フリーランスの節税対策9選!経費と控除のポイントを解説

フリーランスの節税で重要なのは、控除を活用し、経費を正確に計上して課税対象となる所得金額を減らすことです。ほかにも、小規模企業共済やiDeCoなど、節税につながる制度は多くあります。

本記事では、控除と経費の基礎知識やフリーランスの節税対策などを紹介します。対策時の注意点についてもあわせて解説するので、適切な節税で負担を減らしたい方はぜひお読みください。

新井 智美の画像

記事の監修者

新井 智美

トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。

現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。

ご登録者様限定機能詳しく見る

詳しく見る

フリーランスの節税でポイントとなる控除と経費とは

フリーランスの節税で重要なポイントは、「控除を活用すること」「経費を正確に計上すること」です。

所得税は、売上から必要な経費を差し引いた所得をもとに計算され、そこからさらに控除を引いた金額に対して課税されます。つまり、控除と経費を正しく計上するほど、課税対象となる金額は小さくなります。

控除を活用しつつ、経費も過不足なく計上すれば、売上を減らさずに節税ができます。

フリーランスの税務
の悩みを相談する

フリーランスができる節税方法

フリーランスができる節税方法9選

フリーランスが実践できる節税方法は、控除の活用や経費の計上をはじめ多くあります。自分の収入や働き方に合った方法を組み合わせ、税負担を抑えましょう。

1.控除の活用

控除には、主に下記の種類があります。

  • 所得から差し引く「所得控除」
  • 税額から直接差し引く「税額控除」
  • 青色申告者だけが受けられる控除

それぞれの制度を見ていきましょう。

所得控除の種類

所得控除は、当てはまる項目を差し引くことで、課税対象となる所得を減らせる制度です。フリーランスにも関係する代表的な所得控除には、以下のようなものがあります。

所得控除の種類 概要
基礎控除 すべての人に適用される
社会保険料控除 健康保険や年金などの社会保険料を
支払った際に受けられる
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済や個人型年金に
加入している際に受けられる
生命保険料控除 生命保険料や介護医療保険料および
個人年金保険料を支払った際に受けられる
寄附金控除 国や地方公共団体、特定公益増進法人などに
寄附を行った際に受けられる
医療費控除 1年間に一定額以上の医療費を
支払った場合に受けられる

所得控除について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

所得控除とは?種類や手続き、節税に使える制度を分かりやすく解説

参考:No.1100 所得控除のあらまし|国税庁

税額控除の種類

税額控除は、計算した所得税額から直接差し引ける控除です。住宅ローンを組んだ際に受けられる「住宅借入金等特別控除」や、政党・政治資金団体への寄附金の一部を税額から差し引ける「政党等寄附金特別控除」などがあります。

税額控除は所得控除に比べて対象となる人が限られる傾向にあります。自分がどの控除に当てはまるかは、国税庁のWebサイトで確認しておきましょう。

参考:No.1200 税額控除|国税庁

青色申告により受けられる控除

青色申告を選ぶと、10万円・55万円・65万円のいずれかの「青色申告特別控除」を受けられます(2026年10月時点)。

※2027年分からは控除区分が見直され、最大75万円まで控除額が引き上げられる予定です。

55万円・65万円の控除を受けるには、複式簿記に沿った記帳が必要です。65万円の控除を受けたい方は、複式簿記に加えてe-Taxによる確定申告、または電子帳簿保存が条件となります。55万円・65万円の要件を満たさない場合の特別控除額は10万円です。

なお、青色申告するには、事前に開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

2.経費の計上

経費の計上は、所得を正しく圧縮するための基本的な方法です。売上から仕事にかかった費用を差し引いた金額が所得となるため、経費を計上するほど課税対象額は小さくなります。

下記では、経費になるもの・ならないものと青色申告で得られるメリットを見ていきましょう。

経費になるもの

経費になるものは、事業を行うために直接必要となった費用です。フリーランスのエンジニアであれば、以下のような支出が経費として認められやすいでしょう。

経費の種類 具体例
通信費 インターネット代、電話代
消耗品費 パソコン周辺機器、文房具
会議費 打ち合わせの際の飲食代
新聞図書費 技術書・専門雑誌の購入費
旅費交通費 客先への移動費用

自宅を事務所としているフリーランスは、家賃や電気代などを「家事按分」という考え方で経費にできます。按分の割合は、作業時間や使用面積を基準に根拠を持って決めるのがポイントです。

