分かります。また、開業1年目の場合は基準期間・特定期間がないので免税事業者となり、納税義務が免除されます。

簡易課税制度

消費税は国税と地方税に分かれます。国税の消費税の計算方法には「一般課税(原則課税)」と「簡易課税制度」の2つ方法があり、どちらの方法を選んでもかまいません。簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下で、課税期間が始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出していれば選択できます。

参照 : 国税庁「No.6505 簡易課税制度」

取引が多く、消費税の計算が煩雑になってしまう場合などには、事業区分ごとに定められた「みなし仕入率」を利用する簡易課税制度を利用すると良いでしょう。みなし仕入れ率が高いほど、消費税納付額は少なくなっていきます。

たとえば、卸売業におけるみなし仕入れ率は90%、小売業では80%、飲食店業が60%、サービス業では50%です。一般的なフリーランスのSEやWebデザイナーの場合はサービス業に該当します。

参照 : 国税庁「No.6509 簡易課税制度の事業区分」

消費税の計算式

一般課税の計算式は以下の通りです。

消費税納付額=(課税売上高×10%もしくは8%)-(課税仕入高×10%もしくは8%)

たとえば、事業区分がサービス業で、課税売上高が2,000万円、課税仕入高が1,500万円、消費税率は標準税率(10%)として上記の計算式に当てはめると、

20,000,000×0.10‐15,000,000×0.10

となり、消費税額は50万円となります。

一方、簡易課税制度の計算式は以下の通りです。

消費税納付額=(課税売上高×10%もしくは8%)-(課税売上高×10%もしくは8%×みなし仕入率)

サービス業のみなし仕入れ率は50%なので、20,000,000×0.10-20,000,000×0.10×0.50となり、100万円の消費税を支払うことになります。

関連記事 : フリーランスとして活動する上での消費税の基礎知識

フリーランスの税金について相談する

クライアントへの請求書と消費税

消費税をクライアントに請求する場合は、消費税の金額を請求書に明記しましょう。請求書の金額が税抜なのか税込なのかクライアントが判断できないと、支払いの際に間違いがあったりトラブルになったりする可能性があるからです。

請求書への消費税の金額の書き方は、税抜金額と消費税額を分けて記載する方法と、税込金額を記載して内消費税額を記載する方法があります。消費税率10%として、税抜金額100万円・消費税10万円の請求をする場合の記載方法を比べてみましょう。

税抜金額と消費税額を分けて記載する場合には、

本体価格1,000,000円 消費税額100,000円 合計1,100,000円

と記載します。

税込金額を記載し内消費税額を記載する場合には、

合計1,100,000円(内消費税額100,000円)

と記載します。

免税事業者は消費税を請求できない?

前々年の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、消費税の課税を免除される「免税事業者」となります。しかし、クライアント側は免税事業者から仕入れ、請求を受けた場合であっても消費税の仕入税額控除を受けられます。仕入税額控除の対象にできるものは法律で定められていますが、仕入れ先が課税事業者でなければならないとは規定されていません。免税事業者であってもクライアントは消費税を支払ったという処理をすることが可能なので、免税事業者側が消費税を請求することは問題ないといえます。

参照 : 国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」

関連記事 : フリーランスが請求書を作成するときの10個の常識

消費税の確定申告

消費税の確定申告書と添付書類は、国税庁のWebサイトや税務署の窓口で入手することができます。

課税事業者に該当するフリーランスは前年分の申告を3月31日までに行いますが、2019年分については、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により確定申告が困難であった場合は期限を区切らずに申告が受け付けられることになりました。

参照 : 国税庁「4月17日(金)以降の申告・納付の対応について」

2019年分の申告期限として定められていた2020年4月16日を過ぎてから申告書を提出する場合は、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延⻑申請」である旨を付記します。

参照 : 国税庁「申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ」

また、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置として、新型コロナウイルス感染症等の影響により2020年2月以降の任意の1ヶ月以上の期間、事業などにかかる収入が前年同期比較でおおむね20%以上減少し、一時に納税をすることが困難になった場合は、原則として1年間の納付猶予を受けることができます。担保の提供は必要なく、延滞税もかかりません。 

