年収600万円での手取り、社会保険料、税金の事例を解説
フリーランスエンジニアの手取り

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フリーランスの場合、手取りを計算する上で収入から差し引くのは、国民年金保険料や国民健康保険料、所得税、住民税、個人事業税、消費税です。ただし個人事業税や消費税は、すべてのフリーランスが対象となるわけではありません。

フリーランスエンジニアの方が手取りを増やすためには、65万円の青色申告特別控除を受ける、必要経費を漏れなく計上するといったことを実践すると良いでしょう。

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◆この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士 小池 康晴氏
IT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。
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0. 目次

1. フリーランスが支払う社会保険料・税金って?
2. フリーランスの場合、年収600万円の手取りはいくら?
3. フリーランスが手取りを増やすには

1. フリーランスが支払う社会保険料・税金って?

フリーランスの場合、国民年金保険料と国民健康保険料、所得税、住民税、個人事業税、消費税を納めます。

国民年金保険料

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入します。会社員や公務員は厚生年金に加入しますが、このときも自動的に国民年金に加入しており、国民年金・厚生年金を合わせた保険料を納めます。

国民年金のみに加入している場合、所得に関わらず一定の保険料を納めるのが特徴。2019年度の1ヶ月あたりの国民年金保険料は、1万6410円です。

なお、経済的に国民年金保険料を支払うのが難しい人は、保険料免除・納付猶予制度を利用することができます。ただし保険料免除・納付猶予制度を利用した場合、その分将来受けとる国民年金が少なくなるという点に注意が必要です。

そのほか、国民年金には前納(まとめて前払い)すると保険料が割引される制度もあります。

国民健康保険料

フリーランスの場合、会社員時代の健康保険を任意継続しないのであれば、基本的に国民健康保険に加入します。

国民健康保険は、下記の3つで構成されています。

(1)基礎(医療)分保険料
(2)支援金分保険料
(3)介護分保険料

上記の3つのうち、介護分保険料の支払いは40歳以上65歳未満の方が対象です。そのため40歳未満・65歳以上の方は、基礎(医療)分保険料と支援金分保険料を合わせた国民健康保険料を納めます。

国民健康保険料は、居住地や所得、世帯人数によって変わるのが特徴。国民健康保険料を計算する際は、居住地の自治体の公式サイトで保険料率などを確認しましょう。

所得税

所得税は、1年間の課税所得に対してかかる税金です。フリーランスにおける課税所得は、1年間の総収入金額から、後述する必要経費、青色申告特別控除、所得控除(基礎控除や社会保険料控除など)を差し引いたものを指します。

なお、2013年から2037年までは、所得税と合わせて「復興特別所得税」を納めます。復興特別所得税は、東日本大震災の復興のための財源確保を目的として創設された税金です。復興特別所得税の金額は、その年に納める所得税に2.1%を乗じて算出します。

住民税

住民税は、下記の2つを合わせたものを指します。

・市町村民税(東京23区の場合「特別区民税」)
・道府県民税(東京都の場合「都民税」)

住民税は前の年の所得に対してかかる税金で、所得によって支払う金額が増減するのが特徴です。また居住地によっても税額に若干ながら差が生じます。

個人事業税

個人事業税は、法定業種(地方税法等で定められた70の業種)に従事する人が納める税金です。

請負契約で案件を受注するフリーランスエンジニアの場合、法定業種の一つである「請負業」と見なされて個人事業税を納めることになります。

ただし準委任契約で企業に常駐するフリーランスエンジニアの場合、指揮命令系統のルールのもとで作業を行うなど雇用者に近い状況のため、個人事業税は課税対象外となることが多いようです。

消費税

消費税は、前々年の課税売上高(1年間の売上高)が1000万円を超える場合に納めます。

なお、前々年の課税売上高が1000万円以下であったとしても、「前年の1月1日から6月30日までの課税売上高が1000万円を超える」かつ「その期間の従業員への支払った給与の額が1000万円を超える」ときは、消費税を納める必要があります。

関連記事 : フリーランスなら押さえておきたい!今さら聞けない「税金・保険・年金」のキホン

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2. フリーランスの場合、年収600万円の手取りはいくら?

