ITコンサルタントの資格|仕事や転職に役立つおすすめの資格と難易度

ITコンサルタントは資格が必須の職種ではありませんが、取得しておくと仕事や転職に役立つ可能性がある資格としては、中小企業診断士、ITストラテジスト試験、ITコーディネータ、プロジェクトマネージャ試験、PMPなどが挙げられます。本記事では、これらの資格の試験内容や取得方法、難易度、おすすめの勉強方法などを紹介しています。

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ITコンサルタントとは

ITコンサルタントは、その名の通り、顧客のIT全般に対してのコンサルティングを行う仕事です。単にITの活用を推進するだけでなく、IT戦略の策定を目的とする顧客の経営課題の整理や分析をし、必要な解決法を検討して提案や助言を行っていきます。ITの活用を前提としながら、市場や業界に関する情報を整理して、経営の視点から投資の方向性を検討する経営コンサルタントのような役割を担うことになります。

インフラ、ミドルウェア、アプリケーションなど、幅広い領域の知識を駆使して課題解決の手段を提案していきます。ネットワーク事業者やシステムベンダーとは異なり、客観的な立場から、顧客が導入するシステムについて検討します。また、IT開発のコンサルティングでは、業務フローやセキュリティ、IT活用における課題を抽出し、システム構築により改善を促す提案を行います。

主に自社で活動し、客先に常駐するとしても基本的に短期間にはなりますが、実際に顧客のプロジェクトに参加し、顧客担当者やシステムベンダーと共同で戦略やシステム化を検討します。情報セキュリティに関する世の中のトレンドや、関連する法規の知識など、頻繁に改正が行われる分野の知識が必要となることも多く、常に情報収集を怠らない姿勢が必要です。また、日々刷新されるITの新たな技術についての知識も取り入れていくことが求められます。

ITコンサルタントの仕事について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
ITコンサルタントとは?仕事内容や向いている人の特徴を解説

※参考:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)「ITコンサルタント」

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ITコンサルタントになるには資格が必要?

ITコンサルタントになるのに必要な資格はありませんが、コンサルティング会社などにITコンサルタントとして就職・転職する際、仕事に関連する資格を持っていると一定のスキルの証明や学習意欲のアピールに役立つ可能性はあります。

経済産業省・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が定めた「ITスキル標準V3」における「コンサルタント」の職種説明をもとにすると、ITコンサルタントとは、顧客が経営戦略やビジネス戦略、IT戦略を策定するにあたって、カウンセリング、提案、助言などを行い、顧客のビジネス戦略やビジョンの実現、課題解決に貢献し、IT投資の経営判断を支援する職業です。

※参考:経済産業省・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「職種の概要と達成度指標(3)コンサルタント」

厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)の「ITコンサルタント」のページによると、ITコンサルタントになるには「情報系や経営系の大学・大学院を卒業し、IT企業や経営コンサルティング会社で実務経験を積むのが一般的である」とされ、「ITシステムの構築や運用を長く経験した者」もしくは「様々な経営コンサルティングに携わりITの専門能力も高い者」が、ITコンサルタントになることが多いと紹介されています。

※参考:厚生労働省職業情報提供サイト(日本版O-NET)「ITコンサルタント」

ITコンサルタントは顧客や市場、業界についての深い理解や、ソフトウェア、ハードウェア、ネットワークに関する幅広い知識などが求められる仕事といえるため、これらの知識・スキルを証明できる資格を取得すると、就職・転職にも有用であると考えられます。

また、ITコンサルタントには「アナリスト」「コンサルタント」「マネージャー」「パートナー」といったキャリアパスが設けられていることがあり、より上位の職位へのキャリアアップを目指すうえでも、資格の勉強を通じて身につけた知識は有益なものになるでしょう。

