フリーランスエンジニアの健康保険を解説。加入できる種類や保険料を抑える方法は?

フリーランスエンジニアは、健康保険への加入義務があります。国民健康保険への加入の他、会社の健康保険を任意継続や家族の扶養に入る選択肢があります。

そこで、ITフリーランスが加入できる各健康保険の特徴を解説。保険料が高いと感じる方に向けて、少しでも負担を抑える方法をまとめました。また、働けなくなった際やトラブルが生じた際に役立つ保険も紹介します。フリーランスエンジニアの保険選びに終止符を打てるのでぜひご覧ください。

初心者のフリーランスが気を付けるべきポイントについて知りたい方は、以下の記事を併せてお読みになるとよいでしょう。
【2023】フリーランス初心者におすすめの職種、案件の探し方、必要手続き

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フリーランスエンジニアが加入できる健康保険

フリーランスエンジニアも会社員と同様、公的医療保険への加入が義務となります。独立後は自分で手続きし、いずれかの保険に加入しなければなりません。

フリーランスエンジニアが選択できる保険の種類を解説するので、選択肢を把握しましょう。

国民健康保険

国民健康保険は、フリーランスエンジニアが加入する中で最も一般的な保険です。都道府県が運営を行い、保険料は所得に応じて算出されます。計算方法は自治体によって違うので、所得が同じでも住む地域で保険料が異なります。

会社を退職して国民健康保険に加入する場合は、退職日の翌日から14日以内の手続きが必要です。以下の書類を用意して、市区町村役場の窓口で手続きしましょう。

  • 健康保険資格喪失証明書
  • マイナンバーカードあるいは通知カード
  • 顔写真付きの本人確認書類(有効期限内の運転免許証やパスポートなど)

国民健康保険組合

都道府県知事の許可を受けて設立される国民健康保険組合は、同じ事業・業務に携わる人で構成されています。国民健康保険組合には、以下のようにいくつもの種類があります。

  • 東京都弁護士国民健康保険組合
  • 東京芸能人国民健康保険組合
  • 東京理容国民健康保険組合
  • 全国土木建築国民健康保険組合
  • 文芸美術国民健康保険組合

組合には誰でも入れるわけではなく、特定の職種に就いていたり、資格を取得していたりすることが条件となります。

ITエンジニアが加入できる可能性がある組合

ITエンジニアが加入できる可能性がある国民健康保険組合として、「文芸美術国民健康保険組合(文美国保)」があります。文美国保に加入するには、以下が条件です。

  • 日本在住で文芸・美術・著作活動を行っている
  • 文美国保の加盟団体の会員である

文美国保はクリエイターが入る健康保険組合なので、フリーランスエンジニアは基本的に加入できません。しかし、デザイン系の業務を行う方は加入できる場合があるので確認しましょう

会社員時代の健康保険(任意継続)

所定の手続き行えば、フリーランスエンジニアになってからも会社員時代の健康保険に加入できます。以下の条件を満たす場合は、任意継続の対象なので確認しましょう(協会けんぽの場合)。

  • 資格喪失日の前日までに、継続して2ヶ月以上の被保険者期間がある
  • 資格喪失日から20日以内に任意継続の手続きを行う

任意継続の期間は「任意継続被保険者」となってから2年間です。毎月の保険料を納付期限までに納付しないと資格喪失となるので注意してください。また、本人の申し出があれば期間中でも健康保険を脱退できます。

家族の扶養に入る

親や配偶者などの家族が健康保険に加入している場合、以下の条件を満たせば家族の扶養に入れます。

  • 自身の年間収入が130万円未満かつ家族の年間収入の半分未満

詳しい条件は家族が加入する健康保険組合に確認しましょう。年収130万円をひと月で考えると、月の収入の目安は10万円程度です。そのため、扶養に入るのは主婦(主夫)として活動しながら、少しだけフリーランスエンジニアをしている人におすすめの方法です。

 

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フリーランスエンジニアが健康保険料を抑える方法

会社員は保険料を会社が折半してくれますが、フリーランスエンジニアは全額自分で負担しなければなりません。そのため、独立後は「保険料が高い」と感じる人も多いでしょう。

保険料を抑えるには、加入できる国民健康保険組合があるか、保険料の軽減・減免制度の対象になるかをチェックしましょう。ほかにも保険料を抑える方法を紹介するので、保険料をお得にしたい方は参考にしてください。

国民健康保険組合に加入する

国民健康保険は所得に応じて保険料が変わりますが、国民健康保険組合は保険料が一律です。所得によっては国民健康保険組合に加入することで保険料を抑えられます。

デザイン領域の仕事もするフリーランスエンジニアは、文芸美術国民健康保険組合に加入できないか確認しましょう。文美国保の場合、保険料は組合員一人あたり月額 24,800円。満40歳から64歳までの被保険者は、介護保険料月額5,700円も納めます。

保険料の軽減・減免制度を利用する

一定の所得を下回る世帯では、国民健康保険料が軽減される制度があります。所得が判明すれば自動で軽減されるので申請は不要ですが、所得状況が判定できるよう確定申告を行いましょう

また、火災などの事情で保険料の納付が困難な場合は、減免や納付猶予を受けられる可能性があります。対象になりそうな方は、市町村役場の国民健康保険窓口に相談しましょう。

