個人事業主が経費に計上できるもの一覧!上限や節税のテクニック

「これって、ぶっちゃけ経費にできる?」と迷っている個人事業主向けに、経費に計上できるもの・できないものを解説します。

また、税務調査が入るリスクを下げるための「経費の上限目安」や「節税テクニック」も紹介します。余計な税金を払って損をしないよう、個人事業主が経費にできるものをもれなく計上していきましょう。

なお、請求業務のやり方について詳しく知りたい方は、こちらの関連記事をご覧ください。
フリーランスの請求書の書き方を解説!インボイス制度に対応する方法やテンプレートも配布

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個人事業主の経費とは?上限金額と目安

個人事業主の事業で必要な費用であれば、経費として計上できます。経費に上限はありませんが、経費の割合が高過ぎると、悪質な脱税行為で税務調査される恐れもあります。

事業内容により経費の割合は異なりますが、一般的に個人事業主の経費の割合目安は50〜60%といわれています。個人事業主の経費の割合について、より詳しくは以下の記事をご覧ください。
フリーランスの経費の割合|経費率や計上しないともったいない項目

また、個人事業主が節税し利益を上げるための方法に関して詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
個人事業主の利益とは?利益を上げるための経費・節税のポイント

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経費に計上できるかの判断基準

個人事業主の支出は、事業とプライベートが曖昧になりやすいため、判断基準を知ったうえで経費として計上すべきです。経費に計上できるかの判断基準を3つ紹介します。

税務署に客観的に証明できるか

税務署に「事業に関する経費である」と客観的な証明ができるかが、判断基準のひとつです。たとえば飲食代であれば、どういった目的で誰と飲食をしたか明確でないといけません。

また、経費として証明するために、領収書を保管する際に営業や打合せといった支出の理由を書いておきましょう。

出費金額が経費として常識の範囲内である

売上の規模に対して出費が多すぎると税務署調査される可能性が高くなります。以下のような場合、経費が多すぎると思われがちです。

  • 同業に比べて経費の金額や収入に対する経費の割合が大きすぎる
  • 収入額が大きいのに所得が赤字
  • 収入に対する経費の割合に大きな変動がみられる

明確な基準はありませんが、明らかに多すぎる、不自然な部分がある場合は怪しまれる恐れがあるでしょう。

事業に必要でプライベートの出費ではないこと

大前提として、プライベートな出費は経費にできません。プライベートと曖昧になりがちな、新聞や書籍、消耗品も事業に関わるものなら経費にできます。

経費に計上する際には目的を明確にし、事業に関する出費だと証明できるようにすべきです。

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個人事業主が経費にできる・できない勘定科目一覧

個人事業主が経費にできるもの・できないものを一覧にして解説します。経費の分類としてわかりやすいのが、確定申告書に記載されている「勘定科目」です。経費にできる具体例と合わせて解説していきます。

個人事業主の経費に❝できる❞もの一覧

以下は、個人事業主が経費に「できるもの」の一覧です。

勘定科目 概要 経費にできるものの例
租税公課 税金・公的な負担金 個人事業税・事業利用資産の固定資産税・
自動車税・登録免許税・印紙税
荷造運賃 荷物の運賃・梱包費 商品や製品の配送にかかる運賃・段ボールなどの梱包資材代
水道・光熱費 電気代・ガス代・水道代 事務所などで使う水道代・ガス代・電気代・灯油代
旅費交通費 移動費・宿泊費 交通費・宿泊費・コインパーキング代
通信費 郵便・電話・インターネット料金 切手やはがき代・固定電話や携帯電話料金・
インターネットなどの回線使用料
広告宣伝費 事業や商品の広告費 Webや雑誌などの広告掲載料・
チラシやポスター・カタログなどの印刷費用
接待交際費 取引先への接待や贈答にかかる費用 取引先や仕入先との飲食代・贈答品代・慶弔費
損害保険料 事故や火災などの損害保険料 事務所の火災保険料・車の自動車保険料・
自賠責保険料
修繕費 建物や機械などの修理代 店舗・機械・器具・自動車などの修理代
(減価償却資産にあたらないもの)
消耗品費 取得価額が10万円未満か使用可能期間
(法定耐用年数)が1年未満の消耗品
文房具・伝票・名刺・作業用デスク・
10万円未満のパソコンなど
減価償却費 10万円以上かつ1年以上使用可能な固定資産を、
法定耐用年数に従って分割し計上する費用
建物・車・コピー機・オフィス家具・機械
(法定耐用年数に従って一部を経費計上する)
給料賃金 従業員への給与 従業員に支払う給与
外注工賃 外部に業務を委託して支払った費用 外部の業者・事業主に業務を発注した際の支払い・電気工事代
利子割引料 借り入れの支払利息・分割払いの手数料 事業用の借入金の支払利息・手形の割引料
地代家賃 事務所などの家賃や使用料 店舗や事務所の家賃・礼金・駐車場代
貸倒金 取引先の経営悪化や倒産により回収が不能となった損害金額 回収不能となった売掛金・貸付金・未収入金
雑費 他の経費にあてはまらないもの 引越し代・書籍代・クリーニング代・年会費・銀行の振込手数料