経費の基礎知識を身につけたい方は、下記の記事をご覧ください。

フリーランスの経費ガイド|計上できる費用とできない費用を一覧で紹介

参考:No.2210 必要経費の知識|国税庁

経費にならないもの

経費にならないものは、事業と直接関係のない私的な支出です。事業用と私用を混同すると、税務調査で経費を否認され、追加で税金を支払うことになりかねません。

たとえば、家族との食事代や私用のための衣服代、事業に関係のない旅行費などは、経費として認められないでしょう。また、罰金や交通違反の反則金も経費になりません。

取引先との打ち合わせを兼ねた食事代は、会議費として経費に計上できる場合があります。事業用・私用の支出の境界線を明確にするためにも、レシートや利用目的のメモを残しておくのがおすすめです。

青色申告で得られる経費のメリット

青色申告には、経費の計上においてもメリットがあります。生活費を共有する配偶者や親族に給与を支払っている青色申告者は、家族の給与も経費に計上可能です。労働の対価として適切な金額なら経費として認められ、課税所得を抑えられます。

ただし、家族がその事業に専ら従事していること(原則6ヶ月超)などの要件があり、適用すると配偶者控除・扶養控除は受けられなくなります。

この特例を利用するためには、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署へ提出しましょう。

参考:

No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁

A1-10 青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁

3.小規模企業共済

小規模企業共済は、小規模企業の経営者やフリーランスのための退職金制度です。将来の備えと節税を同時に叶えられる制度として知られています。

毎月の掛金は1,000円から7万円まで500円単位で選べ、全額が所得控除の対象になります。掛金を積み立てながら、所得税や住民税を抑えられるのがポイントです。

下記の記事ではフリーランスが利用できる退職金制度を紹介しているので、あわせて参考にしてください。

個人事業主向け退職金制度|おすすめ制度や経費の有無・積み立て方法について解説

参考:小規模企業共済とは|独立行政法人中小企業基盤整備機構

4.経営セーフティ共済

経営セーフティ共済は、取引先の倒産による経営リスクに備えるための制度です。月々の掛金は5,000円から20万円まで設定可能で、全額を経費として計上できます。無担保・無保証人で共済金を借り入れられるのもメリットです。

自己都合解約で元本割れを防ぐには、40ヶ月以上の加入が必要になります。また、2024年10月以降、解約後2年以内に再加入した場合、その間の掛金は経費に計上できません。万が一の経営リスクに備える目的を理解した上で、掛金を経費にできる制度として有効に活用しましょう。

参考:経営セーフティ共済とは|独立行政法人中小企業基盤整備機構

5.国民年金基金

国民年金基金は、フリーランスや個人事業主が加入できる、国民年金に上乗せするための年金制度です。会社員が加入する厚生年金に相当する仕組みがない分、将来の年金額を増やす目的で利用されています。

掛金の上限は、iDeCoと合わせて月額6万8,000円までです。支払った掛金は全額が社会保険料控除の対象となり、所得税や住民税の負担を減らす効果が期待できます。

※2027年1月から、iDeCo、国民年金の付加保険料と合わせて月額7万5,000円へ引き上げ予定です。

参考:国民年金基金|国民年金基金連合会

6.iDeCo

iDeCoは、自分で運用しながら老後資金を準備できる私的年金制度です。毎月の掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となり、運用で得た利益にも税金がかかりません。受け取る際にも控除の対象となる仕組みです。

原則60歳まで資金を引き出せないため、途中で払えなくなることのないよう、無理のない範囲で掛金額を設定するのをおすすめします。

※2027年1月から、国民年金基金、国民年金の付加保険料と合わせて月額7万5,000円へ引き上げ予定です。

参考:iDeCo(イデコ)の特徴|国民年金基金連合会

7.NISA

NISAは、投資で得た利益や配当金にかかる税金が非課税になる制度です。直接的な節税というよりも、資産形成を効率的に行うための制度といえます。

2024年から始まった新NISAでは、年間投資枠が拡大され、非課税で保有できる期間も無期限になりました。将来のための資産づくりと、税負担を抑えた運用を両立できる点が特徴です。

参考:NISAを知る|金融庁

8.短期前払費用の特例

短期前払費用の特例は、来年支払う予定の費用を今年のうちに前払いし、その全額を今年の経費にできる制度です。対象となるのは、家賃や保険料、サーバーのレンタル料など、1年以内に提供を受けるサービスの費用です。契約内容が継続的なものであることが条件になります。

ただし、単年度だけ利益を圧縮する目的で急に前払いを始めると、税務調査で否認されるおそれがあるため、毎年継続して同じ支払い方法を続けるのを前提としましょう。

参考:No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合|国税庁

9.法人化

法人化は、個人事業主から法人に切り替えることです。所得が一定額を超えると、法人税の方が所得税よりも税率を抑えられる場合があります。代表者自身への給与を「役員報酬」として経費にできるほか、社会保険料の会社負担分を経費にできるのもメリットです。

一方で、法人設立の費用や税理士への依頼費など、新たな負担も発生します。目先の節税額だけでなく、事務負担の増加も含めて判断するのが大切です。

法人の種類や法人化の手続きについては、下記の記事を参考にしてください。

法人化・法人成りの手続きの流れを解説!会社設立後にやることとは?