関連記事:ITコンサルタントとは|仕事内容、年収、転職に役立つスキルや資格など

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ITコンサルタントにおすすめの資格

ITコンサルタントが取得すると役立つ可能性がある資格として、以下の5種類を紹介します。

  • 中小企業診断士
  • プロジェクトマネージャ試験
  • ITストラテジスト試験
  • ITコーディネータ
  • PMP

ITコンサルタントという名がついた資格はありません。上記に挙げた資格は、ITコンサルタントの業務に活かせる資格と考えておきましょう。

中小企業診断士

資格名 中小企業診断士
運営 一般社団法人中小企業診断協会
試験日 一般社団法人中小企業診断協会 第1次試験:8月上旬の土曜日・日曜日(2日間)
第2次試験・筆記試験:10月下旬の日曜日
第2次試験・口述試験:1月下旬の日曜日
※2023年度の試験実績より
受験料 第1次試験:14,500円
第2次試験:17,800円
合格基準 第1次試験:総点数の60%以上、かつ満点の40%未満の科目がひとつもないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率であること
第2次試験(筆記試験):総点数の60%以上、かつ40%未満の科目がひとつもないこと
第2次試験(口述試験):評定が60%以上であること
受験資格 第1次試験:特になし
第2次試験:当年度もしくは前年度の第1次試験合格者

※参考:J-SMECA 中小企業診断協会

試験内容

「中小企業診断士」は、中小企業の経営課題に対し診断・助言を行う専門家であることを認定する国家資格です。試験は第1次試験と第2次試験に分かれており、1次に合格すると2次が受けられます。

第2次試験は筆記試験と口述試験に分かれており、筆記試験に合格した者だけが口述試験に進み、口述試験に合格すると、15日間以上の実務補習もしくは実務従事を経て、中小企業診断士になることができます。

また、第1次試験に合格後、中小企業基盤整備機構または登録養成機関が実施する養成課程を修了して中小企業診断士になることも可能です。

第1次試験は多肢選択式または短答式による筆記方式で、「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理(オペレーション・マネジメント)」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・中小企業政策」の7科目に分かれています。

第2次試験の筆記試験では、以下のような中小企業の診断および助言に関する4つの実務事例をもとに、それぞれ回答していきます。

  • 組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  • マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  • 生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  • 財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例
  • 筆記試験に合格すると口述試験に進めます。筆記試験の事例などをもとに、個別面接で1人あたり10分間の試験となります。

この資格は「中小企業の経営課題に対し診断・助言を行う専門家」とあるように、IT分野に限らず経営全般に関するコンサルティング能力が問われる資格といえます。これに合格すれば会社全体の課題を見据えたコンサルティングが可能となり、高度な提案ができる証明になるでしょう。

最新情報は中小企業庁のWebサイトにある中小企業診断士の情報ページなどを確認しておきましょう。

※参考:中小企業庁:中小企業診断士関連情報

難易度

2022年の試験結果では、第1次試験の受験者数が20,212人(欠席科目がない受験者数は17,345人)、合格者数は5,019人、合格率は28.9%となります。

第2次試験の筆記試験受験者数は8,745人(欠席科目がない受験者数は8,712人)で、合格者数は1,625人、合格率は18.7%でした。口述試験に進めたのは8,712人中1,632人です。口述試験の合格者は1,625人であるため、筆記試験さえ通れば口述試験は難しくはないといえるでしょう。

全体としてみると欠席科目がない受験者数17,345人に対し、第2次試験の合格者は1,625人で、合格率は約10%となっており、難易度は高いといえます。

この試験は第1次試験で経済学や財務・会計、企業経営理論、運営管理などの企業経営に関する幅広い知識が要求されます。よって、ITコンサルタントというよりは、経営コンサルタントの試験と捉えて勉強を進めたほうがよいでしょう。

勉強方法

中小企業診断協会では公式サイトで過去に出題された問題を公開していますので、はじめにこれを見て要求されている知識がどのようなものであるかを把握する必要があります。掲載されている問題の内容は経営における専門的な内容であるため、まずは過去問の解答が分かるようなレベルの各分野の専門書を探すことをおすすめします。

