SAPコンサルタントの単価相場は?案件例や今後の需要動向を解説 | レバテックフリーランス
SAPコンサルタントの単価相場は?案件例や今後の需要動向を解説
国内でも既に多くの企業が導入しているSAPのERPパッケージ製品ですが、専門的な知識をもつ「SAPコンサルタント」は、まだまだ不足しているのが現状です。比較的高単価の案件が多いとされているSAP案件ですが、具体的にはどのような案件があるのでしょうか。
本記事では、SAPコンサルタントの単価相場や、より高単価の案件を獲得するために今からできること、そして、気になるSAPコンサルタントの今後の動向についても解説します。
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目次
SAPコンサルタントとは?
ドイツを拠点とし、ヨーロッパ最大級のソフトウェア開発企業といわれているSAP社(SAP SE)。経営資源を一括管理することで、企業内のシステムを総合的に最適化するERP(Enterprise Resource Planning)の分野で世界的なシェアを誇ります。
このSAP社が開発・提供する、ERPパッケージ製品の企業導入から管理までを担うのが「SAPコンサルタント」です。導入前の現状分析や課題提起から始まり、FIT&GAPの分析からコンフィグレーション、導入後の運用や改善までをプロジェクトとして一貫して遂行します。
SAPコンサルタントの役割には担当領域によって細かい分け方があり、「テクノロジーコンサルタント」や「アプリケーションコンサルタント」のほか、SAP独自の開発言語であるABAPを使ってアドオン開発をする「ABAPエンジニア」、統括領域の「PM・PMO」などの役割があります。
SAPコンサルタントの仕事内容について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
SAPコンサルタントとは?仕事内容や将来性・必要な資格・転職方法について解説 | レバテックフリーランス
SAPコンサルタント案件の単価相場
これからフリーランスのSAPコンサルタントとして独立する場合は、まずは案件相場がどれくらいか把握しておくことが重要です。既にフリーランスとして活躍している場合も、今後の案件獲得時の交渉材料として、改めて現在の相場を認識しておきましょう。
フリーランススタートの調査データによれば、経験年数別のSAPコンサル案件の単価は、以下の相場となっています。
SAP経験年数 | 単価 |
---|---|
3年以上 | 75~90万円 |
4年以上 | 85~100万円 |
5年以上 | 90~205万円 |
レバテックフリーランスの保有案件データによると、SAPコンサルタントの月額平均単価は84万円、最低単価は45万円から、最高単価は194万円まで幅広い単価の案件が存在していることも分かります。
SAPコンサルタントの単価を左右する要因
ここでは、SAPコンサルタントの単価が決まる要因について解説します。
業界経験と専門知識
SAPコンサルタントにとって、単価を左右する大きな要因の一つが業界経験と専門知識です。具体的には、SAPの導入経験が豊富であったり、特定の業界に特化した深い知識を有していることで、より高い単価を提示される場合があります。例えば、製造業や金融業といった特定の分野で豊富なプロジェクト経験を持つコンサルタントは、その専門性を求める企業から高い評価を受ける傾向にあります。また、SAPの最新モジュールに関する知識や経験も単価に大きく影響します。
英語力や海外プロジェクトの経験
SAPプロジェクトがグローバルに展開されるケースが増えている中、英語をはじめとする外国語でのコミュニケーション能力や海外プロジェクトの経験は、SAPコンサルタントとしての単価にプラスに作用します。国際的なプロジェクトに参加することで異なる文化を持つチームメンバーや顧客と協働する経験は、コンサルタントとしての柔軟性や問題解決能力を高めると同時に、幅広い視点が養われます。海外プロジェクトに慣れ親しむことで、今後のキャリアにおいても多様な選択肢を持つことができます。
チームにおける関係構築能力
単価を決定するうえで大切な要素の一つが、クライアントやプロジェクトメンバーとの関係構築能力です。
