目次
フリーランスとは
フリーランスの仕事例
フリーランスの働き方の特徴
フリーランスは増えすぎ?フリーランスの人数
退職前にやっておくべきこと
フリーランスになるために必要な手続き
フリーランスの税金・会計・経理業務
フリーランスの名刺・バーチャルオフィス
独立開業後の営業・勉強・人脈づくり
フリーランスだからこそ大事なことって? 成功の分かれ目は?
これがあればもう大丈夫!フリーランスになるための段取りチェックシート(Excel・PDFダウンロード)
フリーランスの収入見込みをチェック
フリーランスとは
一般的にフリーランス(freelance)とは、特定の企業や組織に所属せず、プロとして自身の技量を提供する働き方を指します。企業に雇用される働き方と異なり、案件ごとに契約し、業務を遂行するという性質上、自由な働き方であることがメリットの一つです。
多くの場合、上記の働き方をしている個人事業主をフリーランスと呼びますが、一人会社を設立して同様の働き方をしている場合もフリーランスに含めることもあります。また、働き方を「フリーランス」、働く人自身を「フリーランサー」と区別するケースもあります。
個人事業主とは
「個人事業主(個人事業者)」は事業・税制上の区分であり、企業や人に雇われるのではなく、法人(会社)を設立せず個人で事業を行っている人は個人事業主となります。「個人事業主」の対になる単語として「法人」があり、個人事業ではなく、株式会社や合名会社などの会社を設立して事業を行うケースがこちらに該当します。
企業や組織に属さず働くという性質上、フリーランスで働く場合は個人事業主として事業を行うのが基本になります。
フリーランスと個人事業主との違い
フリーランスと個人事業主の違いは、両者が指し示すものや対象とする事業にあります。文脈次第ではどちらの言葉を使ってもよいケースもあれば、区別するべきケースもあります。
例えば、会社員と異なり収入が安定しないという意味で「フリーランスだから、コロナの影響で収入が下がった」という文脈でしたら、個人事業主でも通じることが多いでしょう。
別の例を挙げると、「ウチは法人相手でないと契約できない」という契約の話においては、個人事業主のフリーランスとの契約はNGとされる一方で、法人を設立しているフリーランスであれば交渉の余地があるといえます。
個人事業主の方が対象とする事業が広いため、個人事業主であってもフリーランスではないという事業・職種は存在します。例えば、法人を設立せずに、個人商店や農業、漁業を営む人であれば個人事業主になります。
ですが、こうした働き方は「案件に応じて契約する」「自分の技術や技能を提供することを事業としている」というフリーランスの働き方とも性質が異なるため、フリーランスとは言い難いでしょう。
関連記事 : フリーランスと個人事業主の違い
フリーランスの語源
フリーランスという言葉は、元々傭兵を意味する英語「freelance」から来ています(「lance」は槍を持った騎兵を指す)。中世ヨーロッパにおいて、主に仕えず、戦争単位で雇われる兵士のことです。傭兵が戦闘ごとに戦場に赴くように、現在のフリーランサーも案件に応じて契約するという点で共通するところがあります。
また、フリーランスという言葉を有名にしたのは、1819年に発行されたスコットランドの歴史小説『アイヴァンホー』だとされており、以下がその一節です。
参照 : 『アイヴァンホー』(ウォルター・スコット 著)より抜粋
このように近年注目が集まるフリーランスですが、意外にもその言葉の由来には歴史があります。
関連記事 : フリーランスの語源は傭兵
フリーランスの定義
「フリーランス」には厳格な定義はありません。雇用契約ではなく、案件ごとに契約するという働き方であれば、広く含まれる可能性があります。
例えば「2019年版 小規模企業白書」(中小企業庁)では以下のように定義しています。
参照 : 中小企業庁「2019年版 小規模企業白書」第2章 フリーランス・副業による起業 より抜粋
上記の記述からも「組織に属さない」「スキルを提供することを事業としている」といった点がフリーランスの要件として入ってくることが伺えます。
また「2016年版 小規模企業白書」(中小企業庁) には「フリーランスが事業を営んでいる職種」という項目があります。その中には大工や鳶職植木職・造園師といった、一人親方とも呼ばれるような職種においても、フリーランスという認識で働いている人がいるようです。
このようにフリーランスの定義・解釈には幅があり、また時代の変化とともに新しい職種や働き方が出てきます。企業に雇用されずにお金を稼ぐ働き方として、ブログにアフィリエイト広告を設置して報酬を得るブロガー・アフィリエイターや、動画広告や企業タイアップによるPR動画などで収入を得るYoutuberなどを生業とする方が最近登場していますが、将来的にはこういったお金の稼ぎ方も、フリーランスに含まれるケースもあるかもしれません。
関連記事 : フリーランスの定義
