データマイニングエンジニアの仕事内容を分かりやすく解説

データマイニングエンジニアは、データの分析や検証、アルゴリズムの調査と実装、システム構築といった作業を行う技術者です。データマイニングエンジニアに必要とされるスキルには、統計学・機械学習・自然言語処理などがあります。

また、データマイニングエンジニアは、ビジネスの意思決定を支援するために、大量のデータから有用な情報を抽出するマーケターでもあります。データの中に隠れたパターンや関連性を見つけ出し、その情報を使ってビジネスに役立つ新たな知識や理解を生み出します。

このように、データマイニングエンジニアは、データドリブンの意思決定を可能にする、ビジネスとテクノロジーの橋渡しの役割を果たします。

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■この記事の監修

ウメザワ ヒロキ
情報処理系の学校を卒業後、システムエンジニアリングサービス、システムインテグレーターを経て東証一部企業のプロジェクトマネージャーへ。
在籍中に得た人工知能やブロックチェーンの知識を活かし、最新デジタル技術を活用したシステムの企画・提案を経験。
現在は、ライターズカフェ代表として、テクノロジー関係の企業を中心にSEO支援やウェブライティング、オウンメディアの運用などを手掛ける。

目次

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データマイニングの基礎知識

データマイニングとは

「データマイニング」とは、企業が収集しているデータを分析してそこに何らかの有用性を見つけ、マーケティングをサポートする手法のことを指します。つまりデータマイニングの目的は、商品についてのデータ(売れ筋、将来性、評判など)や顧客についてのデータ(性別、年代、地域、ターゲットなど)を分析すること、その上でマーケティングにおける課題を解決することであるといえます。

例えば、「バスケット分析」はデータマイニングの一部として広く使用されている解析手法です。

バスケット分析は「アソシエーションルール」というデータマイニングの手法の一つで、頻繁に一緒に購入されるアイテムのセットを見つけ出すために使用されます。
例えば、バスケット分析を用いて、「ビール」と「おつまみ」が一緒に購入されることが頻繁にあると分かった場合、店舗はこれらの商品を近くに配置することで、売上を増加させることができます。
このように、バスケット分析は、顧客が一度の購入でどの商品を一緒に購入する傾向があるかを分析し、商品の配置、クロスセル(関連商品の推奨)、アップセル(より高価な商品やアップグレードの推奨)などの戦略を策定するのに役立ちます。

データマイニングは、「統計解析」と比較して論じられることもあります。
統計解析は、データの背後にある構造を理解し、仮説を立てるのに役立ちます。一方、データマイニングは、立てた仮説を大量のデータに適用することで、新たな構造や仮説を発見することを得意としています。
したがって、統計解析が「何が起こっているか」を理解するのに役立つのに対し、データマイニングは「次に何が起こるか」を予測するのに役立つと言えます。

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データマイニングエンジニアの働き方

データマイニングエンジニアの仕事内容

データマイニングエンジニアはその名の通り、案件参画に際してデータマイニング作業に携わる技術者です。

データマイニングエンジニアに求められるのは、他の参画者と協力しつつ多様なデータの分析を行い、企業が抱えているビジネス上の課題を解決に導くこと。そうした事業課題の代表的な例としては、商品の売上アップやサービス改善、新規施策の立案、コスト削減などが挙げられるでしょう。

具体的な業務内容を例に挙げ、一般的なデータマイニングの作業を説明します。

まず最初のステップでは、データの前処理という作業を行います。
これは、データが散らかっていたり、欠損している部分があったりする場合に、それを整理し、分析しやすい形にする作業です。

例えば、顧客の購買データには、購入日時、購入商品、購入金額など、さまざまな情報が含まれていますが、全ての情報が必要とは限りません。そこで、分析の目的に合わせて必要なデータだけを選び出し、それを整理しておきます。。

次に、選び出したデータを分析します。
たとえば、顧客の購買データから、どの商品が一緒に購入されやすいか、どの時間帯に購入が多いかなど、有益な情報を見つけ出すことが目的です。
この作業では、統計学や機械学習の手法を用いてデータを分析します。

