個人事業主が開業費を仕訳する方法とは?具体例や注意点をわかりやすく解説

個人事業主として開業する際、「開業にかかった費用は経費で落とせるって聞くけど、どうやって仕訳すればいいの?」といった疑問を持っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、開業費を仕訳する方法について、計上方法からわかりやすく説明します。開業に向けて準備をしている方や開業したばかりの方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

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開業費とは

開業費とは、開業のためにかかった費用のことを指し、「開業準備費」と呼ばれることもあります。事業を始めるにあたっては、店舗を借りるための保証金、備品や機材の購入費、などさまざまな費用が発生します。

個人事業主と法人における開業費の違い

個人事業主と法人では、開業費として認められる期間が異なります

個人事業主の場合、「開業日までに発生した費用」が開業費として認められますが、法人の場合は、「法人の設立から営業開始日までに発生した費用」が開業費として認められます。

個人事業主の場合、開業準備に数年かかった場合でも、その費用が開業のためにかかったことが証明できれば、数年前に発生した費用も計上することが可能です。

個人事業主の開業日の決め方については、下記の記事で紹介しているので参考にしてみてください。
個人事業主になるタイミングは?開業日の決め方や出さないリスクについて

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開業費は繰延資産として償却する

開業費は、原則として繰延資産として償却します。繰延資産とは、すでに支払いが済んでいるもののうち、年度をまたいで経費計上ができるものを指します。開業費は、事業の土台となる費用であり、初年度だけでなくそれ以降の年度にも影響するため、繰延資産として償却する必要があるのです。

所得税法施行令第137条第1項第1号にて、繰延資産の償却費は、5年間(60ヶ月)かけて均等償却するか、任意償却するか、いずれかの方法をとることと明記されています。

均等償却とは、定められた期間にわたって、毎年均等に費用計上する方法です。その年に償却する費用が事前にわかるため、将来の資金計画が立てやすいというメリットがあります。

任意償却では、その年に計上する費用を、0円から開業費の全額までの範囲で自由に決める方法です。利益が多い年度に多めに償却することで、その年の税負担を軽減できるといったメリットがあります。

参考:償却期間経過後における開業費の任意償却|国税庁

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個人事業主が開業費にできる費用・できない費用

個人事業主が開業前に支払った費用が、すべて開業費になるとは限りません。ここでは、開業費にできる費用とできない費用をそれぞれ紹介します。

開業費にできる費用

開業前にかかった費用を開業費にするためには、開業のためにかかった費用であることを証明できることが大切です。

個人事業主が開業費にできる主な費用には、次のようなものがあります。

  • 開業に関わるセミナーへの参加費用
  • 市場調査のための旅費・ガソリン代
  • 通信費(電話代、インターネット接続料など)
  • 関係者との打ち合わせ費用
  • 関係先への手土産代
  • 広告宣伝費(チラシやWeb広告費など)
  • パソコンの購入費用(ソフトウェア、周辺機器含む)
  • Webサイト構築費用(ドメイン取得やサーバーレンタルなど)

日本政策金融公庫では、女性や若者、シニアの方などを対象に、新規開業資金を提供する取り組みを行っているので、気になる方は確認してみてください。

個人事業主向けの給付金や助成金については、下記の記事を参照してください。
【2024年最新】フリーランス・個人事業主向けの給付金・助成金・補助金まとめ

開業費にできない費用

開業のためにかかった費用であれば、ほとんどのものが開業費となりますが、中には個人事業主が開業費にできない費用もあります。

項目 詳細
1つあたり10万円以上のもの 10万円以上かかったものは、繰延資産ではなく、
固定資産として計上します。
敷金 敷金は将来返還される可能性があるため、
経費として計上できません。
礼金 礼金は、長期前払費用として、
契約期間内で均等償却します。
仕入れにかかった費用 仕入れにかかった費用は、開業前
であっても売上原価に含まれます。


開業費に含められるか迷う場合は、所轄の税務署か税理士に相談することをおすすめします。
レバテックフリーランスでは、税理士を無料で紹介するサービスを行っています。開業費のほかにも、節税対策の相談もすることができるので、ぜひ登録をご検討ください。

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開業費の仕訳方法【均等償却・任意償却】

ここでは、開業費の仕訳方法について、均等償却する場合と任意償却する場合に分けてご紹介します。
開業費を仕訳する際の日付は、どちらの場合でも開業日に統一するようにしましょう。

開業費を均等償却する場合

開業費を均等償却する場合、その年に計上する償却費を出す計算方法は下記のとおりです。

  • (繰延資産の支出額÷償却期間の月数)×(本年中の償却期間の月数÷12)=償却費

たとえば、個人事業主として2024年6月に開業し、60万円の開業費がかかった場合、2025年に申告する償却費は下記の計算となります。

  • (60万円÷60ヶ月)×(7ヶ月÷12)=7万円

この場合、2024年6月に開業しているため、本年中の償却期間の月数は、6月から12月までの7ヶ月となります。

仕訳方法は下記のとおりです。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
開業費償却 70,000円 開業費 70,000円

参考:Ⅱ 繰延資産の範囲について|国税庁

仕訳の方法について詳しく知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
青色申告の貸借対照表

開業費を任意償却する場合

任意償却だと、前述した通り、その年に計上する償却費を自由に決められます。そのため、開業した年に一括で計上することもできますし、利益が増えた年に多く計上することも可能です。

たとえば、個人事業主として2024年6月に開業し、開業費は30万円で、2026年に一括で計上する場合は、下記のように仕訳をします。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
開業費償却 300,000円 開業費 300,000円

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個人事業主が開業費を計上する際の注意点

ここでは、個人事業主が開業費を計上する際の注意点には下記の3つがあります。

  • レシートや領収証を必ず保管する
  • 合計10万円未満であれば通常の仕訳方法でOK
  • 合計10万円以上であれば固定資産台帳の記入が必要になる

それぞれ詳しく解説します。

レシートや領収証を必ず保管する

開業費を計上する際は、レシートや領収証などの証拠となる書類を必ず保管しましょう。 税務調査でこれらの書類の提出を求められる場合があり、証拠書類がないと経費として認められない可能性があるためです。

開業準備を始めたら、どんな小さな金額のものでも、レシートや領収証は必ず受け取るのが大切です。また、領収証に、「日付や宛名、金額、但し書き、発行者名」などが記載されているかを確認するのも忘れずに行いましょう。

合計10万円未満であれば通常の仕訳方法で問題ない

開業費の合計金額が10万円未満の場合は、通常の経費計上と同じ仕訳方法で問題ありません。
たとえば、交通費で10,000円使った場合は、下記のようになります。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額
旅費交通費 10,000円 現金 10,000円


なお、この場合も仕訳する際の日付は開業日で記入しましょう

合計10万円以上であれば固定資産台帳の記入が必要になる

開業費の合計金額が10万円以上の場合、減価償却資産台帳の記入が必要になります。固定資産台帳とは、固定資産のうち、減価償却の対象となる資産を管理するための台帳のことです。開業費は繰延資産であるため、取得・減価償却・売却・除去といった全ての経緯をこの台帳で記録する必要があります

開業費を修正する場合は、仕訳帳も減価償却資産台帳も修正するようにしましょう。

固定資産台帳には特に決まったフォーマットがないため、下記の例を参考にしてみてください。
固定資産台帳の記載項目の例|総務省

※本記事は2024年6月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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