また、中小企業診断協会では試験に関する公式の参考書は出していません。市販の参考書の中には、過去問を中心とした解答と説明を記載したものもあるので活用することは可能です。しかし、できれば参考書だけではなく、専門書も利用して勉強してみましょう。なぜなら、そういった企業経営に関する専門書を読み込むことが、コンサルタントとしての能力アップにつながるからです。

ITコンサルタントとして、その企業のために必要なシステムはどんなものであるかを提案するうえでは、企業経営というものがどんなものであるかを知らないと、適切な提案はできないでしょう。それができなければITコンサルタントとして実績を残していくことも難しいといえるため、スキルアップという観点では中小企業診断士の資格は近道をせず、じっくりと取り組むことも重要です。

プロジェクトマネージャ試験

資格名 プロジェクトマネージャ試験
運営 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)
試験日 秋期(10月)の年1回実施予定
受験料 7,500円
合格基準 午前I・午前II・午後I:100点満点中60点以上
午後II:ランクA
受験資格 特になし

※参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験

試験内容

「プロジェクトマネージャ試験」は、その名の通りプロジェクトマネージャーとしてのスキルを測る試験です。ITスキル標準V3の「コンサルタント」のスキル領域にも「プロジェクトマネジメント」が含まれているように、ITコンサルタントの業務にも役立つ知識が含まれる試験といえます。

※参考:経済産業省・IPA(独立行政法人情報処理推進機構)「スキル領域とスキル習熟度(3)コンサルタント」

ITコンサルタントは、提案した内容が顧客の予算範囲に収まるか、希望納期に間に合うか、技術的に可能か、などの具体的な問題も考慮して提案をしなければなりません。予算内に収まるよう開発計画を作るのは基本的にプロジェクトマネージャーの仕事ですが、事前にある程度の見当を付けておかないと、実現不可能な提案をしてしまう可能性もあります。そういった事態を未然に防ぐためにも必要なスキルが試される試験です。

プロジェクトマネージャ試験は、午前I、午前II、午後I、午後IIの4つの試験からなります。

「午前I」は、システム監査技術者試験などのほかの高度情報処理技術者試験と共通の試験となり、スキルレベル3相当の問題が出題されます。内容は論理演算、データベース、ネットワーク、セキュリティ、プロジェクトマネジメント、システム企画、経営戦略マネジメント、企業活動と法務まで幅広い内容です。

「午前II」からは、プロジェクトマネージャ試験の専用問題になります。プロジェクトマネージャーとして知っておかなければならないプロジェクト管理手法を中心に出題されます。2020年度の試験から、セキュリティが出題範囲の重点分野に含まれるようになりましたが、問題がスキルレベル4相当に引き上げられたほかの高度情報処理技術者試験と異なり、スキルレベル3相当となっています。

「午後I」はプロジェクトの具体的な状況を説明した説明文が記述されており、それを読んだうえで設問に記述回答する方式です。プロジェクトの状況説明文は3つ用意されており、その中から2つを選んで設問に答える必要があります。状況説明文は1つひとつが、複数ページに及ぶ長文で、詳細な状況説明がされています。それをしっかり読み込まないと設問には解答できないようになっています。説明文にはプロジェクトマネージャーとして知っておかなければならない専門用語も多く出てきますので、それらを知らないと読みこなすことはできません。

「午後II」は、自分が実際にマネジメントを行ったプロジェクトについて、どのようにして分析、対応をしたのかを記述します。2問中1問を選んで回答する形式です。記述する内容は問題文で指定されているので、それに沿って記述しましょう。

難易度

令和5年度秋期のプロジェクトマネージャ試験では、7,888名が受験し、合格率は13.5%という結果です。難易度は相当に高い試験だといえるでしょう。特に午後の記述式の問題などはしっかりと対策していないと、時間内でスムーズに回答していくのは難しいと考えられます。

プロジェクトマネージャ試験は情報処理技術者試験の中でもトップレベルの難易度であり、持っていればその実力の証明に役立つ資格です。また、要件定義段階でコンサルティングを行ったメンバーが実際の開発にも関わることも多いため、ITコンサルタントを目指す人にとってプロジェクトマネジメントの知識は重要といえるでしょう。

