個人事業主が名義変更する方法とは?事業承継や結婚で手続きは変わる?

個人事業主の方の中には、事業承継や戸籍上の氏名の変更などにより、名義を変更したいと思っている方もいるのではないでしょうか。結論から言うと、事業主が変わる場合のみ名義変更を行う必要があります。

この記事では、個人事業主の名義変更が必要になるケースについてわかりやすく解説します。手続きの方法や税金についても解説しているので、名義変更の手続きをスムーズに進めるために、ぜひ参考にしてみてください。

目次

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こんな時どうする?個人事業主が名義変更するケース

個人事業主として活動する上で、事業内容や事業主自身の状況が変わることがあります。ここでは、個人事業主が名義変更を行うケースについて解説します。

事業主が変わる場合は名義変更をする必要がある

事業承継などで事業主が変わる場合は、個人事業主の名義を変更する必要があります。個人事業主の納税義務は個人に結びついているためです。

また、もちろん事業も個人に結びついているため、事業承継時に名義を変更することで、事業に関する法的責任も新しい事業主に移ります。

戸籍上の氏名が変わる場合は名義変更をする必要はない

結婚や離婚などで戸籍上の氏名が変わった場合は、個人事業主の名義を変更する必要はありません。前述した通り、個人事業主が支払う税金は個人に紐づいているので、氏名が変わったとしても同一人物としてみなされるためです。

ただし、戸籍上の氏名が変わったことを顧客や取引先に伝えるのは大切です。たとえば、名刺やWebサイト、請求書などに旧姓を併記するなどの対応が必要となる場合があります。混乱を避けるために、旧姓のまま事業を行うのも一つの手でしょう。

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個人事業主が名義変更する際の手続き

個人事業主の名義を変更する場合は、事業者が変わるタイミングで、税務署にて手続きを行いましょう。

事業を承継して事業が変わるパターンはさまざまですが、下記のいずれのパターンでも同じ手続きを行う必要があります。

  • 親から子へ事業を承継する場合
  • 夫から妻など配偶者間で事業を承継する場合
  • 第三者へ事業を承継する場合

事業を譲る側が行う主な手続きは下記のとおりです。

税目 提出する書類 備考
所得税 個人事業の廃業届出書 事業を引き継いだ日から1ヶ月以内に提出する。
所得税 所得税の青色申告のとりやめ届出書 青色申告を取りやめる年の翌年3月15日までに提出する。
消費税 事業廃止届出書 消費税課税事業主の場合、事業を引き継いだ日から1ヶ月以内に提出する。
消費税 消費税簡易課税制度選択不適用届出書 簡易課税制度を適用していた場合、適用をやめる日までに提出する。
消費税 消費税課税事業者選択不適用届出書 免税事業者であるにもかかわらず、あえて課税事業者を選択していた場合、選択をやめる日までに提出する。


事業を引き継ぐ側が行う手続きには下記があります。

税目 提出する書類 備考
所得税 個人事業の開業届出書 事業を引き継いだ日から1ヶ月以内に提出する。
所得税 所得税の青色申告承認申請書 青色申告をする年の3月15日までに提出する。
消費税 2年間は免税事業者となるため、提出が義務付けられている書類はありません。 2年間は免税事業者となるため、提出が義務付けられている書類はありません。


相続による事業承継の場合は、事業を譲る側が亡くなってから4ヶ月以内に、事業を引き継ぐ側が譲る側の分の確定申告(準確定申告)を行う必要があります。

また、事業によっては、都道府県や市区町村に別途許認可の申請などを行わなくてはいけない場合があるので、よく確認しましょう。

参考:
A1-10 所得税の青色申告の取りやめ手続|国税庁
A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