そして、最後のステップとして分析結果をもとにビジネスの戦略を立てます。
例えば、ある商品が一緒に購入されやすいと分かった場合、その2つの商品を一緒にディスプレイするなどのマーケティング戦略を立てることができます。

このように、データマイニングエンジニアは、データから有益な情報を見つけ出し、それをビジネスの成長につなげる重要な役割を果たします。

実際にデータマイニングエンジニアが行う作業には、上記の他にも分析を行うための基盤やツールの整備、機械学習、アルゴリズムの調査と実装、システム全体の構築、仮設立案、ビッグデータ活用推進および方針策定などがあります。

データマイニングエンジニアの将来性

ビッグデータは近年大きな注目を集めており、大量データ時代に対応できる技術者の需要は今後も伸び続けていくことが予想されます。とりわけ機械学習は、マーケティングにおいて欠かすことができないものでありながら、高度な専門知識・スキルを有する人材は不足傾向にあるのが現状です。

どれくらい私たちの生活の中でデータマイニングの需要があるのか、実際にデータマイニングを活用している代表的な企業の事例を紹介します。

Amazon

Amazonは、データマイニングを活用して顧客の購買履歴や閲覧履歴から商品のレコメンドを行っています。
具体的には、「協調フィルタリング」というレコメンドシステム(推薦システム)を実現する手法を用いて、顧客が購入または閲覧した商品と類似の商品を推奨します。
また、「顧客がこの商品を購入した人はこんな商品も購入しています」という形で、他の顧客の購買パターンを基に商品を推奨することもあります。
これにより、顧客に合った商品を提案し、購買率を向上させています。

Netflix

Netflixは、データマイニングを用いてユーザーの視聴履歴や評価から次に視聴するであろう映画やドラマをレコメンドしています。
具体的には、「協調フィルタリング」と「コンテンツベースフィルタリング」の二つの手法を組み合わせて行われます。

コンテンツベースフィルタリングとは、商品に何かしらの特徴をパラメーターとして付与し、特徴が似ている商品を推奨するアルゴリズムです。コンテンツベースフィルタリングにより、ユーザーが過去に高評価をつけたコンテンツと類似のコンテンツを推奨します。
協調フィルタリングでは、ユーザーが視聴したコンテンツと同じコンテンツを視聴した他のユーザーの視聴履歴を基に、推奨コンテンツを決定します。
また、これらのデータを基に新たなオリジナルコンテンツの企画も行っています。

Google

Googleは、データマイニングを活用してユーザーの検索履歴やウェブ閲覧履歴から関連する広告を表示しています。これは「行動ターゲティング広告」の一種で、ユーザーの過去の行動や興味を基に最適な広告を表示します。
具体的には、ユーザーが過去に検索したキーワードや訪れたウェブサイト、閲覧した商品などのデータを基に、関連性の高い広告を選択して表示します。

これにより、広告のクリック率やコンバージョン率を向上させています。
Webマーケティングの仕事について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスWebマーケティングの年収や案件、未経験からなる方法

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データマイニングエンジニアに必要なスキル

統計学

統計学の素養があれば、データマイニングの正確な理解と活用に役立つかもしれません。案件によっては、統計学の専門的な知識やスキルが必須の参画条件とされるケースもあるからです。

データマイニングに役立つ統計学としては、「相関関係」、「回帰分析」、「確率分布」があります。

相関関係

相関関係は、二つの変数間の関連性を示します。
データマイニングにおいては、特定の変数間に強い相関がある場合、それを基に新たな関連性を得ることができます。

例えば、顧客の購買履歴データから、ある商品の購入と別の商品の購入が強く相関していることを見つけると、クロスセルの機会を見つけることができます。

回帰分析

回帰分析は、一つの変数(目的変数)が他の一つまたは複数の変数(説明変数)にどのように影響を受けるかをモデル化する手法です。

データマイニングにおいては、回帰分析を用いて、特定の変数の影響度を定量的に評価したり、未来の値を予測したりします。

確率分布

確率分布は、ある事象が起こる確率を示します。
データマイニングにおいては、確率分布を用いて、データの生成過程を理解したり、異常値を検出したりします。
統計学に関しては、Web上にも参考資料が豊富に見受けられます。初心者向けにわかりやすく解説したスライドなどもあり、意欲さえあれば気軽に勉強を始めることが可能です。

