副業は帳簿があれば事業所得?帳簿の付け方や雑所得との違い

副業ブームの中、「確定申告は必要?」「雑所得と事業所得って何が違うの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。副業の収入は、その内容によって所得区分が異なり、確定申告が必要かどうかや税額が変わることがあります。

この記事では、副業の所得区分である「雑所得」と「事業所得」の違い、そして確定申告で有利になる可能性がある「帳簿」の重要性について解説します

目次

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副業の所得区分で税額が変わることがある

近年、副業を始める人が増えています。しかし、副業で得た収入は、確定申告の際に適切な処理を行う必要があります。その際に焦点となるのが「所得区分」です。

所得と収入の違いは?

所得区分を考える前に、まず「所得」と「収入」の違いを理解しておきましょう。

収入とは、労働や事業などを通じて、実際に入ってくるお金のことです。給与や売上などがこれにあたります。

所得とは、収入から経費を差し引いた残りの金額のことです。副業の場合、収入を得るために使った費用を経費として計上できます

例えば、Webサイト制作の副業で10万円の収入があったとします。この時、パソコンの購入費用やソフトの使用料として2万円かかっていた場合は、経費を差し引いた8万円が所得となります。

参考:No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁

雑所得か事業所得かで税額が変わることがある

副業の所得は、その内容によって「雑所得」と「事業所得」に分けられます。

区分 概要
雑所得 あくまで臨時的な収入とみなされるもの クラウドソーシングでの単発の作業
事業所得 継続的に行っている事業的収入とみなされるもの 専門知識を活かし毎週クライアントにコンサルティングをしている


この区分を間違えてしまうと、本来納めるべき税金が少なく計算されてしまう可能性があります。また、本来控除できるはずの控除を受けられない可能性もありますので注意しましょう。

副業における300万円問題とは

「300万円問題」は、副業収入の所得区分(事業所得か雑所得か)に関する議論を指します。

2022年に国税庁が発表した確定申告に関する改正案では、副業収入が300万円以下の場合に雑所得、300万円超の場合には事業所得とする基準が提案されました。

しかし、この案に対して多くの批判が寄せられた結果、国税庁は新たな改正通達を発表し、収入金額による区分ではなく、「記帳および帳簿書類の保存があるかどうか」を基準に事業所得か雑所得かを判断することになりました。

この改正により、副業収入が300万円以下であっても、適切な帳簿書類を保存していれば、多くのケースで事業所得として認められる可能性が高くなりました。

ただし、帳簿書類があれば必ず事業所得になるわけではなく、社会通念上事業といえる程度かどうかで個別に判断されます。副業を始める際に不安な場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

参考:所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について

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【帳簿が必要?】副業の所得区分の判定基準

副業で得た収入「雑所得」または「事業所得」のどちらに該当するのか判断に迷う方もいるのではないでしょうか。ここでは、雑所得と事業所得の判定基準、そして帳簿の必要性について解説します。

雑所得と事業所得の判定基準

副業の所得が雑所得となるか事業所得となるかは、主に以下の3つの基準を目安に判断されます。

判定基準 内容 雑所得 事業所得
営利性 収益を上げることを目的としているか 営利性を目的としない 営利性を目的とする
継続性 継続的に活動しているか 単発的または短期的な活動 継続的な活動
組織性 事業として組織的に運営されているか 単純な労働を提供 設備投資や従業員の雇用など、組織的な運営


上記はあくまでも目安であり、これらの基準を全て満たしていれば事業所得、満たしていなければ雑所得と一概に断言できるわけではありません。個々の状況に応じて総合的に判断する必要があるでしょう。

300万円以下でも帳簿書類の保存があれば事業所得になることがある

年間所得が300万円以下の場合でも、帳簿書類の保存を行うことで、事業所得としての申告ができ、税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。

具体的には、青色申告による所得控除の対象となったり、損益通算ができたりといった利点があります。

ただし少額の場合や営利性がない時は雑所得となることも

年間所得が300万円以下であっても、事業として認められない場合は、雑所得として取り扱われることがあります。例えば、以下のようなケースが考えられます。

  • 収入金額が少額である活動
  • 家事の延長線上とみなされる活動
  • 営利目的ではなく、趣味の範囲で行っている活動

このように、副業の所得区分は金額だけでなく、活動内容や規模などをもとに総合的に判断されます。

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事業所得を選ぶ3つのメリット

フリーランスや個人事業主として働く場合、所得は「事業所得」として申告しますが、実際に事業所得を選択すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?簡単に解説します。

青色申告による所得控除

事業所得を選択する場合、確定申告で「青色申告」を選択できます。

青色申告は、複式簿記による帳簿作成など、一定の要件を満たすことで、最大65万円の所得控除を受けられる制度です。課税の対象となる所得が減るため、その分、税金の負担を軽減できるというわけです。

