ネットワークエンジニアの必要スキルは?勉強方法やスキルシートの記入例も | レバテックフリーランス
ネットワークエンジニアの必要スキルは?勉強方法やスキルシートの記入例も
ネットワークエンジニアとは、コンピューター同士をつなぐネットワークの設計・構築・運用保守を担う専門性の高いエンジニアのことです。ネットワークエンジニアには、ネットワークに関する知識はもちろん、セキュリティ、クラウド、IoTといった新しい技術の知識や技術力、コミュニケーション能力、マネジメント能力などの幅広いスキルが必要です。
ネットワークエンジニアに必要なスキル
ネットワークエンジニアには、ネットワークはもちろんのこと、ネットワークを構築・保守するにあたり、必要な周辺知識に関する高い専門性を求められますが、具体的にどのようなスキルが必要なのでしょうか。ネットワークエンジニアに必要なスキルの例は、以下のとおりです。
- ネットワーク設計スキル
- ネットワーク構築スキル
- ネットワーク運用スキル
- ネットワーク保守スキル
- セキュリティの知識
- クラウドの知識
- IoTの知識
- コミュニケーションスキル
- プロジェクトマネジメントスキル
それぞれのスキルについてご説明します。
ネットワーク設計スキル
ネットワーク設計とは、ネットワークを利用するユーザーの要件をヒアリングし、仕様をまとめて設計書を書き起こしていく工程です。ネットワーク設計は、大きく分けて以下の3種類の設計を行います。
- ネットワーク論理設計
- ネットワーク物理設計
- ネットワーク運用設計
ネットワーク論理設計では、IPアドレス、サブネットの取り決め、通信要件ごとの経路選択を行うルーティング設計など、ネットワークの目に見えない部分の設計を行います。
ネットワーク物理設計では、要件に応じて、ルーターやスイッチなどネットワーク機器の台数を決め、物理的な配置やケーブルの接続構成などを定めて構成図を作成します。
また、ネットワーク機器を構築するための設計だけではなく、ネットワークを維持するための状態監視、運用・保守作業を定め、故障が発生した場合の対応方法などを設計するネットワーク運用設計も必要です。
ネットワーク設計では、ネットワークの知識に加え、論理的思考力、ドキュメンテーションスキル、ユーザーと設計内容の合意を取るスキルなどが求められます。
ネットワーク構築スキル
ネットワーク構築とは、ネットワーク設計で作成した設計書に従って、必要なネットワーク機器、回線、ケーブル類を調達・設置・配線し、設定を行う工程です。ネットワーク構築は、大きく分けて以下の2種類の作業を行います。
- ネットワーク機器設置
- ネットワーク機器設定
設計書に従って、必要となるネットワーク機器やケーブル類を調達し、所定の場所への設置・配線を行います。その後、設置したネットワーク機器それぞれに対し、設計書通りの仕様となるように必要な設定を入れていきます。
ネットワーク構築では、サーバーやストレージなどに先立って構築を行う必要があるため、機器調達、工事のスケジュール調整、作業順序の組み立てを行う計画性が必要です。また、ネットワーク機器を設定するスキルはもちろん、作業の監督や機器故障があった場合の対応など、さまざまな作業を取りまとめるスキルも求められるでしょう。
ネットワーク運用スキル
ネットワーク運用とは、構築されたネットワークが正常に動作し続けられるよう、ネットワークの回線や機器の状態監視を行う工程です。ネットワークの通信性能に異常がないことを確認するため、性能情報をチェックします。
ネットワーク機器に何らかの異常や性能問題が発生した場合は、速やかに保守チームへの連絡・連携を行い、対応をサポートするスキルが必要となります。
ネットワーク保守スキル
ネットワーク保守とは、導入したネットワーク機器が継続的に使用し続けられるようにメンテナンスや障害対応を行う工程です。
具体的には、ネットワーク機器のOSやファームウェアに対し、セキュリティ問題を防止するためのセキュリティパッチ、不具合があった場合の修正パッチを適用します。また、障害が発生し、ネットワーク機器が正常に動作しなくなった場合は、原因解析を行い、速やかに機器の切り替え、再起動、場合によっては設定変更などを行います。
ネットワーク機器の動作仕様を正しく理解し、障害時は迅速な原因解析や対応作業を行うスキルが求められる重要な仕事です。
セキュリティの知識
ネットワークエンジニアには、セキュリティに関する知識が必要です。システムが持つ情報資産(データ)には、個人情報などの重要なデータが含まれる場合があります。このような重要データを、悪意を持つ第三者からのサイバー攻撃、内部犯行による情報漏えい、データ破壊から守る必要があります。
こうしたサイバー攻撃や内部犯行はネットワークを介して行われるため、適切なセキュリティを確保したネットワークを設計することはとても重要です。
