青色申告に必要な帳簿は?

青色申告の場合、正規の簿記による帳簿付けを行うのが原則です。簡易簿記と複式簿記の二種類ある簿記方式のうち、「正規の簿記」とは一般的に複式簿記を指します。それぞれの簿記方式によって、帳簿の種類や各種の必要書類の保管期間が異なります。

青色申告の中でも、特に青色申告特別控除について知りたい方は下記の関連記事をご覧ください。
青色申告の特別控除額は最高65万円!条件や申請方法とは

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目次

帳簿の記帳方法

帳簿の記帳方法には「簡易簿記」と「複式簿記」の2種類があります。

■簡易簿記
簡易簿記は、家計簿のように入金・出金を一つずつ記録していく方式です。業務内容によって使用する帳簿の種類は異なりますが、一般的なものとして下記の例が挙げられます。

  • 現金出納帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 経費帳
  • 固定資産台帳

現金が増減した際に、その原因と金額を記載する仕組みです。複式簿記に比べると帳簿が容易ですが、財政状態を把握しづらいというデメリットがあります。

■複式簿記
複式簿記は、取引を結果と原因の二面に分けて考え、一つの取引に対し借方・貸方の二つに分けて記録する方式です。複式簿記の帳簿は主要簿と補助簿の2種類で、具体的には下記の帳簿があります。

◯主要簿 
・仕訳帳
・総勘定元帳

◯補助簿 
・補助記入帳…現金出納帳、当座預金出納帳、小口現金出納帳、売上帳、仕入帳、受取手形記入帳、支払手形記入帳
・補助元帳…商品有高帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳

複式簿記では仕訳帳と総勘定元帳が主要簿で、補助簿は必要に応じて活用します。

簡易簿記や複式簿記を行う上で基本となるのが、「発生主義」という考え方です。

発生主義では、取引が発生する度に収益や費用を計上します。例えば商品を納めて、翌月に代金を受け取る場合、納品と代金受け取りのそれぞれを分けて記帳します。それに対して現金主義は、現金の受け取りや支払いの事実があった際に収益・費用を計上する考え方です。

簿記では発生主義が原則とお伝えしましたが、青色申告者で前々年分の事業所得、不動産所得(青色事業専従者給与の控除額を必要経費に算入せずに計算した金額)の合計金額が300万円以下の場合、現金主義を選択することが可能です。

現金主義を希望する方は、適用を受けたい年の3月15日まで(1月16日以降に新規開業した人は2ヶ月以内)に「現金主義による所得計算の特例を受けることの届出書」を税務署に持参または送付しましょう。これから青色申告しようと考えていて現金主義を選択する方は、「所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による旨の届出書」を提出します。3月15日が土日・祝日にあたるときは、翌日が期限です。

関連記事 : 青色申告における簡易簿記とは

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65万円の青色申告特別控除に必要な帳簿

まずは、65万円の青色申告特別控除の受給要件を見ていきましょう。

  • 不動産所得あるいは事業所得を得ている
  • 正規の簿記(一般的には複式簿記)で記帳している
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、法定申告期限内に提出している
  • その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存を行っている(又は、その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表および損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行っている)

現金主義を選択している人や簡易簿記による記帳を行っている青色申告者は、10万円の特別控除が適用されます。

前項でもご紹介しましたが、複式簿記の主要簿は仕訳帳と総勘定元帳です。それぞれの役割をこちらで確認しましょう。

■仕訳帳
仕訳帳は、取引の勘定科目を決定して借方、貸方に分けるための帳簿です。取引が発生した順番に取引の年月日と内容、勘定科目、金額を記載します。

■総勘定元帳
総勘定元帳は、取引を勘定科目の種類によって分類し、整理・計算する帳簿です。勘定科目ごとに、取引の年月日や相手方の勘定科目、金額を記します。

取引が発生したら、仕訳(仕訳帳)→元帳記入(総勘定元帳、補助簿)→試算表の作成→決算(貸借対照表、損益計算書)という流れで記帳します。

関連記事 : 青色申告の特別控除額は最高65万円!条件や申請方法とは

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帳簿・書類の保管義務

帳簿・書類は、下記のようにそれぞれ保管期間が定められています。

白色申告者の場合
  保存が必要なもの 保存期間
帳簿 収入金額や必要経費を記載した帳簿
(法定帳簿)
7年
業務に関して作成した上記以外の帳簿
(任意帳簿)
5年
書類 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 5年
業務に関して作成し又は受領した
請求書、納品書、送り状、領収書などの書類
5年
青色申告者の場合
  保存が必要なもの 保存期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年(※)
その他の書類 取引に関して作成し又は受領した上記以外の書類
(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など)
5年

※前々年分の所得が300万円以下の方は5年

引用元:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」

帳簿や書類は税務調査の際に必要となるため、管理に注意しましょう。

関連記事 : 青色申告における領収書の保管期間

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青色申告に必要な帳簿に関するよくある質問

ここでは、青色申告に必要な帳簿に関するよくある質問に答えていきます。

Q. 簡易簿記と複式簿記の違いは何ですか?

簡易簿記は、収入や支出を一つずつ記録していく方式です。複式簿記は、一つの取引を借方・貸方の二つに分けて記録する方式です。

Q. 青色申告特別控除を受けるためには、どのような帳簿を作成する必要がありますか?

青色申告特別控除を受けるためには、仕訳帳と総勘定元帳が必要です。その他にも、現金出納帳や売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳といった補助簿が必要です。

Q. 仕訳帳と総勘定元帳のそれぞれの役割は何ですか?

仕訳帳は取引が発生した順番に取引の年月日と内容、勘定科目、金額を記載したものであり、過去の取引の金額や内容を確認できます。総勘定元帳は勘定科目ごとに、取引の年月日や相手方の勘定科目、金額を記したもので、勘定科目ごとの取引日や残高などが確認できます。

Q. 簡易簿記や複式簿記といった帳簿や書類は、何年間保存する必要がありますか?

帳簿や書類の種類によって異なりますが、5年または7年間保存する必要があります。

Q. 帳簿や書類の保管が必要な理由は何ですか?

帳簿や書類の保管は、税務調査時に重要な役割を果たします。適切に保管された帳簿や書類は、取引の正確性や合法性を証明するための証拠となります。

※本記事は2023年11月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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