そのほか「自由業」「自営業」「ノマド」「SOHO」などの言葉も、用いられる文脈や人によっては「フリーランス」と同様に扱われることもあるでしょう。こうしたフリーランスの類語ごとの違いも見ていきましょう。
フリーランスと自由業の違い
概ねフリーランスと自由業に大きな違いはありません。
国税庁のWebサイトでは「医師、弁護士、作家、俳優、職業野球選手、外交員、大工などの自由職業」という区分が見られます。また「卸売業、小売業、飲食店業、製造業、建設業、金融業、運輸業、修理業、サービス業などのいわゆる営業」とは区別されており、企業に雇われない、自らの専門性を売りにするという点で、フリーランスと合致します。
参考 : 手順2 収入金額等、所得金額を計算する|国税庁
ただし、上記の区分でいうと、例えば個人で開業医を営んでいる人も自由業に入ってくるため、一般的なフリーランスのイメージと自由業とが完全に一致するとは言い難いところもあります。
関連記事 : 自営業と自由業の違い
フリーランスと自営業の違い
辞書的な意味でいえば、自営業は自分の力で経営し、生計を立てる業種ということになり、フリーランスも自営業の一種といえます。ただし、国税庁のWebサイト上では「商・工業や漁業、農業、自由職業などの自営業から生ずる所得」という記述もあり、フリーランス以外の業種も自営業に含まれます。
また、総務省統計局の労働力調査では「個人経営の事業を営んでいる者」を自営業者と定義しています。会社組織の経営者は役員として自営業とは別に分類されているため、法人は自営業に含まれません。そのため、一人会社を設立してフリーランスで活動している人は自営業と言い難いでしょう。
関連記事 : フリーランスと自営業の違い
フリーランスとノマドの違い
ノマドもフリーランスと同じような意味合いで多く使われる言葉です。「遊牧民、放浪者」を指す「nomad」から来た言葉で、オフィスで仕事をするのはなく、カフェやコワーキングスペースなどで自由に働くワークスタイルを指します。ノマドワーカーやデジタルノマドなどと呼ばれることも。
ノマドはさまざまな場所で働くという点にフォーカスして用いられることが多いため、「特定の会社や団体に雇用されていないこと」も特徴の一つであるフリーランスと、必ずしも一致するとは限りません。
例えば、常時リモートワーク(テレワーク)を認めている会社であれば、オフィス以外で仕事をするというノマドのワークスタイルは可能です。この場合は、ノマドで働いていますが、会社員でもあるためフリーランスではありません。
関連関連 : ノマドワーカー=フリーランスではない!2つの違いとは
フリーランスとSOHOの違い
SOHOは「Small Office Home Office」の略であり、自宅やレンタルオフィスなどで働くスタイルを指します。こちらもフリーランスと似たような意味で使われるケースが多いです。
SOHOには明確な定義があるわけではなく解釈には幅がありますが、総務省のWebサイトではテレワークの分類の一つとして、SOHOを以下のように記述しています。
・SOHO
主に専業性が高い仕事を行い、独立自営の度合いが高いもの
参照 : 総務省|テレワークの推進|テレワークの意義・効果より抜粋
この記述では「専業性」「独立」といった文言があることから、フリーランスの特徴とかなり似通っているといえるでしょう。ただし、フリーランスの中にはクライアント先で作業を行うというスタイルもあるため、そのような場合はSOHOとは呼びません。
関連記事 : フリーランスとSOHOの違い
フリーランスとフリーター、派遣との違い
「派遣」や「パートタイマー」は派遣会社やアルバイト先と雇用契約を結んだ労働者であるという点でフリーランスと区別することができます。
「フリー」+「アルバイター」の造語である「フリーター」も、総務省統計局などの定義では「雇用者のうち勤め先における呼称がパート・アルバイトの者」などとしており、「雇用者であること」や「パート」と同一の扱いであることから、やはりフリーランスとは別物といえるでしょう。
参照 : 総務省統計局|16A-Q09 フリーターの人数
関連記事 : フリーランスと派遣の違い
関連記事 : フリーランスとフリーターの違い
フリーランスの仕事例
フリーランスとは働き方であり、さまざまな職種があると触れてきました。そこから、具体的にどんなことをするのかをイメージできるよう、フリーランスの仕事内容の例をご紹介します。
関連記事 : フリーランスの仕事|種類や仕事内容・仕事の探し方を紹介
エンジニア系職種の仕事内容
職種 | 平均年収 |
---|---|
フリーランスプログラマー | 840万円 |
フリーランスSE(システムエンジニア) | 876万円 |
フリーランスWebエンジニア | 852万円 |
※2020年10月時点でのレバテックフリーランスの公開案件の月単価を元に年収換算したもの
フリーランスプログラマーの仕事内容