不正アクセスを防止するためのアクセス制御、不正アクセス時の証跡確保、OSセキュリティ、暗号化、ファイアウォールなど、ネットワークセキュリティの実装スキルが必要です。
クラウドの知識
クラウドの知識とは、AWS(Amazon Web Service)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)などのパブリック・クラウドに関する知識を指します。
クラウドは、そのコストパフォーマンスの高さと調達スピードの速さから、多くの企業で導入が進んでいます。総務省の「令和2年版情報通信白書」によると、2019年時点で企業の約6割が何らかのクラウドサービスを利用しており、IT業界においても従来のオンプレミスからクラウドへの移行がトレンドとなっています。
※参考 : 総務省|令和2年版 情報通信白書|企業におけるクラウドサービスの利用動向
ネットワークエンジニアは、今後クラウド上のネットワーク構築の仕事が増えると考えられるため、AWS、Microsoft Azure、GCPなどの使用率の高いクラウドの仕様を理解しておく必要があるでしょう。
IoTの知識
IoTとは、「Internet of Things」の略称で、直訳すると「モノのインターネット」となります。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などのITデバイス以外の「モノ」(家電製品や自動車など)をインターネットに接続し、データのやりとりを行うことを意味しています。
「令和2年版情報通信白書」によると、IoTデバイスは「医療」「産業用途」「コンシューマ」「自動車・宇宙航空」といった分野を中心に急速に普及しており、IoT業界は成長が期待できるといえます。
※参考 : 総務省|令和2年版 情報通信白書|IoTデバイスの急速な普及
IoTの実現には、ネットワークエンジニアの力が必要です。デバイスをネットワークに接続し、セキュリティを確保しながら適切に管理を行うノウハウは、これからのネットワークエンジニアに必要な知識となるでしょう。
コミュニケーションスキル
ネットワークエンジニアの仕事は、1人で行えるものではありません。チームを組み、サーバーエンジニアやプロジェクトマネージャーと何度も打ち合わせを行い、綿密に計画を立てながら作業を行います。問題が発生したら、プロジェクトマネージャーやユーザーへの報告、相談も必要となります。
このように、ほかのメンバーやユーザーと良好な関係を築き、足並みをそろえてスムーズに開発を行うためにも、ネットワークエンジニアにとってコミュニケーションスキルは重要です。
プロジェクトマネジメントスキル
プロジェクトマネジメントは、プロジェクトマネージャーの仕事であると思われるかもしれません。しかし、範囲が限定的ではあるものの、ネットワークエンジニアはチームを組んで開発を行うため、プロジェクトマネジメントスキルが必要です。
また、企業や自治体などの本社ビル、庁舎、データセンター内など、大規模なネットワーク構築プロジェクトになると、ネットワークエンジニアのみでメンバーが構成される場合もあります。このような場合は、ネットワークエンジニアがプロジェクトマネージャーを務めることになります。
関連記事 : ネットワークエンジニアとは? 仕事内容や年収、スキルなどを解説
ネットワークエンジニアの勉強方法
ネットワークエンジニアは、ITインフラの根幹となるネットワークを扱う専門性の高いエンジニアのことです。一人前のネットワークエンジニアになるためには、どのような勉強方法があるのでしょうか。以下、ネットワークエンジニアの勉強方法をいくつかご紹介します。
- 本やWebサイトで独学する
- ネットワークエミュレータで勉強する
- スクールに通って勉強する
- 資格取得を目標に勉強する
本やWebサイトで独学する
本やWebサイトを使って独学することは、ネットワークエンジニアの勉強方法として最もスタンダードな方法です。ネットワークに関する本は数多く出版されており、ネットワークエンジニアが身につけるべきネットワークの知識が体系的に整理されています。本では理解しにくかった箇所を、Webサイトで補完する方法がおすすめです。
また、ITの技術は、常に新しい技術がアップデートされていますので、ネットワークエンジニアに限らず、ITエンジニアは独学する習慣を身につけておきたいところです。
本やWebサイトを選ぶ際には、記載されている説明が自分にとって理解できる内容のものを選び、数回読み込んで理解が深まったら、次のレベルの本やWebサイトへと移行しましょう。
ネットワークエミュレータで勉強する
ネットワークのスキルを身につけるには、実際にネットワーク機器を触ることが最も近道といえます。しかし、なかなか実機を触る機会がないかもしれません。そこでおすすめなのは、ネットワークエミュレータを使って勉強することです。
