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簿記の種類
簿記は、一定のルールに従って経営活動を記録・計算することを指します。簿記には、単式簿記と複式簿記の2種類があります。
単式簿記は、出金や入金、掛け売り、掛け買いといったお金のやり取りを記帳する方式。後述する「仕訳」が必要ないため、家計簿感覚で比較的容易に記帳できるのが特徴です。
対する複式簿記は、「取引」を「原因」と「結果」の二面で捉えて帳簿に記録――「仕訳」するやり方です。「取引」とは簿記においてお金やモノの増減を指す言葉で、モノの売り買いだけでなく、災害や盗難などでモノが無くなったケースも含まれます。
たとえば仕事に使う書籍を購入したというケースでは、「書籍を購入した」という「原因」と「現金が出ていった」という「結果」に分けることができます。この原因と結果を帳簿で左と右とに分けて記録することを仕訳といいます。以下に詳しく見ていきましょう。
関連記事:効率よく学ぶ!簿記勉強法まとめ
複式簿記の記帳方法
前述のとおり、複式簿記では取引を原因と結果の2つの側面から捉えて記録します。お金やモノが入ってきたことは「借方(かりかた)」として左側に記載し、お金やモノが出ていったことは「貸方(かしかた)」として右側に記載します。こうしたお金やモノの増減という結果とその原因も併せて記録するのがルールです。
たとえば10,000円の商品を売り、代金を現金で受けとった際は、下記のように記載します。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 10,000 | 売上高 10,000 |
こうして取引を借方と貸方に分けて記録することを仕訳といいます。複式簿記ではすべての取引について仕訳を行い、帳簿に記入していきます。
このとき、仕訳した取引を発生順に記載する帳簿を「仕訳帳」といい、複式簿記に必須となる帳簿です。また、仕訳帳を勘定科目ごとに分けた帳簿は「総勘定元帳」(元帳とも)といい、仕訳帳と同様に複式簿記に欠かせない帳簿です。仕訳帳と総勘定元帳は合わせて「主要簿」と呼ばれます。
そのほか、主要簿を補う帳簿として補助簿があります。代表的なものに現金出納帳や預金出納帳、固定資産台帳、買掛帳、売掛帳などがあることを知っておきましょう。
主要簿と補助簿のどちらにも、下記の内容を記載するのが基本です。
・日付…取引があった月日
・勘定科目…取引を分類する名称
・摘要…取引の具体的な内容、取引先の名称
・取引金額…取引によって生じたお金
上記のような方法で記帳を行い、最終的には決算書を作成します。決算書とは財務諸表のことで、一定期間の経営成績、財政状態を示すための書類。個人事業主であるフリーランスの場合は損益計算書・貸借対照表(複式簿記選択時)が該当します。
どのような過程を経て決算書を作成するのかは、下記をご覧ください。
・取引発生
・取引を仕訳し、仕訳帳に記入
・総勘定元帳へ転記
・試算表の作成(1ヶ月のまとめ)
・精算表を作り、貸借対照表と損益計算書を作成(年度のまとめ)
仕訳帳や総勘定元帳への記帳は日々行い、試算表は1ヶ月のまとめとして作成します。年度末にかけて精算表を作り、損益計算書や貸借対照表を完成させるというのが複式簿記の一連の流れです。
初めてのフリーランスならば会計ソフトに頼るのも手
ここまでで複式簿記での帳簿付けを説明してきましたが、これはあくまで一例です。例えばこれからフリーランスになろうという方が、簿記の知識がない状態でイチからExcelで複式簿記による帳簿付けを行おうとしたら途方に暮れることでしょう。
そういった方は、会計ソフトの利用を検討するのも一つの手です。仕訳の知識がなくとも各取引を入力するだけで仕訳帳や総勘定元帳を作成してくれたり、銀行やクレジットカードの明細から自動で帳簿付けをしてくれたり、といったものもあります。
関連記事:青色申告と複式簿記
複式簿記で作成する書類
ここまででご紹介してきた複式簿記ですが、フリーランスにとって真価を発揮するのは確定申告のとき。
フリーランスの方の場合、確定申告を青色申告で行う際には「確定申告申告書B」と「青色申告決算書」を作成・提出する必要があります。青色申告決算書は損益計算書と貸借対照表から構成され、1枚目から3枚目までが損益計算書、4枚目が貸借対照表です。
損益計算書は、1年間の経営成績を示すもの。商品の仕入高や人件費、売上高などに基づき、どれくらいの利益があったのかを明らかにします。貸借対照表は、ある時点(確定申告では年末)での事業の財政状態を表すものです。
貸借対照表を作成するには、前述した複式簿記で帳簿付けする必要があります。この貸借対照表の作成・提出が、65万円の青色申告特別控除を受けるための要件の一つとなっているため、フリーランスの方が複式簿記を身につける大きな意義となっています。
確定申告書・青色申告決算書の入手の仕方
確定申告書や青色申告決算書は、確定申告の時期が近づくと前年の申告内容や青色申告承認申請書の提出状況などに基づいて税務署から送付されます。前年にe-Taxで確定申告をした場合は、送付されないため注意してください。
確定申告書や青色申告決算書は、税務署に行って入手するほか、国税庁のWebサイトからダウンロードすることもできます。
参考:
「平成29年分 青色申告決算書(一般用)の書き方」
「確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等」
「電子申告等開始届出書を提出した場合には、申告書等の用紙は送付されないのですか。」
※本記事は平成30年11月時点の情報を基に執筆しております。
関連記事:青色申告に必要な帳簿は?
最後に
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