BPRコンサルタントとは?仕事内容や必要なスキル、活躍の場 | レバテックフリーランス
BPRコンサルタントとは?仕事内容や必要なスキル、活躍の場
「BPRコンサルタントという職種があると知ったけど、具体的にどんな仕事をしているの?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、BPR(Business Process Re-engineering)コンサルタントの仕事内容について解説します。需要が高まっている理由や、目指すために必要なスキル、主な活躍の場も紹介するので、BPRコンサルタントに興味がある方はぜひご覧ください。
目次
BPRとは?
BPR(Business Process Re-engineering)とは、抜本的な業務改革のために、企業の組織構造や業務プロセスを見直し再設計することです。
企業にありがちな課題として、ビジネス環境の変化や年月の経過によって、部門ごとの分業化や専門化が進み、各部門の連携がとれなくなることがあります。そうなると、業務プロセスに分断が生じ、組織全体として業務が非効率になってしまうでしょう。BPRでは、このような状況を改善するために業務プロセスを根底から見直し改革を実現します。
BPRと一般的な業務改善との違いは、その範囲と深さにあります。業務改善が現状のプロセスをベースに、業務に関わる設備や人に対して部分的な修正を加えるのに対し、BPRは既存のプロセス全体を一度白紙に戻して再構築するのが特徴です。
BPRコンサルタントとは?
BPRコンサルタントとは、企業の業務プロセス改革を専門的に支援する職種です。
BPRコンサルタントの役割は、クライアント企業の業務を分析し、問題点を特定した上で、改善策を提案することです。改善策を実行するためのシステムやツールの導入も行い、クライアント企業の目的が達成されるまで支援を行います。
クライアント企業がBPRを実施する目的は、生産性の向上や経営資源の有効活用など多岐にわたります。BPRコンサルタントには、組織の既存の枠組みにとらわれない客観的な視点を活かして、クライアント企業の目標達成に貢献することが求められるでしょう。
BPRコンサルタントの需要が高まっている理由
BPRコンサルタントの需要が高まっている背景には、以下の要因があります。
- 国内市場の成熟により競合他社の商品やサービスとの差別化が難しくなっている
- 少子高齢化により働き手が少なくなっている
- DXを推進する企業が増えている
現在の成熟した国内市場では、商品やサービスの差別化が難しく、価格競争の激化から収益性が低下しがちです。そのため企業は、コスト削減や業務効率化を実現するBPR(業務改革)に注目しています。
さらに、少子高齢化で人材不足が深刻化する中、BPRコンサルタントの力を借り、業務の自動化や標準化で限られた人員でも成果を上げたいという企業も増えています。
また、近年多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する中で、既存のビジネスプロセスの見直しは避けて通れません。BPRによって業務の無駄を取り除いた上でDXを進めることで、デジタルツールをより効率的に実際の業務で活用できるようになるからです。
BPRプロジェクトの種類
BPRコンサルタントは、プロジェクト単位でクライアント企業の業務改革に関わります。BPRコンサルタントが参画するプロジェクトは、主に以下の3つです。
ビジネスモデル変革 | 企業が継続的に収益を上げるための仕組みを見直し、業績向上を目指す |
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オペレーション変革 | 業務フローや作業方法を見直し、業務遂行の効率化や品質向上を目指す |
キャパシティ変革 | 業務上受け入れ可能な数を増やし、キャパティの限界を変えることを目指す(キャパシティの例:ホテルや飲食店に入る客の数) |
BPRコンサルタントの業務の流れ
BPRコンサルタントの仕事は、クライアント企業の業務を分析し、明らかになった課題を改善することです。以下で、一般的な業務の流れを見ていきましょう。
なお、BPRはDXと混同されることがありますが、BPRが業務プロセスの最適化を目的とする一方、DXはビジネスモデルの変革を目的とするという違いがあります。DXの定義やDXコンサルタントについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
DX案件とはどんな内容?案件事例や単価、市場動向についても解説
1.対象業務の全体像を把握する
BPRコンサルタントの仕事の第一歩は、改革対象となる業務の全体像を把握することです。この段階では、業務フローを可視化し、各業務の目的や関係する部門、人員、使用しているシステムなどを明らかにします。
また、問い合わせ対応や顧客データの入力など、担当部門が曖昧になっている業務についても把握することが必要です。対象範囲となる業務が曖昧なままプロジェクトを進めると、関係者の間で認識がズレてプロジェクトが失敗に終わってしまいます。そのため、プロジェクトの初期段階で対象となる業務の範囲とBPRの目的を共有するようにしましょう。
2.業務内容を分析する
業務の全体像を把握したら、次は分析に入ります。この段階では、業務の問題点を特定します。
業務内容を分析する際は、経営者や各部門のリーダーなどから話を聞き、詳細な課題を把握することが求められます。外部の人間には一見無駄な業務に見えても、現場にとっては必要な工程が含まれている場合があるからです。
3.改善案を提案する
問題点が明らかになったら、次はそれを解決するための改善案を策定します。BPRコンサルタントは、BPRの目的を念頭に置いたうえで、新しいシステムの導入や業務プロセスの変更について検討していきます。
改善策を提案する際は、改善策の実行に関係する部署や担当者など、人員についての計画を立てることも必要です。
4.改善策を実施する
改善案が承認されたら、実際に改革を実行する段階に入ります。ITシステムを導入する場合は、BPRコンサルタントがベンダーの選定も行います。導入後にシステムが継続して活用されるよう、クライアント企業の業務に合わせて担当社員が理解しやすいマニュアルの作成を行うこともあるでしょう。
業務プロセスや使用するツールが今までと大きく変わる場合、従業員からの反発が起こる可能性もゼロではありません。そのため、BPRコンサルタントには、各部門のリーダーや従業員と良好な関係を築き、プロジェクトを障害なく進められる環境をつくることも求められます。
