個人事業主が副業した時の確定申告のやり方は?所得の分類や注意点 | レバテックフリーランス
個人事業主が副業した時の確定申告のやり方は?所得の分類や注意点

個人事業主が副業をした場合、会社員の場合とは異なり、所得が少ない段階であっても確定申告が求められます。そのため、「副業も本当に確定申告が必要なのか?」「確定申告書には副業どう書けばいいのか?」と疑問のある方も少なくないでしょう。
この記事では、個人事業主が副業した際の所得の分類や申告のやり方、注意すべきポイントをわかりやすく解説します。副業を本業と合わせてスムーズに管理するための基本的な知識を身につけましょう。

記事の監修者
渋田 貴正
司法書士 社会保険労務士
司法書士事務所V-Spirits 代表司法書士。
東京大学経済学部卒。大学卒業後、大手食品メーカーや外資系専門商社にて財務・経理担当として勤務。在職中に税理士、司法書士、社会保険労務士の資格を取得。
2012年に独立し、司法書士事務所を開設。2013年にV-Spiritsグループに合流し、税理士登録。
現在は、税理士・司法書士・社会保険労務士として、税務・人事労務全般の業務を行う。
個人事業主の場合、副業の所得が20万円を超えたら確定申告に合算が必要
個人事業主として副業した場合、副業の所得が20万円を超えると確定申告の際に本業の所得と合算して申告する必要があります。(雑所得の場合)
また、後述する副業の所得区分が「事業所得」となる場合は所得金額にかかわらず確定申告が必要となりますので、所得区分についても意識しておきましょう。
【事業所得/雑所得】個人事業主の副業の所得区分は?
個人事業主が副業をする場合、確定申告で収入を「事業所得」か「雑所得」のどちらに分類するかが重要です。副業への取り組み方や収入の種類によって、適切な分類が必要であり、正しく分類することで、税金の計算も正確に行うことができます。

渋田 貴正
司法書士
社会保険労務士
なお、サラリーマンとして働きながら副業をしたい方は以下の記事を参考にしてください。
サラリーマンをしながら副業で個人事業主はできる!メリットや必要な手続きを解説
副業を事業所得に含める場合
副業が事業所得となるのは、継続的に自己の責任下で収益を得ている場合です。たとえば、フリーランスのデザイナーが本業とは別にWebライターの仕事をして、継続的に収入を得ている場合などが事業所得に該当する場合があります。自分で仕事の状況を管理し、ビジネスチャンスを広げていることがポイントです。
つまり、自分で経営状況を管理し、独自にビジネスを展開していることが事業所得とみなされるポイントになっています。
参考:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁
副業を雑所得に含める場合
副業が雑所得となるのは、継続性がなく、たまたま得られた収入や特別なスキルを使わずに短期間で終わる収入の場合です。
たとえば、趣味で作った作品をネットオークションでたまに販売する場合などは雑所得となる場合が多いでしょう。雑所得の場合は、収入ごとに申告して、所得税を支払う必要があります。
参考:No.1500 雑所得|国税庁
副業が給与所得の場合
副業が給与所得になるのは、雇用されて働いている場合です。たとえば、週末にアルバイトをして給料をもらっている場合などです。
給与所得は通常、勤務先で税金を源泉徴収されているので、源泉徴収票をもらってその金額を確定申告に記入します。
参考:給与所得者の確定申告|国税庁
その他の場合
副業の収入が上記に当てはまらない場合もあります。
たとえば、懸賞の賞金や競馬の払戻金を受け取った場合などです。これらの収入は「一時所得」として扱われることがあり、一定の金額を差し引いた後に税金を計算します。
収入があっても申告しないと、ペナルティが課されることがあるので注意が必要です。副業の種類によって、収入の分類を正しく理解し、適切に申告することが大切です。
その他の所得区分についても詳しく知りたい方は、国税庁のホームページに整理されているのでこちらをご覧いただくとよいでしょう。
参考:所得の種類と課税方法|国税庁
本業の事業所得に含める場合、確定申告での損益通算が可能
副業の収入を事業所得として申告する場合、本業である事業との損益通算ができます。たとえば、本業で利益が出ていて、副業で損失が出た場合には、副業の損失を本業の利益から差し引くことができます。
この仕組みを使えば、課税対象となる所得の金額が減り、納める税金額を減らすことができます。
このように、副業の収入を事業所得として扱うとリスク分散の観点で大きなメリットがあります。ただし、副業の種類や継続性なども判断基準となるため、どの所得区分として扱うべきかは慎重に把握する必要があります。

