業務委託の報酬は給与ではない?確定申告での扱いについて

基本的に業務委託の報酬は「給与」ではないといえます。委任契約・請負契約による業務委託の報酬は原則「給与所得」に分類されないためです。

本記事では、明細書や源泉徴収票の発行義務など「給与」と「(業務委託の)報酬」で異なるポイントを解説しているほか、委任契約と請負契約、雇用契約の違いや、業務委託で報酬の未払いを防ぐ方法などを説明しています。

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業務委託の報酬は給与といえる?

委任契約や請負契約による業務委託の報酬は、原則として所得区分の「給与所得」に該当しないため「給与」とはいいません。

雇用契約の賃金は給与所得

所得税法では、所得の種類を「給与所得」「事業所得」「利子所得」「配当所得」「不動産所得」「山林所得」「退職所得」「譲渡所得」「一時所得」「雑所得」の10種類に分類しています。

雇用契約を結んで賃金をもらう場合、給与や賞与などの所得は「給与所得」に区分されます。

参照 :
No.2011 課税される所得と非課税所得|国税庁
No.1400 給与所得|国税庁

業務委託契約の報酬は事業所得や雑所得

業務委託契約は民法で定義された契約形態ではありませんが、一般的には民法における(準)委任契約と請負契約に該当する契約として解釈される場合がほとんどで、その報酬は多くの場合、事業所得や雑所得に該当します。

参照 : 
No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁
No.1500 雑所得|国税庁

税金処理や明細書の発行義務も異なる

委任契約または請負契約による業務委託の報酬と雇用契約の給与では、課税のされ方や納付方法、明細書の発行義務なども異なります。

明細書の発行義務

所得税法231条で「給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書」の発行義務が明文化されているため、労働者と雇用契約を結び給与を支払っている使用者は、給与明細書を発行しなくてはいけません。

しかし、業務委託契約(委任・準委任契約と請負契約)では委託者が受託者に対して報酬の明細書を発行する義務はありません。

源泉徴収票の発行義務

委任契約と請負契約による業務委託の報酬も、源泉徴収の対象となるケースがあります。

参照 : No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

しかし、源泉徴収義務者である委託者が受託者に対して所得税の源泉徴収票を発行する義務はありません。したがって、源泉徴収票が発行されない場合は、源泉徴収の金額についても自己管理をしておく必要性があるでしょう。

ただし、発行義務がないのは業務委託の受託者に対してであり、源泉徴収義務者である委託者は源泉徴収額を算出したうえで、税務署に支払調書を提出することになっています。

業務委託の確定申告についてさらに知りたい方はこちらの記事を参考にご覧ください。
業務委託契約者は確定申告が必要?|青色・白色の違いや書き方、提出方法を解説

関連記事 :
フリーランスの源泉徴収とは?税金の計算方法や確定申告時の注意点
源泉徴収票(支払調書)は発行義務がない?フリーランスが知っておきたい源泉徴収の仕組み

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業務委託契約と雇用契約の違い

業務委託契約としてくくられることも多い(準)委任契約・請負契約と雇用契約は、さまざまな面で違いがあります。

業務委託契約とは

業務委託契約は、企業や個人事業主などが業務を第三者に委託するときに締結する契約と解釈されるのが一般的です。多くの場合、委託者が業務を遂行した受託者に対価として報酬を支払います。

委任契約と準委任契約

委任契約とは、一方が法律行為を行うことを相手方に委託し、相手方がそれを了承することによって効力が生じる契約です。委託するのが法律行為でない事務であれば、準委任契約に該当します。

請負契約

請負契約とは、一方が仕事を完成すること、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約諾することによって効力が生じる契約です。

報酬の観点から見た(準)委任契約と請負契約の大きな違いは「何に対して報酬が支払われるか」です。(準)委任契約では「法律行為(または法律行為でない事務)を行うこと」に報酬が支払われるのに対し、請負契約では「仕事の結果」に対して報酬が支払われます。