保険料が安い自治体に移住する

国民健康保険料は地域で異なるため、保険料が安い自治体に移住する方法もあります。特に、家族が多い世帯では、住む地域によって年間数十万円の違いが出る場合もあります

フリーランスエンジニアは居住地にとらわれない働き方ができるので、保険料が安い自治体に移住する選択肢も頭に入れると良いでしょう。

青色申告で確定申告を行う

青色申告で確定申告をすれば、所得税を節税でき、健康保険料の金額も抑えられます。

確定申告には「青色申告」と「白色申告」があり、青色申告の方が節税効果が大きいです。白色申告には税制上の優遇措置はなく、青色申告は条件を満たせば最大で65万円の控除を受けられます

青色申告は白色申告に比べると、提出書類の種類が多く書き方が難しいとされています。会計ソフトを使えば作業を効率化できるので、節税したい方には青色申告がおすすめです。青色申告について詳しくは、以下の記事をご覧ください。
青色申告とは?やり方や白色申告との違いを解説

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フリーランスエンジニアが万一に備える方法

会社員と比べて社会保障が手薄なフリーランスエンジニアは、公的医療保険の加入以外にも万一への備えをしておくと安心です。

ITフリーランスは、商工会議所の休業補償制度や労災保険を利用できます。仕事上のトラブルに備えたい場合は、民間の損害賠償保険に加入しましょう。

怪我や病気への備えを手厚くするためにも、フリーランスエンジニアが活用できる制度や保険を解説していきます。

商工会議所の休業補償制度を利用する

商工会議所は、一定地域の中小企業や個人事業から構成される総合経済団体です。商工会議所の会員になると、休業補償制度を利用できるため加入を検討すると良いでしょう。

また、各商工会議所では会員向けのセミナーや福利厚生、資金繰りの相談といったサービスを展開しています。会員になったら、休業補償以外にも自分に合った経営支援サービスを活用しましょう。

所得補償保険・就業不能保険に加入する

所得補償保険や就業不能保険は、病気や怪我で働けなくなった際に備える民間の保険です。

会社員が加入する健康保険では、病気や怪我で働けなくなった際に「傷病手当金」を受け取れます。しかし、多くのフリーランスエンジニアが加入する国民健康保険には、傷病手当金の制度はありません

十分な貯蓄がなく療養が長期におよぶ場合、困窮するリスクも出てくるでしょう。働けなくなるリスクが心配な方は、所得補償保険や就業不能保険に加入するべきです。

損害賠償保険に加入する

損害賠償保険とは、情報漏洩や著作権侵害、納品物の欠陥により、クライアントから損害賠償を請求された際に備える保険です。フリーランスエンジニアとして活動していると、次のトラブルリスクがあります。

  • パソコンを盗まれ顧客の情報を漏らしてしまった
  • 病気や怪我で納期に遅れてしまった

場合によっては、数百万という額を請求される可能性もあります。万一に備えるために、できれば損害賠償保険に加入しましょう。

労災保険に加入する

労災保険は、仕事や通勤中に災害に遭った際に補償を受けられる公的制度です。原則、企業に雇用される労働者が対象ですが、近年はフリーランスエンジニアも特別加入できるようになりました。

システムエンジニアやプログラマー、テストエンジニア、プロジェクトマネージャーなど幅広い職種が対象です。加入したい場合は、ITフリーランスの特別加入団体として承認されている団体を通じて申し込みを行いましょう。

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年金保険もフリーランスと会社員で違うので注意

年金保険もフリーランスエンジニアと会社員エンジニアでは違いがあります。会社員エンジニアは厚生年金に加入しますが、フリーランスエンジニアは国民年金に加入します。受給額は異なり、厚生年金に加入している会社員の方が将来受け取れる年金額が多いです。

そのため、フリーランスエンジニアは国民年金にプラスアルファの制度を活用して将来の年金額を増やすべきです。フリーランスが活用できる制度の具体例を紹介します。

  • 国民年金基金
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)

国民年金基金は、国民年金保険料に上乗せした額を支払うと年金額を増やせる制度です。iDeCoは、掛け金を運用して資産形成を行い、老後に給付金として受け取る制度です。

フリーランスの老後対策について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスは厚生年金に入れない?老後の年金額を増やす方法とは

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フリーランスエンジニアの健康保険に関するよくある質問

フリーランスエンジニアになると、会社員時代と加入する健康保険の種類が変わります。フリーランスエンジニアは自身で加入手続きをする必要があるため、加入できる保険の選択肢を知っておきましょう。

そもそも加入は義務なのか、保険料を抑える方法はあるのかなど、健康保険についてありがちな疑問に回答します。健康保険の正しい知識を身につけ、万一の病気や怪我に備えましょう。

Q. フリーランスエンジニアの健康保険加入は義務?

すべての日本国民は、いずれかの公的医療保険に加入する義務があります。保険料が支払えない際は軽減や減免制度もあるので、フリーランスエンジニアも必ず保険に加入しましょう。

Q. フリーランスエンジニアが加入できる健康保険は?

一般的には、都道府県が運営を行う「国民健康保険」に加入します。条件を満たせば、退職前に勤務先で加入していた健康保険を任意継続することも可能です。また、業務内容によっては、同種の事業や業務に携わる人で組織される国民健康保険組合に加入できます。

Q. フリーランスエンジニアが健康保険料を安く抑えるには?

国民健康保険の保険料は地域によって変わるため、保険料が安い自治体に移住することで保険料を抑えられます。また、所得に関わらず保険料が一律の国民健康保険組合に加入することで、保険料が安くなる場合もあるでしょう。

※本記事は2023年8月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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