ITコンサルタントとプロジェクトマネージャーを比較した場合、ITコンサルタントのほうがさらにシステム開発の上流工程を担当する職種にあたります。そのため、ITコンサルタントにプロジェクトマネジメント能力が身についていると、関係者とのコミュニケーションも図りやすいでしょう。難易度の高い試験ですが、ITコンサルタントを目指すのであれば、取得する価値の高い資格です。

勉強方法

試験の運営元であるIPA(独立行政法人情報処理推進機構)では、試験に関する公式の参考書などの販売は行っていません。しかし、プロジェクトマネジメントについての専門書やプロジェクトマネージャ試験の対策本は数多く市販されていますので、自分に合ったものを探してみましょう。

また、公式サイトでは出題範囲が示されているシラバスや、過去問、回答例、採点講評が無料で公開されています。特に午後の記述問題は、試験時間を意識しながら回答をまとめることに慣れておく必要があるため、過去問を活用して勉強しましょう。

ITストラテジスト試験

資格名 ITストラテジスト試験
運営 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)
試験日 春期(4月)の年1回実施予定
受験料 7,500円
合格基準 午前I・II・午後I:100点満点中60点以上
午後II:ランクA
受験資格 特になし

※参考:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:ITストラテジスト試験

試験内容

「ITストラテジスト試験」は、経営戦略にもとづいたIT戦略の策定、提案、推進や、組み込みシステム・IoTを利用したITシステムの企画、開発戦略・展開戦略の策定、推進などに関するスキルを証明できる試験です。

公式サイトにも「ビジネスを成功に導くCIOやCTO、ITコンサルタントを目指す方に最適」と紹介されているように、ITコンサルタントの仕事内容と結びつきの強い知識が問われる試験となっています。

プロジェクトマネージャ試験と同じく、ITストラテジスト試験は午前I、午前II、午後I、午後IIの4つに分かれています。

「午前I」についてはプロジェクトマネージャ試験と同様に、ほかの高度情報処理技術者試験と共通の試験となり、スキルレベル3相当の問題が出題されます。

「午前II」からは、ITストラテジスト試験の専用問題になります。出題範囲のうち、システム戦略、システム企画、経営戦略マネジメント、ビジネスインダストリ、企業活動が重点分野となっており、2020年度(新型コロナウイルス感染症の影響により2020年度の試験は中止となったため、実質的には2021年度)から、セキュリティも重点分野に追加されました。いずれもスキルレベル4相当の内容となっています。

「午後I」は架空の会社におけるシステムの方向性と現状、課題と評価などが3ページ程度で説明され、それを読んで設問に記述回答するという内容です。説明文の中には専門用語や行政用語も多用されているので、用語に対する知識を知らないと、読みこなせない内容になっています。4問中2問を選択して回答する形式になっており、例年1問は組み込み・IoTシステムに関する内容です。

「午後II」はITの活用事例が示され、それに沿って受験者自身が実際に行った問題解決や対応事例を記述式で述べるという内容です。3問中1問を選択して回答します。そのうち1問は、組み込みシステムに関連するテーマとなります。

難易度

ITストラテジスト試験は、ITの知識だけでなく、ビジネスに関する知識も問われるため、IPAの情報処理技術者試験の中でも特に難易度が高い試験といわれることがあります。2023年のITストラテジスト試験実績では、4,972人が受験し、合格率は15.5%でした。実務経験を十分に積んだうえで、しっかりと受験対策をしてから試験に臨むことをおすすめします。

難易度が高い分、この資格を得ると、医師や弁護士、税理士、公認会計士などと同様に、厚生労働大臣が定める基準に該当する「専門的知識等を有する労働者」として、労働基準法で原則3年間と定められている有期労働契約の契約期間の上限が5年間になる特例の対象となります。

※参考:厚生労働省「労働基準法第十四条第一項第一号の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準の一部改正について(◆平成27年03月18日基発第318004号)」