プログラマーは、Java・PHP・Python・Rubyといったプログラミング言語を用いて、Webサイトやアプリケーション、ゲームなどのシステム構築を行います。基本的にはSE(システムエンジニア)が作成した仕様書をもとに、要件を満たすプログラムを書くのがプログラマーの役割です。デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目を浴びる昨今、即戦力としてプロジェクトに貢献してくれるフリーランスプログラマーの需要は高まっています。
関連記事 : フリーランスプログラマの仕事内容やメリット・デメリット|収入・年齢・必須スキルを紹介
フリーランスSE(システムエンジニア)の仕事内容
SE(システムエンジニア)は、企業や顧客の要望をもとにシステムの要件定義・設計を行うことと、システムがきちんと動作しているかを確認することが主な仕事です。システムを使ってどんなことを実現したいのかを汲み取り、プログラマーの協力を得ながら開発を進めることが職務になるため、フリーランスとして活躍するにはプログラミングの知識だけでなく、コミュニケーション能力やマネジメント能力も重要になります。
関連記事 : システムエンジニア(SE)とは
フリーランスWebエンジニアの仕事内容
Webエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションの開発を行う職種です。プログラミングを中心に、企画や設計、運用・保守といった領域に携わる場合もあります。Webエンジニアの中でも、ユーザーから見える部分の開発を担当するエンジニアは「フロントエンドエンジニア」、ユーザーから見えない部分の開発を担当するエンジニアは「バックエンドエンジニア(サーバーサイドエンジニア)」と呼ばれます。フリーランス案件によっては、こうしたフロントエンドエンジニア・バックエンドエンジニアという区分で募集されていることもあります。
関連記事 : フリーランスWebエンジニアの年収や案件獲得方法|未経験でなれるかも紹介
デザイナー・クリエイター職種の仕事内容
職種 | 平均年収 |
---|---|
フリーランスWebデザイナー | 480万円 |
フリーランスイラストレーター | 420万円 |
フリーランスWebディレクター | 660万円 |
※上記の表はレバテッククリエイターの単価診断ツールにて、経験年数3~5年、ブランクなしで算出した月単価を元に年収換算したもの
フリーランスWebデザイナーの仕事内容
Webデザイナーは、Webサイトの構成設計やデザイン、コーディングを担います。Photoshop、Illustratorといったグラフィックデザインソフトを使いこなせるスキルに加え、HTMLやCSS、JavaScriptなど、コーディングに必要なマークアップ言語、スタイルシート言語、プログラミング言語の知識も求められます。さらにUI/UXデザインやライティング、SEO、アクセス解析といったWebサイトの制作・運用に関わる知識を身につけていれば、フリーランスとして受託できる案件の幅が広がるでしょう。
関連記事 : フリーランスWebデザイナーの仕事のリアル|未経験で独立して稼げる?年収は?
フリーランスイラストレーターの仕事内容
イラストレーターの仕事は、クライアントの要望を受けて、Webサイトやゲーム、書籍、商品パッケージなどに掲載するイラストを制作することです。デジタルの制作環境では、Photoshop、Illustratorのほか、SAI、CLIP STUDIO PAINTといったイラスト制作に特化したツールが使われることもあります。フリーランスのイラストレーターの中には、グラフィックデザイナーや画家、漫画家と兼業で活動している人もいます。
関連記事 : 僕は独学でイラストレーターになった!素人→プロになるまでの絵を見せます
フリーランスWebディレクターの仕事内容
Webディレクターは、Webエンジニア、Webデザイナー、ライターなど、Webサイトの制作・運用に関わる職種の業務を取りまとめ、プロジェクト全体を管理する仕事です。適切なリソース調整・進捗管理を行うマネジメント能力、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーション能力が必要になる職種といえます。
Webマーケティング、プログラミング、デザインなどの専門知識を持っておくと、各職種へスムーズに的確な指示が出せるので、フリーランスのWebディレクターがより高レベル・高単価な案件に参画するためには、幅広い知識を研鑽しておくことが大切になります。
関連記事 : フリーランスで働く人も!Webディレクターの仕事内容やスキルを解説
フリーランスグラフィックデザイナーの仕事内容
