COBOLエンジニアの需要とは?習得メリット・デメリットや将来性を解説

COBOLとは、プログラミング言語のひとつです。歴史ある言語で今も使われているシステムが存在するため、今後もある程度の需要が期待できます。

COBOLを習得する際は、言語がシンプルでわかりやすい点や、特定のOSに依存せず開発できる点などがメリットです。一方で、スマホ・WebアプリやAIの開発に馴染まない点がデメリットとして挙げられます。

今後COBOLを学ぶべきか悩んでいる方は、本記事で需要や将来性について確認しておきましょう。

COBOLを使用する仕事として汎用系プログラマーがあります。詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
【エンジニアのプロ監修】プログラマーとは?仕事内容や年収、資格を紹介

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COBOL(コボル)とは

パソコンを使って作業するイメージ

COBOLとは、プログラミング言語(コンピューターを動かすために必要な専用言語)のひとつを指します。COBOLは「COmmon Business Oriented Language」を略した言葉で、読み方は、「コボル」です。

COBOLの主な特徴として、以下の点が挙げられます。

  • 長い間使われてきたプログラミング言語
  • 計算処理が得意

それぞれ確認していきましょう。

長い間使われてきたプログラミング言語

COBOLは長い間使われてきたプログラミング言語のひとつです。その歴史は古く、1959年にはCOBOLが誕生していたとされています。Pythonは1990年ごろ、Rubyが1993年、Javaが1995年に誕生していることからも、いかに古くから存在しているかがわかるでしょう。

誕生後、政府機関を皮切りにさまざまな大規模基幹システムで、COBOLが採用される動きが広がりました。

計算処理が得意

計算処理が得意な点や、信頼性が高い点もCOBOLの特徴のひとつです。

COBOLは、元々商業計算向けに開発された言語で、2進化10進数(10進数の1ケタを4ケタの2進数で示したもの)を使って誤差を出さずに小数点を計算できるため、主に事務作業に向いています。そのため、とくに金額に誤差の許されない銀行や証券会社といった金融機関のシステムを中心に、COBOLが採用されてきました。

なお、COBOLは元々汎用系のプログラミング言語です。パソコンやスマートフォンなどの小型機械で稼働するオープン系と異なり、汎用系は主に業務用の大型コンピューター(汎用機)で稼働します。

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COBOLエンジニアに需要はある?

プログラマーとして働くイメージ

COBOLエンジニアには、一定の需要があります。その理由は金融機関・行政機関などを中心に、いまだにCOBOLが使われているシステムが存在するためです。

企業や各機関は、COBOLを使った既存システムが存在する限り、運用や保守の仕事をCOBOLエンジニアに依頼しなければなりません。また、既存システムをJavaなどのプログラミング言語を用いた新システムへ移行する場合にも、知識・経験を持つCOBOLエンジニアの力が必要です。

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COBOLエンジニアの平均年収

収入を示したイメージ

スキル・経験や、勤める業界・企業などによっても、COBOLエンジニアの年収目安は異なります。COBOL求人の平均年収相場は、390〜610万円です。

一般的に、JavaエンジニアやPythonエンジニアと比べると、COBOLエンジニアの平均年収は低い傾向にあります。ただし、COBOLは大企業のシステムで使われることが多いシステムのため、企業によって高収入を期待できることもあるでしょう。

また、COBOLエンジニアの平均月単価は最大約63万円(中央値65万円)でした(2024年4月15日時点、レバテックフリーランスで公開中の案件の月単価を平均して計算)。そのため、フリーランスとしてCOBOLの案件を受注する場合、750万円前後の年収を得られる可能性はあります。

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COBOLを習得するメリット

COBOLを使ってプログラミングする様子

COBOLを習得するメリットは、主に以下のとおりです。

  • OSに依存せず開発できる
  • シンプルでわかりやすい

それぞれ解説します。

OSに依存せず開発できる

COBOLを習得すれば、OSに依存せずに開発できる点がメリットです。OSとは、Windows・macOS・Linuxなどのように、機械やアプリケーションを作動するために必要なソフトウェアを指します。

COBOLなら、一度開発したシステムを別のOSのシステムに移行可能です。そのため、自分のやりやすい環境で開発してから、実際のシステムへ移行するやり方もできます。また、新たな環境への移行もしやすいため、一度開発したアプリケーションを長いサイクルで使い続けられるでしょう。

シンプルでわかりやすい

COBOLの文法が、シンプルでわかりやすい(可読性が高い)点もメリットです。

単に「Hello, World!」と表示させるだけでも、プログラミング言語によって文法や記述の仕方が異なります。人によって、コードの記述方法が面倒な上理解しにくいプログラミング言語もあれば、スムーズに内容がわかるプログラミング言語もあるでしょう。

