フリーランスの年金ガイド|老後に備える方法や各手続きも解説

フリーランスの年金は会社員と異なり、何もしないと老後に影響する可能性が出てきます。手続きも自分でしなければいけません。しかし、フリーランス向けの制度やサービスがあるのも事実です。

そこで、フリーランスになった際の国民年金への切り替え手続きや金額、免除などをまとめて解説していきます。やることが明確になり、老後の不安をなくしていくきっかけになるので、ぜひ参考にしてください。

そもそものフリーランスの働き方について知りたい方は以下の記事をご覧ください。
フリーランスとは?代表的な職種や必要な準備、手続きをわかりやすく解説
フリーランスになるには?始め方5ステップとなるべきタイミング

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フリーランスの年金基礎知識|厚生年金と国民年金の違い

日本の年金は、20歳以上60歳未満の人が加入する「国民年金」と、会社員や公務員が加入する「厚生年金」の2階建て構造です。

会社員は「国民年金+厚生年金」に加入した状態になっています。一方、フリーランスは「第1号被保険者」に該当し、国民年金のみに加入している状態です。

会社員は退職したら国民年金へ切り替える手続きをしなければなりません。ただし、会社員の配偶者がいて扶養に入った場合は、手続き・保険料の納付は必要ありません。

国民年金とは?|全員に加入義務がある公的年金

国民年金(基礎年金)は国内在住の20歳〜60歳未満の方全員が加入します。加入は義務であり、加入は拒否できません。

国民年金の納付額は月々16,590円です(令和4年度)。保険料は定額で、全員が同じ額を納付します。具体的な納付額は毎年異なるため、気になる方は日本年金機構のWebサイトで保険料を調べてみましょう。なお、保険料をまとめて前納すると割引されます。

国民年金の給付額は、加入期間によって決まります。40年間すべて支払っていれば満額が支払われ、加入期間が短ければそのぶん減額される仕組みです。満額の場合、国民年金は月額64,816円が受け取れます(令和4年度)。

厚生年金とは?|主に会社員が加入する公的年金

厚生年金には会社員や公務員が加入します。フリーランスは加入できません。国民年金は全員に加入義務があるため、会社員は国民年金にプラスして厚生年金を納めていることになります。

厚生年金の保険料は収入によって定率で、納付する分の半額は会社が負担してくれる仕組みです。

厚生年金は、夫婦で月額219,593円が給付されます(令和4年度)。これは夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額です。厚生年金は国民年金に上乗せされて支給されるため、国民年金のみの場合に比べて受け取れる額が多くなります。

扶養家族の年金の扱いは?

配偶者が扶養に入っている場合、会社員とフリーランスでは扱いが異なります。会社員の場合、扶養に入っている配偶者は保険料を支払う必要がなくなります。

一方、フリーランスの場合、配偶者も保険料を支払わなければなりません。配偶者のいる会社員がフリーランスになると、国民年金の納付量が2人分の家庭になるので留意しておきましょう。

ただし、年金の納付額は確定申告の際に所得から控除できます。節税面のメリットもあるので押さえておきましょう。フリーランスの節税対策について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスの節税対策!損をしないための経費と控除の知識

