フリーランスで動画編集案件を請けた際の税金は?確定申告の手順も解説 | レバテックフリーランス
フリーランスで動画編集案件を請けた際の税金は?確定申告の手順も解説
「フリーランスの動画編集者として働き始めたけど、税金のことが分からない」と悩んでいませんか?
この記事では、動画編集のフリーランスが知っておくべき税金の基礎知識をまとめました。確定申告の手順や節税のポイント、税務処理を楽にする方法まで網羅的に解説します。動画編集の仕事に集中するためにも、税金について理解を深め、効率的に税務処理をしていきましょう。
目次
動画編集のフリーランスが知っておくべき税金の基礎知識
会社員として勤務している場合、基本的に税金関係の処理は会社が行うため、税金に関する知識が乏しい人は多いでしょう。しかし、フリーランスになったら税務処理を自分で行わなくてはなりません。まずは、税金の基礎知識を身につけておきましょう。
動画編集のフリーランスには源泉徴収は基本的に不要
源泉徴収とは、主に給与所得者や特定の報酬の支払いの際に適用される制度で、給与・報酬の支払時に所得税の一部を事前に差し引いて国に納める仕組みのことです。
会社員の場合、毎月の給与から所得税が源泉徴収されます。そして、会社が代わりに年末調整を行い、年間の所得税額を精算します。
フリーランスの動画編集者は、給与所得者ではないことに加え、その報酬も源泉徴収の対象となる特定の報酬には該当しないため、基本的には源泉徴収の対象外です。そのため、給与所得者のように毎月源泉徴収されることはなく、後述する確定申告によって自分で所得税を計算し、納税をするか還付を受けます。
ただし、まれに源泉徴収の対象となるケースもあります。たとえば、動画編集の報酬が原稿料や講演料、著作権の使用料などに該当すると判断された場合などです。
このような場合は、報酬の支払者によって源泉徴収で所得税が差し引かれた上で支払われます。源泉徴収の対象となる詳しい報酬については、国税庁の「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」を確認すると良いでしょう。
ご自身の状況が不明な場合や、不安が少しでもあるときは、税務署や税理士に相談することをおすすめします。
参考:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
動画編集フリーランスが支払う税金の種類と払い方
ここでは、動画編集フリーランスが支払う主な税金の概要と払い方について、以下の表にまとめました。
税金の種類 | 概要 | 払い方 |
---|---|---|
所得税 | 1年間の収入から必要経費を引いた利益(所得)に対してかかる国税 | 確定申告、源泉徴収などを通じて、納付書、 銀行振込、オンライン納付といった方法で納付 ※予定納税を行った場合も同様 |
住民税 | 前年の所得に応じて居住地の自治体に納める地方税 | 自治体から届く納付書に基づき、 金融機関やコンビニエンスストアなどで納付 |
消費税 | 原則として、基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超えた場合、 その翌々事業年度から課税事業者となり、売上に応じて納付する国税 ※基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、 特定期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合など、 課税事業者となるケースがある |
確定申告に伴い発行される納付書を用いるか、 銀行振込、オンライン納付などの方法で納付 ※中間申告・納付を行った場合も同様 |
事業税 | 都道府県に納付する地方税。事業を行うことに対して課せられる | 都道府県から送付される納税通知書に基づき、 指定の金融機関などで納付 |
これらの税金は、それぞれ定められた期限内に指定された方法で納付する必要があります。
フリーランスが払う税金についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
【2024】フリーランスの税金ガイド|いついくら払うかシミュレーション
参考:
消費税|国税庁
事業税|総務省
フリーランスの動画編集者は確定申告が必要
前述したように、動画編集フリーランスには源泉徴収が基本的に必要ないため、確定申告で所得税を計算・納付する必要があります。
確定申告とは、前年1年間(1月1日~12月31日)の収入と経費から所得を計算し、所得税額を確定して税務署に申告する手続きです。フリーランスの場合、この確定申告によって所得税の過不足を精算し、追加納税または還付を受けます。
申告期間は通常、翌年の2月16日~3月15日です。確定申告の期限までに手続きをしないと、追徴課税や無申告加算税、延滞税、重加算税などの対象となる可能性があるため、期限を守って申告を行うことが重要です。
確定申告を期限までに行わなかった場合のペナルティについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
フリーランスの確定申告まとめ!青色申告と白色申告の違いも解説
参考:所得税の確定申告|国税庁
確定申告をスムーズに行うための手順