勉強方法

ITストラテジスト試験の運営元であるIPAから販売されている公式の参考書はありませんが、市販の参考書は多くの種類があるほか、プロジェクトマネージャ試験と同様、シラバスや過去問、回答例、採点講評は公式サイトで無料公開されているので、まずはそれらをチェックしてみましょう。

また、午後I・IIの記述試験は、実際の現場経験があることが前提となっている出題内容といえるため、独学だけで合格するのは簡単ではありません。受験にあたっては、十分な勉強時間を確保しておきましょう。

ITコーディネータ

資格名 ITコーディネータ
運営 ITコーディネータ協会(ITCA)
試験日 ITC試験:年2期(1〜3月、7〜9月)
ケース研修:年2期(5〜9月、11〜3月)
※2024年度の実施予定より
受験料 ITコーディネータ試験:19,800円
(専門スキル特別認定試験:9,900円)

ケース研修:220,000円
合格基準 非公開
受験資格 特になし

※参考:ITコーディネータ協会(ITCA)

試験内容

「ITコーディネータ」は、2001年に通商産業省(現・経済産業省)による国家プロジェクトの一環として設立された資格制度で、特定非営利活動法人ITコーディネータ協会(ITCA)が運営する経済産業省の推進資格となっています。

SaaS/クラウドといった技術の登場による新たな経営革新、業務改革のニーズも踏まえたうえで、戦略的なIT技術の利活用のために、経営者の立場に立って助言、支援を行い、IT経営を実現する人材であることを認定する資格です。IT資格の中でも求められるレベルが高い分、ITコンサルタントとしてのスキルの証明に役立つでしょう。

ITコーディネータ資格の認定を受けるには、ITC試験に合格することと、ケース研修を受講することが条件です。順番はどちらが先でもかまいませんが、両方を4年度以内に完結する必要があります。

ITC試験は、誰でも受験可能なITコーディネータ試験と、特定の資格を持っている場合に受験できる専門スキル特別認定試験の2種類があります。専門スキル特別認定制度の対象となる資格には、弁護士資格や税理士資格、IPAの高度情報処理技術者試験、ITパスポート(750点以上の合格)など多岐にわたるため、公式サイトから確認してみましょう。

※参考:ITC専門スキル認定制度 | ITコーディネータ協会

試験問題は、ITコーディネータ協会が発行する「IT経営推進プロセスガイドライン」に沿って総論(IT経営の説明と進め方)、IT経営認識領域、IT経営実現領域、IT経営共通領域の4つの項目から出題されます。この本をしっかり勉強することが合格の鍵です。

ITコーディネータ試験の場合、基本問題40問、応用問題20問の必須問題60問と、選択問題40問の合計100問が出題されます。なお、選択問題は経営戦略、業務改革、IT戦略に関する経営系問題と、IT戦略、IT利活用に関する情報系問題の2コースがあり、どちらを受けるかを申し込み時に選択しておく必要があります。専門スキル特別認定試験の場合は、必須問題60問のみとなります。

試験内容については出題範囲が公開されているほか、サンプル問題集などの試験に役立つ情報も公開されているので、これらにも目を通しておくとよいでしょう。

難易度

第44回(2021年)のITコーディネータ試験では受験者の65.7%が合格するという、比較的高めの合格率になっていますが、資格の認定要件として受講料22万円のケース研修を受ける必要もあり、受験者数があらかじめ絞られていることが要因のひとつといえるため、合格率が高いからといって難易度が低いというわけではありません。

また、高度情報処理技術者試験合格者などに対してITコーディネータ試験の一部を免除する専門スキル特別認定制度が設けられており、そのような資格保持者が受験することを想定しているレベルの試験といえるため、企業経営に関する知識が十分にないと、合格するのは難しいでしょう。

そのほか、ITコーディネータは資格取得後も維持のためには毎年更新条件を満たしたうえで所定の手続きを行っていく必要があります。これはIT技術の進歩が速いことなどを考慮した処置で、資格取得後も日々スキルの研鑽が欠かせない資格といえます。