プログラミング言語

データマイニングは大量のデータを処理、分析する必要があります。
データマイニングの作業は、プログラミング言語を使ってデータの取得、前処理、変換、分析、可視化などの作業を効率的に行うことができます

データ分析に適したプログラミング言語には、PythonやR言語を用いるのが一般的です。
特にPythonは、pandas、numpy、scikit-learnなどデータ分析や機械学習に役立つライブラリが豊富に用意されており、学習コストもそこまで高くありません。
こうしたプログラミング言語の知識があれば、データマイニングの作業を自動化でき、大規模なデータセットに対してもスケーラブルな解析を行うことができます。

さらには、プログラミング言語は新しいアルゴリズムやテクニックの実装にも対応しやすく、新たな手法やモデルが開発された場合、最新の手法を取り入れたデータマイニングの実装や改良を行うことが可能です。

機械学習

機械学習は、コンピューターに過去のデータを学習させることで特定のパターンを見つけ出し、未来のデータを予測する手法です。データマイニングではもちろんのこと、SNSや検索エンジン、マーケティングなど、あらゆる領域において活用されています。

機械学習のアルゴリズムには大別すると、「教師あり学習」、「教師なし学習」、「強化学習」があります。

これらは、統計学と同様、データマイニングの案件参画時に必要な知識です。

教師あり学習

入力データ(特徴量)とそれに対応する出力データ(ラベルまたは目的変数)のペアから、入力から出力へのマッピング(関数)を学習する方法です。

例えば、画像分類の場合、教師あり学習ではたくさんの画像とそれに対応するラベル(何の画像か)が与えられます。コンピュータはこれらのデータを学習し、新しい画像が与えられた時にそれを正しく分類することができます。
具体的な例としては、スパムメールの分類や、住宅の価格予測などがあります。

教師なし学習

出力データ(ラベル)が与えられず、入力データ(特徴量)だけからデータの構造やパターンを見つけ出す方法です。

例えば、類似した特徴を持つデータをグループ化するクラスタリングという手法や、通常のパターンから逸脱した異常なデータを検出する異常検知という手法があります。

強化学習

強化学習は、AIやコンピューター(エージェント)が、ある環境において目的として設定されたスコア(報酬)を最大化するような行動を学習する方法です。
強化学習は、試行錯誤を通じて学習を行い、長期的に最大の報酬を得られるような戦略(ポリシー)を見つけ出します。
具体的な例としては、ゲームのAI、自動運転、ロボット制御などがあります。

機械学習について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
機械学習エンジニア(MLエンジニア)とは?仕事内容やフリーランス事情を解説

自然言語処理

自然言語処理は、日本語や英語といった人間が用いる言語(自然言語)をコンピューター上で処理する技術です。中でも「統計的自然言語処理」は、上に紹介した統計学や機械学習と共にデータマイニングの分野との関係が深く、データマイニングエンジニアにとっては身につけておきたい知識・スキルの1つといえます。

「自然言語処理」では、トークン化といって、文章を単語ごとに分割し、各単語の意味や文法的な情報を特定するために意味を持つ最小単位に分けます。その後、文章の構造を解析し、単語間の関係や文法的な依存関係を明らかにすることで、文の意味や構成要素を把握します。これによりコンピュータが人間の言葉を理解して、言語に関するさまざまなタスクを自動化することが可能です。