確定申告に対して難しいイメージを持つ方もいますが、事前に準備をして適切な手順を踏めば、スムーズに行えます。ここでは、確定申告を行う際の3つの主要なステップについて詳しく説明します。
必要な書類を準備する
確定申告をスムーズに行うためには、まず必要な書類を準備することが大切です。動画編集フリーランスの場合、確定申告には以下の書類が必要です。
- 確定申告書
- 青色申告決算書または収支内訳書
- 本人確認書類
- 通帳をはじめとする口座情報がわかる書類
- 各種控除の証明書類
上記のほか、個人の状況により用意しておくべき書類は異なります。なお、確定申告書を準備する方法については次の見出しで解説します。
確定申告をする際に必要な書類についてより詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
参考:【申告書の提出】|国税庁
確定申告書をつくる
確定申告書の作成方法は、大きく分けて以下の3つです。それぞれのメリットとデメリットと合わせて確認しましょう。
作成方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
手書きで作成する | ・自分のペースでじっくり確認できる ・機械操作が苦手な人でも作成しやすい |
・計算ミスや記入漏れが起こりやすい ・時間がかかりやすい |
国税庁のWebサイト 「確定申告書等作成コーナー」を利用する |
・入力の負担を軽減できる | システムの操作に慣れる必要がある |
確定申告に対応した 会計ソフトを使用する |
取引データを入力するだけで自動的に 帳簿が作成されるため、帳簿管理から 確定申告までを一元管理できる |
無料版では機能が制限されている場合が多く、 有料版では月額または年額費用がかかる |
自分に合わない方法を選ぶと時間がかかったりミスをしたりしやすいため、確定申告書を作成する場合は、どの方法が自分に合っているか、よく検討して選択しましょう。
なお、確定申告書を作成する際のポイントは、収入と経費を正確に記入すること、控除項目を漏れなく記入すること、計算ミスがないか確認することです。
源泉徴収の必要性について迷ったときと同様、不安な点がある場合は、税理士に相談すると良いでしょう。
参考:確定申告書等作成コーナー|国税庁
期限までに管轄の税務署に確定申告書を提出する
作成した確定申告書は、期限までに管轄の税務署へ提出が必要です。提出方法は、e-Taxによるオンライン提出、郵送、税務署への持参の3つです。
e-Taxは原則として24時間いつでも提出可能ですが、システムメンテナンスの時間帯などは利用できない場合があります。
郵送の場合は消印有効ですが、発送しようとしていた日に怪我や病気で郵便窓口やポストまで行けなくなる、郵送トラブルが起こるといったリスクも否めません。期限間際の郵送は避け、余裕を持って提出するようにしましょう。
また、確定申告期間中は、税務署の窓口は混雑しやすいです。税務署へ持参する場合は、窓口の混雑に注意してください。
確定申告書を提出した後は、控えを大切に保管しておきましょう。e-Taxの場合は送信後に表示される受付完了の通知を印刷またはPDFで保存、郵送の場合は税務署の受付印をもらった控え、持参の場合は受付印のある控えを保管しましょう。次年度の確定申告の際に参考になるだけでなく、税務調査の際にも必要となる場合があるからです。
フリーランス必見!節税のポイント
当然ながら、収入を増やすには、支出を減らすのが有効です。特に、税金の負担を軽減できれば、より多くの収入を得られます。
フリーランスにとって、節税は収入アップの重要な手段といえるでしょう。そこで、ここではフリーランス向けの節税のポイントを紹介します。
経費計上に気を配る
動画編集の案件では以下の経費が発生しますが、これらを適切に経費計上することで、節税効果を高めることができます。
以下に、主な節税ポイントを紹介します。
機材・ソフトウェアへの投資
動画編集に使用する機材やソフトウェアへの投資は、下記のように経費計上することができます。
取得価額 | 税務処理方法 |
---|---|
10万円未満 | 全額を経費として即時償却 |
10万円以上 30万円未満 |
全額を経費として即時償却、または3年間で 均等償却(任意償却)、または法定耐用年数に応じて減価償却 |
30万円以上 | 法定耐用年数に応じて減価償却 |
上記の表に記載されている即時償却とは、取得価額が一定基準以下の少額資産を、取得時に全額費用計上する方法です。取得した年に費用をまとめて計上することで、その年の税負担を軽減できます。
均等償却(任意償却)とは、法律で定められた一定の割合の範囲内で、企業が償却額を自由に選択できる償却方法です。業績に合わせて税金の支払いを調整でき、資金繰りを楽にするメリットがあります。
減価償却とは、固定資産の取得価額を使用期間にわたって費用配分する方法です。取得時の費用負担を長期間に分散させることで、毎年の税負担を一定に近づけ、安定した経営を維持するのに役立ちます。
機材やソフトウェアなどの経費の計上方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
個人事業主必見!パソコン代を経費として計上する方法をわかりやすく解説
参考:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁
家賃や水道光熱費
自宅で動画編集の仕事をしている場合、以下を経費として計上できます。
経費対象 | 計上の内容 |
---|---|
自宅の総面積に対する仕事用スペースの 割合に応じた水道光熱費、家賃 |
仕事で使用する割合に応じて 家賃、水道光熱費を按分して計上する |
インターネット回線費 | 仕事で使用する割合に応じて 按分し、経費として計上する |
備品や消耗品 | 仕事専用の椅子、デスク、照明器具などは全額経費計上する。 ただし、高額な備品は減価償却の対象となる場合がある |
自宅を事務所としている場合、業務に関連する経費の割合が適切であるか確認するため、税務調査の対象になることがあります。そのため、使用面積の計算方法や使用時間の記録などが分かるよう按分計算の根拠となる書類を残すことが重要です。
外注費や著作権使用料
動画編集の外注費や著作権使用料は、適切に経費計上することで、節税効果が期待できます。
外注費を経費計上するには、業務委託契約に基づいた事業関連費用であることが明確でなければなりません。「動画編集」といった漠然とした記載では、私的な費用が含まれていると税務署に疑われる可能性があります。
そのため、業務内容や報酬、支払い時期などを明確に記載した契約書を作成しましょう。契約書や請求書には「動画編集」と漠然とした作業ではなく、「動画Aのカット編集、テロップ挿入、BGM挿入」など具体的な業務内容を記載することが重要です。
著作権使用料については、通常、使用権を購入するため、その使用料は実際に使用した期間に対応する経費として計上するのが一般的です。
どの経費に関しても、契約書や領収書などの証拠書類を保管しておくことが重要です。
青色申告を活用する
青色申告とは、フリーランスや法人が選択できる所得税の申告方式の一つです。
複式簿記に基づいて日々の収支を仕訳して記録し、帳簿を作成することで、さまざまな税制上の優遇措置を受けられます。具体的な優遇措置には、最大65万円の特別控除が挙げられます。
また、事業で損失が発生した場合は、最長9年間、将来の利益と相殺できる損失の繰越し控除、または1年間の過去の利益から還付を受けられる損失の繰戻し控除を利用できます。
さらに、将来発生が見込まれる費用を引当金や準備金として計上することで、当期の所得を圧縮し、節税効果を高めることも可能です。これらの制度を活用することで、事業の安定化と節税を両立できます。
青色申告を始めるには、事前に税務署へ青色申告承認申請書を提出する必要があります。
参考:
青色申告|国税庁
A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
【動画編集に集中できる】税務処理を楽にする方法
動画編集のフリーランスにとって、仕事に集中することは重要ですが、税務処理も避けては通れません。ここでは、税務処理を効率化し、動画編集作業により多くの時間を割くための3つの方法を紹介します。
会計ソフトを使う
会計ソフトは、税務処理を効率化できるツールです。
まず、会計ソフトは、収入や経費を入力すると、設定した勘定科目に基づき自動で分類・計算されるのが一般的です。収支管理が簡単になり、事業の収益性や財務状況の把握がしやすくなります。
また、会計ソフトは入力されたデータに基づき、自動で帳簿を作成します。確定申告に必要な書類の作成をサポートする機能も備え、申告書作成ソフトへのデータ連携が可能なことも多いです。これにより、帳簿作成や確定申告の準備が効率化され、本業の動画編集に時間を割きやすくなります。
さらに、多くの会計ソフトには請求書作成機能が搭載されており、テンプレートを使って簡単に請求書を作成できます。これにより、請求書の作成や管理の効率化が期待できるでしょう。
スプレッドシートを活用する
フリーランスになったばかりの頃は、スプレッドシートを活用するのがおすすめです。無料のため導入費用がかからず、手軽に始められるからです。
しかし、文字だけではスプレッドシートで税務管理をするイメージがわかない人もいるでしょう。以下の画像で作成イメージや作成のコツをお伝えしているので、参考にしてください。
ただし、会計ソフトに比べると複雑な計算や高度な自動化は難しいのが実情です。事業規模の拡大に伴い、取引量や経費の種類が増加した場合、手作業での管理は煩雑になり、ミスが発生するリスクが高まります。事業の成長に合わせて、会計ソフトへの移行を検討しましょう。
税理士をはじめとした専門家に頼る
動画編集に集中するには、税務処理を税理士をはじめとする専門家に依頼するのが良いでしょう。専門家に依頼することで、税務処理にかける時間の大幅な節約とミスのリスク軽減を同時に実現できます。
特に動画編集フリーランスは、高額な機材の減価償却や著作権使用料の経費計上など、専門知識が必要となることがあります。これらの処理を自身で行う負担は大きく、動画編集作業への集中を妨げる可能性があるでしょう。
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※本記事は2025年1月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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