「Cisco Packet Tracer(パケットトレーサー)」などのネットワークエミュレータを使うことで、パソコン上に仮想的なネットワークを構築して試すことが可能です。ドラッグ&ドロップなどの簡単な操作でネットワーク機器の配置、ケーブル接続、IPアドレスの割り振りなどのシミュレーションを行うことができます。
スクールに通って勉強する
スクールに通い、勉強することもひとつの方法です。プログラミングスクールの中には、ネットワークエンジニアを養成するコースを設けているスクールもあります。
ネットワーク有識者に直接教えてもらうことで、短期間でネットワークの知識を身につけられるメリットがあります。料金が高過ぎず、メンター制度があり、フォローアップがしっかりしているスクールを選ぶことがポイントです。
資格取得を目標に勉強する
ネットワークに関する認定資格の勉強をすることも効果的です。ネットワークに関する資格は、ネットワークエンジニアの業務知識として必要な知識を網羅的かつ体系的に学ぶことができ、転職時などにも対外的にスキルの証明ができるというメリットがあります。ネットワークに関連する代表的な資格は、以下のとおりです。
- CCNA(シスコ技術者認定試験)
- ネットワークスペシャリスト試験
- AWS認定高度なネットワーキング-専門知識
それぞれの資格について、ご説明します。
CCNA(シスコ技術者認定試験)
「CCNA(Cisco Certified Network Associate : シスコ技術者認定試験)」は、世界最大手のネットワーク関連機器メーカーであるシスコシステムズ社が実施するネットワークの技能を認定する試験で、ネットワークエンジニアの登竜門ともいえる資格です。
シスコ社のネットワーク機器は、業界のデファクト・スタンダードになっているため、CCNAの知識を身につけると、さまざまな開発現場で役立つ汎用的なスキルとなります。
試験対策本や問題集も多数出版されているため、試験勉強がしやすいでしょう。CCNAの公式サイトからE-Learningの有料トレーニングを受けることも可能です。
※参考 : CCNA 認定とトレーニングプログラム - Cisco
ネットワークスペシャリスト試験
「ネットワークスペシャリスト試験」は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する「情報処理技術者試験」の試験区分のひとつで、高度IT人材としてのネットワークの専門知識を認定する資格です。
ネットワークシステム開発における、企画・要件定義・設計・構築・運用・保守とすべての工程についての知識を問われます。そのほか、ネットワークサービス、ネットワークアプリケーション、ネットワーク関連の法規、規格などについても出題されます。
2019年の合格率は14.4%となっており、難易度の高い資格といえます。合格には学習だけではなく、実務経験も必要となるでしょう。一人前のネットワークエンジニアとして認められるためにも、ぜひ取得しておきたい資格です。
試験対策では、市販の参考書や問題集を利用する方法が一般的です。公式サイトから過去問題をダウンロードできるので、こちらも合わせて利用しましょう。
※参考 : IPA 独立行政法人 情報処理推進機構 : 制度の概要 : ネットワークスペシャリスト試験
AWS認定高度なネットワーキング-専門知識
「AWS認定高度なネットワーキング-専門知識」は、AmazonのクラウドサービスであるAWS(Amazon Web Service)の専門知識を証明する資格です。クラウド時代のネットワークエンジニアは、チャレンジしておきたい資格です。
2021年4月時点で、AWS認定資格は全12種類が用意されており、AWSの設計者、運用担当者、開発者の役割と、技術の専門分野ごとに資格が分かれています。
「AWS認定高度なネットワーキング-専門知識」は、AWSのネットワーク技術に特化した高度な専門知識を問われる資格で、AWSを活用したネットワーク設計と実装、AWS タスクの自動化、AWSのアプリケーションサービス、AWSのセキュリティなどが出題されます。
勉強方法としては、公式サイトから無料のデジタルトレーニングを受ける方法があります。
※参考 : AWS 認定 高度なネットワーキング – 専門知識
関連記事 : 未経験からネットワークエンジニアになるには|求人状況や転職方法を紹介
ネットワークエンジニアのスキルシート
スキルシートとは、ITエンジニアの職務経歴書の一部となるもので、自分が持っているスキルと経験を書き出し、就職や転職時に提出するための資料です。ネットワークエンジニアのスキルシートに書く主な内容は、以下のとおりです。
- 職務経験