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国民年金切り替え手続き方法

国民年金の切り替えは、市区町村役場の「国民年金担当窓口」で行えます。以下のものを持参して手続きを行いましょう。

①退職日が確認できる書類
離職票(職業安定所に提出する前に)・社会保険資格喪失証明書(連絡票)・退職証明書
退職日の記載された源泉徴収票・退職辞令など

②基礎年金番号が分かるもの
年金手帳・基礎年金番号通知書など

③本人確認ができるもの
運転免許証・マイナンバーカード(通知カード)・日本国発行のパスポート・特別永住者証明書もしくは在留カード(外国人の方)など

④印鑑

切り替え手続きの期限は退職後14日以内です。早めに手続きしておきましょう。

国民年金の納付方法

国民年金は、口座振替や納付書、Pay-easy、クレジットカードで納付可能です。それぞれの納付方法について、以下に紹介します。

口座振替での支払い

月末を振替日とする口座振替支払いです。年金事務所窓口、郵送、もしくは利用する口座のある金融機関で手続きできます。

納付書(領収(納付受託)済通知書)での支払い

送付される納付書を利用して現金で支払う方法です。納付期限内に、郵便局や各種金融機関、コンビニエンスストアなどで国民年金保険料を納付します。

なお、コンビニエンスストアで支払い可能なのは保険料が30万円以下の場合です。1年分の納付書が4月の初めに送られてきます。

Pay-easy(ペイジー)経由での支払い

Pay-easy(ペイジー)は、国民年金保険料をインターネットバンキングやATM経由で納付できる仕組みです。夜間休日関係なくパソコンやスマートフォンから納付できます。

Pay-easyの利用そのものに手続きは必要ありません。ただし、インターネットバンキングからPay-easy(ペイジー)を利用する場合は別です。事前に各金融機関でインターネットバンキングの契約利用登録をしてください。

クレジットカードでの支払い

2年、1年、半年の前納も可能なクレジットカードでの支払いです。 年金事務所窓口、もしくは郵送で手続きできます。なお、クレジットカードでの支払いを選択した場合、辞退しない限り継続納付となります。

国民健康保険の切り替えも一緒に行うのがおすすめ

国民健康保険の切り替えも、国民年金の切り替えと同様に、各市区町村の国民年金担当窓口で手続きできます。国民年金を切り替える際には、国民健康保険の切り替えも同時に行うと効率的です。手続きに必要なものは以下の3点となります。

  • 本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証・パスポートなど)
  • 資格喪失が確認できる書類(健康保険や離職票など)
  • はんこ

なお、フリーランスの保険について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
フリーランス初心者が知りたい保険の知識|加入できる健康保険やおすすめの保険は?

国民年金切り替え手続きを忘れていたら

国民年金保険料を未納のままにしておくと、将来的に老齢基礎年金や障害基礎年金・遺族基礎年金が受け取れない恐れがあります

切り替え手続きを忘れていた場合は、速やかにお住まいの市区町村役所の年金窓口に相談し手続きをするようにしましょう。国民年金は、納付期限より2年以内は追納可能です。

その他フリーランス初心者が知っておくべき基礎知識については、こちらの記事で紹介していますので参考にしてみてください。
【2023】フリーランス初心者におすすめの職種、案件の探し方、必要手続き

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国民年金が払えない場合は?免除の条件と手続き

フリーランスとなって間もないなど所得が少ない場合、国民年金を納めることが難しいケースもあるでしょう。その場合、「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」の手続きによって保険料の支払いを免除可能です。

免除には以下のように全額免除と一部納付が存在します。

免除の割合 免除の基準となる所得の範囲 免除された期間の年金額
全額免除 前年度の所得が「(扶養親族等の数+1)×35万円+32万円」以下 全額納付の1/2支給
一部納付(3/4免除) 前年度の所得が「88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」以下 全額納付の5/8支給
一部納付(1/2免除) 前年度の所得が「128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」以下 全額納付の6/8支給
一部納付(1/4免除) 前年度の所得が「168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等」以下 全額納付の7/8支給

免除のメリットとデメリット

手続きを経て国民年金保険料が免除となった場合には、未納とは異なり、将来的に年金を受け取れます。老齢年金、障害年金や遺族年金も受け取れますが、未納の場合は受け取れません。

一方、免除の場合は保険料を全納するケースと比較して受給額が減ります。ただし、免除となった保険料を追納すれば、年金受給額を増やせます。追納が認められた月より前10年以内が追納の期限となるのでご注意ください。