COBOLの場合、記述方法が英文と近い点が特徴です。そのため、学生時代に文系だった人でも英語が得意であれば、比較的スムーズに習得できる可能性があります。

また、多くの人にとって理解しやすいプログラミング言語であるため、チームで作業する際にスムーズに開発できる点もCOBOLの強みです。

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COBOLを習得するデメリット

スマートフォンアプリを示したイメージ

COBOLを習得するデメリットは、以下のとおりです。

  • スマホ・Webアプリ開発に馴染まない
  • AI開発ができない

各デメリットについて、確認していきましょう。

スマホ・Webアプリ開発に馴染まない

スマホのアプリやWebアプリケーションの開発に馴染まない点が、COBOLを習得するデメリットです。

COBOLは1959年に開発された古いプログラミング言語のため、トレンドのスマホのアプリ開発やWebアプリケーション・サービス開発には適していません。スマホアプリにはJavaKotlinC#Swiftなど、WebアプリケーションにはPython・Java・PHPRubyなどが使われることが一般的です。

スマホやWebアプリを開発したいのであれば、他のプログラミング言語の習得を優先した方がよいでしょう。

AI開発ができない

基本的にAI開発ができない点も、COBOLのデメリットです。

AI開発は将来性の高い分野として知られているため、知識やスキルを身につけることで自身のエンジニアとしての市場価値を高められるでしょう。

しかし、COBOLを身につけただけでは、AI開発に携わったり、AI開発できる人材として認識されることは難しいです。

AI開発に欠かせないプログラミング言語のひとつとして、Pythonが挙げられます。Pythonは機械学習のツールを使用できるツールが充実しており、AI開発がしやすいプログラミング言語です。

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COBOLエンジニアの仕事内容

プログラミングのイメージ

COBOLエンジニアとしての仕事内容は、主に以下のとおりです。

  • ソフトウェア開発
  • 保守・運用
  • 他システムとの連携

それぞれ解説します。

ソフトウェア開発

システムやソフトウェアの開発が、COBOLエンジニアの仕事のひとつです。金融関連の業界や官公庁などを中心に、COBOLを使って大規模なシステム開発を進めることがあります。

開発場面を進めるためには、COBOLだけでなくSQLなどの知識もあわせて必要です。SQLとは、データベースを管理するソフトウェアを操作したり制御したりするための言語を指します。

なお、COBOLを用いた開発案件は、近年減少傾向にあるのが現状です。一般的に、Webサービスのソフトウェア開発ではPHPやJavaScript、AIや機械学習ソフトウェアではPython、ゲーム開発ではC#やC++などのプログラミング言語が用いられています。

保守・運用

COBOLを使った保守・運用の仕事もあります。

保守とはトラブルが起きないようにあらかじめ対策を講じたり、トラブルが発生した際に修理・復旧したりする仕事です。運用とは、システムが安定的に稼働するように管理する仕事を指します。

たとえば、金融機関などの大規模システムで障害が発生した際に、原因を追求して対応することがCOBOLエンジニアの仕事のひとつです。また、システムが問題なく作動しているか確認することも、具体的な仕事内容として挙げられます。

他システムとの連携

他システムとの連携も、COBOLエンジニアの仕事です。連携するシステムの担当者とコミュニケーションを取り、COBOL言語を使ったシステムを連携させます。

また、COBOLを使った既存システムから、新たなシステムへ移行させることもCOBOLエンジニアの大切な仕事です。近年、古い言語であることなどを理由に、COBOL言語からJavaなどを使ったシステムへ切り替える企業が増えており、移行作業はCOBOLエンジニアの重要な業務になりつつあります。

なお、移行作業をスムーズに進めるためには、Javaを始めとする他言語の習得も欠かせません。

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COBOLの今後・将来性

COBOLエンジニアとして働き続けるイメージ

WebアプリケーションやAI開発に馴染まないため、今後COBOLの開発案件が増える見込みは少なく、将来性は決して高いとは言えません。

2019年には、情報処理推進機構(IPA)が国家試験「基本情報技術者試験」において、COBOLを出題範囲から削除して代わりにPythonを追加することを発表しました。