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個人事業主が名義を変更する際にかかる税金の種類

個人事業主が事業の名義を変更する場合、さまざまな税金が関係してくる可能性があります。ここでは、支払う可能性のある税金の種類を詳しく解説します。

事業を無償で譲る場合

事業を無償で譲る場合には、贈与税または相続税がかかります。それぞれの違いを下記で説明します。

贈与税

個人事業主が生前に、事業を家族や第三者に無償で譲渡する際には、贈与税が課税される場合があります。贈与税を負担するのは、事業を継いだ側です。

贈与税は、事業の資産(預貯金や売掛金など)と債務(借入金や買掛金、未払金など)の差額から決まります。この差額が110万円以下であれば贈与税は課されませんが、110万円以上であれば、差額から110万円を差し引いた額(課税価格)に対して贈与税が課されます。

贈与税の税率や控除額は課税価格によって異なるため、控除額の計算方法について詳しく知りたい方は、下記の国税庁のホームページをご確認ください。
No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

相続税

個人事業主が亡くなって、事業を家族や第三者に無償で承継する場合には、相続税の対象となります。相続税についても、負担するのは事業を継いだ側です。

相続税は、相続した事業そのものの価値と、亡くなった方から贈与されたときの事業資産の価値をもとに算出されます。このとき、過去に贈与税を納めていれば、「相続時精算課税制度」を活用して、その金額を相続税額から差し引くことができます。

相続時精算課税制度について詳しく知りたい方は、下記の国税庁のホームページをご覧ください。
参考:相続時精算課税制度のあらまし|国税庁

事業を有償で譲る場合

事業を有償で譲る場合は、所得税と消費税がかかる場合があります。下記でそれぞれの違いを解説します。

所得税

個人事業主が家族や第三者に、有償で事業を譲る場合は、所得税の対象となります。この場合は、事業を譲る側が税金を負担します。
売却代金から経費を差し引いた結果、所得が発生する場合は、その所得と、事業を譲渡するまでの事業所得を合わせて、所得税を納める必要があります。

また、個人事業主が消費税の課税事業者の場合、事業を譲って得た収入に対して消費税がかかるので注意しましょう。

消費税

事業を譲る側である個人事業主が、消費税課税事業者である場合は、消費税がかかります。事業の引き継ぎ方によって、消費税の対象となる額は変わるので注意しましょう。

個人事業主が生前に事業を譲る場合 個人事業主が亡くなって事業承継する場合
事業を譲る側:廃業までの課税売上に対して課税される 亡くなった
個人事業主の売上高+事業を引き継ぐ側の売上高に対して課税される
事業を引き継ぐ側:課税なし
(前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税される)

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名義変更と同時に行うケースが多い手続き

ここでは、個人事業主が名義を変更する際に、同時に行うケースが多い手続きとして、下記の3つが挙げられます。

  • 屋号の変更
  • 事業内容の変更
  • 銀行口座の変更

それぞれの内容を詳しく紹介します。

屋号の変更

個人事業主として屋号を使用している場合、名義変更と同時に屋号を変更するケースがあります。事業を引き継ぐと同時に屋号も引き継ぐ場合は、その旨を開業届に記載します。屋号を商号として登記している場合は、法務局で名義変更の手続きを行う必要もあるので注意しましょう。

事業を継ぐ際に、屋号を変更する場合は、改めて屋号を決める必要があります。屋号を決める際にはいくつか注意すべきポイントがあるので、下記の記事をご覧ください。
フリーランスの屋号ガイド!決め方やサンプル・ネーミング例

事業内容の変更

名義変更を機に、事業内容を見直すケースも少なくありません。しかし、事業内容を変更するだけであれば、特に手続きを行う必要はありません

確定申告の際には、確定申告の職業欄に変更後の職業を記載するよう覚えておきましょう。

参考:申告書第一表・第二表【令和5年分以降用】

銀行口座の変更

個人事業主が事業を引き継ぐ際、事業用の銀行口座を使用している場合は、後継者名義の新しい銀行口座を開設しましょう

新規口座の開設は、基本的に各金融機関の窓口で行います。必要な書類や手続きは金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

個人事業主におすすめの銀行口座は下記の記事でまとめているので、参考にしてみてください。
フリーランスの銀行口座のおすすめ8選!選び方や事業用を分けるメリットも

※本記事は2024年7月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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