免除の手続方法

国民年金保険料の免除には、役所の国民年金担当窓口へ申請書を提出します。インターネット経由で申請用紙をダウンロードして郵送も可能です。

なお、申請書の提出には、以下の書類も必要です。窓口へ出向く際に持参し、郵送の際には添付してください。

必ず必要となる書類

以下のどちらか一方が必要になります。

  • 年金手帳
  • 基礎年金番号通知書
場合によって必要となる書類
  • 前年もしくは前々年の「所得証明書類」(原則的には不要)
  • 所得税申告をしていない場合は「所得申立書」
  • 雇用保険に入っていた方が失業した場合は「雇用保険受給資格者証・雇用保険被保険者離職票等の写し」

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フリーランスが老後に備える年金対策

フリーランスは厚生年金に加入できない分、何もしないと将来受け取る年金額が少なくなりがちです。生命保険文化センターの調査によると、夫婦二人の老後の最低日常生活費は月額で平均23.2万円という結果が発表されています。

さらに、ゆとりのある生活を送ろうとすると、平均して夫婦二人で月額37.9万円が必要だとも発表されています。国民年金の受給額は1人あたり月64,816円なので、国民年金だけでは将来が不安な方も多いでしょう。

そこで、フリーランスが老後に備える年金対策について解説します。

国民年金にプラスしたい制度

国民年金にプラスして備えられる制度を4つ紹介します。それぞれ特徴が異なるので、ライフプランにあったものを選択しましょう。

付加年金制度

付加年金制度は、国民年金に保険料を上乗せすることで、年金受給額を増額できる制度です。具体的には毎月400円の付加保険料で「200円×付加保険料納付月数」の付加年金額を受け取れます。

たとえば付加保険料を40年間納めると、合計192,000円納付することになりますが、将来的に毎年96,000円が支給されます。厚生年金に加入している人は付加年金制度を利用できません。

国民年金基金制度

国民年金基金制度は、老後における所得保障の充実を目的とする任意加入制度です。

国民年金の第1号被保険者が加入できる「地域型国民年金基金」と特定の事業業務者が対象の「職能型国民年金基金」があります。なお、国民年金基金制度は付加年金と重複して加入できません。

iDeCo(確定拠出年金・個人型)

iDeCoは運用方法を選択して、掛金の運用ができる私的年金制度です。掛金や運用益、給付の受け取りの際に、税制上の優遇が受けられる点も大きなメリットです。

小規模企業共済

小規模企業共済は、個人事業主の方が廃業する時などに退職金をもらえる積立制度です。 掛金は月額1,000円〜70,000円で設定でき、掛金を全て所得控除にできるのも大きなメリットです。加入後の掛金の増減もできます。

フリーランスとして高収入を目指す

フリーランスのメリットの1つに、実力次第で会社員以上の高収入を目指せることがあげられます。会社員の給料アップは会社次第で、成果が報酬に結びつくとは限りません。

一方、フリーランスはがんばりしだいで報酬アップできます。スキルや経験を活かして会社員からフリーランスになって収入を上げる人も多くいます。そして、高収入を得られれば、老後の蓄えも十分残せるでしょう。

レバテックフリーランスでは、クライアント直の高単価フリーランス案件を多く保有しています。高収入を目指しているフリーランスの方はぜひご利用ください。

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フリーランスの年金に関するよくある質問

フリーランスの年金に関するよくある質問と回答を紹介します。

Q. フリーランスは厚生年金を継続できる?

A. 会社員がフリーランスになる場合、厚生年金は継続できません。国民年金に切り替える必要があります。退職後14日以内に市町村の役場で手続きをしましょう。なお、厚生年金の脱退手続きは勤務していた会社が行ってくれます。

Q. フリーランスは国民年金をいくら払えばいい?

A. フリーランスが支払う国民年金保険料は月額16,590円です。厚生年金は収入に応じて納付額が変わりますが、国民年金は全員一律。全員同じ額を納付します。

Q. 国民年金はいつまで支払えばいい?

A. 国民年金は20歳~60歳の40年間(480ヶ月)支払うことが義務付けられています。なお、納付期間が短いため年金の受給資格がない人や年金の満額支給が受けられない方は、60再以降も任意加入できます。

※本記事は2023年8月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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