ただし、COBOLが将来性のまったくないプログラミング言語とも言い切れません。主な理由は、以下のとおりです。

  • COBOLエンジニアは減少する見込み
  • 一定の需要は今後も続く見込み

それぞれ解説します。

参考:独立行政法人 情報処理推進機構「プレス発表 基本情報技術者試験における出題を見直し」

COBOLエンジニアは減少する見込み

COBOLエンジニアは、今後減少することが見込まれています。なぜなら、COBOL開発者の高齢化が進む一方で、新人の育成は十分ではないためです。

現在のCOBOLエンジニアが年齢を理由に引退を決断したり、古いことを理由に若い世代がCOBOLを学ぼうとしなかったりすると、他のプログラミング言語を扱うエンジニアと比べて競争相手が減ります。競合が減れば、仕事を受注しやすくなるでしょう。

また、COBOLを扱う人材が貴重になればなるほど、COBOLエンジニアとしての収入アップも期待できます。

一定の需要は今後も続く見込み

将来性が高くないといえども、今後もCOBOLに対して一定の需要が続くと見込まれています。なぜなら、信頼性や安全性などを理由に、今も多くの企業や官公庁においてCOBOLで開発したシステムが使われているためです。

COBOLのシステムが完全になくならない限り、保守・運用業務でCOBOLエンジニアには仕事が生まれます。また、企業や官公庁が他のシステムへ移行する場合でも、移行業務を引き受けられるでしょう。

なお、他システムへの移行が進んでいくにつれて、COBOL案件が減少していく点には注意が必要です。

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COBOLエンジニアが需要を高める方法

「勉強・学習」をイメージした画像

COBOLエンジニアが需要を高める主な方法は、以下のとおりです。

  • マネジメントスキルを習得する
  • 他のプログラミング言語を学ぶ
  • 保守・運用のスキルを身につける

それぞれ解説します。

マネジメントスキルを習得する

マネジメントスキルを習得することで、COBOLエンジニアは需要を高められることがあります。なぜなら、マネジメントスキルを身につけていれば、上流の業務を任されたり、他の職種で活躍できたりするためです。

一般的に、マネジメントスキルとは、スケジュールやメンバーを管理できる力を指します。マネジメントスキルを磨くためには、日頃からスケジュール管理を徹底したり、部下・後輩に困っていることがないか確認したりすることが大切です。また、コミュニケーションスキルを身につけることも、マネジメントスキルの習得につながるでしょう。

なお、マネジメントスキルを身につけてプロジェクトマネージャーなどに就任すれば、収入アップも期待できます。

他のプログラミング言語を学ぶ

他のプログラミング言語を学ぶことも、COBOLエンジニアが自身の市場価値を高めることにつながります。なぜなら、他の言語の習得がCOBOLの移行作業の役に立つためです。

また、需要の高いプログラミング言語を習得しておけば、万が一COBOLの需要がなくなっても他のエンジニアに転向できます。需要の高いプログラミング言語は、AIやデータサイエンスに役立つPython、システム開発に用いられる機会の多いJavaなどです。需要の高い職種に転向した場合も、収入アップできる可能性があります。

なお、一度COBOLを身につけておけば、他のプログラミング言語の習得もスムーズです。

保守・運用のスキルを身につける

COBOLエンジニアとして引き続き活躍したいのであれば、保守・運用のスキルを身につけることが大切です。今後COBOL案件は開発ではなく、保守・運用が中心となる見込みのため、関連するスキルが欠かせません。

保守・運用のスキルを身につけるために必要なことは、COBOLを使ったシステムの知識を深めることです。また、データベースやOSについても理解しておけば、さまざまな案件に対応しやすくなります。

さらに、顧客や他の担当者とやり取りする機会も多いため、コミュニケーションスキルも磨きましょう。

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COBOLエンジニアの需要に関するよくある質問

ここでは、COBOLエンジニアの需要に関するよくある質問に答えていきます。

Q. フリーランスのCOBOLエンジニアとして働くために必要なスキルは何ですか?

フリーランスのCOBOLエンジニアとして働くには、プログラミングスキルやプロジェクト管理能力、コミュニケーションスキルなどが必要です。また、COBOLの専門性を高めるための継続的な勉強も必要です。

Q. COBOLエンジニアはどのような業務に携わることが多いですか?

COBOLエンジニアは、膨大なデータを処理するシステム開発や、既存システムの改修や保守に携わることが多いです。

Q. COBOLを使用するメリットやデメリットはありますか?

COBOLのメリットは、信頼性が高く、大規模システムやバッチ処理に向いていることです。デメリットは、構文が複雑で学習コストが高いことや、現代的な開発手法に対応しきれないことがあります。

Q. COBOLエンジニアが求められる業界はどのようなものがありますか?

主に金融機関、保険会社、公共機関、インフラ企業などの業界で需要があります。

Q. フリーランスのCOBOLエンジニアの年収はどの程度ですか?

フリーランスのCOBOLエンジニアの平均年収は600~700万程度です。

最後に

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