法人化・法人成りの手続きの流れと会社設立後にやることをFPが解説

この記事のまとめ
  • 法人の種類には、株式会社と合同会社の2種類がある
  • 法人化手続きだけでなく、法人化した後にも行うべき手続きがある
  • 手続きは士業の方に依頼する人も多い傾向にある

法人化・法人成りを検討中の方に向け、手続きの流れと具体的な内容について、ファイナンシャルプランナーが解説します。会社設立後にも行うべき手続きがありますので、あわせて確認しておきましょう。法人化の具体的な検討や、アクションプランの作成に向け、ぜひお役立てください。

※関連記事
■第1回 : 法人化・法人成りとは?個人事業主から法人になる意味は
■第2回 : 法人化(法人成り)のメリット・デメリットをFPが解説
■第3回 : 法人化する目安・タイミングは?法人化・法人成りの費用までFPが解説
■第5回 : 個人成りとは?法人化の前に知っておきたい注意点

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目次

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法人の種類について

法人の種類には、株式会社と合同会社の2種類があります。株式会社とは株式を発行して集めた資金を用いて経営を行う会社で、合同会社とは2006年に新しく設けられた会社形態です。
株式会社と合同会社にはどのような違いがあるのか、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

株式会社のメリット

  • 資金調達がしやすい
  • 高い社会的信用度を得られる

それぞれ解説していきます。

資金調達がしやすい

新たに株式を発行し、投資家から幅広い出資を募ることができるのが株式会社のメリットの一つです。出資者は間接有限責任のため、出資金額を超えて損失を負うことはなく、投資しやすくなっています。

高い社会的信用度を得られる

株式会社には、合同会社と比較し守るべき法律の規制が多いほか、社会的な認知度も高いことから、信頼を獲得しやすいというメリットがあります。そのため、採用活動や金融機関からの融資などにおいても、スムーズに進めやすいといえるでしょう。

株式会社のデメリット

株式会社には、以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 設立や役員の再任にあたり費用がかかる
  • 決算公告の必要がある

それぞれ解説していきます。

設立や役員の再任にあたり費用がかかる

株式会社の設立にあたり登記をするために、定款認証の手数料や登録免許税などの費用を含め、約25万円かかります。また、役員の任期が来れば、同じ人が再任する場合でも登記しなくてはいけません。そのため、役員の任期が来るたびに登録免許税が発生します。高い費用がかかってしまうのは、株式会社のデメリットといえるでしょう。

決算公告の必要がある

株式会社には、決算公告をする義務があり、官報・日刊新聞紙・ホームページのいずれかにて賃貸対照表を公開しなくてはいけません。また、官報や新聞に掲載する場合は、掲載料もかります。経営や財政の状況をあまり公開したくない場合は、デメリットになるでしょう。

合同会社のメリット

合同会社には、以下のようなメリットが挙げられます。

  • 設立費用や維持費用が安い
  • 自由度の高い経営ができる

それぞれ解説していきます。

設立費用や維持費用が安い

合同会社であれば収入印紙代を電子定款で作成する場合、約6万円から設立することが可能です。なお、電子定款の作成には専用のシステムを使用する必要があることを覚えておきましょう。
また、合同会社には決算公告の義務がないため、決算公告にかかる費用もありません。設立にかかる費用やランニングコストが抑えられる点が、メリットの一つです。

自由度の高い経営ができる

合同会社では、出資の比率に関係なく、社員間で柔軟に利益配分を行うことができます。
また、定款の内容も株式会社と比較すると自由度が高いほか、株主総会がないことにより事業展開や経営判断などもスピーディーに行えるのはメリットといえるでしょう。

