源泉徴収票(支払調書)は発行義務がない?フリーランスが知るべき源泉徴収の仕組み

フリーランスでも、受ける案件によっては源泉徴収が行われていることがあります。税金の手続きを自分で行っている方は、損をしないためにも、源泉徴収について正しく理解しておきましょう。

なお、業務委託で働いた場合の確定申告全般については、以下の記事で概説しています。
業務委託契約者は確定申告が必要?|青色・白色の違いや書き方、提出方法を解説

また、インボイス制度に対する弊社の方針に関しましては、以下をご確認ください。
【レバテック】インボイス制度に対する弊社取引方針について

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新井 智美

トータルマネーコンサルタント ファイナンシャルプランナー

マネーコンサルタントとしての個人向け相談、NISA・iDeCoをはじめとした運用にまつわるセミナー講師のほか、金融メディアへの執筆および監修に携わっている。

現在年間200本以上の執筆・監修をこなしており、これまでの執筆・監修実績は3,500本を超える。

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源泉徴収票(支払調書)の概要

まずは、源泉徴収の概要についてご説明します。

源泉徴収とは

源泉徴収とは、給与や報酬などを支払う側が、所定の方法で税額を計算し、あらかじめ所得税を差し引いて納税する制度のことです。

日本では、所得税は所得者自身が計算し、自主的に申告して納税する「申告納税制度」を基本としていますが、特定の所得に関しては、支払いの際に所得税を徴収する「源泉徴収制度」を採用しています。

新井 智美

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トータルマネーコンサルタント
ファイナンシャルプランナー

フリーランスにとって、源泉徴収制度は「税金の前払い」の役割を果たします。原稿料やデザイン料、講演料などの報酬は、支払者が報酬の10.21%を所得税として差引き、本人に代わって国に納付しています。この仕組みにより、税金の未払いを防ぐほか、税収の安定化が保たれているのです。

源泉徴収されることのメリットは、確定申告の際に源泉徴収額が「既に納めた税金」として精算される点です。経費や各種控除を差引いた結果によっては、払いすぎた源泉徴収額が還付される可能性があります。

デメリットは、報酬を受け取る際の手取りが減ることや、源泉徴収されているからといって確定申告が不要になるわけではないことです。確定申告を怠ると、還付を受け取れないだけでなく、後日修正が必要になることも考えられます。

源泉徴収は「自動で完結する税金」ではなく、あくまでも確定申告を前提とした制度だと理解しておきましょう。

源泉徴収票(支払調書)とは

源泉徴収票(支払調書)は、給与や報酬などを支払う側が、支払った額と差し引いた所得税を記載して提出する書類です。

会社に勤める従業員であれば、源泉徴収制度によって毎月の給与から税金が差し引かれているため、年末にこの源泉徴収票が渡されるでしょう。しかし、フリーランスの場合、案件によって源泉徴収されるものとされないものがあるため、必ず源泉徴収票(支払調書)が送られてくるわけではありません。

源泉徴収票の発行についてはこちらの記事をご覧ください。
源泉徴収票はいつもらえる?再発行したい場合の手続き

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フリーランスの源泉徴収で対象となる報酬

源泉徴収が必要な報酬の範囲は、その報酬を受ける人が法人か個人かによっても異なります。国税庁の公式サイトによると、報酬を受ける側が個人の場合は、次のようなものが源泉徴収の対象となるようです。

  • 講演料、原稿料、デザイン料など
  • 弁護士や司法書士、公認会計士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • 宴会等において、バーやキャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

参照元:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

フリーランスとしてWebデザインの案件を引き受けた場合、これは上記の「デザイン料」に該当するので、源泉徴収の対象となるでしょう。しかし、コーディングやプログラミングといった、デザインをWeb上で閲覧できるようにする作業は、実際にデザインを行っているわけではないのであてはまりません。

フリーランスとして参画している方は、自分が引き受ける案件が源泉徴収の対象になるのかどうかあらかじめ確認しておきましょう。

関連記事:源泉徴収とは?計算方法や注意点

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源泉徴収の注意点

最後に、源泉徴収がある案件を受けた際の注意点をご説明します。

源泉徴収票(支払調書)が発行されない場合がある

業務委託契約は雇用契約とは異なり、源泉徴収を行う義務はあっても、源泉徴収票(支払調書)を個人事業主に発行する義務はありません。つまり、源泉徴収されていたとしても、源泉徴収票(支払調書)が送られてこない可能性があるということです。