参照 : 財務省「納税の猶予制度の特例」

消費税の納税方法

消費税10%の内訳は消費税(国税)率7.8%、地方消費税率2.2%(軽減税率8%の場合は消費税(国税)率6.24%、地方消費税率1.76%)です。消費税(国税)と地方消費税は、翌年の3月31日までに所轄の税務署に併せて申告・納税します。納付方法には、e-Taxを使ったダイレクト納付やインターネットバンキングによる納付のほか、クレジットカード納付、コンビニ納付、口座振替、窓口納付などさまざまな方法があります。

参照 : 国税庁「消費税のしくみ」
参照 : 国税庁「申告と納税」

ただし、年に1回まとめて納付する場合は金額が大きくなり、負担が大きくなってしまう可能性があります。そのため、年に何回かに分けて納税することで1回あたりの納付金額の負担を軽減できるよう、中間申告・納付を行う制度が設けられています。

直前の課税期間の消費税額が48万円以下の場合は中間申告を行う必要はありませんが、「任意の中間申告書を提出する旨の届出書」を提出することで、年1回の中間申告を行うことができます。

参照 : 国税庁「[手続名]任意の中間申告書を提出する旨の届出手続」

中間申告・納付の回数は、直前の課税期間の消費税額が48万円超~400万円以下の場合年1回、400万円超~4,800万円の場合年3回、4,800万円を超えると毎月(11回)になります。

中間納付税額は直前の課税期間の消費税額によって決まりますが、中間申告対象期間を一課税期間とみなして仮決算を行い、それに基づいて申告して納付することもできます。なお、中間申告による納付税額は確定申告の際に控除され、控除しきれない場合には還付されます。

参照 : 国税庁「No.6609 中間申告の方法」

請求書の消費税は源泉徴収の対象になる?

源泉徴収は原則として報酬として支払った金額のすべてが対象です。つまり、消費税込みの金額が対象となりますが、請求書に税抜金額と消費税額をはっきりと分けて記載した場合は、消費税を除いた報酬の金額のみを源泉徴収の対象とすることができます。

消費税を納めないとどうなる?

消費税を含む国税の納付が遅れた場合には、納付の日までの延滞税を併せて納付しなければならなくなり、さらに納めないままでいると差し押さえなどの滞納処分を受ける場合もあります。また、消費税に限らず税金の滞納があると、給付金や支援金、融資などを受けることができなくなってしまうケースがあるので注意しましょう。

関連記事 : 個人事業主が納める税金の種類|計算方法や税金総額のシミュレーションを紹介

フリーランスとインボイス制度

インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」の通称で、8%・10%の複数税率に対応した消費税の仕入税額控除の方式です。

仕入税額控除を受けるための要件として、2019年10月1日~2023年9月30日までは区分経理に対応した帳簿および区分記載請求書などの保存が必要となる「区分記載請求書等保存方式」が導入されていますが、インボイス制度が導入される2023年10月1日以降は、適格請求書(インボイス)などの保存が必要になります。

参照 : 国税庁「消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書等保存方式が導入されます」
参照 : 国税庁「適格請求書等保存方式の概要 -インボイス制度の理解のために-」

適格請求書とは

適格請求書とは、売り手(受注者)が買い手(発注者)に正確な適用税率や消費税額などを伝えるために、一定の事項が記載された請求書、納品書、領収書、レシートなどの書類を指します。

適格請求書を発行できるのは、原則として所轄の税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受けた適格請求書発行事業者のみです。また、課税事業者でなければ、適格請求書発行事業者の登録を受けることはできません。

適格請求書の記載事項

適格請求書に記載する必要がある事項は以下のとおりです。

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称および登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
  • 消費税額等(端数処理は1請求書あたり税率ごとに1回ずつ)
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
適格請求書の交付義務

適格請求書発行事業者は、買い手(発注者)が課税事業者であった場合、相手方から適格請求書の発行を求められたら、原則として適格請求書を交付する義務と、交付した適格請求書の写しを保存する義務を負います。

ただし、以下に該当する場合は適格請求書を発行することが困難であるとみなされ、交付義務が免除されます。

  • 公共交通機関(鉄道・バス・船舶)による旅客の運送(3万円未満に限る)
  • 出荷者が卸売市場で行う生鮮食料品などの譲渡(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る)
  • 生産者が農業協同組合や漁業協同組合、森林組合などに委託して行う農林水産物の譲渡(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
  • 自動販売機、自動サービス機により行われる課税資産の譲渡など(3万円未満に限る)
  • 郵便ポストに投函される郵便切手を対価とする郵便サービス