「ぶっちゃけ経費になる?」と思われがちで経費にできるもの

「ぶっちゃけ経費になる?」と思われがちですが、実際には経費にできるものの代表例を4つ紹介します。事業に関わるものであれば、問題なく経費に計上できるので参考にしてください。

開業前に使用したお金

開業のために使ったお金は「開業費」として、経費に計上できます。以下は、具体例です。

  • 打合せの費用
  • 借りたお金の利子
  • パソコンなどの機材
  • 取引先のお土産
  • セミナー費用

開業のために勉強として参加したセミナーの費用も、経費に計上できます。領収書を保管しておきましょう。

なお、10万円以上のものは、開業費ではなく固定資産税として扱います。仕入れのために使ったお金も、売上原価として扱い、開業費にはなりません。

祝儀・香典

仕事関係の人への祝儀や香典は、経費に計上できます。仕事関係の人とは、従業員や取引先、クライアントです。

家族や友人、知人への祝儀や香典は、経費に計上できません。友人兼クライアントはグレーゾーンですが、仕事上で取引があれば経費にできます。

ヘアサロンなどの美容費

職業によっては、ヘアサロンなどの美容費も経費にできます。たとえばモデルや司会などのビジュアルが仕事の成果につながる職業です。経費に計上するためには「撮影のためにヘアスタイルを整えた」などと証明する必要があります。

鍼灸代やエステ代が経費になるかは難しいですが、効果を見せるための撮影であれば、経費として計上できるでしょう。

従業員やクライアントとの食事代

従業員やクライアントとの食事代は、どういった場合が経費になるのか迷いがちです。仕事に関わるものを前提に、以下の例であれば経費にして問題ないでしょう。注意点も参考にしてください。

経費に計上できる具体例 注意点
クライアントとのランチミーティング 個人事業主の場合は、金額に上限はない。
一般的な会議費としては、1人当たり5,000円以下が目安。
喫茶店で仕事をした場合 飲み物代は経費にできる。食べ物やスイーツなど
仕事に関係ない単なる食事までは経費にできない。
出張時の朝食付きの宿泊プラン 宿泊プランに付いている食事以外は、経費にできない。

個人事業主の経費に❝できない❞もの一覧

企業では経費に計上できても、個人事業主では経費にできないものがあります。以下は、経費にできない費用のうち、判断に迷いやすいものです。

経費にできないもの 詳細
福利厚生費 個人事業主は従業員といえないため、
従業員の生活向上や労働環境改善に使われる福利厚生費は計上できない。
個人事業主のための支払い 個人事業主自身の給料、健康診断の費用、国民年金・
国民健康保険料は経費にできない。
所得税・住民税 所得税・住民税は事業関係なく支払う義務があるため経費にできない
10万円以上のもの 取得金額が10万円以上の事業資産は経費でなく「固定資産」として計上
個人事業主と生計をひとつにする家族・親族への支払い 青色事業専従者給与に関する届出をしている、給与を支払う相手は
1年の半分以上事業の手伝いをしているなどの条件を満たせば、経費として計上できる。

個人事業主自身の給与は経費にはできません。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
個人事業主は自分の給与を経費にできる?生活費を記帳するときのポイントも解説

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個人事業主の経費計上に必要なもの

個人事業主が経費を計上するには、領収書やレシートが必要です。レシートでも、購入した品目が明確にわかるので、経費の証明になります。高額な品物を購入した際は、領収書の方が良いでしょう。