渋田 貴正
司法書士
社会保険労務士
副業を事業所得として申告する場合、最大の税務上のリスクは事業性が否定され、雑所得に区分し直されることです。
もっとも、本業・副業ともに黒字で、すでに本業だけで青色申告特別控除を使い切っている場合には、仮に副業が雑所得と判断されて区分が変更されても所得税額に影響が出ないため税務リスクはないといえます。
しかし、副業が赤字の場合や、純損失の繰越控除を行っている場合には、雑所得と判断されることで副業分については損益通算ができず、納税額が増加する可能性があります。
こうしたリスクを回避するためには、副業の内容や規模を踏まえ、事業としての実態があるかを客観的に整理することが重要です。具体的には、継続的に収入を得る体制があるか、営利目的で活動しているかといった点が重視されます。
本来、副業が雑所得の規模にも関わらず、副業が赤字だから本業の黒字と相殺しようといった動機で事業所得に区分することはないようにしましょう。
副業所得の計算方法
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額のことです。税金を計算するときには、他の場合と同様、この所得をもとに計算します。
所得を計算するには、副業で得た収入額から、収入を得るために必要とした経費の額を引きます。例えば、単価10万円の仕事をするために機材費4万円が掛かったとします。このとき、所得金額は収入10万円から経費4万円を引いた6万円となります。
なお、個人事業主として収入がない場合は以下の記事を参考にしてください。
個人事業主が何もしない場合に確定申告は必要?収入なしでも確定申告するべき?
個人事業主が副業をしたときの確定申告のやり方
個人事業主の副業における確定申告のやり方について説明します。すでに個人事業主としての確定申告を行っている方にとっては慣れた手続きかもしれませんが、申告書には副業として追加の記載を行う必要があるので、細かいポイントを確認しておきましょう。
確定申告のスケジュール
確定申告をする時期には、いくつか注意が必要な点があります。
一般的に確定申告は毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。しかし、本業の他に副業をしている個人事業主の方は、年末調整の対象外となるため、確定申告の時期に気をつける必要があります。
副業の収入に対してしっかり準備ができるように、年度末を迎える前に、必要な書類の準備や経費の計算などの作業を進めておくことが大切です。
また、申告書の提出期限を守らないと、延滞税などの追徴課税を受ける可能性があるため、スケジュールはきちんと管理しておく必要があります。
確定申告のスケジュールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
確定申告の期限はいつからいつまで?遅れた際の手続きについても解説
確定申告に必要な書類
個人事業主の方が副業の確定申告を行う際には、いくつかの大切な書類が必要になります。
まず、本業と副業の収入に関する帳簿類や取引先からの支払明細書などの基本的な書類が必要です。副業が事業として認められる場合は、ガソリン代や事務用品のレシートなど、経費の証拠となる資料の提出も必要です。
また、住民税の申告にも関係するため、前年度の住民税通知書のコピーなども必要です。これらの書類をきちんと準備しておくことで、確定申告の手続きがスムーズに進みます。
確定申告の必要書類について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
初めての個人事業主の確定申告|必要書類やいくらから必要でいつまでにするか
確定申告への副業の記載方法
個人事業主の方が副業の収入を確定申告する際には、どのように記入するかが重要です。確定申告書には、収入金額、必要経費、所得額などを正確に記入する必要があります。
副業が事業所得に該当する場合は「青色申告」または「白色申告」を選択し、それぞれに合った申告書に記入します。雑所得の場合は所得税法の規定により「雑所得」として別に記入する必要があり、副業の経費を直接差し引くことができます。
また、事業所得と同じように、収入から経費を差し引いた所得額を正確に申告することが求められます。
確定申告後の税金の納付方法
個人事業主の方が副業をして確定申告をした後、計算された所得税を納める必要があります。
税金の納め方はいくつかあり、納め方によって納める期限や手続きが違いますので、注意が必要です。現金で納める方法とキャッシュレスで納める方法のどちらを選ぶかによって、納める手順が変わります。