グラフィックデザイナーは、主に雑誌や新聞の広告、チラシ、ポスター、商品パッケージといった印刷物のデザインを担当する職種のことを指しますが、Webサイトからゲーム、ファッション、建築・インテリアに至るまで、グラフィック制作に関わっている職種全般を「グラフィックデザイナー」と総称することもあります。フリーランスのグラフィックデザイナーが案件を受注するには、自身のスキルをクライアントに信用してもらうことが大切なので、広告代理店や制作会社で経験を積んでから独立するという流れが一般的です。
ライター系職種の仕事内容
年収 | ライター※ | 記者、編集者 |
---|---|---|
100万円未満 | 21.3% | 12.8% |
100万円300万円未満 | 31.9% | 46.8% |
300万円500万円未満 | 23.4% | 23.4% |
500万円800万円未満 | 16.0% | 12.8% |
800万円1000万円未満 | 4.3% | 4.3% |
1000万円以上 | 23.2% | 0.00% |
※著述家、脚本家、評論家、コピーライターなど
出典 : 中小企業庁「小規模企業白書 2016」より加工して掲載
フリーランスライターの仕事内容
ライターは、文字コンテンツを制作するうえで欠かせない職種のひとつです。文章を書くことに加え、必要に応じて、調べ物をしたり、取材に出向いたり、インタビューをしたりするのも、ライターの役割です。担当する媒体や制作物によって、Webライターやコピーライター、シナリオライター、テクニカルライターなどに分類されることがあります。フリーランスのライターは、一般的に「フリーライター」と呼ばれます。クラウドソーシングでは、経験や実績を問わずに未経験から参画できる案件も見受けられます。
フリーランス編集者の仕事内容
編集者は、書籍や雑誌、Webメディアなどに掲載するコンテンツの企画・編集・管理をします。ライターやカメラマン、漫画家、イラストレーターといった実際に制作を担う職種とコミュニケーションを取りながら、コンテンツの内容の調整や、納品までのスケジュール管理を行うことが主な仕事です。仕事の性質上、編集者はフリーランスとして独立する前に、あらかじめ案件を受注したり、制作を依頼したりするためのコネクションを確保していることが多いです。
その他職種の仕事内容
フリーランスカウンセラーの仕事内容
悩みやストレスを解決に導く手助けをするカウンセラーは、医療・福祉、教育、産業など、幅広い分野で活躍しています。カウンセラーになるには、資格は必須ではありませんが、相手に信頼してもらうことが重要な職種であるため、資格を取得しているとフリーランスの案件も獲得しやすくなります。
カウンセラーの代表的な資格には、国家資格の「公認心理師」のほか、日本心理学会が認定する「認定心理士」、日本臨床心理士資格認定協会が認定する「臨床心理士」、日本産業カウンセラー協会が認定する「産業カウンセラー」などがあります。
フリーランスカメラマンの仕事内容
カメラマンは、テレビ、新聞、書籍、Webサイトなど、あらゆる媒体で必要とされる職種で、活動ジャンルも報道、スポーツ、芸術、エンタメ、ファッション、広告、ブライダルと多岐にわたります。写真撮影を専門とするカメラマンは「フォトグラファー」とも呼ばれます。フリーランスのカメラマンは、クライアントから依頼を受けて要望に応える写真を撮影したり、自ら撮影したものを売り込みに行ったりと、多様な方法で収入を得ています。
フリーランスYouTuberの仕事内容
YouTuber(ユーチューバー)は、動画共有・配信サイト「YouTube」で自分が制作した動画コンテンツを発表している人の通称です。基本的にはチャンネルの登録者数や動画の再生回数に応じた広告収入を得ることができ、専業のYouTuberとして活動している人もいます。動画の内容、更新頻度を自分の裁量で決められるYouTuberは、広義ではフリーランスの働き方のひとつと考えることもできるでしょう。
フリーランス講師の仕事内容
講師になるには、一般的に特定の分野で実績を積んでいたり、豊富な知識を持っていたりすることが前提となります。イベントやセミナー、授業などで、知識やノウハウを分かりやすく受講者に伝えることが講師の役割です。講師は副業というイメージを持たれがちですが、中には専業のフリーランス講師として活動している人もいます。
フリーランス美容師の仕事内容
美容師はフリーランスで働く方が増えつつある職種です。フリーランス美容師の場合、サロンと業務委託契約を結びそのサロンのお客さまへ施術するパターンと、面貸しと呼ばれる形で場所・施設のみを利用し、集客から自分で行うパターンの2通りがあります。
フリーランスの働き方の特徴
フリーランスの概要がわかってきたところで、より理解を深めていくためにフリーランスならではの特徴をみていきましょう。
フリーランスは案件ごとに業務委託契約を結ぶ
案件ごとに業務委託契約を結ぶという点がフリーランスの大きな特徴であり、業務委託の場合、案件の種類と契約内容によって請負契約、準委任契約に大別されます。フリーランスエンジニアの例でいえば、依頼されたアプリケーションを開発して納品するような案件は請負契約、クライアント企業に常駐して作業を行うような案件は準委任契約であることが多いです(詳細は契約内容によって異なります)。