ここではフリーランスエンジニアの手取りの目安を知るために、年収600万円と想定(前年・前々年の年収も600万円と想定)し、下記の設定で国民年金保険料、国民健康保険料、所得税・復興特別所得税、住民税を算出します。

なお、当記事で算出する社会保険料や税金は、2019年度の保険料率、税率を基に計算しています。また、ここでは常駐型フリーランス、年収600万円という設定で計算を行うため、個人事業税と消費税は0円としています。

・年齢:28歳
・居住地:東京都世田谷区 
・扶養家族:なし
・必要経費:1ヶ月あたり10万円(年間120万円)
・青色申告者(65万円の青色申告特別控除を受けると想定)
・常駐型フリーランス

上記の設定で計算すると、年収600万円のフリーランスエンジニアの手取りは484万2262円です。

年収(1年間の総収入金額) 600万円
国民年金保険料 19万6920円
国民健康保険料 41万4718円
所得税・復興特別所得税 22万2800円
住民税 32万3300円
個人事業税 0円
消費税 0円
手取り 484万2262円

それでは国民年金保険料、国民健康保険料、所得税・復興特別所得税、住民税の計算方法をそれぞれ確認していきましょう。

国民年金保険料の計算式

1ヶ月あたりの国民年金保険料は1万6410円のため、1年間(12ヶ月)だと19万6920円です。

1万6410円×12ヶ月=19万6920円

参考:国民年金保険料|日本年金機構

国民健康保険料の計算式

前の項目で、40歳未満・65歳以上は基礎(医療)分保険料と支援金分保険料を納めることを確認しました。さらに国民健康保険料を計算する上では、「所得割額」と「均等割額」についても知っておく必要があります。

所得割額は加入者の所得金額によって保険料が増減しますが、均等割額は所得金額に関わらず一人あたり一定の保険料を支払うのが特徴です。

東京都世田谷区の場合、基礎(医療)分と支援金分における所得割額の保険料率、均等割額は下記のとおりです。

区分 所得割額 均等割額
基礎(医療)分
(最高限度額61万円)
加入者全員の賦課基準額
×7.25%
加入者数
×3万9900円
支援金分
(最高限度額19万円)
加入者全員の賦課基準額
×2.24%
加入者数
×1万2300円

上記の表の所得割額の欄にある「賦課基準額」は、フリーランスの場合、下記の計算式で求められます。

賦課基準額=前年の所得金額(総収入金額から必要経費と青色申告特別控除を差し引いたもの)-基礎控除(一律33万円)

そのほか、均等割額の欄の「加入者数」には自分+扶養家族の人数を入れるため、扶養家族がいない場合は「1」を乗じることになります。

それでは、基礎分(医療)保険料から計算していきましょう。

基礎(医療)分保険料の計算式

所得割額、均等割額をそれぞれ算出します。

〈所得割額の計算式〉
所得割額
=加入者全員の賦課基準額(※)×7.25%
=382万円×7.25%
=27万6950円

※賦課基準額
=前年の所得金額(総収入金額から必要経費と青色申告特別控除を差し引いたもの)-基礎控除(一律33万円)
={600万円-(120万円+65万円)}-33万円
=415万円-33万円
=382万円

〈均等割額の計算式〉
均等割額
=加入者数×3万9900円
=1人×3万9900円
=3万9900円

所得割額と均等割額を足すと、1年あたりの基礎(医療)分保険料は31万6850円だとわかります。

所得割額+均等割額
=27万6950円+3万9900円
=31万6850円

支援金分保険料の計算式

支援金分保険料においても、所得割額と均等割額をそれぞれ算出します。

〈所得割額の計算式〉
所得割額
=加入者全員の賦課基準額×2.24%
=382万円×2.24%
=8万5568円

〈均等割額の計算式〉
均等割額
=加入者数×1万2300円
=1人×1万2300円
=1万2300円

下記の計算式で、1年あたりの支援金分保険料は9万7868円だとわかります。

所得割額+均等割額
=8万5568円+1万2300円
=9万7868円

1年あたりの国民健康保険料の計算式

最後に基礎分保険料と支援金分保険料を足すと、1年あたりの国民健康保険料は41万4718円だとわかります。

基礎(医療)分+支援金分
=31万6850円+9万7868円
=41万4718円

参考:保険料の計算方法 | 世田谷区ホームページ

所得税・復興特別所得税の計算式

所得税と復興特別所得税をそれぞれ算出します。

所得税の計算式

所得税は、下記の計算式で求めます。

課税所得×税率-控除額

なお、所得税を算出する際の税率や控除額は、課税所得の範囲ごとに定められています。

課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 9万7500円
330万円超~695万円以下 20% 42万7500円
695万円超~900万円以下 23% 63万6000円
900万円超~1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超~4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超~ 45% 479万6000円

参考:No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

それでは年収600万円の場合の所得税を算出しましょう。

所得税
=課税所得(※)×税率-控除額
=315万8000円×10%-9万7500円
=31万5800円-9万7500円
=21万8300円

※課税所得
=総収入金額-(必要経費+青色申告特別控除+所得控除)
=600万円-{120万円(必要経費)+65万円(青色申告特別控除)+38万円(基礎控除)+19万6920円(社会保険料控除・国民年金)+41万4718円(社会保険料控除・国民健康保険)}
=600万円-284万1638円
=315万8362円(1000円未満は切り捨て)
=315万8000円