勉強方法

公式サイトでは、出題元となるITコーディネータ協会が発行する「IT経営推進プロセスガイドライン」のほか、認定研修期間が実施、提供している試験対策講座やeラーニング、認定教材の案内などが掲載されています。

基本的には「IT経営推進プロセスガイドライン」をベースに勉強するとよいでしょう。しかし、無料公開されているダイジェスト版などを読んで内容が難しいと感じた場合は、もう少し難易度の低い書籍などを使って学習しましょう。

PMP

資格名 PMP
(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)
運営 プロジェクトマネジメント協会(PMI日本支部)
試験日 ピアソンVUE社を通じて希望日に受験可能
受験料 PMI会員:405ドル(再受験の場合:275ドル)
一般:555ドル(再受験の場合:375ドル)
合格基準 非公開
受験資格 正式なプロジェクトマネジメント教育のコンタクト・アワー(講師から直接指導を受けた時間)が35時間以上であること

高校卒業の場合5年/60ヶ月以上、4年制大学卒業の場合3年36ヶ月以上、GAC認定プログラムによる学士号取得または大学院卒業の場合2年/24ヶ月以上にわたる、受験申し込み前の8年間に連続して蓄積された一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験

※参考:PMP試験について|PMI試験・資格について|一般社団法人PMI日本支部

試験内容

「PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)」は、アメリカに本部を持つPMI(プロジェクトマネジメント協会)が認定するプロジェクトマネジメントの国際資格です。

コンサルタント業務ではなくプロジェクトマネジメント業務の資格ですが、PMIが策定したプロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKガイドにもとづいて実施される試験であり、実践的なノウハウを習得したり、体系的なプロジェクトマネジメントの方法論として自身の経験を再整理したりするのに役立ちます。

「PMP」の試験内容は2021年1月2日から変更されており、各領域について、下記の割合で出題されます。

領域 テスト項目の割合
42%
プロセス 50%
ビジネス環境 8%


また、昨今のプロジェクトマネジメント実務者がさまざまなプロジェクト環境で業務に従事し、複数のプロジェクト・アプローチを活用していることを鑑みて、試験のおよそ半分は予測型プロジェクトマネジメント・アプローチに関するもの、残り半分はアジャイル・アプローチ、またはハイブリッド・アプローチに関するものになっています。

試験時間は230分で、10分間の休憩が2回入ります。問題数は180問で、5つが予備問題となっているため、実際に採点される問題は175問です。

難易度

試験の合格基準や合格率は公表されていませんが、受験資格として年単位の実務経験が求められるため、まず受験するまでのハードルが高いという点では、一定の難易度がある試験といえます。

ただし、受験資格のある1年間以内であれば3回まで受験することが可能であるため、一度不合格となってから勉強して再チャレンジすることもできます。

勉強方法

PMIが発行するPMBOKガイドにもとづいて問題が出題されるため、PMBOKガイドの内容を深く理解することが必要です。

そのほか、市販の参考書や、民間の模擬試験、eラーニング、試験対策講座といったサービスを活用して勉強する方法もあります。

関連記事:プロジェクトマネージャーに役立つ資格|試験概要や難易度、勉強方法を紹介

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ITコンサルタントに必要なスキル

ITコンサルタントには、IT全般における幅広い知識と、企業の経営に関する知識、そしてコンサルティングを円滑に進めるためのさまざまなスキルが必要です。ITコンサルタントに特化したスキルというよりも、ビジネスパーソンなら誰にでも必要なスキルセットを、高度化して身に付けていることが必要となるといえます。

ITスキル

ITスキルと聞くと、情報処理系の資格が必須だと考えることが多いかもしれませんが、ITコンサルタントになるために必須の専門知識というものは特にありません。しかし、顧客の課題解決に向けて最適なIT投資による改善案を導き出すには、ITに関してできるだけ多くの知識や経験があるほうが有利です。