関連記事 : 業務委託とは?派遣、客先常駐の準委任、請負との違い
関連記事 : 請負とは?準委任、SESとの違いも解説
フリーランスは労働基準法の適用対象にならない
企業と雇用契約を結ぶのではなく、業務委託という形態で契約するフリーランスは労働者に含まれないのが原則であり、労働基準法の適用対象とはなりません。割増賃金や最低賃金といった概念がないため、案件のギャラやスケジュールのバランス次第では割に合わないものもでてきます。
休日の規定もないため、際限なく働き続けてしまうおそれもあります。会社員のような年次有給休暇もないため、無理をして体を壊して稼働が減ってしまうと、収入にも影響が出てしまいます。
関連記事 : フリーランスと労働基準法
フリーランスは仕事がないときもあり収入が不安定
毎月の給料がもらえる会社員とくらべて、フリーランスは案件の有無や契約の内容、支払いについての取り決めなどで報酬を受け取るタイミングがばらつくことがあり、収入が不安定となりやすい点が特徴として挙げられます。
フリーランスの仕事がないときにいかにして仕事を探すか、仕事がないときに備えどれだけお金を貯めてしておくかなどは、フリーランスならではの考えどころです。
関連記事 : フリーランスで仕事がない時は?
フリーランスはスキルなし、未経験では難しい
フリーランスは専門性の高いスキルを提供することで報酬を得る働き方であるため、スキルなし、未経験のフリーランスへ仕事を依頼する方は少ないでしょう。
また、会社員の場合は中長期で働くことを前提に、スキルなし、未経験の状態から育成を見込んで採用されるケースもありますが、フリーランスはプロとしての働きが期待されるため、クライアントからの教育を期待することは難しいです。
フリーランスになること自体は簡単ですが、「この単価では生活できない…」とならないようにするためには、スキルアップや営業活動など多岐にわたる研鑽が必要です。
関連記事 : フリーランスはスキルなしでもなれる?
フリーランスは増えすぎ?フリーランスの人数
2019年7月24日に発表された内閣府によるアンケート調査結果では、フリーランスの人数を306万人~341万人程度と試算しており、全業者に占める割合で見ると5%程度(本業、副業合算)とのこと。
参照 : 政策課題分析シリ-ズ 17 - 内閣府
同レポートでは、「雇用的自営業」と区分した人たちが本業のフリーランスに近いとしており、雇用的自営業は1985年~2015年の30年間で128 万人から 164 万人へと増加しています。フリーランスが増えすぎなのかは諸説ありますが、働き方改革の影響などもあり、増加傾向にあるといえるでしょう。
関連記事 : フリーランス増えすぎなのか|増加の背景と
退職前にやっておくべきこと
- クレジットカードを作っておく
- ローンを組んでおく
フリーランスになったらできないことがある!
独立の夢を叶え、どこの会社にも属さずに、個人の実力で仕事をしていくのが「フリーランス」。なんて聞くと、自由と希望に満ちた響きがあります。しかし、どんなに実力があっても、ガッツリ年収を稼いでいても、悲しいかな、フリーランスで仕事をする場合、会社や組織に属している人に比べて社会的な信用が低いのは事実です。
クレジットカードを作ったり、住宅や車などのローンを新たに組む予定があるなら、絶対に会社員のうちにしておきましょう。
実際に、クレジットカードを作ろうとしたが断られた、住宅ローンの審査待ち中にフリーランスになり、当初の融資額を100万円以上下げられた、なんて痛い経験をした先輩もいるのです。
関連記事 : フリーランスはクレジットカードの発行が難しい?審査を通りやすくするには
フリーランスになるために必要な手続き
退職をしたら、すぐに済ませてしまいたい諸手続き。下の表には、最低限すぐにやるべき手続きをまとめてみました。
退職をしたらすぐにやるべき手続きチェックリスト
手続き | 窓口 | 期限 | 持ちもの | |
---|---|---|---|---|
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①厚生年金から国民年金への切り替え | 市区町村役場 | 退職した日から 14日以内 |
年金手帳、厚生年金等退職の日付が分かるもの、印鑑、免許証などの身分証明書 |
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②会社の健康保険から国民健康保健への切り替え | 市区町村役場 | 退職した日から 14日以内 |
健康保険資格喪失書、印鑑、免許証などの身分証明書 |
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③個人事業の開業届出書(開業届) | 税務署 | 1カ月以内 | 印鑑、免許証などの身分証明書 |