SAPコンサルタントは単にシステムの導入や改善提案を行うだけでなく、相手の信頼を獲得し、効率的なコミュニケーションを取ることが求められます。信頼関係を築けるコンサルタントは、クライアントから高く評価されるため、自然と高単価の案件を獲得しやすくなります。また、プロジェクトメンバー間の円滑なコミュニケーションは、問題の早期発見や解決につながり、プロジェクトの成功に直結します。このような関係構築能力は、SAPコンサルタントとしての単価に大きく影響します。
SAPコンサルタントの案件例
案件例1:SAP導入コンサルの案件
■単価
〜950,000円/月
※消費税を含めた参画者にお渡しする金額です。
■作業内容
・SAP導入コンサルに携わる作業
・主に下記作業を担当
-SAP導入時のコンサル
-モジュールの選定
-業務分析、改善提案
■求めるスキル
・SAPの開発経験
・SAP導入のコンサル経験
■歓迎スキル
・PM経験
※上記に似た経験やスキルがあれば申し込み可能なケースもあり
■リモートワーク
可
参照元:【SAP】SAP導入コンサル案件 | ITフリーランスエンジニアの求人・案件
案件例2:SAP導入/モジュールコンサルタントオープンポジションの案件
■単価
〜1,150,000円/月
※消費税を含めた参画者にお渡しする金額です。
■業界
人材・教育
■作業内容
・SAP導入案件や各モジュールの上流工程の案件に携わる作業
・主に下記作業を担当
-構想策定や要件定義からプロトタイプ
-概要設計、受入
-結合テスト、総合テスト
-移行、教育、稼動後支援
■求めるスキル
・SAPコンサルタントとしての実務経験
・以下いずれかの領域での作業知識およびSAP導入プロジェクト経験
-生産管理、在庫購買管理、販売管理、物流管理、倉庫管理、品質管理
-財務会計、管理会計、製造原価
■歓迎スキル
・要件定義フェーズなどの上流工程経験
・ビジネスレベルの英語対応経験
※上記に似た経験やスキルがあれば申し込み可能なケースもあり
参照元:【SAP】SAP導入/モジュールコンサルタントオープンポジション | ITフリーランスエンジニアの求人・案件
案件例3:【SAP】半導体メーカー向け社内システム開発の案件
■単価
〜1,250,000円/月
※消費税を含めた参画者にお渡しする金額です。
■職種・ポジション
SAPコンサルタント
SE(システムエンジニア)
■作業内容
・半導体メーカー向け社内システム開発に携わる作業
・主に下記業務を担当
-CairnからSAPに置換え
-CO領域の要件定義
■求めるスキル
・SAP要件~開発経験
・CO領域の知見
※上記に似た経験やスキルがあれば申し込み可能なケースもあり
参照元:【SAP】半導体メーカー向け社内システム開発の求人・案件
フリーランスSAPコンサルタントとして案件を獲得する方法
フリーランスのSAPコンサルタントが案件を獲得する方法には様々な方法があります。ここでは代表的な3つの方法をご紹介します。
知人からの紹介
まず、知人からの紹介で案件を獲得する方法があります。仲介マージンの発生有無を考慮すると、発注者と受注者との間に介する立場が少ないほど高単価となるため、報酬の側面から見るとメリットが大きい獲得方法です。しかし、万が一契約中に何らかのトラブルが発生した場合は、すべて自分自身で対応しなければならないリスクもあります。
エージェントの活用
エージェントの活用は案件を獲得するうえでとても有効です。SAPに関する経験が浅い場合や人脈が狭い段階でも、エージェントがサポートしてくれるので安心。営業力に自信がない方や、営業に割く時間や労力を軽減したいという方にもおすすめです。
レバテックフリーランスでは、コンサルタントを始めとしたIT職のフリーランスに対して、案件紹介や単価交渉の代行、参画後のフォローのほか、無料の税務士紹介、参画者優待サービスなど様々なサポートを行っています。「フリーランスになれるか知りたい」といったご相談だけでも結構ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
SNSやブログの活用
SNSやブログでSAPに関する情報や得意とする分野について発信し続けるという習慣も、長期的な展望では案件の獲得に繋がる可能性もあります。個人として影響力を持つことで、さらに案件を獲得しやすい状態を確立できるでしょう。
フリーランスSAPコンサルタントが案件単価を上げるには?