赤字の場合の損益通算ができる

事業所得は、他の所得と損益通算が可能です。損益通算とは、所得や損失を一部の他の所得と通算して、税金の負担額を調整する制度です。

例えば、事業で赤字が発生した場合でも、不動産所得などの他の所得と損益通算することで、節税ができる可能性があります。

経費の計上がしやすくなる

少額減価償却資産の特例といって、30万円未満の備品を購入した場合、合計300万円を上限として、全額を一括で経費とすることができます。

通常、事業のために購入したパソコンや車などの備品で10万円を超えるものは、減価償却試算となり、複数年に分けて経費とする必要がありますので、この特例を使うことで、その年度の税負担を軽減できるというわけです。

青色申告でメリットが受けられる具体的な条件を知りたい方は、以下の解説も参考にしてみてください。
青色申告の特別控除とは?最大65万円の控除を受けるための条件や申請方法
青色申告とは?やり方や白色申告との違いを解説

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確定申告で事業所得に必要な帳簿書類の付け方

確定申告では、収入や経費を証明するために、適切な帳簿書類を作成し、保存しておく必要があります。ここでは、事業所得に必要な帳簿書類の付け方について解説します。

保存すべき帳簿書類の種類

保存すべき帳簿書類の種類は、白色申告か青色申告かによって異なります。

青色申告の場合は複式簿記

青色申告を選択する場合は、複式簿記で帳簿書類を作成します。複式簿記とは、取引を「資産・負債・資本」「収益・費用」といった勘定科目に分類し、それぞれの勘定に借方と貸方を用いて記録していく方法です。

青色申告では、正しい簿記の原則に従って記帳する必要があるため、白色申告よりも複雑になります。

複式簿記に必要な帳簿の種類や記載方法について細かく知りたい方は、こちらの解説をご覧ください。
青色申告における複式簿記の記載方法|65万円の控除を受けるためには?

白色申告の場合は単式簿記

白色申告を選択する場合は、単式簿記で帳簿書類を作成します。単式簿記とは、収入や経費を1つの帳簿に記録していく簡易な記帳方法です。

これを収支内訳書といいます。どんな書類なのか、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をお読みください。
白色申告をする人は要チェック!収支内訳書とは | レバテックフリーランス

帳簿書類の保存期間

確定申告のルールによれば、副業の帳簿書類は、基本的には作成した日から7年間保存する必要があります。ただし、請求書などの一部の書類は5年間の保存でよいことになっています。

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告|国税庁

電子帳簿保存法への対応方法

近年、電子帳簿保存法の改正により、電子データで帳簿書類を保存することが増えています。電子データで保存する場合には、以下の点に注意する必要があります。
電子データが改ざんされていないことを証明できるシステムを用意する
税務調査の際に速やかにデータを確認できる状態にする

詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
【2024年1月義務化】個人事業主のために電子帳簿保存法をわかりやすく解説 | レバテックフリーランス

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帳簿作成をラクにする2つのコツ

副業に必要な帳簿のステップ

「帳簿」と聞くと手間がかかる作業に感じるかもしれませんが、大まかに上記のステップを追うことでスムーズに進められます。

特に、今から紹介するいくつかのコツを押さえることで、作業を効率化できるので、確定申告をラクにするためにも、しっかりと把握しておきましょう。

クラウド会計ソフトを活用する

帳簿作成を効率化する上で、クラウド会計ソフトはますます便利になってきています。

従来の手書きやExcelを使った方法に比べると、クラウド会計ソフトには多くのメリットがあります。

たとえば、クラウド会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードと連携すれば、自動的に取引データを取得し、仕訳を生成してくれます。これにより、手入力の手間が省け、入力ミス、計算ミスを減らすこともできるでしょう。

また、クラウド上でデータが管理されるため、いつでもどこでもアクセスが可能になる点も魅力です。

税理士などの専門家に相談する

帳簿作成や会計処理に関する専門知識を持つ税理士などの専門家に相談することも、帳簿作成をラクにする有効な方法です。

税理士は、会計ルールの知識があるだけでなく、経験もあるので実務上最適な会計方法をアドバイスしてくれることが多いでしょう。

また、記帳代行や決算申告などの業務を丸ごと依頼することも可能なことがあります。さらに、税務調査の際にも専門家のサポートを受けることで、安心して対応できるという安心感があります。

レバテックフリーランスでは、参画者向けに無料の税理士照会やご相談を承っております。ITフリーランス・副業で活躍する方向けに案件紹介から契約、トラブル対応まで一貫して無料サポートを行っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

※本記事は2024年6月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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