業務委託を初めて受けるときに知っておきたいこと。契約書の注意点は?

業務委託を初めて受けようとする際は、業務委託とはどのようなものかということや、業務委託で結ばれる契約の種類を把握することが大切です。本記事では業務委託の概要をはじめ、メリット・デメリットや受託時に確認すべき点を解説します。「業務委託に興味があるけれど、知識がない…」「業務委託で働いてみたい」という方は、ぜひ参考にしてみてください。

■この記事の監修

福谷陽子 ライター/元弁護士

10年間の弁護士実務経験後、ライターへ転身。多くの法律専門記事の執筆や監修、編集を手掛ける。
難しい法律を誰にでもわかるように、法律や弁護士のハードルを下げて万人がアクセスできる社会を目指している。

目次

業務委託とは

業務委託とは、企業や組織などが外部の第三者に特定の業務を委託することをいいます。会社員とは違い、企業と個人が対等の立場で取引するのが特徴です(※個人ではなく企業が受託するケースもあります)。「業務委託契約」という言葉もしばしば用いられますが、契約形態の一つとして民法で規定されているわけではありません。

業務委託とフリーランスの違い

フリーランスといえば、特定の企業や団体に所属せず、自らのスキルや専門知識を拠り所としながら案件を得て働く人を指すのが一般的です。ただし、中小企業庁が発行した「2019年版小規模企業白書」によると、フリーランスに明確な定義はないとされます。
業務委託にも明確な定義はありませんが、基本的には前述のとおり、特定の業務を第三者に委託することを指す用語です。

参照 : 中小企業庁「2019年版小規模企業白書」

業務委託で結ばれる契約

業務委託が行われる際、主として「委任(準委任)契約」または「請負契約」あるいはその混合型の契約が締結されます。

委任(準委任)契約

委任(準委任)契約は、受託者が業務を遂行することにより報酬が支払われる契約形態です。法律行為を扱うときの契約は委任、それ以外の業務を扱う契約は準委任に区分されます。

請負契約

請負契約は、仕事を完成させることにより報酬が支払われるのが特色です。成果物がある場合は、基本的に成果物を納品したときに報酬が支払われることになります。

業務委託契約と雇用契約の違い

雇用契約は、正社員や契約社員、パート、アルバイトらが雇い主と締結する労働契約です。従業員は企業の指揮命令を受けて働き、労働力を提供することで給与をもらいます。
一方、業務委託で委任(準委任)契約や請負契約を結んで働く人は企業と対等の立場の事業者とみなされ、原則「労働者」ではありません。対価として受け取るお金も給与所得には区分されないため「給与」とは呼ばれず、「報酬」や「委託料」などと呼ばれるケースが多数です。

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業務委託を受けるメリットとデメリット

続いて、業務委託を受けるメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

業務委託を受けるメリットは、以下のとおりです。

専門性が活かせる

会社員は基本的に企業から与えられた仕事をこなしますが、業務委託は自身の専門性を活かして働けるという利点があります。好きな作業や得意分野の業務を中心に引き受けることで、効率よくタスクをこなせるばかりでなく、さらなるスキルアップにつながる可能性があるでしょう。また、キャリアプランに合った案件選択ができるのも嬉しい点です。

収入アップが図れる

能力次第では、会社員として決まった額の給与をもらうよりも高収入が得られるのも業務委託のポイントです。スキルが高ければ高単価案件に参画できる可能性もありますし、受注する案件数を増やせばそのぶん収入額が上がります。自分の能力や努力、成果が収入という形でわかりやすく現れることに、大きな魅力を感じる方もいるのではないでしょうか。

さまざまなクライアントと出会える

業務委託に対して「自宅に案件を持ち帰って作業をする」イメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、クライアント企業のオフィスで作業を行う常駐型の働き方もあります。常駐型の業務委託では、ときにその企業の現場社員や関係者から業界内の有益な情報が聞けることも少なくありません。また、クライアント企業の社風や理念にじかに触れることで、ビジネスに役立つ発想や知見が学べる可能性があるのもメリットです。

