フリーランスが法人化するメリットとは?必要な手続き、タイミングとあわせて徹底解説

この記事でわかること
  • フリーランスが法人化するメリットとデメリット
  • 法人化の手続き
  • 法人化に適したタイミング

フリーランスや個人事業主として働く人の中には、法人化(法人成り)を検討する人も多くいます。法人化には、節税や対外的信用の向上などさまざまなメリットがある一方で、手続きや費用面で考慮すべき点も。

本記事では、フリーランスや個人事業主が法人化するメリット・デメリットに加えて、会社設立のための具体的なステップを解説します。

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目次

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フリーランスと法人の違いとは?

フリーランスと法人の大きな違いは、法人登記しているかどうか。フリーランス(個人事業主)は税務署に開業届を提出するのに対して、法人は法務局に登記申請を行います。以前は法人化のための資本金が1,000万円以上必要でしたが、会社法の施行で資本金1円からでも会社設立ができるようになりました。はじめの手続きに関するハードルはそれほど変わらなくなっています。


また、支払う税金が異なる点も違いのひとつです。フリーランスには所得税・個人住民税・個人事業税などが課せられ、法人には法人税・法人住民税・法人事業税などが課せられます。

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フリーランスが法人化するメリットとは?

まずはフリーランスが法人化するメリットを解説します。金銭面・業務面からメリットを見ていきましょう。

金銭面のメリット

まずはフリーランスが法人化することによって得られる、金銭面のメリットを紹介します。

高収入の人ほど節税効果が高い

軌道に乗ってきたフリーランスほど悩みを抱えやすい所得税。個人事業主の場合は、収入(厳密には、経費を差し引いた課税所得)が多いほど所得税も多くなる累進課税のため、高収入の方ほど手取りの上がり幅に悩むことになります。

たとえば、課税所得(※1)が900万円以下だと所得税は23%、900万円を超えると33%、1800万円を超えると40%、4000万円を超えると45%というように、課税率はどんどん上がっていきます。

※1. No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

個人事業主の所得税率(平成27年分以降の表)

課税対象となる所得の金額 税率 控除金額
195万円以下 0.05 0円
195万円超〜330万円以下 0.1 97,500円
330万円超〜695万円以下 0.2 427,500円
695万円超〜900万円以下 0.23 636,000円
900万円超〜1,800万円以下 0.33 1,536,000円
1,800万円超〜4,000万円以下 0.4 2,796,000円
4,000万円超 0.45 4,796,000円


一方、法人化すると、支払う税金が法人税に変わります。法人税であれば、比例税率(固定税率)が適用されるので、資本金の額に関わらず税率は最高23.2%にとどまります。

つまり、法人税ならば、課税所得が多くなればなるほど税率が高くなることがありません。

※3資本金1億円以下の中小法人なら、課税所得800万円以下における税率は、15%に下げられるという優遇措置もとられています。

参照: 法人税率の推移|財務省

給料(役員報酬)、退職金を経費にできる

法人化すれば、給料(役員報酬)や退職金までも経費に算入できます。もちろん、不当に高い報酬・退職金は認められていないため、注意が必要です。

法人化した元個人事業主の方からは、「これでやっと、稼いでいると認められた気がしました」といった声も出ています。

給与の概念がない個人事業主だと、事業に必要な費用と生活費が曖昧になり、「生活にいくらかけられるか分からない」といった状態になりがちです。しかし、会社を設立し法人化することで給料が支払われるとなれば、お金を明確に分類しやすくなります。

なお、法人は役員報酬を経費にできるだけでなく、給与所得控除も利用可能です。節税につながるのが嬉しいポイントでしょう。

経費として計上できるものの幅が広がる

事業活動で発生する支出が経費として計上できる点は個人事業主も変わりませんが、法人の方が経費の幅が広いのがメリットです

たとえば、社宅契約を結べば居住用の自宅の家賃の一定割合を経費として計上できるほか、
生命保険料や日当なども経費の対象になります。法人所得を減らすことにより、節税しやすくなるでしょう。

欠損金の繰越控除を受けられる期間が長くなる

経営状態が赤字になった場合も、赤字を繰り越して翌年以降に発生する事業所得と相殺することが可能です。個人事業主であればこの繰越期間が翌年以降3年間ですが、法人であれば翌年10年間まで認められています。