独立する前はもちろん、既にフリーランスとして活躍している場合でも、SAPコンサルタントが案件単価を上げるための方法を5つ紹介します。
経験を増やす
案件単価を上げるには何よりも経験を積むことが重要です。SAPコンサルタントとして独立するために特に大切なのは、次の3つの経験です。
SAPに関する経験
フリーランスのSAPコンサルタントとして案件単価を上げるには、SAP領域に関する知識や経験が豊富なことはもちろん有効ですが、SAPに限らず何らかの業務系パッケージ製品の導入経験があると良いでしょう。
SAPコンサルタントの作業内容は、導入前の現状分析から導入後の改善や運用管理までをプロジェクトとして一貫して担うことが多いため、上流から下流までの工程を経験し、フローを理解していることは高単価の案件に繋がりやすくなります。独立前に業務系パッケージ製品に携わる環境がある場合は、積極的に経験を積んでおきましょう。
副業でSAPに関わる方法が気になる方は、こちらの解説記事をご覧ください。
SAPエンジニア・コンサルタントが副業を始めるには?メリットや注意点を解説
マネジメントの経験
SAPコンサルタントの需給状況として、PMOを担当できる人材が特に不足しているのが現状です。そのため、マネジメント経験がある場合はより需要が高い傾向にあります。独立前であればコンサルティングファームなどでPMOやPMとしての経験を積んでおくことで、フリーランスになった際により高単価の案件を狙いやすくなるでしょう。たとえ小規模なプロジェクトであっても、なるべくリーダーポジションの経験を積んでおくことが重要です。
また、マネジメント経験が豊富で能力が高い場合は、SAP未経験でも案件を獲得できる可能性もあります。
クライアントの業界知識を深める経験
SAPコンサルタントという職業柄、もちろんコンサルティングに関する知識は必要不可欠です。現状分析を経て問題や課題を抽出し、それらを解決するまでのプロセスをロジカルに遂行する能力や、コミュニケーション能力も磨いておきましょう。このほか、経理や会計、人事に関する知識も、クライアント企業の経営状況を把握するうえで役立ちます。
また、SAPは小売業や金融業のほか、エネルギー産業や航空宇宙産業など既に様々な業界が導入を進めているため、各専門分野に関する知識があると参画できる案件の幅がさらに広がるでしょう。社会を支える基盤として必要性の高い医療や福祉、AIなどに関する経験や専門知識も、案件獲得時に差別化できるツールとして期待できます。
ニーズの高いモジュールの知識を深める
SAPコンサルタントの案件は複数の分野に分かれており、それぞれ対応するモジュールが異なります。
- 会計モジュール(管理会計:CO、財務会計:FI)
- ロジスティクスモジュール(在庫管理:MM、販売管理:SD)
- 人事モジュール(人事管理:HR)
- その他モジュール(プロジェクト管理:PS、生産管理:PP、プラント保全:PM)
特殊機械の設置、ビルの建設など長期にわたる工事といった大規模なプロジェクトに対応するその他モジュールに対し、会計モジュールやロジスティクスモジュール、人事モジュールのニーズが比較的高いとされています。そのため、これらのモジュールに関する経験がある場合は積極的にアピールし、経験がない場合はニーズの高いモジュールから優先的に知識を深めると良いでしょう。
モジュールのほかに、取り扱えるバージョンやプラットフォームの幅も広げておくと、高単価の案件を獲得できる可能性が高まります。DXの推進や2025年の崖を目前にオンプレミスからクラウドへの移行が急がれているため、両面に知見がある場合はさらに需要が高まるでしょう。
SAPエンジニアの仕事が気になる方は、こちらの記事をご覧ください。
SAPエンジニアとは?仕事内容や将来性も解説
資格を取得する
SAPコンサルタントに関する能力を有している証明として、「SAP認定コンサルタント資格」を取得するのもおすすめです。必須ではありませんが、参画条件としてSAP認定コンサルタント資格の有無を問われる場合に備えて、取得しておくと良いでしょう。
案件単価を上げる際、交渉材料としても役立つ場合があります。2023年10月、SAPの最新バージョンである「SAP S/4HANA2023」がリリースされましたが、最新バージョンの認定資格があれば特に大きなアピールポイントとなるでしょう。
SAP認定コンサルタント資格のほか、「中小企業診断士」や「ITストラテジスト」といった経営に関する資格や、よりグローバルな活躍を目指すには「USCPA(米国公認会計士)」といった比較的難易度の高い資格の取得も、能力や知識の証明手段としておすすめです。
システムコンサルタントについて詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
システムコンサルタントの資格|転職に必要なスキルは?
