【2025年】年末調整の基本を徹底解説!

年末が近づくと、毎年会社から年末調整のお知らせが届きます。会社の指示通りの手順で手続きを行っているものの、「正直なところ毎年ミスがないか不安なまま提出している」という方も多いのではないでしょうか。

この記事では年末調整について取り上げています。確定申告との違いや手続きの流れも解説しているので、ぜひ最後までお読みください。

目次

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年末調整とは?

年末調整とは、給与所得者の1年間の所得税の過不足を精算する手続きです。毎月の給与から源泉徴収されている所得税はあくまでも概算額であるため、年末に正確な税額を計算したうえで、過不足を調整しなければならないのです。

この年末調整によって1年間の給与所得に対する所得税額が確定し、払いすぎた税金は還付され、不足分は追加徴収されることとなります。

参考:年末調整がよくわかるページ(令和6年分)|国税庁

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年末調整と確定申告との違い

年末調整と確定申告は両者とも1年間の所得に対する税金を確定させる手続きですが、さまざまな違いがあります。

まず、手続きの実施者に違いがあります。年末調整は企業が従業員の所得税を調整する制度であるのに対し、確定申告は納税者自身が税務署に申告する制度です。

また、手続きの対象範囲も異なります。年末調整は主に給与所得のみを対象としていますが、確定申告は給与所得以外の事業経営や不動産などで得た所得も含めた総合的な所得を対象とします。

以上が両者の基本的な違いです。ただし給与所得者であっても、給与以外に一定額以上の所得がある場合や医療費控除や住宅ローン控除(初年度)を申請する場合、年末調整では対応できません。

この場合は、確定申告が必要になるということを覚えておいてください。

項目 年末調整 確定申告
手続きの実施者 雇用主 納税者本人
対象となる所得 主に給与所得のみ すべての所得
手続きの時期 通常12月~1月上旬 翌年2月16日〜3月15日
申告できる控除 限定的(生命保険料控除) 幅広い(医療費控除も可能)

以下の記事では、フリーランスの方向けに確定申告について詳しく解説しています。併せてお読みください。
フリーランスは確定申告が必要?メリットや必要な手続きを解説

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年末調整の対象者について

年末調整の概要や確定申告との違いを押さえたら、年末調整の対象になる人と対象にならない人についても理解しておきましょう。

年末調整の対象になる方

年末調整の対象となるのは、主に雇用主から給与の支払いを受けている人です。年末に在籍している会社で1年を通じて働いている場合、年末調整の対象となります。

具体的には、1年を通じて同一の勤務先から給与の支払いを受けており、かつ給与所得以外の所得が年間20万円以下であることが条件です。年の途中で入社した場合でも、年末時点で在籍していれば年末調整の対象になります。ただしこのケースでは、前の勤務先での源泉徴収票が必要になる点に留意しましょう。

なお複数の会社から給与をもらっている場合は、主たる給与の支払者で年末調整を行い、その他の給与については確定申告が必要になる場合があります。

参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

年末調整の対象にならない方

一方、以下のようなケースに該当する場合は年末調整の対象となりません。

年末調整の対象とならないケース

  • 退職した年の年末に在籍していない場合
  • 給与所得以外の所得(事業所得、不動産所得など)が年間20万円を超える場合
  • 給与の収入金額が2,000万円を超える場合
  • 2ヶ所以上から給与をもらい、年末調整を受けない給与合計が20万円を超える場合

年末調整の対象外となる場合、ご自身で確定申告を行う必要があるため、自分が該当するかどうかしっかり確認しておくことが大切です。

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年末調整を行わないとどうなる?

年末調整を行わないと、各種控除を受けられず金銭面で損をしてしまうおそれがあります。

年末調整を行わないと、その年の生命保険や医療保険の保険料控除を受けられません。また同様に住宅ローンを組んでいる場合も、本来受けられるはずの控除を受けられなくなってしまいます。控除を受け損ねた場合は確定申告を行うことで取り戻すことが可能ですが、手続きは複雑になります。

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年末調整の手続きの流れ

年末調整の手続きは雇用主が行いますが、従業員も必要書類の提出をはじめ、やるべきことがあります。

11月から12月にかけて雇用主から年末調整に必要な書類が配布されます。これら書類に必要事項を記入し、保険料控除証明書をはじめとした添付書類とともに期限内に提出しましょう。雇用主はこれらの書類をもとに税額を計算し、12月の給与(または翌年1月の給与)で過不足を調整します。