時間に縛られずに働ける

在宅型の業務委託案件では、自分の好きな時間に好きな場所で働くことも可能です。契約による制限やセキュリティの問題がなければ、自宅以外にカフェやコワーキングスペースを利用することもできます。時間や場所に縛られず自由度の高い働き方がしたい方は、在宅型の業務委託に向いているでしょう。

業務委託での副業に興味がある方は、こちらの記事も併せてお読みいただくとよいでしょう。
業務委託で副業は可能?確定申告や案件受注時の注意点について解説

デメリット

業務委託を受けるデメリットには、次のような事柄があります。

労働法の保護が受けられない

すでに述べたとおり、業務委託で働く人には原則として労働法が適用されません。業務委託では法定労働時間(1日8時間、週40時間以内)の制限や時間外労働の上限がないため、スケジュール管理などについては自己責任の範囲が大きくなります。また、業務委託の報酬には最低賃金の保障もありません。案件を受ける前に単価の相場はきちんと把握しておきましょう。

確定申告を行う必要がある

会社員であれば企業が年末調整をしてくれますが、業務委託で働く人は所得が一定以上になると自身で確定申告を行う必要があります。確定申告にあたっては税金や手続き内容についての知識を身につけなければならず、人によっては大変だと感じるでしょう。会計ソフトを使うのも良いですし、税務分野に詳しくない方は、かいけい税理士に相談したりするのも手です。

自分で案件を探さなくてはならない

業務委託では、自ら営業して案件を獲得するのが基本です。営業先では業務内容や委託料の交渉も自分次第となることから、人脈が築けていない方や営業活動が苦手な方にとってはデメリットとなり得ます。業務委託案件を提案するフリーランス向けエージェントでは営業活動を代行してもらえるため、こうしたサービスを利用するのも良い方法となるでしょう。

安定的に受注し続けられるとは限らない

スキルがあれば高収入が狙える一方で、業務委託には継続的・安定的に案件を受注し続けられるとは限らないという側面もあります。営業活動がうまくいかず、参画できる案件がなくなった場合、収入が途絶えてしまうことが懸念されます。

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業務委託を初めて受ける際に注意したい契約書の項目

最後に、業務委託を受ける際にチェックしておきたい契約書の項目を解説します。ただし、ここに紹介するのはあくまでも一部です。決めるべき事柄が多く、内容が複雑になりやすいので、初めて業務委託を受託するときは、とくに念入りに各項目を確認しましょう。

業務内容

業務内容およびその範囲は、具体的かつ細かく記しましょう。契約締結後に「書面にない作業を担当することになった」「事前に聞いていなかった」といったトラブルが発生することを防ぐためです。

契約の種類

「業務委託で結ばれる契約」で説明した契約形態(請負や委任、準委任など)のうち、基本としてどれに当てはまるのかを明確にすると良いでしょう。委任(準委任)契約と請負契約では、法的な内容が異なるためです。ただし当事者間の特約や合意によってかなり自由にアレンジできるので、契約の種類にさほどとらわれる必要はありません。

検収・納品期限

検収とは、納品されたものが発注したとおりになっているかを確認し、受け取ることです。検収期限はきちんと定めましょう。また検収と同様、成果物の納品期限も定めておくべきです。

委託料の支払い方法と支払いサイト

委託料の支払い方法と支払いサイトについても、認識の相違がないようにしなくてはなりません。支払いサイトは一般的に「月末締め・翌月末に支払い」や「月末締め・翌月25日に支払い」となるケースが多数です。なおレバテックフリーランスは「月末締め・翌月15日払い」の15日サイトとなっています。

損害賠償

万が一の事態も想定し、損害賠償の規定も定めておくと良いでしょう。たとえば、賠償責任の範囲や金額、期間の制限などです。

業務委託契約書の雛形と書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
業務委託契約書の雛形と書き方|収入印紙や注意点について解説

※本記事は2023年3月時点の情報を基に執筆しております。

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