語学力を強化する
SAPコンサルタントには語学力、特に英語を理解する能力が必須です。SAP製品を取り扱ううえで英語の読解が必要なことはもちろんですが、グローバルな企業、プロジェクトを遂行するためには、英語でのコミュニケーションスキルも求められます。
国内の案件でも業務の一部をオフショアへ委託する場合もあるため、現地とスムーズなコミュニケーションが取れるレベルの英語スキルは、単価交渉の際に示したい大きなポイントです。選択できる案件の幅を広げてより高単価の案件に繋げるためにも、英語スキルはビジネスレベル程度まで強化しておきましょう。
人脈を広げる
フリーランスとして継続的に案件を獲得するためには、常に新しい情報を得られる環境を整えておくことも非常に重要です。フリーランスの実態調査についてのアンケートでは、直近1年間で仕事獲得に繋がった経路として、最も回答が多かったのは70.6%で「人脈」という結果でした。このことからも、案件獲得と人脈の幅は密接に関係していることがわかります。
参照元:フリーランス白書2023
特に、SAPコンサルタント人口はまだまだ少ないのが現状です。タイムリーな情報共有や、現状について相談することでモチベーションの維持にも繋がりやすくなります。セミナーや交流会への参加、SNSの活用もおすすめです。時間がない、人脈づくりが苦手という場合は、案件を獲得する方法でも既述したとおり、エージェントの活用も検討してみましょう。
SAPコンサルタントの需要と将来性
SAPコンサルタントの需要や将来性は明るいといえます。背景としては以下の事情が挙げられます。
一つ目に挙げられるのは「2025年の崖」です。パッケージのサポート終了に伴い、既存のレガシーシステムが移行できなかった場合のリスクや経済損失が懸念されている「2025年の崖」ですが、SAPも例外ではありません。既存製品である「SAP ERP 6.0」や「SAP Business Suite」などのサポートは当初2025年に終了するとされており、現在は2027年までサポート期間が延長されたものの、どちらにせよ残り数年間という短い期間で対応する必要があります。これらの問題に対処できる人材は需要が今後も需要が拡大していくことでしょう。
さらにいえば、SAPの後継製品である「SAP S/4HANA」への移行が推奨されているため、この領域でのシステム移行支援は需要が高いでしょう。SAP以外のERP製品へ移行するという選択肢はあるものの、現在国内で既にSAPを導入している企業は4,000社以上あるうえ、システムが巨大になっている大企業では、膨大な移行コストがかかるので他製品に移行するのは現実的ではありません。
以上の理由から、SAP既存製品の新規導入は減少する見込みですが、オンプレミスからクラウドへの移行や、導入後のリスク管理に関する案件は増えていく可能性があるといえるでしょう。
したがって、SAPコンサルタントの需給バランスを考慮すると、今後もニーズは安定し、案件単価も高いまま推移していくと予想されます。
SAPコンサルタントに関するよくある質問
ここでは、SAPコンサルタントに関するよくある質問に答えていきます。
Q. SAPコンサルタントの平均年収はいくらですか?
SAPコンサルタントの平均年収は約600万円です。SAP認定コンサルタント資格やSAPエンジニアとしての開発経験、SAPのプログラミング言語の知識量等によって年収は大きく変動します。
Q. SAPコンサルタントとSAPエンジニアの違いは何ですか?
SAPコンサルタントとは、SAPシステムの導入や運用サポートなど、コンサルティングやマネジメントの業務を行う仕事です。SAPエンジニアとは、クライアント企業に最適なモジュールの開発や、アドオンを開発する仕事です。
Q. SAPコンサルタントの市場価値が高い理由は何ですか?
SAPコンサルタントには業務知識・問題解決能力・ITスキルなどの高度な知識とスキルが求められます。そのため、希少性が高く、市場価値も高いです。
Q. SAPコンサルタントになるにはどんなスキルや知識が必要ですか?
問題解決力、提案力、SAPシステム導入やERP製品に関する知識、コミュニケーションスキル等が必要です。
Q. SAPコンサルタントとして働くために資格は必須ですか?
SAPコンサルタントとして働くために資格は必須ではありませんが、資格を持っていれば顧客からの信用につながりますし、転職する際に有利になる可能性があります。
※本記事は2023年10月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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※相場算出に個人情報の取得はおこないません。
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