仮に赤字が大きい場合、繰越控除を受けられる期間が短いと欠損金が使い切れない可能性があります。法人化した方が節税効果が高まるでしょう。

社会保険に加入できる

個人事業主や事業専従者(青色申告・白色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、その年を通じて6ヶ月以上その事業にもっぱら従事している人)は、国民保健、国民年金に加入します。

しかし、法人化すると、本人や従業員が社会保険(厚生年金や健康保険)に加入することが可能です。社会保険に加入すると、自営業の方が加入する国民年金よりも将来受け取れる年金額が増加します。

ほかにも、「求人を出すときに、『社保完備』という一文字が入っていると反応がまったく違う」といった、採用面でのメリットを主張する経営者もいるようです。

最大2年間、消費税を支払わなくていい

個人事業主でも法人でも、課税売上高が1000万円を超えると消費税を支払わなくてはなりません。

しかし、法人化した最初の2年間は、資本金が1000万円未満であれば、消費税の納税義務が免除される場合があります。また、課税売上高が1000万円を超えている個人事業者も、起業して最初の2年間は、消費税の支払いが免除される場合があります。

つまり、フリーランスデビューから2年経ったところで法人化すれば、さらに2年間消費税が免除されることになるため、合計4年間消費税が免除されることもあるのです。消費税が免除されるこの2年という期間は、法人化するタイミングの目安として、覚えておくと良いでしょう。

ただし、フリーランスになった段階や法人化した段階それぞれで、特定の条件を満たしている方は消費税が免除されません。条件の詳細は、国税庁のホームページから参照できるのでご確認ください。

決算期が選べる

個人事業主の場合、決算期は12月と決まっており、自分の都合で変えることはできません。また、確定申告・納税も3月15日までに行わなくてはならないので、「1年で一番忙しい時期になぜ?」と頭を抱えた方も多いでしょう。

しかし、法人であれば決算期は何月にでもできるうえ、後から変更することも可能です。「税金の支払いが重圧になって資金繰りが大変」という事態に陥らないよう、入金の多い時期に税金を納付できるよう、決算期を調整している法人もあるようです。

業務面のメリット

次に法人化することで得られる業務面のメリットを解説します。

社会的な信用が上がる

個人事業主なら誰でも一度は感じるデメリット、それは社会的な信用でしょう。銀行からの融資を受けたり、事業に対するさまざまな助成金を受けるときに、法人化していると有利になることがあります

また、法人化することで規模を拡大したいときに人材を集めやすくなるなど、事業拡大の面でもメリットを感じるケースは多いようです。今後、取引企業を増やし、事業を継続的に拡大して行きたいのなら、法人化はメリットとなるでしょう。

仕事で発生した負債を有限責任にできる

仕事で発生した負債を有限責任にできるのも、フリーランスから法人化した際のメリットの一つです

フリーランスの場合は、経営悪化などで返済できていない借入や滞納中の税金などを個人資産から返済する必要があります。しかし、法人化すれば、経営が難しい場合でも個人としての返済義務がなくなります。

ただし、金融機関から借入を行う際に自らが連帯保証人になる場合は、フリーランスと同じく返済義務が発生するため要注意です。

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フリーランスが法人化するデメリットとは?

金銭面・業務面からさまざまなメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。後悔することのないよう、注意点を把握しておきましょう。

設立登記などの手続きに時間・費用を要する

法人化する場合、法務局に設立登記申請に行かなくてはなりません。また、登記の際には、株式会社の場合、登記代、印紙代だけで24万円ほどの費用がかかるうえ、書類一式を揃えたり、出資金を準備したりと、かなり手続きに時間を要します

書類は国税局のホームページなどでダウンロードでき、ハウツー本も多数出ていますが、司法書士や行政書士、税理士などにすべての手続きをお願いすることも可能です。ただ、その場合は追加で10万円前後の費用がかかることを認識しておいてください。

登記のための事務所が必要になる

設立登記では所在地を記載するので、法人は事務所を用意しなければなりません。初期費用に加え、家賃を負担することを大変に思う人もいるでしょう。自宅を所在地にすることも可能ですが、物件の用途の制限が多い、住所が外部の人たちに知られるといったデメリットがあります。

会社が赤字でも、法人住民税の均等割を支払わなければならない

メリットでは、個人事業主から法人化することによってさまざまな節税効果が期待できることを説明しました。しかし、法人の場合は利益に関係なく、毎年7万円ほどの均等割を支払わなくてはなりません