復興特別所得税の計算式

復興特別所得税
=21万8300円×2.1%
=4584.3円(100円未満は切り捨て)
=4500円

1年あたりの所得税・復興特別所得税の計算式

最後に所得税と復興特別所得税を合計すると、22万2800円だとわかります。

所得税+復興特別所得税
=21万8300円+4500円
=22万2800円

住民税

東京都世田谷区在住の場合、特別区民税と都民税を合わせた住民税を納めます。

特別区民税と都民税には、それぞれ「所得割」と「均等割」があります。所得割は所得に応じて納める金額が変わりますが、均等割は所得に関係なく一人あたり一定の金額を支払うのが特徴です。

所得割の計算式

所得割
={前年の総収入金額-(必要経費+青色申告特別控除+所得控除)}×税率(特別区民税6%+都民税4%)-調整控除※1
=[600万円-{120万円(必要経費)+65万円(青色申告特別控除)+33万円(基礎控除)+19万6920円(社会保険料控除・国民年金)+41万4718円(社会保険料控除・国民健康保険)}]×税率-調整控除
=(600万円-279万1638円)× 税率-調整控除
=320万8362円※2× 税率-調整控除
=(320万8000円×6%-1500円)※3+(320万8000円×4%-1000円)※3
19万900円+12万7300円
=31万8200円

※1 : ここでの調整控除額は5万円(所得税と住民税の基礎控除の差額)×5%=2500円で算出
※2 : 1000円未満は切り捨て
※3 : 100円未満は切り捨て

均等割の計算式

均等割
=3500円(特別区民税)+1500円(都民税)
=5000円

1年あたりの住民税の計算式

最後に所得割と均等割の金額を足すと、1年あたりの住民税はだとわかります。

住民税
=所得割+均等割
=31万8200円+5000円
=32万3200円

参考 : 住民税のあらまし | 世田谷区ホームページ
参考 : 世田谷区|住民税額シミュレーション
関連記事 : 個人事業主の年収|平均年収や会社員との手取り比較も  

3. フリーランスが手取りを増やすには

フリーランスの方が手取りを増やす方法として、「65万円の青色申告特別控除を受ける」「必要経費を漏れなく計上する」の2つが挙げられます。

65万円の青色申告特別控除を受ける

前の項目で手取りを算出する際、65万円の青色申告特別控除が適用されることを想定して計算しました。

ここで注意したいのが、65万円の青色申告特別控除は、青色申告者であっても一定の条件を満たさないと適用されないという点。65万円の青色申告特別控除を受けたいと考えているなら、事前に条件をチェックしておく必要があります。

なお、2020年分の確定申告から65万円の青色申告特別控除の適用条件が変わるため、当記事では改正前(2019年分まで)と改正後(2020年分から)の条件をそれぞれご紹介します。

2019年分まで

2019年分までの確定申告では、下記の3つの条件を満たすことで65万円の青色申告特別控除を受けられます。

(1)事業所得あるいは不動産所得を得ていること
(2)正規の簿記の原則(複式簿記)で記帳していること
(3)確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付し、期限内に確定申告していること

2020年分から

2020年分からの確定申告では、改正前に設けられていた3つの条件に加えて、電子申告または電子帳簿保存を行うことも条件となります。

(1)事業所得あるいは不動産所得を得ていること
(2)正規の簿記の原則(複式簿記)で記帳していること
(3)確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付し、期限内に確定申告していること
(4)電子申告(e-Taxによる確定申告)あるいは電子帳簿保存をしていること

2020年分からは、上記の4つの条件を満たすと65万円の青色申告特別控除が適用されますが、(1)(2)(3)の3つの条件を満たしている人の場合、55万円の青色申告特別控除が適用されます。

なお、65万円あるいは55万円の青色申告特別控除が適用されない青色申告者は、10万円の青色申告特別控除を受けることになります。

参考:「令和2年分の所得税確定申告から青色申告特別控除額 基礎控除額が変わります!!」| 国税庁

必要経費を漏れなく計上する

国民健康保険料や所得税、住民税を求める際、年収(総収入金額)から必要経費を差し引いて計算しました。

必要経費は、フリーランスとして業務を行う上で必要となる費用のこと。必要経費を漏れなく計上しないと、その分賦課基準額や課税所得が多くなり、支払う保険料・税額も増えることになります。

フリーランスエンジニアの必要経費として下記の例が挙げられるので、どのようなものがあるか確認しておきましょう。

・交通費:クライアント先へ移動する際の電車代など
・通信費:インターネット利用料や電話代、書類の郵送料など
・接待交際費:業務に関係する飲み会代など
・消耗品費:筆記用具、コピー用紙代など

交通費、通信費、接待交際費、消耗品費のいずれも、プライベートと業務の区別に気をつけて計上する必要があります。業務に関係のない費用を計上してしまうことがないよう、領収書を大切に保管する、通信費は利用時間を記録するといったことを心がけましょう。

関連記事 : これも経費に?個人事業主(フリーランス)が知っておきたい経費になるもの・ならないもの

※本記事は2019年7月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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