合同会社のデメリット

合同会社には、以下のようなデメリットが挙げられます。

  • 株式会社と比較すると認知度が劣る
  • 資金調達の方法が限られている
  • 上場できない

それぞれ解説していきます。

株式会社と比較すると認知度が劣る

合同会社は小規模な会社形態が中心のため、株式会社と比較すると認知度が低いのがデメリットです。そのため、社会的な信用も株式会社より得にくいと考えられます。
しかし、近年は合同会社を選択する大手有名企業もあります。それにより、日本における認知度も上がっているといえるでしょう。

資金調達の方法が限られている

合同会社は、株式会社のように株式を発行して資金を得ることができません。そのため、資金調達の際は国や自治体からの借入が中心となります。
なお、合同会社は社債の発行ができますが、社債は負債扱いとなるため、弁済が必要です。資金調達がしにくい点は、株式会社と比較した際のデメリットといえるでしょう。

上場できない

合同会社のデメリットとして、上場できないことも挙げられます。事業拡大を目指し、将来的に上場したいと考える方の場合は、株式会社を選択すると良いでしょう。

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法人化(法人成り)手続きの流れ

法人化する手続きは比較的シンプルです。しかし、流れや内容について事前に把握しているかどうかで、実際の手続き時に感じる負担は変わるもの。会社設立の手続きをスムーズに完了させるためにも、ぜひポイントをおさえておきましょう。
会社設立の流れは大きく以下になります。

  • 会社の基本事項を決める
  • 各種印鑑と印鑑証明を用意する
  • 定款を作成し認証してもらう
  • 資本金を発起人の個人口座に振り込み払込証明書を作成する
  • 法務局へ登記申請へ行く

それぞれのフローについて解説していきます。

会社の基本事項を決める

会社の基本事項が決まっていないと、申請に必要な書類が作成できません。手続きの事前準備として、決めておくと良いでしょう。書類作成に必要な基本事項について解説します。

商号(会社名)

いわゆる会社名となる「商号」は、「会社法 第一編第二章 会社の商号」上の決まり事があります。手続き時に不備とならないよう、法を遵守した商号を考えておきましょう。
例としては「有名な会社の商号は使用しない」「株式会社/合同会社という名称を入れる」などがあります

※参照:会社法|e-GOV法令検索

会社の所在地

会社は事務所を借りるか、自宅を所在地とするか、自分で決められます。事務所を借りれば家賃や光熱費などが発生するため、自宅のほうが費用を抑えられるといったメリットがありますが、自宅を所在地とすると、多くの人に住所を知られるリスクが高くなる点には注意が必要です。

会社・事業の目的

後述する「定款」に定めた会社の目的(事業目的)に 記載されていない内容は、法律上は行ってはいけません。考えているビジネス・業務の内容を記載しておきましょう。事業目的を変更する場合、定款の変更手続き、目的の変更登記が必要となり費用が掛かります

資本金・発起人・役員など

資本金の金額は、定款に記載して登記する必要があります。発起人とは、定款に発起人として署名または記名押印した人のことです。資本金を出して設立する人が発起人、経営していく人が取締役といった役員に該当します。

取締役会の設置

取締役会の設置について、定款に記載して登記する必要があります。取締役会を設置する場合は、3人以上の取締役と監査役の選任も必要です。取締役会を設置しない場合は、自動的に取締役会非設置会社となります。

発行済株式の総数、発行可能株式の総数

設立時には、発起人に割り当てる株式の合計数を記載します。また、会社が発行できる株式の上限も定款に記載して登記しなければなりません。

各種印鑑と印鑑証明を用意する

印鑑は、会社設立の手続きや設立後の業務で使用します。早めに作っておくと良いでしょう。「会社実印(代表社印)」のみで手続きできるものの、「会社実印」「会社銀行印」「角印(社印)」の3種類用意しておくと、業務上で使い分けができて安心です。
印鑑を用意したら、書類提出に必要となる印鑑証明も取得しておきましょう

