フリーランスは厚生年金に入れない?老後の年金額を増やす方法とは | レバテックフリーランス
フリーランスは厚生年金に入れない?老後の年金額を増やす方法とは
厚生年金に加入できるのは、基本的に会社員の間です。退職したら、国民年金の切り替え手続きを行う必要があります。国民年金のみに加入するフリーランスは、厚生年金に加入する会社員と比べて、老後に受給できる年金額が低いです。老後を安心して過ごせるよう、今から対策すると良いでしょう。
この記事では、国民年金と厚生年金の違いや、国民年金の切り替え手続きのやり方について解説。受給できる年金額を増やす方法も紹介しています。フリーランスになった後の年金が気になっている人は、ぜひお読みください。
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フリーランスは厚生年金に入れない?

会社員の間は基本的に「厚生年金」に加入できます。では、退職してフリーランスになったらどうなるのでしょうか?
会社を退職したら厚生年金に加入できなくなる
厚生年金に入れるのは、原則として会社員の間だけです。退職したら、基本的に厚生年金の加入資格を失います。日本国内に居住する20歳以上60歳未満の人は国民年金に加入する義務があるため、厚生年金の加入資格を失った人も、国民年金には加入し続けることになります。
厚生年金と国民年金の違い
厚生年金と国民年金には、大きく以下の違いがあります。
年金の受給額
厚生労働省が発表した「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)受給権者の平均年金月額は14万3,761円で、厚生年金保険の被保険者期間を有しない「基礎のみ共済なし・旧国年」の国民年金受給者の平均年金月額は、受給資格期間が25年以上の場合で5万520円となっています。
参照 : 厚生労働省「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
上記のデータからも分かるとおり、厚生年金に加入していた場合のほうが年金の受給額は高くなります。
保険料の支払い額
厚生年金は所得額が多ければ支払う金額も多くなる仕組みです。多く支払った分、受給できる年金額も多くなります。
一方、国民年金の支払い額は年度ごとに定額です。令和3年(2021年)度の国民年金保険料は、一律1万6,610円です。
保険料の自己負担額
厚生年金に加入している会社員は、保険料を従業員と会社で折半して納付します。
それに対し、国民年金のみに加入しているフリーランスは、基本的に全額自己負担で保険料を納付します。
関連記事 : フリーランスなら押さえておきたい!今さら聞けない「税金・保険・年金」のキホン
厚生年金から国民年金への切り替え手続き
厚生年金の資格喪失手続きは会社側で行ってくれます。ここで注意したいのは、国民年金の切り替え手続きは自分で行う必要がある点。会社を退職したら、自分で必要書類を揃えて手続きしなければなりません。
先述のとおり、国民年金への加入は任意ではなく義務です。自動で切り替えされないからといって放置せず、期日内に指定の方法で必ず切り替え手続きをしましょう。
手続きの場所
国民年金の切り替え手続きは、市区町村役場の国民年金窓口、年金事務所などで行います。また一部の自治体では、郵送で手続きできることもあるようです。
必要書類
手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 基礎年金番号を確認できる書類(年金手帳、もしくは基礎年金番号通知書)
- 厚生年金の資格喪失日を証明できる書類(離職票、健康保険喪失証明書、退職証明書など)
参照 : 厚生労働省「【国民年金】加入・喪失・変更 必要書類リスト」
退職を証明する書類は、退職時に勤務先の会社から受け取りましょう。
手続きの期限
国民年金の切り替えは、原則として退職日の翌日から14日以内に行うこととされています。「退職後にしか手続きできないなら、退職してから準備しよう」と思っていると、必要書類がすぐに発行されず焦ることも。書類の準備は早めに行いましょう。
国民年金保険料免除制度とは
国民年金には、保険料の納付が困難な人を対象とした「免除制度」や「猶予制度」があります。所得が一定以上ある人は利用できないため、会社を退職してすぐに独立開業しようと考えている人は利用できないことが多いですが、知識として知っておいて損はないでしょう。
免除制度
日本年金機構の公式Webページによれば、免除制度を申請できる要件は以下のとおりです。
「所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合」
申請が受理された場合、免除額は「全額」「4分の3」「半額」「4分の1」の4段階で指定されます。全額免除の申請が認められた期間については、保険料を全額納付した場合の2分の1の金額が受給可能です。なお免除額に応じて、受給できる年金額の割合は異なります。
参照 : 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
猶予制度
同じく日本年金機構の公式Webサイトによれば、猶予制度の申請要件は以下のとおりです。
「20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請される場合は前々年所得)が一定額以下の場合」
申請が受理された場合、要件を満たしている限り猶予期間を継続できます。ただし、猶予された期間の年金は、将来の受給額に反映されません。
免除制度や猶予制度で未納分の年金は、あとから「追納」することができます。追納ができるのは「追納が承認された月の前10年以内の免除等期間」に限られています。
参照 : 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
関連記事 : 健康保険・年金の切り替え手続き
フリーランスが老後の年金額を増やすには?