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④青色申告承認申請書 | 税務署 | 2カ月以内 | 印鑑、免許証などの身分証明書 |
① の国民年金だけでは老後が不安なら、「国民年金基金」※1に任意で加入することも。その場合、国民年金に上乗せして、受給額が支払われます。
※1 : 国民年金基金制度とは? | 制度について知る | 国民年金基金連合会
関連記事 : フリーランスなら押さえておきたい!今さら聞けない「税金・保険・年金」のキホン
フリーランスの健康保険
② の健康保険に関しては、退職後2年間なら会社の健康保険に継続加入できます。保険料は会社が半分負担してくれていた分も全額自己負担となるので、金額が従来の2倍になります。
金額が2倍と聞くと、迷わず国民健康保険かな? と思いがち。でも、人によっては国民健康保険に加入するより、会社の健康保険に継続加入(任意継続)したほうが安かった!なんてこともあるので、よく比較したほうがよさそうです。
というのも、国民健康保険の金額は前年度の所得に応じて決められるもの。その際、年間の支払金額の上限も決められてはいますが、市区町村によってその上限を変えることもありますし、保険料額自体も異なります。
さらに、任意継続保険料にも上限額が設定されていますので、どちらの保険料が安くなるのかはいっそう分かりにくくなっています。まずは、自分が住む市区町村の国民健康保険課や健康保険組合などに電話をして、金額を問い合わせてから決めましょう
また、国民健康保険料は各市区町村のWebサイトにて計算式や保険料の目安を掲載しているところもあります。役所の窓口が開いている時間帯に問い合わせが難しい場合は、そちらを確認するのも一つの手です。
参考 : 保険料の計算方法 | 世田谷区
ただし、会社の健康保険を任意継続する場合、退職後20日以内が期限のため、それまでに申請しなくてはなりません。それ以降は一切受け付けてもらえないので要注意です。
関連記事 : フリーランスの健康保険などの切り替え
フリーランスの開業届
フリーランス(個人事業主)で働くならば、開業届の提出が必須です。原則として事業開始から1ヶ月以内に税務署へ提出することになっていますが、未提出でも罰則はなく、「副業から始めたのでタイミングがわからない」という場合でも、後から提出しても問題ありません。
関連記事 : フリーランスは開業届の提出は必須?書き方やタイミング、メリットデメリットを徹底解説
用紙は国税庁のWebサイトからダウンロードできます。提出にあたってはマイナンバーカード、もしくはマイナンバーが確認できる書類が必要となるため注意しましょう。
参考 : [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|国税庁
フリーランスになるには登録が必要?
個人事業主のフリーランスになる際は、前述した「開業届の提出」「国民健康保険・国民年金への切り替え」がやるべき公的な手続きで、その他にマストで登録すべき公的機関等はありません。もし、個人事業主でなく会社(法人)を設立してフリーランスで働くであれば、登記などの別の手続きが必要です。
ただし、フリーランスエージェントやクラウドソーシングなどのサービスに登録することで、フリーランスの仕事探しがしやすくなるケースもあります。登録や相談、仕事探しが無料であるサービスも多いため、営業活動に自信があるという方でなければ検討するとよいでしょう。
フリーランスの確定申告
確定申告は業務委託で働くフリーランスの特徴の一つです。確定申告では1年間の収入と経費から所得を計算し、税務署へ所得税を収める必要があります。
確定申告のやり方には青色申告、白色申告の2通りがあります。それぞれ「青色申告は難易度が高め・事前に申請が必要だが、節税効果が高い」「白色申告は難易度は低めで事前の手続きも不要だが、節税効果はない」といった点が特徴です。
もし青色申告を決意したなら「青色申告承認申請書」を記入し、税務署へ提出する必要があります。
参考 : [手続名]所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
提出期限は開業日から2ヶ月以内となっており、また青色申告承認申請書を提出したあとでも、特に手続きなしで白色申告に切り替えることも可能なため、開業届と同時に税務署へ提出すると面倒が省けます。
とはいえ、役所の窓口はまだしも、税務署なんて行ったことがなければ、「冷徹に税金を取り立てるような」恐ろしいイメージがあるかもしれません。でも職員たちは、右も左も分からないビギナーたちを日々相手にしていることもあり、親切に対応してくれるのでご安心を(例外もありますが)。
でも、所得税の計算も初めてというフリーランスデビュー1年目で青色申告は難しいということであれば、初期のうちは白色で大枠の確定申告を理解し、地固めする方法もあります。
関連記事 : 【確定申告】フリーランス1年目が白色申告でやることまとめ!