そのため、ITコンサルタントは、IT企業で実際にシステム構築や運用をしてきた経験を活かし就業するケースが多いといえます。培ってきた知識や経験、人脈を活用しながら、さらに一歩進んで経営課題の改善へとスキルアップしていくことができます。

情報収集スキル

ITの技術は急速に発展し続けているため、過去の経験だけでは顧客に最適な提案をすることができません。ITだけでなく、経営についても幅広い知識が要求されるITコンサルタントには、常に新しい情報を収集していくスキルが必要です。信頼できる情報源の確保や、過去の成功事例に固執せず柔軟に知識を分析し蓄積していく姿勢など、広い意味での情報収集スキルが求められます。不得意な分野についても情報収集していく姿勢が大切になるでしょう。

経営知識

ITコンサルタントは、IT技術を手段として経営戦略を策定する、経営コンサルタントでもあります。顧客の経営層と直接意見交換をすることも多く、経営状態の分析や経営強化のための提案をしていきます。顧客の信頼を得るためには、日本国内はもちろん海外も含め、経営に関する動向を把握していることが重要です。

また、税金制度や雇用に関する法律など、顧客のビジネスに影響が大きい情報は、経営者の関心も大きいものです。常に最新の知識を手に入れていくことが大切です。

業界知識

コンサルティングを行うにあたり、顧客の業種における業界知識に詳しいことが求められます。現在のトレンドや、同業他社ではどのようなIT投資を行っているのか、それによってどのような効果が出ているのかといったことを、顧客は質問してきます。

過去の就業経験の中に自分が得意とする業界があれば強みになるため、アピールポイントとして活用しましょう。専門的な知識のある業界が特にないといった場合は、できるだけ幅広く多くの知識を吸収していくことが必要です。

問題解決能力

経営課題を分析するにあたって経営トップの意向を理解することは最重要ですが、実現化に向かうフェーズでは、企業内のさまざまな部門へのヒアリングを行うこともあります。それぞれの立場で異なった意見が出ることもありますし、要望は多岐にわたります。課題を発見し、それを改善するための最適なソリューションを提案するには、効率よく論理的な結論を導き出すための問題解決能力が必要です。

そのためには、正しく問題を解決するための思考パターンを自身の中に確立しておくと役立ちます。課題解決のために、問題点を要素ごとにツリー状に分解していく「ロジックツリー」という思考法を用いることは有効です。また、例えば売上金額の8割は全顧客の2割が生み出しているというような「パレートの法則」を意識していることで、適切な問題解決の手がかりとしていくこともできます。

コミュニケーション能力

どのような仕事をする上でも必要となるコミュニケーション能力ですが、ITコンサルタントにとっては特に重要なスキルです。顧客の経営層から一般社員、システムベンダーとの折衝までを幅広く行い、プロジェクトを成功させるためには、関係者全員と信頼関係を築いていくことが重要だからです。聞く力はもちろん、相手の疑問や心配事に適切な回答を与え納得してもらうことも大事な役割となります。先入観を持たず、誰とでも積極的に情報交換ができるようなコミュニケーション術を身に付けておきましょう。

マネジメントスキル

ITコンサルタントに必要なマネジメントスキルは、セルフマネジメントとプロジェクトマネジメントの両方を意味します。基本的に決まった時間、決まった場所で行うようなルーティンワークは存在せず、提供したサービスの時間や内容によって評価や支払いが発生するため、予実管理や報告書作成、何をもって検収とし、次に何をすべきかなど、自身の行動をマネジメントしていく必要があります。

これらのフローは就業するIT企業やコンサルティング会社ごとに決められていることもありますが、自分で意識せずにあれもこれも引き受けていると収拾がつかなくなります。また、プロジェクトを取りまとめる立場であることも多く、顧客も含めてチーム全体に対し適切なコミュニケーションを図るために、統率していくマネジメントスキルも必要です。