また、業務を委託する事業者(委託者)が媒介・取次業務を行う者(媒介者等)を介して行う課税資産の譲渡などについては、委託者・媒介者等がどちらも適格請求書発行事業者であれば、一定の要件のもとで、委託者の代わりに媒介者等が自己の氏名または名称、および登録番号を記載した適格請求書を交付することが可能です。 

フリーランスへの影響

インボイス制度の導入後は、免税事業者など適格請求書発行事業者ではないフリーランスがクライアントと取り引きをする場合、クライアント側は課税事業者であったとしても、基本的に仕入税額控除を受けることができなくなります。

ただし、上記のケースにおいても、2023年10月1日~2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%、2026年10月1日~2029年9月30日までは仕入税額相当額の50%を仕入税額として控除できる経過措置が設けられています。

経過措置を受けるためには、区分記載請求書等と同様の事項が記載された請求書等、および経過措置の規定の適用を受ける旨を記載した帳簿を保存している必要があります。

また、適格請求書を発行できる適格請求書発行事業者になるには課税事業者である必要があるため、これまで免税事業者だったフリーランスも、適格請求書発行事業者になりたい場合は「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になり、消費税を納付しなくてはいけません。

参照 : 国税庁「[手続名]消費税課税事業者選択届出手続」

免税事業者が取るべき対策

インボイス制度が導入されると、クライアントが課税事業者である場合、免税事業者のままでは適格請求書の交付ができないため、取引を避けられてしまうことが懸念されます。

また、仕入税額控除が受けられないことを理由に、報酬の値下げを求められるリスクも考えられます。

そのため、主要な取引先が課税事業者である場合や、事業拡大を視野に入れている場合には、事業の先細りを防ぐために、適格請求書発行事業者の登録を受けられるよう課税事業者になることを検討しなくてはいけないかもしれません。

関連記事 : フリーランス(個人事業主)のための賢い節税対策入門

フリーランスの消費税節税対策

フリーランスは課税事業者の要件を満たさない限りは、自動的に免税事業者として扱われるので、免税事業者になるための特別な手続きはありません。そのため、基準期間、または特定期間の課税売上高が課税事業者の要件である1,000万円に到達しそうな場合は、課税売上高を1,000万円以下に収めることが節税につながるケースが考えられます。

ただし、課税売上高よりも課税仕入高のほうが高くなる場合は、課税事業者であれば消費税の還付を受けられるため、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して免税事業者から課税事業者になったほうが有利になることもあります。

参照 : 国税庁「No.6613 免税事業者と仕入税額の還付」

関連記事 : 個人事業主が年収1000万円を超えた場合の消費税

消費税は経費で落とせるか

消費税の経理処理として税込経理方式を選択した場合、消費税は「租税公課」として経費計上することが可能です。

税込経理方式を適用した場合は、課税売上にかかる消費税額は売上金額、仕入にかかる消費税額は仕入金額などに含めて計上し、納付税額は租税公課として必要経費に算入するか、損金額に算入します。

税抜経理方式を適用した場合は、課税売上にかかる消費税額は「仮受消費税等」とし、課税仕入にかかる消費税額は「仮払消費税等」とします。

なお、課税事業者は税抜経理方式と税込経理方式のどちらを選択してもかまいませんが、免税事業者は原則として税込経理方式で経理処理をします。

参照 : 国税庁「No.6375 税抜経理方式又は税込経理方式による経理処理」
参照 : 国税庁「No.6901 納付税額又は還付税額の経理処理」

関連記事 : 個人事業主の経費と税金|どこまでOK?経費にできる範囲を具体的に解説

フリーランスは消費税を正しく理解しよう

2023年からインボイス制度が導入されることもあり、フリーランスにとって消費税は税務上の問題だけではなく、案件の受注にも関係してくる可能性があります。必要であれば税理士などの専門家の力を借りつつ、消費税について正しく理解しておくことが重要です。インボイス制度がスタートしてから慌てることがないように、早めに対策を練っておきましょう。

関連記事 : これも経費に?個人事業主(フリーランス)が知っておきたい経費になるもの・ならないもの

最後に

簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!

※相場算出に個人情報の取得はおこないません。

フリーランスの税金について相談する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
いきなり相談するのは不安な方へ フリーランスになった時にどんな案件を提案されるのかメールでわかる! 詳しくはこちらから

関連記事

関連案件

もっと案件を見る

プライバシーマーク

© 2014-2021 Levtech Co., Ltd.