雇用契約とは

雇用契約とは、一方が労働に従事すること、相手方がその労働に対して報酬を支払うことを約諾することによって効力が生じる契約です。

雇用契約における雇用の形態には、正社員や契約社員、パート・アルバイトなどがありますが、どの雇用形態で働いても労働法の対象となるのが特徴です。労働法には、労働時間や時間外労働のルールを定めた労働基準法、賃金の最低金額を保証する最低賃金法、労働者の安全と健康を守るための労働安全衛生法などが含まれます。

契約形態の違いは業務の実態で区別される

契約形態の違いは、基本的に契約書のタイトルではなく「実際にどのような形で業務をしているか」によって判断されます。実態が労働者派遣であるとみなされやすいポイントには、例として以下のような点が挙げられます。

  • 作業プロセスについて管理者の指揮命令を受けている
  • 作業内容と関連性の薄い就業規則が適用されている
  • 代替性のない作業をこなしている

もし(準)委任契約・請負契約を締結したにもかかわらず、実態が労働者派遣であるとみなされた場合は「偽装請負」として法律違反になります。

関連記事 :
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業務委託の報酬未払いを防ぐ方法

業務委託の報酬未払いを防ぐ方法としては、きちんと契約書を作成すること、念のためにメールや通話の記録を保存することなどが挙げられるでしょう。

契約書を作成する

業務委託契約に限りませんが、トラブルを避けるためにきちんと契約書を交わすことは大切です。契約内容の確認や作業の受発注をすべて口約束で行うと、契約内容を客観的に確認できるものが一切残らない可能性もあります。悪質なクライアントにあたってしまった場合、契約によって定められた業務を問題なく完遂したにもかかわらず報酬が支払われない、といったトラブルが生じる恐れも否定はできません。事前に双方の認識をすり合わせたうえで、契約書には契約期間、業務内容、報酬額、秘密保持、再委託可否などの内容を盛り込みましょう。

メールや通話記録を保存する

契約内容を細部まで書面に記すとともに、取り交わしたメールや通話記録を保存するのも効果的といえます。やりとりの記録が残っていないと、トラブルが発生した時に「言った・言わない」の問題に発展する懸念があるからです。このような状況を未然に防げるよう、念には念を入れるのもひとつの手段といえます。

クライアントの質を見極める

実際に業務委託契約を交わす前に、そもそも信頼に足るクライアントであるかどうかを見極める姿勢も重要です。企業のWebサイトがあれば、記載内容から適正な事業運営を行っている会社かどうかを判断します。インターネット上の情報をすべて鵜呑みにするのは良くありませんが、企業の評判・口コミが判断材料になる場合もあります。

また、インターネット上の文面のやり取りのみで契約を完結するよりも、対面やビデオチャットツールなどで直接クライアントの担当者と顔を合わせたほうが、実際の雰囲気が伝わってくるかもしれません。公式サイトを持たない企業や設立して間もない会社であっても、雰囲気が良く、担当者の対応に誠実さが感じられたら、良質なクライアントになる可能性も十分に考えられます。

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業務委託の給与に関するよくある質問

ここでは、業務委託の給与に関するよくある質問に答えていきます。

Q. フリーランスの場合、業務委託契約の報酬はどの所得区分に分類されますか?

フリーランスの業務委託契約の報酬は事業所得に分類されます。

Q. 業務委託の源泉徴収税額はどのように計算されますか?

業務委託の源泉徴収税額は報酬金額によって変わります。

  • 報酬金額が100万円以下の場合:源泉徴収税額 = 報酬金額 × 10.21%
  • 報酬金額が100万円を超える場合:源泉徴収税額 =(報酬金額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

Q.業務委託契約において、企業は委託先へ給与明細を発行する義務はありますか?

業務委託契約で企業が委託先に支払われる金銭は給与ではなく報酬のため、給与明細の発行義務はありません。

Q. 業務委託の報酬で源泉徴収の対象になるものを教えてください。

原稿料、講演料、特定の資格保持者への報酬や料金、広告宣伝を目的とした賞金等が源泉徴収の対象になります。

Q. 給与と業務委託の報酬を両方受け取っている場合、確定申告をする必要はありますか?

副業として得た業務委託の報酬が年間で20万円を上回る場合、確定申告をする必要があります。

※本記事は2023年12月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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