フリーランスと業務委託契約の違いは?トラブル防止のコツも紹介

個人事業主として独立の準備を進めるなかで、「フリーランスと業務委託契約の違いが分からない!」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、フリーランスと業務委託契約の違いを分かりやすく説明します。契約形態の種類や業務委託の注意点などもまとめて紹介するので、ぜひ最後までお読みください。

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フリーランスと業務委託の違い

フリーランスは「働き方」を、業務委託は「契約方法」を指すのが、両者の主な違いです。

具体的には、フリーランスは特定の企業に属さず独立して仕事をする働き方を意味します。一方、業務委託は、企業が外部に業務を委託する際に結ぶ契約方法の一種です。

フリーランスとして案件を受ける際は、基本的に業務委託契約をすることになります。
ただし、業務委託契約には、大きく分けて3つの契約形態があります。それぞれの特徴を理解した上で契約を締結することが重要なため、次章で詳細を確認しておきましょう。

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業務委託における3つの契約形態

ここでは、フリーランスが案件を請け負う際に結ぶ業務委託契約における、3つの契約形態を紹介します。

業務委託における3つの契約形態

1.委任契約

委任契約は、依頼者が受任者に対して法律行為を委託する契約形態です。

主に弁護士や税理士など士業との契約で締結されます。なお、委任契約においては原則報酬はないものの、特約等により取り決めを交わした場合はこの限りではありません。

また、後述する準委任契約と同様、受託者と委託者が対等な立場で契約を結ぶことも特徴の一つです。

2.準委任契約

準委任契約は、法律行為以外の業務を委託する点が特徴です。業務の遂行に重点が置かれており、「履行割合型」と「成果完成型」の2つの報酬体系に分けられます。

前者は業務の遂行状況に応じて成果が支払われます。たとえば、業務の遂行状況が8割である場合、支払われる報酬は8割分です。一方「成果完成型」は依頼された業務が完了し、引き渡された時点ですべての報酬が支払われます。

3.請負契約

請負契約は、システム開発やWebサイトの制作など、具体的な納品物が存在する業務において締結されることの多い契約です。

先述の委任契約・準委任契約とは異なり、請負契約は業務の完了に重点が置かれており、報酬は成果物が完成、引き渡される際に全額が支払われます。

なお、万が一納品物に不具合や仕様との相違があれば、受注者には修正する義務が生じます。契約書には責任範囲や条件を明確に記載し、後々のトラブルを防ぐことが大切です。

以下の記事では、請負契約について詳しく解説しています。併せてお読みください。
業務委託が支払う税金一覧|計算方法も紹介

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【業務委託契約】締結までの流れ

フリーランスとして業務委託契約を結ぶ際の一般的な流れを理解しておくことは、スムーズな取引開始のために欠かせません。下記を参考に、業務委託契約締結の一般的な流れを頭に入れておきましょう

【業務委託契約締結までのステップ】

  • 1. エージェントや直接営業により案件を獲得する
  • 2. 業務内容や条件を確認する
  • 3. 必要に応じて諸条件を交渉する
  • 4. 合意内容に基づいて契約書を作成する
  • 5. 契約の内容を精査し、必要に応じて修正を依頼する
  • 6. 契約を締結する
  • 7. 契約に基づき業務を開始する

案件が見つかったら、初回の商談で業務内容や条件、契約形態についてすり合わせを行います。条件面で合意できたら、次に契約内容の詳細を詰めていきます。なお、契約書の内容に不明点や不安がある場合は、署名する前に必ず先方へ確認しましょう。それでも解決しない場合は、必要に応じて弁護士など専門家に相談してください。

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業務委託契約時の3つのポイント

続いて、フリーランスが業務委託契約を結ぶ際に押さえておきたい注意点を3つ紹介します。

1.業務委託契約書の記載事項を把握しておく

業務委託契約書の記載事項については、しっかりと把握しておきましょう。自身の権利を守ることにもつながるため、項目に過不足がないか入念に確認しなければなりません。

盛り込む事項については、下記を参考にしてみてください。

  • 発注者・受注者の名称や住所
  • 契約の目的
  • 契約期間
  • 業務内容または成果物に関する取り決め
  • 報酬の額
  • 支払い条件
  • 機密保持義務
  • 個人情報保護に関する条項

上記にくわえて、業務の進捗報告の方法や納品物の検収基準、契約解除の条件なども明記しておくと安心です。

2.契約書の内容に細部まで目を通す

トラブルを防ぐため、契約書の隅々にまで目を通しておきましょう。記載事項が網羅されているかはもちろん、各文言や条文の意味もしっかりと理解しておきたいところです。

特に、報酬支払いの条件や納期、契約解除の条件などは後々問題になりやすい部分であり、注意が必要です。

不明確な部分や自身に不利益と思われる条件があれば、署名前に必ず交渉しましょう。契約は双方の合意によって締結されるものであり、不理な条件をそのまま受け入れる必要はありません。場合によっては契約を断ることも可能なのです。契約は対等な立場で結ぶものだということを覚えておきましょう。