定款を作成し認証してもらう

定款とは、会社の根幹となる規則のことで、会社設立時に必ず作成しなければなりません。会社の活動は、すべて定款の内容の範囲内に縛られるため、会社設立にあたり重要度の高い書類といえるでしょう。
定款には、絶対的記載事項と相対的記載事項、任意的記載事項があり、絶対的記載事項は必ず記載する必要があります。また、相対的記載事項については、記載しなければ有効となりません。
なお、合同会社を設立する場合には、認証の必要がなく、定款をつくった時点で効力が生じ、後述する登記申請も不要です。

資本金を発起人の個人口座に振り込み払込証明書を作成する

資本金となる出資金を、発起人個人の銀行口座に振り込みます。会社名義の銀行口座は、会社を設立してからの開設となるためです。振り込み完了後は、口座名義や番号が分かるよう、通帳の表紙と表紙の裏面、出資金の入金が記帳されているページのコピーを取りましょう。その後、登記申請時に必要となる「払込証明書」を作成します。

法務局へ登記申請へ行く

登記とは、法律で定められた事項について登記簿に記載することです。登記することで法人として公的に認められます。法人の登記は法律で義務付けられており、手続きが完了しない限り会社としては認められません

登記申請に必要な書類

登記申請時には、定款や出資金の払込証明書、印鑑証明書以外にも必要な書類があります。以下をご確認ください。

  • 定款(謄本)
  • 出資金の払込証明書
  • 設立登記申請書
  • 登録免許税納付用台紙
  • 発起人決定書
  • 代表取締役/取締役/監査役の就任承諾書
  • 取締役の印鑑証明書
  • 印鑑届書

なお、登記を行う際の注意点は「個人事業主の登記」で紹介していますので、手続き前にこちらもご確認ください。

法人化後にやるべき手続き

法人化手続きが終わっても、以下のようなやるべきことがあります。

  • 会社名義の口座開設
  • 個人事業主廃業届の提出
  • 資産・負債の移行手続き
  • 契約・名義変更手続き
  • 税金や社会保険に関する手続き

基本的には法人化したら、すぐに取り掛かったほうが良い手続きばかりのため、事前に確認しておきましょう。

会社名義の口座開設

これまで使用してきた個人の銀行口座に誤って入出金しないよう、会社名義の口座を開設します。会社名義の銀行口座は、開設までに数日~数週間かかる点に注意しましょう。

また、万が一、法人化後に個人事業主としての売上を会社名義の口座に入金した場合、該当する金額を個人名義の銀行へそのまま移してしまって問題ありません

個人事業主廃業届の提出

税務署に、個人事業の開業・廃業等届出書を提出します。事業廃止の際、青色申告を取りやめる場合には「青色申告の取りやめ届出書」も必要です。消費税の課税事業者および課税事業者を選択し、廃止する事業のほかに課税売上に当たる所得のない方は、「事業廃止届出書」もあわせて提出します。
廃業届提出に関する内容は「個人事業主が廃業届を出す際の注意点」でもまとめていますので、参考にしてみてください。
※参考:[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁

資産・負債の移行手続き

個人事業主時代に築いた資産や負債は、法人に移行しなければなりません。資産を移す方法としては、法人への売却や現物出資、賃貸、贈与などが挙げられます。
負債は、借入金が金銭のままであればそのまま法人へ移行。設備のように固定資産になっていれば、譲渡という形になるでしょう。

契約・名義変更手続き

事業所の不動産や通信費、水道光熱費などで使用している名義を、個人名義から会社名義に変更します。クライアントとクレジットカードでのやり取りがある場合も、会社口座へ入金してもらえるよう変更してもらう必要があるでしょう。

