個人事業主は複数の事業を持てる?屋号の登録方法や確定申告のやり方を解説

「個人事業主は複数の事業を営めるのか?」「複数事業を始めると確定申告や開業手続きが複雑になるのでは?」と疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、個人事業主が複数の事業を行えるかどうかを解説します。また、個人事業主が複数の事業を行うメリット・デメリットや、開業届・確定申告書の記載方法、節税対策なども紹介しています。複数事業の展開を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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個人事業主は複数の事業を行うことができる

個人事業主は、法人と同様に複数の事業を展開できます。複数の業種や業態を営むことに、法的な制限はありません。

たとえば、エンジニアとしてシステム開発をしながら、デザイナーとしてWebサイトのデザインを制作し、それぞれで収入を得ることが可能です。この場合の所得は、事業所得に該当します。事業所得のほか、自身が保有するマンションを貸し出して得た収入は不動産所得、事業とは別でアルバイトを行った場合の収入は給与所得など、所得にも種類があります。

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個人事業主が複数の事業を展開するメリット

個人事業主として複数の事業を展開することには、いくつかのメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つ紹介します。

収入源が増える

複数の事業を展開するメリットは、収入源が増えることです。すべての事業で収入を確保できれば、経済的な余裕を得られるでしょう。

また、いずれかの事業が不調になった場合でも、そのほかの事業によって収入を確保し、全体の収入を安定させられます。特に、市場や季節によって収入に変化が生じる業種は、変化の少ない業種と組み合わせることで、年間を通じた収入の安定化が図れるでしょう。

さらに、複数の収入源によって、将来的な事業展開の選択肢を広げられるようになります。収入のバランスを見ながら、より収益性の高い事業にリソースを集中させていく方法も有効です。

新たなビジネスチャンスが得られる

複数の事業を手がけると、ビジネスネットワークが広がり、新たな機会を得られる可能性が高まります。さまざまな業界や顧客層と接点を持つと、思いがけないチャンスに出会えることもあるでしょう。

異なる事業領域から得られる情報やトレンドは、ビジネスの視野を広げるのに役立ちます。たとえば、エンジニアの経験を活かし、企業の教育カリキュラムや評価制度を設計する人材コンサル事業を立ち上げ、新たなビジネスを展開できるかもしれません。異なる分野の知識や経験の組み合わせによって、独自性の高いサービスを提供することが可能になります。

事業間で経験を活かし相乗効果を生み出せる

複数の事業を運営すると、それぞれの事業で得た知見やスキルを相互に活用できるようになります。

たとえば、Webサイト制作事業とコンテンツマーケティング事業を同時に行うことで、クライアントにワンストップサービスを提供できるようになります。また、一方の事業で獲得した顧客に対して、別の事業のサービスも提供できるため、マーケティングコストを抑えながら売上を伸ばすこともできるでしょう。

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個人事業主が複数の事業を展開するデメリット

複数事業の展開にはさまざまなメリットがありますが、課題やリスクも存在します。複数の事業を継続して運営するためにも、デメリットを理解しておきましょう。

一つの事業に集中できない

リソースが限られている個人事業主にとって、複数事業の運営は各事業への集中を妨げる可能性があります。それぞれの事業に時間を割くと、一つの事業にかけられる時間は減少します。結果として、どの事業も中途半端な状態になり、クライアントからの評判や売上に影響を及ぼすかもしれません。

特に、立ち上げ期の事業には、多くの時間と労力が必要になるため、事業間のバランスを取ることが難しくなるでしょう。

資金管理や事業計画が複雑になる

複数事業を展開すると、財務管理や会計処理が複雑化します。各事業の売上や経費を正確に区分し、それぞれの収益性を適切に把握する必要があるためです。たとえば、事業所得にくわえて、不動産所得や雑所得など、種類が異なる所得がある場合、確定申告の際には別々に所得を計算しなければなりません。

また、事業計画の策定においても、事業ごとに検討する必要があります。それぞれの市場動向や競合状況などを綿密に分析し、実効性のある計画を立案するには、相応の時間と労力がかかるでしょう。

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個人事業主が複数事業を始める際の開業届の記載方法

複数の事業を始める際に提出する開業届の書き方について解説します。特に、記入時に迷いやすい「職業欄」と「屋号欄」の記載方法を紹介するので、参考にしてください。

開業届については、下記の記事でも詳しく解説しています。

個人事業主の開業届ガイド!出さないとどうなるか・書き方や必要なもの

職業欄にはメインの職業を記載

開業届の職業欄には、主となる職業を記載するのが基本です。複数の事業を行う場合は、収入が多いと見込まれる業務を職業として申告します。

たとえば、システムエンジニアとして活動するかたわら、Webデザインも行う場合は、職業欄には「システムエンジニア」と記載するのが適切です。仮に、エンジニア事業とデザイン事業で同じくらいの所得がある場合は、複数の職業を記載しても差し支えありません。

屋号欄は複数名称の記載が可能

屋号を持つ場合は、屋号欄に複数の名称を記載することができます。屋号はビジネスの「顔」となる重要な要素なので、事業ごとに異なる屋号を設定したい場合は、屋号欄に複数の名称を記載しましょう。屋号を使用しない場合は、開業届の屋号欄を空白にしても受理されます。

すでに事業を行っており、新たに事業を始めるにあたって屋号を追加したい場合は、再び開業届を提出する必要があります。開業届の屋号欄に追加する名称を記載し、「その他参考事項」の欄に、屋号の追加登録である旨を書き込んで提出しましょう。

個人事業の開業届の屋号欄

引用元 : 個人事業の開業・廃業等届出書|国税庁

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個人事業主が複数事業を行う際の確定申告書の記載方法

複数の事業を行う場合でも、確定申告書の作成は1部のみです。それぞれの事業の収支を適切に区分して、申告をしてください。確定申告は重要な手続きとなるため、以下のポイントをおさえて手続きを行いましょう。

確定申告について、より詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

初めての個人事業主の確定申告。いくらから必要?必要書類は?いつまでにやるべき?