社会保険料がかさむ

法人化した場合、本人も含め、加入要件を満たすすべての従業員を社会保険に加入させることになります。社会保険料は、半分は本人もしくは従業員が負担、残りの半分は会社負担です。

社会保険に入ることで将来への安心はありますが、それなりの負担も必要です。また、社会保険に未加入であることが判明したら、2年間遡って支払いを行う必要があるので、こちらも十分に注意してください。

毎月の給与が固定される

フリーランスは案件を受注すればその分収入を増やせますが、法人ではあらかじめ決めた金額が毎月の給与となり、自由に変更できません

変更できるのは翌年度からのため、会社の利益が急激に上がったとしてもすぐに自分の収入にならないことを把握しておきましょう。また、赤字の場合も同様のため、税金の支払いがかさんでしまう点に注意が必要です。

会計・税金の知識が必須

個人事業主の場合、複式簿記で帳簿付けを行って青色申告で確定申告すれば、最大65万円の特別控除を受けられます。とはいえ、簿記の知識が求められる複式簿記は若干ハードルが高いためか、簡易簿記での帳簿付けで青色申告や白色申告で済ます人も少なくありません。

しかし、法人化したら、会計処理の複式簿記による記載はマストです。企業の財政の状況を把握する財務諸表(BS/PL/CS)について理解し、決算報告に向けて準備を進めておかないといけません。

個人事業主であれば「会計・税務の理解にリソースを割いて節税するよりも、本業のために時間を使って稼ぎたい」という考え方もありますが、法人化するのであれば会計や経理への理解は必須といえます。

交際費全額が損金にならないケースもある

個人事業主の交際費は全額損金にできますが、法人はできるとは限りません。法人の場合は交際費のうち、飲食代50%だけを損金にできます。個人事業主の時代に交際費を多用していた人は、法人化にあたり注意が必要です。

なお、法人化の利点や注意点については、以下の記事でも詳しく解説しています。

関連記事:法人化(法人成り)のメリット・デメリットをFPが解説

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フリーランスが法人化するための8つのステップ

ここからは、法人化するための8つのステップを紹介します。

1. 設立手続き

株式会社設立の場合、会社設立準備を進める発起人の決定からスタートします。(※)社名、事業内容などの基本事項を決め、定款の作成をします。その後、出資金を振り込みます。

※ 株式全部を発起人が引き受ける「現金出資による発起設立」を想定しています。

2. 設立登記の申請

本店所在地管轄の法務局で設立登記申請を行います。申請書、定款、印鑑証明、資本金振込が証明できる通帳のコピーなどが必要です。出資金の0.7%(最低15万円)の登録免許税や収入印紙代4万円、定款認証手数料約5万円などがかかります。

参照:
国税庁「登録免許税の税額表」
国税庁「印紙税額表」
公証人手数料令 | e-Gov法令検索(第三十五条)

3. 法人名義の口座の作成

法人名義の口座開設に必要な書類は、銀行によって異なります。各銀行のWebサイトに法人口座開設の案内が載せられているので、開設前に確認すればスムーズに手続きできるでしょう。

近年、法人名義の口座を使った振込詐欺などの犯罪が増加してきたため、法人口座開設の審査が厳しくなってきているようです。審査に時間を要する場合もあるので、登記事項証明書を発行してもらったら、速やかに口座を開設するようにしましょう

4. 取引先への案内を出す

開業したばかりのころは、今までお付き合いのあった取引先にお世話になることが多いもの。個人事業主のころからのクライアントをはじめ、元同僚、知人友人まで、開業の案内を出しておきたいところです

取引先への案内には、次の項目を記載します。

  • 社名、屋号
  • 開業日時、オフィスの所在地
  • 電話番号、メールアドレスなどの連絡先
  • 事業内容の詳細

社名や連絡先、事業の詳細などが正確に伝わるようにしてください。

5. 役員報酬を決める

会社設立から3ヶ月以内に、役員報酬(給料)を決める必要があります。金額は事業年度が終わるまで変更できません。

この給料は、ある程度の売り上げを見越して決めるのが得策です。また、「経費にもなるから」と欲張って給料を高く設定しすぎると、社会保険料がはね上がってしまうので注意してください。