参考:

No.2260 所得税の税率|国税庁

No.5759 法人税の税率|国税庁

フリーランスの税務
の悩みを相談する

フリーランスの節税の注意点

節税は手残りを増やすための有効な手段ですが、やり方を間違えると思わぬ不利益を招くおそれがあります。注意点を押さえて、適切なバランスで節税をしましょう。

所得を減らし過ぎると審査に通りにくくなる

所得を減らし過ぎると、住宅ローンや事業用の融資の審査に通りにくくなる点に注意が必要です。金融機関は、申告された所得をもとに返済能力を判断するためです。

控除や経費を積極的に活用して所得を極端に低く抑えると、税負担は軽くなる一方で、金融機関からの返済能力の評価に影響することがあります。マイホームの購入や事業拡大のための融資を考えている場合は、節税と将来の資金調達のバランスを意識しましょう。

経費を増やすための浪費は本末転倒になる

経費を増やすことだけを目的とした浪費は、本末転倒になりかねません。経費として支出した分、手元の現金は確実に減っていくためです。

節税できる金額は、あくまで経費に使った金額の一部にすぎません。必要のないものを「経費になるから」という理由だけで購入するのは避け、本来の事業に必要な支出かどうかを基準に判断しましょう。

フリーランスの税務
の悩みを相談する

フリーランスの節税対策には税理士への相談がおすすめ

「節税に興味はあるけれど、あまり手間はかけたくない」というフリーランスは、税理士に相談するのもおすすめです。節税のメリットを得つつ手間を省けるため、本業に専念できます。

レバテックフリーランスでも、ご利用者に向けて提携税理士のご紹介も行っています。ご紹介先の税理士が確定申告を代行するとともに、節税対策や帳簿の記帳などもサポートします。

提携税理士のご紹介以外にも、フリーランスの疑問や悩みに応える個別相談会を実施しているので、ぜひお気軽にご相談ください。

フリーランスの税務
の悩みを相談する

フリーランスの節税に関するよくある質問

最後に、フリーランスの節税に関するよくある質問に回答します。

Q.フリーランスが納める税金は?

フリーランスが納める主な税金は、所得税・住民税・個人事業税・消費税の4種類です。

所得税と住民税は、事業の所得に応じて納付額が変わる税金です。個人事業税は、業種によって課税される場合があります。消費税は、前々年の売上が1,000万円を超えた場合などに課税対象となる税金です。

フリーランスが支払う税金について詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。

【2025】フリーランスの税金ガイド|いついくら払うかシミュレーション

参考:

所得税のしくみ|国税庁

個人住民税|総務省

個人事業税|東京主税局

消費税のしくみ|国税庁

Q. 個人事業主は節税でどのくらい経費計上できる?

個人事業主が経費として計上できる金額に、明確な上限は定められていません。事業を行うために必要と説明できる支出であれば、全額を経費にできます。

業種ごとの一般的な経費率と大きくかけ離れていないかを、一つの目安にするとよいでしょう。大切なのは金額の大きさではなく、事業との関連性を説明できる根拠があることです。

Q. フリーランスの所得税が非課税なのはいくらまで?

フリーランスの所得税がかからないのは、基礎控除や必要経費などを差し引いたあとの所得が、95万円以下となる場合です。たとえば、売上が200万円あっても、必要経費が110万円かかっていれば所得は90万円(200万円-110万円)となり、所得税はかかりません。

ただし、これは所得税に限った話です。住民税は自治体ごとに非課税限度額が異なるので、市区町村に問い合わせましょう。

参考:

No.1199 基礎控除|国税庁

令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

Q.フリーランスが見落としがちな節税制度は?

フリーランスが見落としがちな節税制度としては、少額減価償却資産の特例が挙げられます。青色申告者が取得価額30万円未満(2026年4月1日以後に取得したものは40万円未満)の資産を取得した場合、年間合計300万円を上限に全額をその年の経費にできる特例です。

たとえば、事業に必要な機材を購入する際、少額減価償却資産の特例で一括経費にすることで、購入した年の経費として計上できます。ただし、経費を前倒しで使う分、翌年以降に計上できる経費は少なくなる点には注意が必要です。正当な特例制度として賢く活用し、節税につなげましょう。

なお、個人事業主への適用時期などの最新情報は国税庁のWebサイトからご確認ください。

参考:

No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務判断については税理士等の専門家にご相談ください。

※本記事は2026年10月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!

※相場算出に個人情報の取得はおこないません。

フリーランスの税務
の悩みを相談する

役に立った/参考になったと思ったら、シェアをお願いします。

関連案件