渋田 貴正
司法書士
社会保険労務士
個人事業主が納付する税金は所得税だけではありません。代表的なものとして住民税や事業税があり、特に住民税は業種を問わず、確定申告で算出された所得をもとに課税されるため、原則として誰でも納付義務が生じます。
住民税は通常、毎年6月・8月・11月・翌年1月の年4回に分けて納付する仕組みとなっており、一括納付か分割納付かを選択することができます。所得税の納付が終わって一安心していると、住民税の支払いを失念してしまうケースも少なくありません。
また、納期限を過ぎると延滞税が発生し、滞納が続けば督促や財産調査を経て、預金口座の差押えなどの強制徴収に進む可能性もあります。
こうした事態を防ぐためには、年間の税金の納付スケジュールをあらかじめ把握し、資金繰りを含めて計画的に準備しておくことが重要です。納付書に気づかなかったなど個別の事情は関係ありません。特に、給与天引きが行われない個人事業主は住民税の期限管理を徹底する意識が不可欠です。
事前に準備をして、間違いなくスムーズに税金を納めるために、大切なポイントを覚えておきましょう。
現金で納付する
現金で税金を納める場合は、近くの銀行や郵便局を利用するのが一般的です。
銀行の窓口で、税務署から届いた納税通知書や納付書の内容に従って、現金で税金を支払います。また、コンビニエンスストアで納めることもできますが、利用できる時間帯や金額に制限があるので、お店によってどのように対応しているか確認する必要があります。
納める期限は必ず守らなければならず、遅れると延滞税がかかることもあるので注意が必要です。さらに、現金で納める場合は手元にお金が必要になるので、あらかじめ納税額を準備しておくことが大切です。
参考:G-2-8 現金に納付書を添えて納付(金融機関又は税務署の窓口)|国税庁
キャッシュレスで納付する
最近は、キャッシュレスなど以下の方法で税金を納める方法も増えてきています。
- クレジットカード
- デビットカード
- インターネットバンキング
上記を使って、納税通知書に書いてあるコードや情報をもとに、オンラインで税金を支払うことができます。
この方法のメリットは、自宅からいつでも納めることができ、現金を用意する必要がないことです。また、クレジットカードで納めるとポイントが貯まるなど、お得なこともあります。しかし、一部のカードでは利用できないことがあったり、カードによっては手数料がかかることもあるので、納める前にそれぞれの条件を確認する必要があります。
さらに、キャッシュレス納付はシステムのトラブルなどで期限までに納められない可能性もあるので、期限ギリギリではなく、余裕をもって手続きをすることをおすすめします。
参考:使ってみると便利です!キャッシュレス納付!|国税庁
個人事業主が副業したときの確定申告の注意点
副業を行った個人事業主にとって確定申告は非常に重要な手続きです。本業とは別の収入源を持つことで、税務上の取り扱いが複雑になりますから、納税の過不足がないように注意が必要です。ここでは、個人事業主が副業をした場合の確定申告の注意点を3点確認します。
副業での所得が複数の種類にまたがる場合の扱いに注意する
副業で得た収入が、税金の計算上、複数の種類に分けられる場合、どのように区別するかが重要です。
たとえば、フリーランスとしての収入は「事業所得」、たまにやるアルバイトの収入は「雑所得」となります。このように収入の種類が異なる場合、それぞれを正しく分けて申告する必要があります。
また、副業には予期せぬ経費がかかることもあるため、経費もきちんと計算することが大切です。「事業所得」であれば必要な経費を差し引けますが、「雑所得」の場合は経費を差し引くうえで制限があるため、どちらの種類に属するかを明確にし、それに合った経費を計算する必要があります。
このように、個人事業主が副業と本業の所得を正しく計算し、申告することが、税金のトラブルを避けるためには不可欠です。
副業収入の青色申告と白色申告での違い
副業収入の申告方法には、以下の2種類があります。
- 青色申告
- 白色申告
青色申告を利用すると、税金が安くなるなどのメリットがありますが、その代わり、帳簿をつける義務や、確定申告書に添付する書類など、より複雑なルールを守ることが求められます。一方、白色申告では、このような税金の優遇はありませんが、手続きは簡単で、経費を実際に使った金額として計算できます。
個人事業主は、自分の副業収入がどのくらいか、またそれを本業の収入とどのように計算するかによって、どちらの申告方法を選ぶか決めることになります。
青色申告と白色申告の違いについては、こちらの記事も併せて参考にしてみてください。
青色申告と白色申告の違いを解説
取引の記録と書類保管を徹底する
確定申告では、副業の収入と経費を記録し、保管しておくことがとても大切です。税務調査があったときには、収入や経費の証拠となる書類を見せられるように準備しておく必要があるからです。
副業で得た収入については、取引明細や領収書など、取引の内容がわかる記録を残しておくことが重要です。また、副業にかかる経費も忘れずに記録することで、正しい税金の計算と支払いができます。
経費として認められるものには、主に以下のようなものがあげられます。
- 交通費
- 消耗品費
- 広告宣伝費など
これらの支出を証明する領収書や契約書は大切な資料となります。すべての取引に関する証拠を整理し、確定申告書と一緒に保管しておくことが、万が一のときのリスク回避につながります。
書類保管の期限やその際の注意点については、こちらの解説記事をお読みください。
領収書の保管でのポイント | レバテックフリーランス
※本記事は2024年11月時点の情報を基に執筆しております。
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事業所得と雑所得の区分は、実務上も判断に迷いやすく、税務署から指摘を受けやすい論点の一つです。
特に個人事業主が副業を行っている場合、その副業収入をどちらに区分するかは重要になります。本業と同種・同内容の業務であれば、副業分も含めて一体の事業として事業所得で申告しても、実務上問題となるケースは多くありません。
一方、本業とは別の内容の副業については、会社員の副業と同様に、その活動に事業性があるかどうかが判断のポイントになります。具体的には、その副業だけで生計を立てていく意思があるか、継続的・反復的に行われているかといった点が重視されます。
副業の規模が拡大し、収入や作業時間が増え、その収入を生活の柱として位置づける段階になれば、雑所得から事業所得へ区分を変更することも問題ないでしょう。
こうした実態に即した区分を行うことが、税務署からの指摘を受けにくくするポイントです。