- 保有技術
- 得意分野
- 自己PR
各項目についてご説明します。
職務経験
職務経験とは、これまでネットワークエンジニアとして働いてきた経験をまとめたものです。勤務先ごとに以下のような内容を時系列で書き出します。
- 経験した業務・プロジェクト
- 業務上の役割・立場
- 担当した工程・フェーズ
- 具体的な業務内容
- 経験した製品・技術
- 成果・実績
企業は職務経験を見て、ネットワークエンジニアとしての業務上の立場、役割、経験した開発工程(設計・構築・保守)などを確認し、募集しているポストに見合う経験とスキルを持つ人材かどうかを判断します。
記入例
A銀行システム開発プロジェクト (20xx年xx月 – 20xx年xx月)
【業務の概要】
A銀行のオンラインシステム更改案件におけるネットワーク設計・構築・試験の実施および運用保守を実施
【役割】
・ネットワーク設計チームのサブリーダー
・ネットワーク保守チームのリーダー
【担当工程・フェーズ】
基本設計、詳細設計、構築、結合テスト、運用保守
【業務内容】
・行内ネットワーク開発における設計、構築、テスト
・行内ネットワーク運用保守作業の取りまとめ
・顧客との調整
【経験した製品・技術】
・xx社製L3スイッチ(製品名称)
・xx社製L2スイッチ(製品名称)
・xx社製ロードバランサー
【成果・実績】
・xxカ月の期間で24台のネットワーク機器の構築とカットオーバーを達成
・運用保守において自責トラブル0件を達成
保有技術
保有技術には、自身が持っているネットワークエンジニアとして経験した製品、技術、経験年数、レベルを表形式などで書き示します。また、資格記入欄がなければ、資格名を記入しても良いでしょう。企業は保有技術を見て、ネットワークエンジニアとしてのスキルの深さや幅広さを判断します。
記入例
項目 | 製品・技術 | 経験年数 | レベル |
---|---|---|---|
OS | RedHat Enterprise Linux | xx年xxカ月 | 手順書を基に構築が可能 |
クラウド | Amazon Web Service | xx年xxカ月 | AWS上のネットワーク設計・構築が可能 |
ネットワーク機器 | xx社製L3スイッチ | xx年xxカ月 | 設計・構築が可能 |
xx社製L2スイッチ | xx年xxカ月 | 設計・構築が可能 | |
xx社製ロードバランサー | xx年xxカ月 | 設計・構築が可能 | |
プロトコル | HSRP | xx年xxカ月 | 設計・設定が可能 |
OSPF | xx年xxカ月 | 設計・設定が可能 | |
BGP | xx年xxカ月 | 基本的な設定が可能 | |
VLAN | xx年xxカ月 | 設計・設定が可能 |
得意分野
得意分野には、自身が持っているネットワークエンジニアとしてのスキルのうち、特にアピールしたい得意な分野を書き示します。「これだけは人に負けない」と思う技術、製品、経験しにくい大規模なネットワークの構築経験など、他のエンジニアとの差別化ポイントをアピールしましょう。
企業は得意分野を見て、ネットワークエンジニアとしての個性を確認します。もし得意分野が募集ポストにぴったり適合する場合には、採用率が高まる可能性があります。
記入例
- Cisco社製品(WAN/LAN問わず)を用いたネットワーク設計、構築
- AWSを用いたネットワーク設計、構築
- 約xx名規模のプロジェクトでのリーダー・マネジメント業務
自己PR
自己PRには、応募先の企業に対して自分をアピールするための文章を記入します。応募先企業の事業を理解し、過去の経験から、自分を採用するメリットや入社後に貢献できることをアピールしましょう。
企業は自己PRを見て、会社の事業や特色を正しく理解しているかどうか、採用した場合に会社にどのようなメリットがあるのかといったことを判断するため、大事なポイントとなります。
記入例
<Cisco製品を軸とした幅広いテクニカルスキル>
Cisco製品を用いたネットワークの設計・構築を得意としており、xx台規模の大規模なネットワーク設計の経験もあります。また、Cisco製品だけでなく、Linux OSや負荷分散装置の設計・構築、AWSのネットワーク設計・構築など、さまざまな開発を経験しており、幅広い技術を身につけています。
貴社へ入社後は、これまでの経験を生かしてCisco製品の開発で活躍しつつ、クラウドのスキルをさらに磨き、AWSだけでなく、AzureやGCPといったマルチクラウドの技術を身につけて開発や保守に貢献したいと考えています。
関連記事 : ネットワークエンジニアのキャリアパス|転職するならゼネラリスト?スペシャリスト?
最後に
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