参照: 国税庁「役員に対する給与」

6. 諸官庁への届け出

会社を設立してまず行かなければならないのは、税務署と都道府県の税務事務所です。税務署では国税関係、税務事務所では地方税関係の届出を行います

この手続きが終わってようやく、会社設立を公に知らせたことになります。ここで要注意なのが、手続きによって提出期限が異なる点です。たとえば、法人設立届出書は設立から2ヶ月以内、青色申告の承認申請書は設立から3ヶ月を経過した日か事業年度末の、いずれか早い日の前日までが提出期限となります。

また個人事業から法人化した場合、事業開始日から1ヶ月以内に個人事業の開業・廃業等届出書を提出しなくてはなりません。

参照:
国税庁「新設法人の届出書類」
国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

さらに、従業員を雇用した場合には、労働基準観察署で労働保険の保険関係成立届を(※12)、公共職業安定所で雇用保険適用事業所設置届及び雇用保険被保険者資格取得届を提出してください。(※13)

12.13. 労働保険制度(制度紹介・手続き案内)|厚生労働省

7. 健康保険・年金の手続き

社会保険(厚生年金と健康保険)への加入は、従業員数に関わらず法人(1人法人含む)に義務付けられています。会社設立後は、すみやかに管轄の年金事務所で加入手続きをしましょう。

参照: 適用事業所と被保険者|日本年金機構

8.資産と債務を移行する

法人設立が完了した後は、資産と債務の移行が必要です。資産は「売買契約」や「現物出資」、「賃貸借契約」などの方法で移行します。債務を移行する際の方法は、「重畳的債務引受」「免責的債務引受」の2種類です。

関連記事:法人化・法人成りの手続きの流れと会社設立後にやることをFPが解説

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フリーランスが法人化するのに最適なタイミングは?

フリーランスが法人化するのに適しているタイミングを紹介します。会社設立時の参考にしてください。

インボイス制度の導入前がベター

法人化するなら、「インボイス制度」が始まる2023年10月1日までに行うのがベターです

インボイス制度では、売り手側は取引先の求めに応じてインボイス(適格請求書)を交付し、買い手側は仕入税額控除を受けるためにインボイス保存が原則となります。

注意しなければならないのは、免税事業者(基準期間の課税売上高が1000万円以下)はインボイスを交付できないこと。事業者によってはインボイス制度導入後、消費税の免税期間がデメリットになる恐れもあります。

インボイス制度の開始前に法人化するのがよいのは、これが理由です。早めに法人化すれば、免税期間を効果的に活用できます。制度開始前には、納税する消費税額を正確に把握したり、消費税を経理処理したりなどの準備もしておきましょう。

参照
国税庁「インボイス制度の概要」
国税庁「特集 インボイス制度」

売上高が1,000万円を超えたとき

フリーランスの場合、年間の売上高が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が発生します。しかし、消費税の納税義務が発生するタイミングで法人化することで、法人化をした最初の2年間の消費税において、支払いが免除されます。

そのため、フリーランスになって売上高が1,000万円を超えて2年経ったタイミングでの法人化がよいタイミングだといえるでしょう。そうすることで、計4年間の消費税が免除されます。

課税所得が900万円を超えたとき

課税所得が約900万円を超える金額であれば、法人化で税金を抑えられます。このタイミングでの法人化を検討する人も多いようです

確定申告後に個人が納める所得税には、 累進課税制度という仕組みが採用されています。この累進課税制度では、所得が高いほど税率が高くなり、900万円以下では23%、900万円以上では33%です。

一方、法人化することによって支払う税金が所得税から法人税となります。法人税は、固定税率が適用され、900万円を超える利益が出た場合でも最高23.9%です。加えて、800万円以下は本来なら税率19%ですが、租税特別措置法により、資本金1億円以下の中小法人の場合は15%に抑えられます。

法人化をするタイミングを考える際には、将来のプランを踏まえることも大切です。以下の記事も参照しながら、適切なタイミングを考えてみてください。

関連記事:法人化する目安・タイミングは?法人化・法人成りの費用までFPが解説

参照:
国税庁「所得税の税率」
国税庁「法人税の税率」

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まとめ

会社設立準備から登記手続き、諸官庁への届け出など、ずらりと並べると「やっぱり大変そう…」と思う方もいるでしょう。実際に個人事業主から法人化(法人成り)した経験を持つ人の多くは、司法書士や税理士など、プロの手をうまく借りながら何とか乗り切っているようです。

法人化を検討している個人事業主の方は、本記事で紹介したメリット・デメリット、さまざまな意見をぜひ参考にしてみてください。

※本記事は2022年11月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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