職業・屋号の書き方

複数事業を行っている場合の確定申告書の職業欄には、すべての職業を記載します。すべての職業を記載する理由は、個人事業税の税率に関わってくるためです。

職業名は、総務省が設定している日本標準職業分類を参考にすると良いでしょう。確定申告書の職業欄はスペースが限られているため、職業がわかる範囲で省略して記載しても差し支えありません。

一方、屋号欄は、メインとなっている事業の屋号名を記載します。複数の事業を行っていても、主な事業の屋号名のみの記載で提出が可能です。

参考:日本標準職業分類|総務省

収入金額・所得金額の書き方

確定申告書における収入金額と所得金額の記載は、複数事業を営む場合に、特に注意が必要です。事業所得については、複数事業の所得を合算して申告します。

確定申告書の第一表にある「収入金額等」と「所得金額等」にある「事業」の欄には、すべての事業で得た収入と所得の合計額をそれぞれ記載しましょう。収入金額は、すべての事業の売上金額を指し、所得金額は、収入金額から経費を差し引いた金額を指します。

確定申告書の収入金額と所得金額の記載欄

引用元 : 令和7年分の所得税等の確定申告書|国税庁

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事業所得以外の所得がある場合の確定申告の注意点

個人事業主が事業所得以外を得ている場合、確定申告ではそれらの所得も適切に申告する必要があります。事業所得以外の所得の種類は以下のとおりです。

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

複数の所得がある場合、それぞれの所得に適用される控除や税率が異なる点に注意しましょう。なかでも、退職所得や山林所得、土地建物等の譲渡による譲渡所得、株式等の譲渡所得などは、ほかの所得とわけて税額を算出する申告分離課税の対象となります。

事業所得以外の所得は、それぞれの欄に記入し、申告分離課税の対象となる所得は、確定申告書第三表に記載しましょう。

参考:申告書第三表(分離課税用)【令和6年分以降用】|国税庁

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複数の事業を行う際の決算書の作り方

確定申告では、青色申告決算書や収支内訳書などの決算書の提出が求められます。個人事業主が複数の事業を営んでいる場合、事業ごとに決算書を作成する必要はありません。前述のとおり、確定申告では、事業所得をまとめて申告するためです。

ただし、複数事業のなかに、法人化した事業があったり、不動産所得を得ている事業があったりする場合は、決算書をわけて作成する必要があるため注意しましょう。

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個人事業主が複数事業を行う際の節税対策

個人事業主が複数事業を行う際の節税対策として活用したいのが、青色申告制度です。青色申告では、事業の収支を記帳し、記帳に基づいて正しく申告すると、最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。

また、事業で赤字が出た場合、その赤字を翌年以降3年間、繰り越しができるのも青色申告の特典です。翌年以降の黒字と相殺できるため、税負担の軽減につながる可能性があります。特に、開業初期は収入が安定しないケースが多いため、繰越控除を活用するためにも、青色申告をしておくと良いでしょう。

参考:青色申告制度|国税庁

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個人事業主が複数の事業収支を管理する方法

複数の事業を成功させるためには、それぞれの事業の収支を正しく管理するのが重要です。ここでは、複数の事業の収支を管理するおすすめの方法を紹介します。

事業ごとに口座を使い分ける

複数の事業を行う場合、事業ごとに銀行口座を開設するのがおすすめです。事業ごとに口座を設けると、資金の流れが明確になります。それぞれの口座では、各事業に関する入出金のみを行うようにしましょう。そうすることで、月末や年度末の収支集計を効率的に進められるようになります。

口座を分けるもう一つのメリットは、事業別の資金繰り状況が一目でわかることです。キャッシュフローが悪化している事業を早期に発見できれば、迅速に対策を講じられます。

会計ソフトを活用する

複数の事業の収支管理には、会計ソフトの活用が効果的です。多くの会計ソフトには、会計処理の時間を削減できる機能が備わっています。たとえば、事業区分の管理ができたり、収支状況のレポート出力ができたりするため、事業の経営に役立てることができるでしょう。

クラウド型の会計ソフトを選べば、スマートフォンからも収支の記帳や確認ができます。インターネット環境があれば、どこからでもアクセスできるため、移動が多い方や隙間時間で効率的に収支チェックをしたい方には、特に便利です。

税理士に依頼する

複数の事業の収支を管理するには、税理士に依頼するのも一つの手です。特に、事業規模の拡大や、複雑な取引の増加に際しては、税理士への依頼を検討するタイミングとして適しているでしょう。

税理士は、専門的な知識と経験に基づいて、適切な方法で会計処理と確定申告を行ってくれます。また、事業別の収益性の分析や資金繰り予測など、経営判断に役立つアドバイスももらえるでしょう。

税理士を選ぶポイントは、複数の事業を営む個人事業主のサポート実績があることや、自分の事業分野に詳しいことが挙げられます。初回の相談を無料で受けている税理士もいるので、複数の税理士と面談をしてから正式に依頼をする方法もおすすめです。

※本記事は2026年1月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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