一方、「統計的自然言語処理」では、文章の意味を理解するために、統計的な手法を用いて自然言語データを処理します。具体的には、大量のテキストデータから統計モデルを学習し、単語の出現確率や文の構造的な関係を推定します。大量のデータから統計的なパターンや関係性を学習することで、高度な自然言語処理タスクを実現し、言語に関するさまざまなタスクを効率的に自動化することが可能です。

自然言語処理を扱う案件としては、声による情報処理や認証を行うアプリケーション開発などがあります。
自然言語処理のフリーランス案件一覧【レバテックフリーランス】

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データマイニングエンジニアとデータサイエンティストとの違い

データサイエンティストの役割

データマイニングエンジニアとデータサイエンティストは、どちらもデータに関する専門的な仕事を行う役割ですが、データ活用のどの分野に専門性をもつかが異なります。
データマイニングエンジニアは、技術的な手法やツールを開発・応用することに特化しています。

一方、データサイエンティストは、技術的な側面だけでなく、ビジネス上の課題や目標を理解し、データから得られるインサイトをビジネス上の意思決定に結び付けることに重点を置いています。

つまり、データマイニングエンジニアはデータに対して機械学習や統計的手法を適用して、パターンやトレンドを発見し、活用方法を得ることに焦点を当てているのに対して、データサイエンティストはビジネス上の問題解決に焦点を当て、解決に至るまでのアプローチ全体を追求しています。

ただし、役割や責任は組織やプロジェクトによって異なる場合もありますので、厳密な区別はできないこともあります。
データサイエンティストについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
データサイエンティストとは?仕事内容やフリーランス事情を解説

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データマイニング案件の単価・年収

ここではデータマイニングの年収の参考として、レバテックフリーランスでの公開案件を基にした月単価・年収例をご紹介します。

フリーランスデータマイニングの平均月単価 : 74万円(12ヶ月分を年収とすると888万円)
最高単価 : 145万円
最低単価 : 30万円

※下記ページから引用(2023年7月時点)
データマイニングの求人・案件一覧

なお、会社員とフリーランスとでは、社会保険料や税金の計算が異なる、会社員は月給の他に賞与もある、など収入の計算の仕方に違いがあるため、両者の金額を単純比較できないという点はご注意ください。

フリーランスの税金に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスが納付する税金の種類は?計算方法や節税対策についても解説

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データマイニングの求人・案件例

ここでは、実際にあったレバテックフリーランスでの案件を例に、データマイニングの作業内容や案件に必要なスキルなどを見ていきます。データマイニングの求人・案件に興味がある方は参考にしてみてください。

【Python】データアナリストの求人・案件

■単価
〜750,000円/月※消費税を含めた参画者にお渡しする金額です。

■職種・ポジション
データサイエンティスト

■職務内容
・需要予測と棚割り最適化のアナリストとして作業していただきます

■求めるスキル
・Pythonでの分析経験
・scikit-learnの使用経験
・AWS環境での作業経験
・英語の読み書きができること

■最寄り駅
神谷町(東京都)

建築現場アプリ向けデータ分析の求人・案件

■単価
〜650,000円/月※消費税を含めた参画者にお渡しする金額です。

■職種・ポジション
データサイエンティスト

■職務内容
・建築現場のコラボレーションアプリの案件に参画いただきます。
・下記を行っていただきます。
-分析環境、BI基盤の開発・運用
-データ基盤システムの設計・開発
-データ分析結果のレポーティング
-分析モデルの開発
-データを活用した新規サービスの企画立案
-データ分析/インフラ領域/情報保護技術における技術調査や研究

■求めるスキル
・基本的なセキュリティの知見
・データの加工や抽出、フィルタリングの経験

■歓迎スキル
・PythonやJavaを利用したデータ分析環境の開発経験
・RDB等の利用経験
・ETLの設計/運用経験
・OSSへの参加経験

■最寄り駅
秋葉原(東京都)


上記の内容はデータマイニングのフリーランス案件の一例であり、必須スキル・歓迎スキルや単価などは、案件とご自身のスキル・経験によって大きく変わってきます。
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※本記事は2023年7月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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※相場算出に個人情報の取得はおこないません。

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