そのため、もし源泉徴収額が記載された書類をもらえない場合は、企業側に問い合わせるか、自分で税率を計算する必要があります。

新井 智美

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ファイナンシャルプランナー

源泉徴収票(支払調書)は発注元に交付義務がなく、確定申告時に手元にないケースも珍しくありません。確定申告で困らないためにも、フリーランス側で事前に情報を確保しておくことが実務において重要だと考えましょう。

具体的には、自分が発行する請求書に「報酬金額」「源泉徴収金額」「請求金額」を明確に分けて記載し、源泉徴収がある取引かどうかが分かる形にしておくことをおすすめします。合わせて、発注元の正式名称や住所、法人番号を把握しておくと、確定申告書の支払先記載の際に役立ちます。

また、入金記録は必ず保存し、請求書といつでも付き合わせる状態を保っておきましょう。入金記録はデータ化しておくと扱いやすいです。さらに年末に発注元に「年間支払額」と「源泉徴収税額」の合計を確認してもらうようお願いすることで、金額の食い違いも避けられます。

なお、確定申告では支払調書の提出は必須とされておらず、信憑書類があれば申告可能です。

確定申告書には源泉徴収額を記載する

源泉徴収の対象となる案件があった場合は、必ず確定申告書に源泉徴収税額を記載しましょう。記載を忘れると、すでに源泉徴収されて納付した分と2重で納めることになってしまいます。

万が一税金を多く支払ってしまった場合は、各年分の法定申告期限から5年以内に更正の請求を行えば払いすぎた分が戻ってくるので、手続きを行いましょう。

自分で確定申告の手続きを行なうのがストレスになっているというフリーランスの方は、経理のプロである税理士に代行を依頼してみてはいかがでしょうか。

新井 智美

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源泉徴収があるフリーランスの確定申告で多く見られる記載ミスは、源泉徴収税額の転記ミス、金額の違い」「税込金額、税抜金額の混同」「売上計上時期のズレ」です。そのほか、支払調書がなく、自分で集計した額と合わないケースも見られます。

源泉徴収額については、支払調書と入金額との差がないか、あれば理由は何かをまとめておくと安心です。また、報酬に消費税が含まれる業種だと、課税および非課税の切り分けを間違えてしまうと、所得金額自体が異なってしまいます。

税理士に依頼することのメリットはなんといっても時間の節約と正確性の確保でしょう。税理士に資料整理から申告書作成まで任せることで、本業に集中できますし、ミスが起きやすい点をきちんとチェックしてもらえます。

税務相談では、源泉聴取の有無による還付見込みや、来期以降の節税策のほか、税務署からの問い合わせ対応まで一貫して相談でき、正確な納税とリスク低減が期待できます。

関連記事:青色申告者の源泉徴収

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業務委託の源泉徴収票に関するよくある質問

ここでは、業務委託の源泉徴収票に関するよくある質問に答えていきます。

Q. フリーランスが源泉徴収の対象となる報酬にはどんなものがありますか?

フリーランスが源泉徴収の対象となる報酬には、原稿料、講演料、社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬、テレビ放送などの出演報酬、広告宣伝のための賞金等があります。

Q. 源泉徴収とはどんな制度ですか?

源泉徴収とは、給与や報酬を受け取る際にかかる所得税を報酬や給与からあらかじめ一定額差し引き、納税する制度です。

Q.フリーランスが源泉徴収票をもらえない場合、自分で税率を計算する方法はありますか?

源泉徴収額は、「報酬額 × 10.21%」となるため、報酬額にあわせて自身で計算できます。ただし、1回の報酬額が100万円以上の場合には、「100万円を超えた部分 × 20.42%」で計算する必要があります。

Q. 源泉徴収と所得税の違いは何ですか?

源泉徴収と所得税の違いは、源泉徴収は所得税を徴収するための仕組みであるのに対し、所得税は税金の種類である点です。

Q. フリーランスが源泉徴収票を無くした場合、再発行できますか?

源泉徴収票の発行は所得税法で定められた企業の義務であるため、企業に依頼し再発行をしていただけます。

※本記事は2023年12月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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