領収書やレシートの受け取り忘れや紛失、電車代や慶弔費などそもそも領収書やレシートがない場合もあります。領収書がない場合は、出金伝票に必要事項を記入します。

以下の書類も、領収書やレシートの代わりになります。

  • 請求書
  • 納品書
  • 支払通知書
  • クレジットカードの利用明細書
  • ATMの振込明細書
  • 出入金がわかる通帳のコピー

慶弔費などは、出金伝票とあわせて招待状や案内状を保存しておくと良いでしょう。

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家事按分とは?具体例と計算方法

家事按分とは、プライベートによる生活費と経費が混在している費用から、事業に使用した経費部分を算出することです。

法的ルールはありませんが、仮に税務署から説明を求められたときに、証明できるようにすべきです。家事按分の具体例と計算方法を解説します。

家賃の場合

個人事業主が住居をオフィスと兼用している場合、家賃を家事按分する方法は、2つあります。事業で使う「面積の割合」または「時間の割合」で算出する方法です

以下は、家賃10万円で居住面積が60㎡、事業面積が15㎡の場合に「面積の割合」から経費分を求めた例です。

  • ①按分率:15㎡÷60=0.25(25%)
  • ②経費計上できる額:100,000円×25%=25,000円

以下は、「時間の割合」から経費を求める方法です。
家賃が15万円で自宅での業務時間が1日7時間・週5日の場合

  • ①1週間の自宅の業務使用時間:7時間×5日=35時間
  • ②1週間の総時間:24時間×7日間=168時間
  • ③按分率:35時間÷168時間=0.2…(約20%)
  • ④経費計上できる額:150,000円×20%=30,000円

水道光熱費の場合

自宅で料理教室を開いているなどの理由で、ガスや水道の使用が事業に直接関係ある場合、水道光熱費を経費に計上できます。水道光熱費は、事業で使った時間を基準に算出します。

以下は、ガス代が月2万円、1日当たり約7時間の作業を週5日している場合の経費算出例です。

  • ①1週間の業務使用時間:7時間×5日=35時間
  • ②1週間の総時間:24時間×7日=168時間
  • ③按分率:35時間÷168時間=0.2…(約20%)
  • ④経費計上できる額:20,000円×20%=4,000円

通信費の場合

スマートフォンの料金やインターネットの通信費も、業務で利用した分は経費に計上できます。通信費は、使用日数または使用時間から算出します。

以下は、通信費を使用日数から算出する方法です。

月の通信費が16,000円で週5日使用している場合

  • ①按分率:5日間÷7日間=0.71…(約71%)
  • ②経費計上できる額:16,000円×71%=11,360

以下は、使用時間から算出する方法です。

月の通信費が15,000円で1日8時間、週6日使用している場合

  • ①1週間の業務使用時間:8時間×6日=48時間
  • ②1週間の総時間:24時間×7日=168時間
  • ③按分率:48時間÷168時間=0.28(28%)
  • ④経費計上できる額:15,000円×28%=4,200円

スマートフォンは按分せず、業務用として別契約するのもひとつの手段です。

自動車の場合

自動車を事業とプライベートで兼用する場合、利用時間や日数、走行距離で経費分を算出します。以下の自動車に関連する費用は、家事按分で経費に計上できます。

  • 車両本体の購入費
  • ガソリン代
  • 駐車場代
  • 高速代
  • 車両保険料
  • 自動車税
  • 車検費用

以下は、走行距離からガソリン代の経費を算出する方法です。

走行距離が月250km、内業務で走行した距離100km、ガソリン代が月3,000円だった場合

  • ①按分率:100km÷250km=0.4(40%)
  • ②経費計上できる額:3,000円×40%=1,200円

以下は、使用日数からガソリン代の経費を算出する方法です。

1ヶ月のガソリン代が5,000円、週5日使用する場合

  • ①按分率:5日÷7日=0.71…(71%)
  • ②経費計上できる額:5,000円×71%=3,550円

自動車関連費用を経費計上する場合は、事業としての走行距離や運転日報に記録するなど、証明できる根拠を残す必要があります。

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個人事業主の節税ポイント・裏ワザ

個人事業主が節税をする際のポイントとして主に以下4つがあげられます。

  • 所得控除を最大限受ける
  • 青色申告をする
  • 減価償却の特例で固定資産も経費にする
  • 税理士に相談する

それぞれ詳しく解説します。

また、節税方法としてふるさと納税やidecoといった方法もあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
個人事業主のふるさと納税|メリット・デメリットや控除上限額についても解説
個人事業主向けiDeCoガイド|上限やデメリット、小規模企業共済と比較