5.モニタリングを行う
改革の実施後は、その効果を継続的にモニタリングする段階に入ります。シミュレーションが成功したとしても、実際に施策を行った際に同様の効果が得られるとは限りません。
思ったような成果が得られない場合やトラブルが起きた場合は、ギャップが生じた原因を調査し、計画を調整します。調整を行った後もモニタリングと軌道修正を継続し、事前に定めたプロジェクトの完了時期にクライアント企業への成果報告を行います。
BPRコンサルタントに求められる4つのスキル
BPRコンサルタントとして業務改革を行うには、論理的思考力やコミュニケーション能力、プロジェクトマネジメントスキルなどが必要です。それぞれについて確認していきましょう。
1.論理的思考力
複雑な業務プロセスを分析し、問題の本質を見抜いて解決策を考えるうえでは、論理的思考力が不可欠です。論理的な思考力がないと効果的な対策を考えることができず、説得力のある提案を行えません。裏付けのない提案でクライアントが納得する可能性は低く、業務改革を進めることは難しくなってしまいます。
一方、現状を正確に分析したうえで導き出された改善策は説得力があり、実現性も高いものになるでしょう。
2.コミュニケーション能力
BPRコンサルタントには、クライアント企業の関係者と信頼関係を構築するコミュニケーション能力も必要です。
プロジェクトを進めるうえでは、クライアント企業の経営層や関連部署に説明や報告を行う機会があります。その際は、経営層から現場の担当者まで、さまざまな相手の立場を考えコミュニケーションを取ることが大切です。相手のレベルに合わせて、専門用語を多用しない資料を作成したり、プレゼンテーションを行ったりするスキルも必要でしょう。
3.プロジェクトマネジメントスキル
BPRコンサルタントには、プロジェクト計画の立案からスケジュールの設定、人員配置、業務の割り振りまで、幅広い業務をこなすマネジメント能力が求められます。遅延なくプロジェクトを進めるには、プロジェクトが計画通りに進んでいるかモニタリングし、必要に応じて調整を行うスキルも大切になってくるでしょう。
プロジェクトの規模が大きくなるほどマネジメントが必要な範囲は増え、より高度なマネジメントスキルが求められるようになります。
プロジェクトマネジメントスキルがあれば、PMやPMOコンサルタントを目指すことも可能です。それぞれの職種について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
プロジェクトマネージャー(PM)の役割とは?仕事内容や年収、なり方を解説
PMOコンサルタントとは?つまらないって本当?PMとの違いや単価相場を解説
3.経営とITの専門知識
BPRコンサルタントとして業務改革を実現するには、経営戦略に関する知識が必要です。さらに、現代のBPRはITツールの活用で業務効率化を図ることが多いため、ITシステムに関する知識も必要です。
ITの知識としては、ERP(Enterprise Resource Planning)システムの基本的な理解が求められます。ERPシステムは、会計管理システムや販売管理システムをはじめとする企業の各システムを統合し、それぞれのデータを効率よく管理するシステムのことです。BPRを行う際はERPを導入するケースが多いため、ERPに関する知識は必須と考えましょう。
ITを専門とするコンサルタントには、「ITコンサルタント」という働き方もあります。ITコンサルタントについては、以下の記事をご覧ください。
【エンジニアのプロ監修】ITコンサルタントとは?年収や資格・向いている人の特徴を解説
BPRコンサルタントになるのに役立つ資格
BPRコンサルタントとしてのキャリアを築くうえで資格は必須ではありませんが、専門性を証明するために以下の資格が役立ちます。
マーケティング・ビジネス実務検定 | 特定の業種・業界にとらわれないマーケティングの実践的な知識を証明する民間資格 |
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ITストラテジスト | 経営戦略に基づいてIT戦略を策定するスキルを証明する国家資格 |
ITコーディネータ | デジタル経営とDXを実現するプロフェッショナルであることを証明する民間資格 |
BPIE (Business Process Innovation Engineer) |
業務の可視化や分析、改善などのスキルを証明する民間資格 |
マーケティングの知識を身につけるなら、マーケティング・ビジネス実務検定がおすすめです。
IT技術の活用スキルを身につけたい場合は、ITストラテジストやITコーディネータを取得すると良いでしょう。この2つではITストラテジストの方が難易度が高いですが、経営とITに関する高度な知識を証明できます。
BPIEでは業務の可視化に必要なスキルが身につくため、BPRコンサルタントに求められる全般的な知識を習得するのに役立ちます。
BPRコンサルタントとして活躍できる場
BPRコンサルタントの活躍を紹介します。
- コンサルティングファーム
- BRR専門ベンダー
コンサルティングファームはBPRコンサルタントの代表的な活躍の場です。大手のコンサルティングファームであれば、大規模なプロジェクトに関わる機会が多く、多様な業界や企業の課題に触れられるでしょう。
また、BRR専門ベンダーで働く道もあります。BPRに特化したソフトウェアやソリューションを提供するベンダーでは、自社製品を活用したBPRコンサルティングサービスを提供していることがあります。BRR専門ベンダーでは、自社製品に関する専門知識を活かしてコンサルティングを行うのが特徴です。
このほかに、フリーランスのコンサルタントとして活動することもできます。フリーランスのコンサルタントは自分で案件を獲得する大変さがありますが、自分の裁量でプロジェクトを選定したり、働く場所や時間を決められたりするのがメリットです。
フリーランスのコンサルタントの報酬相場について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
業務委託コンサルタントになるために必要な準備は?報酬相場や契約書などを解説
※本記事は2025年9月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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※相場算出に個人情報の取得はおこないません。
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