3.雇用契約との違いを理解しておく

業務委託契約と雇用契約は根本的に異なる契約形態です。業務委託契約は対等な事業者間の契約であるのに対し、雇用契約は使用者と労働者という上下関係を前提としています。

また、業務委託契約では案件の進め方や時間配分は基本的に受注者の裁量に委ねられる一方、雇用契約では雇用主の指揮命令に従う義務があります。

次の表は、業務委託契約と雇用契約の主な違いをまとめたものです。

  業務委託契約 雇用契約
関係性 対等 従属関係
指揮命令 なし あり
勤務時間 自己裁量 会社が指定した時間での勤務
勤務場所 原則自由 会社が指定した場所での勤務
報酬形態 成果や業務に対する対価 労働時間に対する賃金
社会保険 自己負担
(国民健康保険など)
会社負担あり
(厚生年金など)
税金 事業所得
(確定申告必要)
給与所得
(源泉徴収)

契約が業務委託の形をとっていても、実態が雇用に近い場合は「偽装請負」として問題になる可能性があります。クライアントからの過度な拘束や指示がある場合は注意が必要でしょう。

参考:偽装請負について|厚生労働省

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契約時によくあるトラブルとその対策

フリーランスとして活動する中で、契約に関するトラブルは残念ながら珍しくありません。代表的なトラブルとしては、報酬の支払い遅延や未払い、業務範囲の拡大、契約の一方的な解除などです。

トラブルが発生した場合は、契約書を確認しながら、クライアントと話し合い解決を図ります。それでも解決しない場合は、弁護士への相談を検討しましょう。また、フリーランス協会などの団体に加入しておくと、法律相談をはじめとするサポートを受けられることもあります。

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フリーランスが業務委託契約を獲得するための具体的な方法

フリーランスとして安定した収入を得るためには継続的な業務委託契約、すなわち案件を獲得できるか否かが肝です。

案件の獲得にあたっては、フリーランスエージェントやクラウドソーシングサービスの活用が選択肢となります。これらのサービスは初心者でも利用しやすく、多くの案件情報にアクセスできるメリットがあります。

自身のWebサイトやポートフォリオの充実も効果的です。専門性や実績を効果的にアピールできれば、企業からの直接の問い合わせ・依頼も期待できます。

案件の獲得においては、単に数を増やすことよりも、自分のスキルや志向に合った内容を選ぶことが重要です。業務内容や報酬面などで、自身にとって極端に不利な条件の案件を無理に受けることは、本末転倒です。自分の市場価値を正しく評価し、適切な条件で契約を結ぶことを心がけましょう。

下記の記事では、フリーランスの方向けに案件の獲得方法について解説しています。併せてお読みください。
フリーランスエンジニアになる際にやること。必要な準備や案件獲得法について

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フリーランスの契約に関するよくある質問

フリーランスとして活動を始める際、契約に関する疑問や不安は尽きないものです。ここでは、契約面に関して特に多く寄せられる質問について回答するので、参考にしてみてください。

Q. フリーランス新法で業務委託契約はどう変わる?

フリーランス新法の施行により、フリーランスとクライアント間でより対等な関係性が構築され、フリーランス側の権利が守られやすくなることが期待されます。

フリーランス新法(正式名称「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)は、2023年に成立し2024年11月より施行が開始された、フリーランスの契約環境を大きく変える法律です。この法律により、業務委託契約におけるフリーランスの立場が法的に強化されます。

具体的には、下記に記載する7つの禁止事項が定められました。

  • 1. 成果物の受領を理由なく拒むこと
  • 2. あらかじめ定めた報酬を不当に減額すること
  • 3. 受け取った成果物を返品すること
  • 4. 市価に比べて、著しく低い報酬で買いたたくこと
  • 5. 指定する物や役務の購入・利用を強制すること
  • 6. 金銭や労務など経済上の利益を提供させること
  • 7. 理由なく注文内容を変更またはやり直させること

以下の記事では、フリーランス新法について詳しく解説しています。併せてお読みください。
【2024年11月1日施行】フリーランス保護新法とは?内容や下請法との違いをわかりやすく解説

Q. フリーランスが結ぶ契約は?

フリーランスが案件を受ける際に結ぶ契約は、主に業務委託契約です。これは雇用契約とは異なり、対等な立場の事業者間で交わされる契約となります。業務委託契約は、委任契約、準委任契約、請負契約の3種類に分けられます。

Q. フリーランスが契約を締結するまでの流れを教えてください

フリーランスが案件を見つけてから契約を締結するまでのプロセスは、下記をご参考ください。

  • 1. エージェントや直接営業により案件を獲得する
  • 2. 業務内容や・条件を確認する
  • 3. 必要に応じて諸条件を交渉する
  • 4. 合意内容に基づいて契約書を作成する
  • 5. 内容を精査し、必要に応じて修正を依頼する
  • 6. 契約を締結する
  • 7. 契約に基づき業務を開始する

※本記事は2025年12月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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