所得控除を最大限受ける

所得控除は自己申告制のため、年末調整や確定申告による手続きが必要です。個人事業主は節税のために、確定申告でもれなく申請すべきです。

所得控除は、配偶者や扶養家族、生命保険料、小規模企業共済等掛金などにより14種類あります。所得控除を最大限に受けるために、対象となる所得控除を把握すべきです。所得控除の種類について詳しくは以下の記事をご覧ください。
所得控除は14種類!あなたはどれを受けられる?

青色申告をする

確定申告の際に、青色申告をすると特別控除額が多くなるため、高い節税効果が期待できます。特別控除額は、白色申告の場合は10万円ですが、青色申告は65万円です。

また、青色申告では最長で3年間の赤字繰越ができます。青色事業専従者給与の特例として、家族などへの給与が経費に計上できたりと、税制面でも有利です。

青色申告の書類のうち、経費について詳しく記載するのは「青色申告決算書」の1枚目です。租税公課や水道光熱費、接待交際費などの勘定科目ごとに、経費の金額を記載します。

減価償却の特例で固定資産も経費にする

減価償却の特例とは、固定資産の購入に関する経費を一括で計上する方法です。減価償却の特例を活用すれば、30万円未満の資産を一括で経費に計上できます。所得税負担を軽減できます。

国税庁のWebサイトに、中小企業等の少額減価償却資産の対象者や対象物が掲載されています。減価償却の特例を利用するには、青色申告者や従業員の人数など、適用条件があるため、利用できるか事前に確認すべきです。

税理士に相談する

具体的な節税方法や経費計上を税理士などの専門家に相談するのも手です。税理士は、事業内容や状況に合わせた経費計上のアドバイスや節税案を提案してくれます。また、税法の最新動向を把握しているため、認識の違いやトラブルを防げます。

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経費が多すぎる場合に注意すべきこと

経費が多すぎる場合、税務調査が入ったり、ローン審査に影響が出たりする恐れがあります。節税のメリットだけでなく、注意点も確認すべきです。

過度な経費計上は税務調査が入る

経費に上限はありませんが、過度な経費計上は税務調査が入る恐れがあります。不正確な経費計上とみなされると、追加で税金の支払いを命じられる過少申告課税などがあります。

日頃から売上と経費のバランスを見つつ、適切な経費を計上を心掛けるべきです。

所得が下がってローン審査に影響が出る

経費が多すぎる場合、所得が下がってローン審査に不利に働くことがあります。所得はローンの借入額に影響するため、所得が低いと希望の額を借りられない恐れがあります。

また、所得が低いと返済能力がないとみなされ、そもそもローン審査に通過できない可能性もあります。家や車などの購入でローンを組む場合、希望額を借りるためにはいくらの所得が必要か把握したうえで、節税対策すべきです。

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個人事業主の経費に関するよくある質問

個人事業主の経費に関する、よくある質問に答えます。経費にできるものや、上限など、経費計上の際に参考にしてください。

Q. 個人事業主はどこまで経費で落とせますか?

個人事業主は、事業に関する費用であると証明できれば、全額経費に計上できます。たとえば営業や打合せの目的であれば、クライアントとのランチ代も経費に計上できます。

仕事とプライベートで兼用している住居や車は、家事按分で、事業に使用した経費部分を算出します。

Q. 個人事業主が経費にするメリットはなんですか?

経費を計上すると、収益から差し引いて課税所得額を減らし節税できます。税金は所得に対して課せられるため、所得が増えるほど税金も上がります。 経費を計上すればその分だけ収益を減らし、節税できるメリットがあります。

Q. 経費の上限はありますか?

個人事業主の事業で必要な費用であれば、経費に上限はありません。しかし、過度な経費計上は税務調査が入ったり、ローン審査に影響する恐れがあるため注意すべきです。

※本記事は2023年10月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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