国民年金のみに加入するフリーランスは、厚生年金に加入する会社員と比べて、老後に受給できる年金額が少ないです。仮に40年間継続して年金を支払った場合、国民年金で受け取れる金額は2020年時点で月6万5000円程度。病気のリスクなども考えると、年金だけで老後を過ごすのは難しいと考えられます。
参照 : 国民年金機構「令和2年4月分からの年金額等について」
この項では、老後に受け取る年金を増額するための方法をご紹介します。
国民年金基金に加入する
国民年金基金は、厚生年金に加入していないフリーランスや個人事業主といった国民年金第1号被保険者が対象の、公的な年金制度です。国民年金保険料に上乗せして支払うことで、受給できる年金額を増やせます。
参照 : 国民年金基金連合会
また、掛け金は全額が社会保険料控除の対象になるため、節税効果が期待できます。
参照 : 国税庁「No.1130 社会保険料控除」
付加年金に加入する
「付加年金」は、国民年金機構が運営する公的な年金制度です。毎月400円の付加保険料を支払うことで、受給できる年金額を増やせます。国民年金機構の公式Webサイトに「2年間でモトが取れます!」とあるとおり、付加年金は2年以上納めることで元手以上の年金額を受け取れます。
加入対象は、国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者。ただし国民年金基金に加入している人は対象外なので注意してください。
参照 : 国民年金機構「付加保険料の納付のご案内」
iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入する
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛け金を運用することで資産形成し、老齢給付金として受け取れる制度です。金融商品を選んだら、あとは自動で運用してくれるため、資産運用の専門的な知識は要りませんが、場合によっては元本割れのリスクもあるので商品選びは慎重に行いましょう。掛け金の金額は月単位、年単位などで柔軟に変えられます。
参照 : イデコ公式サイト|個人型確定拠出年金iDeCo【公式】
国民年金基金と同じく、掛け金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象なので、節税効果が期待できます。
参照 : 国税庁「No.1135 小規模企業共済等掛金控除」
小規模企業共済に加入する
小規模企業共済は、個人事業者のための退職金のような制度です。上記で紹介した3つの年金制度は「60歳以上」など一定の年齢に達したときに支給されるのに対し、小規模企業共済は退職金の側面が強いため、退職後・廃業後に積立金を受け取れます。掛け金は加入後自由に変更可能。こちらも掛け金は全額小規模企業共済等掛金控除の対象です。
参照 : 小規模企業共済|小規模企業共済(中小機構)
関連記事 : フリーランスが将来・老後のマネープランを考えるときに知っておきたいこと
フリーランスの厚生年金に関するよくある質問
ここでは、フリーランスの厚生年金に関するよくある質問に答えていきます。
Q. 厚生年金から国民年金への切り替えする際にどのような手続きが必要ですか?
厚生年金から国民年金への切り替え手続きは、市区町村役場で行います。退職日を証明できる書類や年金手帳等の書類が必要になります。また、住んでいる地域によって異なるので詳しくは自治体のHPをご確認ください。
Q. フリーランスが年金額を増やすにはどんな方法がありますか?
フリーランスが年金額を増やす方法は、個人型確定拠出年金への加入や、自己申告による付加年金の納付、年金受給開始年齢の引き上げなどがあります。
Q. 国民年金の免除制度を利用するには、どのような条件を満たす必要がありますか?
所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人から申請書を提出し、申請後に承認されると国民年金の納付が免除できます。
Q. 国民年金基金に加入することでどんな節税効果がありますか?
民間で加入する個人年金の場合(平成24年1月以降に契約したもの)、年額で最大4万円までしか所得控除されませんが、国民年金基金の場合、支払った金額は全て所得控除の対象となります。よって、所得税や住民税の負担が軽減されます。また、国民年金基金から受け取る年金は、雑所得の公的年金控除が適用されます。
Q. 免除や猶予制度で未納分の年金は、後から追納することはできますか?
免除や猶予制度で未納分を後から追納することは可能です。追納することにより、老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。また、社会保険料控除により、所得税・住民税が軽減されます。
※本記事は2020年12月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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