フリーランスの税金・会計・経理業務
- 事業用の通帳を作る
- 会計ソフトを準備する
- 請求書、見積書のひな形を準備する
- 印鑑を買う
- 切手や封筒を買う
事業用通帳を作れば、面倒な経費の入力がシンプルになる
開業届を出して、屋号も決まったら、すぐに事業用の通帳を作りましょう。
というのも、のちのち会計ソフトにギャラの入金や経費の入力をする際、通帳を見ながら、【売掛金】【通信費】【預金利息】などと、各取引に対しての仕分け作業が必要となってきます。
これがただでさえ面倒なのに、事業用の取引とプライベート用に買ったものの引き落とし金額がごちゃごちゃになっていたのでは、経費入力に相当時間がかかってしまいます。
関連記事 : 個人事業主が屋号付き口座を開設するメリットとは?
会計ソフトは迷わずオンラインソフトを
さらに、確定申告に向けて会計ソフトを用意しましょう。
先輩エンジニアによく利用されているのが、インストールの手間なく、どのパソコンからも使えるオンラインソフト。
弥生……自宅からネットで確定申告ができるe-Taxにも対応。青色申告用、白色申告用があり、最初に白色を利用して、余裕が出てきたら青色に乗り換えることもできます。
freee(フリー)……銀行やクレジットカードのアカウントを登録することで、自動で入出金の情報を同期し、かんたんに帳簿を作成できます。請求書の作成もでき、入金されたかどうかのマッチングも可能。
関連記事 : 会計業務を効率化したいフリーランスがチェックするべきクラウド会計ソフト5選
あとで焦らないためにも、用意しただけで満足しないで!
こういうことは仕事が軌道に乗り出すとつい後回しにしがち。でも、確定申告直前にまとめてやるとミスも多くなり、あとで税務署から連絡が来たなんてヒヤ汗モノの経験をした先輩フリーランサーも。
経費の入力などの会計業務は日々コツコツしておくに越したことはないのですが、なかなかそんな時間が取れないのは事実。あらかじめ、入力方法だけでも確認しておき、確定申告の時期が近くなったら、早めに準備を始めましょう。
関連記事 : フリーランス(個人事業主)がミス無く確定申告を終えるために押さえておくべき12のチェックリスト
また、請求書、見積書はフリーランスで仕事をするうえでの必須アイテム。ひな形は使いやすいものをセレクトし、印鑑、差出人のスタンプ、封筒、切手なども多めに用意しておきます。
関連記事 : フリーランスが請求書を作成するときの10個の常識
フリーランスの名刺・バーチャルオフィス
- 名刺を作る
- 必要ならばバーチャルオフィスに申込む
- 事業用のメールアドレスを作成
- ネット環境を整える
今日から名刺が看板代わり
サラリーマン時代と違い、会社の肩書きが外れた今、名刺は自分の看板のようなもの。顧客に、「この人に仕事を任せても安心」と思ってもらえるような名刺を作成しておきましょう。
一人暮らしの女性フリーランサーなど、自宅の住所や電話番号といった個人情報を名刺に掲載するのが不安であれば、バーチャルオフィスを利用するのも手。これは、都内一等地の住所や電話番号・FAXをレンタルし、さらに手紙の受け取りや電話の転送をしてもらえる仕組み。法人の住所登記のもメリットです。
ワンストップビジネスセンター……青山、表参道、渋谷、秋葉原などの主要都市に住所を持ち、おしゃれな会議室も24時間レンタルできます。
リージャス……世界120カ国でビジネスを展開。国内にも16拠点があり、一等地のランドマーク的存在のビルを住所にできます。
関連記事 : 作るときの参考にしたい!名刺に関する記事まとめ
独立開業後の営業・勉強・人脈づくり
- SNSで開業報告をする
- 自分のスキルやキャリアを整理する
- GitHubでコードを公開しておく
- 技術系ブログを書く
- 勉強会・交流会に出る
- 案件情報だけじゃない!エージェントサービスを利用する
「フリーランスになりました!」できるだけ多くの人に知らせておこう
準備が整い、スタートラインに立ったところで頭をもたげるのが、「仕事が獲得できるか」「ちゃんと稼いでいけるんだろうか」という不安な思い。確かにフリーランスの働き方には、毎月お金が入ってくるという保証はまったくありません。
そこでまずは、今までつながったことのある顧客、フリーランスの知人・友人などにメールやSNS、ホームページで独立開業したことを知らせましょう。いちど仕事をしたことがある顧客や知り合いなら、先方も仕事を振りやすいものです。
関連記事 : フリーランスの営業
「いざ営業!」その前に、自分のキャリアやスキルを整理してみよう
また、フリーエンジニアでしたらプログラミング言語やフレームワークといった職種に直結したスキルはもちろん、専門分野についてもあらかじめ整理しておきたいものです。例えば「DAUが3万人以上いるサービスの開発から運用 、保守まで一連の流れで携わっていたので、ソーシャルの分野に強い」などと、具体的な経歴・実績とセットで伝えられるように準備しておきましょう。