税金や社会保険に関する手続き

税金や社会保険に関して、各公的機関で手続きを行う必要があります。それぞれの機関別で必要な手続きをまとめました。

税務署・都道府県税務事務所・市町村役場

税務署では、個人事業主開業・廃業届出書のほか、以下の書類を提出します。

提出書類 提出が必要な人 提出期限
法人設立届出書 全員 会社設立日から2ヶ月以内
給与支払事務所等の開設届出書 給与支払いが発生する場合 提出した日の翌月に支払う給与等から適用 (役員報酬含む)
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 源泉所得税の納期特例を受ける場合 特例を受ける月の前日まで
青色申告の承認申請書 青色申告の承認を受ける場合 会社設立日から3ヶ月以内
消費税課税事業者選択届出書 消費税の課税事業者を選択する場合 会社の第1期が終了する日まで
消費税簡易課税制度選択届出書 消費税の簡易課税を選択する場合 会社の第1期が終了する日まで
都道府県税務事務所・市町村役場

都道府県の税務事務所や市町村役場には、以下を提出します。

提出書類 提出が必要な人 提出期限
法人設立届出書 全員 都道府県による
定款の写し 全員 市町村による(東京23区は不要)
 

上記のように、提出書類は個人の状況によって変わります。国税庁の「新設法人の届出書類」をはじめとする公的機関のWebサイトをご確認のうえ、準備を進めると良いでしょう。

※参照:No.5100 新設法人の届出書類|国税庁

年金事務所

年金事務所では、厚生年金および健康保険の加入手続きを行います。

提出書類 提出が必要な人 提出期限
健康保険・厚生年金保険新規適用届 健康保険・厚生年金保険に加入する場合 加入要件を満たした日から5日以内
健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 健康保険・厚生年金保険に加入する場合 加入要件を満たした日から5日以内
健康保険被扶養者(異動)届 被保険者に扶養する者がいる場合 被保険者を取得した日から5日以内
 

詳しくは日本年金機構が示す「新規適用の手続き」をご参照ください。

※参照:新規適用の手続き|日本年金機構

労働基準監督署

労働基準監督署では、労働や保険に関する書類を提出します。

提出書類 提出が必要な人 提出期限
適用事業報告 従業員を雇用する場合 従業員雇用時に速やかに提出
時間外労働及び休日労働に関する協定届(36協定書) 従業員に時間外労働をさせる場合 時間外・休日労働を行う前まで
労働保険関係成立届 従業員を雇用する場合 従業員の雇用日から10日以内
労働保険概算保険料申告書 従業員を雇用する場合 従業員の雇用日から50日以内


上記のとおり、従業員を雇わない場合、手続きは不要です。

※参照:労働保険の成立手続|厚生労働省

ハローワーク

ハローワークでは、雇用保険に関する手続きを行います。

提出書類 提出が必要な人 提出期限
雇用保険適用事業所設置届 雇用保険に加入する従業員を雇用する場合 従業員の雇用日から10日以内
雇用保険被保険者資格取得届 雇用保険に加入する従業員を雇用する場合 従業員の雇用月の翌月10日まで


労働基準監督署と同様、従業員を雇わない場合は関係がありません。

※参照:雇用保険適用事業所設置届|ハローワークインターネットサービス

会社設立までにかかる期間の目安

事前準備を含め会社設立にかかる期間は、株式会社であれば3週間程度、合同会社の場合2週間程度です。合同会社のほうが事前準備が少ないため、株式会社よりスピーディーに進められるといえます。
なお、登記の申請から完了までにかかる期間については、株式会社、合同会社ともに約1週間です。

会社設立の手続きは誰に頼む?

これまでご紹介してきたように、会社設立には各種手続きが必要です。手続きを自分で行えば費用は抑えられますが、本業に集中するために、税理士や司法書士、行政書士などの士業の方に依頼する方も多い傾向にあります
特に法人化では税理士に相談される方が多いようです。ただし、税理士は税務・会計などの専門家。会社設立の登記手続きを「代行」できるのは、司法書士だけです。司法書士以外の方は、司法書士と提携して、全てをまとめてやってもらうという仕組みのため、代行を検討する場合は事前にどういう方針で進めるか検討しておきましょう。
ひとまず税理士に関する詳細を確認したいという方は「税理士へ依頼するメリット・デメリット」をご覧ください。

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