プレゼンテーションスキル

課題分析をし、多方面から意見を取りまとめ、提案書を練り上げたとしても、それを採用してもらわなければ何も始まりません。ターゲットである顧客経営層に対し、説得力のあるプレゼンテーションを行う能力が必須となります。課題を列挙し、改善のための取り組みを通常は複数案作成しますが、プラスの効果だけを並べるのではなく、リスクについても必ず説明し理解してもらうことが大切です。

現職で、自身の起案からプレゼンを経てプロジェクト発足に至ったような経験があれば、職務経歴書に特記事項として記載し、面接の際はその手法や効果をプレゼンできるようにしておくとよいでしょう。

スキルを証明して仕事や転職に役立てよう

ITコンサルタントにとって大切なのは、顧客から信頼を得ることと、良い実績を残すことです。顧客の信頼を得るために資格が有効となる場合があるので、転職時や独立時にスキルを証明するためにも、資格を取得しておくことをおすすめします。

関連記事:ITコンサルタントの仕事内容

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ITコンサルタントに転職するには

ITコンサルタントになるためには、新卒から就職する場合、情報や経営を専攻して大学・大学院を卒業し、IT企業やコンサルティング会社で実務経験を積むのが一般的です。

中途入社で転職を目指す場合、実際にITの構築や導入を数多く経験し、プロジェクトマネジメントを手掛けてきた中で、ITコンサルタントを目指そうと考えるケースも多いでしょう。現職での経験から、業種ごとのIT運用における課題の傾向や、プロジェクトの成功と失敗の事例パターンを把握しておくことが大切です。このような経験をアピールポイントとしながら、必要に応じて自信に不足しているスキルを補うための資格取得も視野に入れ、転職活動を行っていきましょう。

非常に幅広い知識と経験が求められるITコンサルタントですが、上に挙げたようなビジネスパーソンとしての基本スキルがどれだけ優れているのか、履歴書や職務経歴書からだけでは判断できない部分が見られることも多くなります。

上記の厚生労働省職業情報提供サイトによると、ITコンサルタントとして就業している人の平均年齢は40歳前後となっており、これまでの現場経験を活かしてスキルアップしたいと考えたときにおいても、ある程度年齢が高くても成功しやすい職種です。説得力のあるプレゼンによって自身の経験や強みをアピールしましょう。

DXの浸透に伴い、ITを十分に活用できていないと考えてIT投資による経営課題の解決を模索している企業は多く、ITコンサルタントは、これからますます必要とされると考えられるやりがいのある仕事です。また、技術革新が急速なため、レベルアップし続ける優れた人材が常に求められています。

関連記事:ITコンサルタントのキャリアパス|仕事内容や転職に必要なスキル、資格を解説

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ITコンサルタントの資格に関するよくある質問

ここでは、ITコンサルタントの資格に関するよくある質問について答えていきます。

Q. ITコンサルタント業界において独立・フリーランスで働くメリットは何ですか?

案件にもよりますが、自由な働き方、プロジェクトや顧客の選択自由、高収入が期待できるメリットがあります。ただし、安定的な収入を得るためには自己管理能力やマーケティング能力が必要です。

Q. 中小企業診断士試験に合格するまでにはどのくらいの期間がかかりますか?

中小企業診断士試験に合格するまでの期間は、個人の学習ペースや経験によって異なりますが、平均的には800~1000時間程度の勉強期間が必要とされています。

Q. ITコンサルタントになるにあたって、必須となる学歴やキャリアはありますか?

ITコンサルタントになるために必須となる学歴やキャリアはありませんが、IT業界での実務経験やビジネス経験があると有利です。

Q. ITストラテジスト試験に合格することで、具体的にどのようなメリットがありますか?

ITストラテジスト試験に合格することで、企業のビジネス戦略に貢献できる人材として評価され、キャリアアップや年収アップのチャンスがある他、業界での信頼度が高まるなどのメリットがあります。

Q. フリーランスのITコンサルタントとして活躍するために必要なスキルは何ですか?

コミュニケーション能力、プログラミング、データ分析、プロジェクト管理能力などが必要です。

※本記事は2024年1月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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