さらに、プロジェクトリーダー、マネージャークラスの人材を外部に求めているケースも多くあります。そういったクライアントに対しては、プロジェクトを回していた、部下やチームのメンバーをマネジメントしていた、などというリーダー経験も強みになります。
ほかにも「Webデザイナーだが、イラストも描ける」「プログラマー+簿記の資格があるので経理系に強い」など、職種+αのスキルも評価されるので、仕事をするうえで忘れずにアピールしたいところ。
とにかく、「で、何が得意なの?」と聞かれたら、しっかり自分を売り込めるように準備しておきましょう。
関連記事 : フリーランス(個人事業主)に必要なスキル
飛び込み営業なんてしなくていい
「営業」というと、知らない会社にアポをとって、顧客を開拓し笑顔で自分を売り込みに行く、なんていうのはひと昔前の話。GitHubで自分の開発したプログラムのコードを公開したり、技術系ブログを書いたりと、積極的に対外的に自己アピールすることもフリーエンジニアの「営業」のひとつ。
見た人が「この人に仕事を頼んでみたい!」と思ってくれれば、いいのです。
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勉強会に出て技術を磨く、人脈を作る
IT系の勉強会や交流会には、投資として時間もお金も惜しまずに顔を出しておきます。実力勝負のフリーランスにとって、技術は磨けば磨くほど、ビジネスにおける武器になるからです。
勉強会や交流会に参加すると、エンジニアやデザイナーなど、フリーランス同士の横のつながりができる点もメリットです。
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ピンチのとき、横のつながりに救われる
例えば、フリーランスで仕事をしていると、クライアントから「●月に大きな案件をお願いするから、ちょっと空けといてね」といった口約束をされることがあります。そのために予定をあけておいたのに、待てども待てども連絡がない。その上、すんなりなかったことにされる、なんてことも結構あるものです。
しかし、1ヶ月間仕事もなく、収入も途絶え、「どうしたらいい?」と茫然としていると、いいタイミングでフリー仲間から声がかかり、ちょうど自分の得意分野の仕事を紹介してもらえたなんてケースも。
逆にクライアントから仕事の依頼が来ても、自分が忙しかったり、専門分野でないからと、受けられないこともあるでしょう。そんなときは適任のフリーランス仲間を紹介して、クライアントに恩を売ることだってできます。
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先輩フリーランスを頼ろう
さらに、経験値が低いフリーランス初心者だと、「フリーランスとして、この仕事でこの単価って相場と比べてどうなの?」「こんな契約条件は大丈夫か?」とギモンに思っても口に出せず、とりあえず契約しちゃうなんてこともありがちです。
でも、経験豊富な先輩フリーランス仲間がいれば、一旦相談してから、仕事を吟味することができます。
また、先輩エンジニアに大きなプロジェクトチームに入れてもらい、高度なスキルを伝授してもらってラッキー! なんてこともあるのです。
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フリーランスだからこそ大事なことって? 成功の分かれ目は?
- 体調管理に気を配る
- 自分の時間を作る
体調管理もフリーランスの仕事
フリーランスは徹夜仕事が当たり前、身体に無理をかけても仕方ないような働き方のイメージがありますが、それは間違い。
例えば「頑張りやさん」として知られていたフリーエンジニアが、ある日突然倒れて入院。すぐに代わりの人が見つからず、作業真っ最中だった案件も納期中に完成させられなかったというケースがあります。
その結果クライアントにも迷惑をかけてしまい、仕方のないこととはいえ、本人も信用を落としてしまいました。
フリーランスにとって、最も大事なのは「いい仕事」をすること。そのためにも、会社員時代以上に、普段の生活から体調管理に気を配り、つねにベストの状態で仕事と向き合えるようにしておきたいものです。
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いい仕事をするためには仕事をしない時間が大事!?
フリーランスとして仕事があるのはありがたいこと。しかし、仕事漬けの日々だと、いつか「燃え尽き症候群」がやってくることもあります。
フリーランスを長く続けている人ほど、仕事が忙しくとも、自分の時間をうまく作り出しています。フットサル、アイドルの追っかけ、地域の子どもと遊ぶボランティアなど、仕事とはまったく違う世界を持っている人も多いのです。
仕事とプライベートのメリハリをつけること。それも、「いい仕事」をするためには大切なのですね。
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