生命保険や医療保険などの保険料控除証明書は10月から11月にかけて各保険会社から郵送されるため、届いたら大切に保管しておきましょう。
下記を参考に一般的な年末調整の流れを理解しておくと、慌てずに対応できるようになるでしょう。

時期 従業員側の
アクション
雇用主側の
アクション
10月〜
11月
保険料控除
証明書を保管する
年末調整の案内と
書類を準備する
11月〜
12月上旬
必要書類に記入・添付
書類を準備して提出する
書類を配布・
回収する
12月中旬〜
下旬
(特になし) 税額の再計算を行う
12月〜
翌年1月
調整された給与を
受け取る
給与で過不足を
調整する

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年末調整の必要書類4点

続いて、年末調整で一般的に使用される4つの書類について、それぞれの用途や記入のポイントを解説します。

「扶養控除等(異動)申告書」

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、扶養家族に関する情報を申告するための書類です。

記入する主な内容は、扶養家族の氏名や続柄、生年月日、所得見積額などです。扶養家族がいない場合でも、自分自身の情報を記入する必要があります。なお、扶養控除を受けるうえでは一定の所得制限があることには留意しておきましょう。

以下の記事では、控除について詳しく解説しています。併せてお読みください。
フリーランスの節税対策!損をしないための経費と控除の知識

「保険料控除申告書」

給与所得者の保険料控除申告書」は、1年間に支払った生命保険料や地震保険料などの金額を申告し、所得控除を受けるための書類です。各種控除に際しては所定の手続きが必要になるため、特に新たに保険に加入した方は記入すべき内容を確認しておきましょう。

この申告書には生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の4つの項目があります

記入に際しては、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」が必要になるため、紛失しないように注意してください。

「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」

この申告書は基礎控除および配偶者控除、定額減税、所得金額調整控除の4つの申告書が一つにまとめられたものです。

すべての欄を記入する必要はなく、自分の状況に応じて該当する部分だけを記入すれば問題ありません。たとえば配偶者控除部分は、配偶者がいる方のみが記入します。

基礎控除の申請にあたっては、合計所得金額が2,400万円以下の場合、基礎控除48万円が受けられます。所得が2,400万円を超えると控除額が段階的に減少するため、該当する方は金額を確認しましょう。なお、令和7年の税制改正に伴い基礎控除額が従来の48万円から58万円へと引き上げられました。この点については後述します。

記入にあたって不明点があれば、会社の経理担当者に相談することをおすすめします。

「住宅借入金等特別控除申告書」(対象者のみ)

「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」は、住宅ローンを組んだ際に、所得税の一部について控除を受けるために必要な書類です。「住宅ローン控除」とも呼ばれるこの制度は、税負担軽減になります

住宅ローン控除の2年目以降の方が対象となり、「住宅借入金等特別控除証明書」と「住宅借入金等残高証明書」の添付が必要です。

なお、住宅ローン控除を初めて受ける年は必ず確定申告が必要で、年末調整では対応できないことに注意してください。確定申告を行った翌年から年末調整での控除申請が可能となります。

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令和7年の税制改正で年末調整はどう変わる?

令和7年の税制改正に伴い、年末調整の手続きにも変更が生じる可能性があります。

大きな変更点としては、先述のとおり基礎控除額の最低ラインが58万円へと引き上げられており、所得に応じて受けられる基礎控除の金額も変更されました。そのほか、配偶者特別控除の金額にも変更が生じています。

そのため、年末調整の書類記入にあたっては、国税庁が公開している要綱を参考にしつつ手続きを進めてください。

なお、これらの改正は今後変更される可能性もあるため、最新情報を確認することをおすすめします。職場の経理担当者からの案内や国税庁のWebサイトなどで情報を入手しておきましょう。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

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直前で慌てない!年末調整に向けたスケジューリング

年末調整を円滑に進めるためには、事前の準備と計画的なスケジュール管理が欠かせません。下記を参考に必要な対応をしっかりと押さえておきましょう。

時期の目安 やるべきこと
10月〜11月 保険料控除証明書を
受け取り保管する
11月中旬〜
下旬
会社からの年末調整
案内を確認する
11月下旬〜
翌年1月
会社が定めた提出期限までに
必要書類に記入し、証明書を
添付して提出する
12月中旬〜
翌年1月
調整結果を給与
明細で確認する

年末調整は毎年行われる手続きです。保険の加入状況や扶養家族の有無などによって申告内容は変わります。自分の状況に合わせた必要書類を正確に提出することで、適切な税額調整を受けられるようにしましょう。

※本記事は2025年9月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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