フロントエンドエンジニアに必要なスキルセット
フロントエンジニアはコーディングができて期待する動作だけを担保すればよい、というわけではありません。ユーザーに見える部分を取り扱うことから、デザインなどの見やすさやユーザーが行う操作にストレスを与えないための性能などを意識する必要もあります。
バックエンドエンジニアなどのほかのエンジニアと協力して実現すべき内容もありますが、フロントエンドで改善できることがあれば対応する姿勢を見せることで、顧客からの信頼も高まりやすくなります。
このようにフロントエンジニアは、できることを増やして業務の幅を広げるために、さまざまなスキルを身につける必要があります。
フロントエンドエンジニアに必要なスキルセットの一例としては、以下の7つが挙げられます。
- HTML・CSSのコーディングスキル
- JavaScriptのプログラミングスキル
- CMSのスキル
- SEOの知識
- UI/UX設計の知識
- サーバーサイド開発の知識
- コミュニケーションスキル
未経験者や経験が浅いエンジニアの場合は、まずはコーディングとプログラミングスキルから習得するのがおすすめです。
HTML・CSSのコーディングスキル
システムの画面を構成するHTMLとCSSのスキルはフロントエンジニアの作業でほぼ必須といってよいほど重要なスキルです。
HTMLやCSS自体のコーディングは記述ルールが簡単であり、計算のような複雑な処理ができないため、プログラミング初心者からでも取得しやすいでしょう。HTMLとCSSはWebサイト制作に必須となるため、フロントエンドエンジニアを目指す多くの人が最初に学習するスキルです。
標準のバージョンは時期により異なるため確認する必要がありますが、2021年時点での標準はHTML5、CSS3です。これらのバージョンを中心にスキルを習得していきましょう。案件によってはレガシーブラウザを利用しているために、過去のバージョンのものが使われていることがあります。標準以外の知識が必要となる場合もあるということを知っておき、バージョンによる違いをある程度理解しておくと安心です。
フロントエンドエンジニアとしてスキルアップしたい場合は、単純にコーディングするだけでなく、見やすいデザインにするためにはどうコーディングするか、運用しやすいコーディングの仕方は何かなどを学ぶ必要があります。
また、CSSにはBootstrap、Foundationといったフレームワークがあります。フレームワークは一定の機能を使いやすく提供するもので、利用することで効率的にシステム開発ができることから、フロントエンドエンジニアにも重宝されています。
JavaScriptのプログラミングスキル
JavaScriptでは、ブラウザ上の画面で動的な表現をすることができます。ボタンを押した後にポップアップ画面を表示したり、マウスカーソルを当てると文字色を変更したり、といった動作はJavaScriptで実現可能です。
JavaScriptは非同期通信による画面表示、APIを利用したGoogle Map連携など、システムのリッチコンテンツ化にも利用されます。そのため、JavaScriptもまた多くのWebサイトで利用されている傾向があり、フロントエンドエンジニアにとって重要な技術です。
処理を記述していくプログラミング言語のため、プログラミング未経験者にはHTMLやCSSよりも難易度が高いかもしれません。HTMLやCSSと併せて利用することで効力を発揮することから、セットで学習するとよいでしょう。
JavaScriptのコーディングを学ぶことも大切ですが、ライブラリやフレームワークの知識を深めることも重要です。JavaScriptのライブラリにはjQueryやReactなどがあります。フレームワークにはAngularJS、Vue.jsなどがあります。それぞれ特徴が違いますので、システムの要件によって使い分けることにより、システム開発効率を上げることが可能です。
フレームワークやライブラリを使えるというのは、転職においてアピールポイントとなる可能性もありますので、積極的に学ぶことをおすすめします。
CMSのスキル
HTMLやCSSを利用して一からWebサイトを開発することもありますが、CMS(コンテンツマネジメントシステム)というツールを利用して効率的にシステムを開発することがあります。CMSでは、HTMLやCSSなどといった画面を作成するための知識がなくてもWebサイトを構築することができ、企業などの大規模なサイトの開発に適しています。WordPressをはじめ、開発で使用されるCMSツールは何種類かあるため、それぞれの操作方法の理解も必要です。
CMSはコーディングができなくても運用可能なことから、フロントエンドエンジニアがいなくても画面のカスタマイズなどを行うことができます。ちょっとした修正や更新は顧客が行い、大規模なリニューアルやリプレースはフロントエンドエンジニアが担当する、といったケースも見られます。
すべてのシステムでHTMLやCSSを利用する必要がないかというと、そうではありません。PHPや、HTML・CSSでのコーディングによるカスタマイズも可能なことから、より自由度が高いカスタマイズを行う場合は、これらの知識も必要です。また、エンジニア職が運用を担当する場合なども、HTMLとCSSを利用するケースがありますので、両方のスキルを習得することでフロントエンジニアとして活躍の場は広がります。
SEOの知識
フロントエンドエンジニアにとってSEOは、システムの評価に関わることから重要な技術といえます。SEOとは、検索エンジン最適化とも呼ばれます。GoogleやYahooなどの検索サイトでページを上位に表示するためには、SEO対策が必要になります。
優れたデザインのシステムを開発したとしても、ユーザーに見られることがなければ価値が薄れてしまいます。サイトの露出度を増やし、外部からのユーザー流入を増やすためには、SEOの知識が必要です。適切なSEO対策を行うことで検索結果の上位にサイトが表示されようになり、ページのアクセス数を伸ばすことにつながります。
検索順位を上げるためにはキーワードを画面に散りばめる、特定の文言を繰り返し使用するなど検索ワードに引っかかるようにすればいいと思われがちですが、そうでもありません。検索エンジン側は表示されている文字だけではなく、h1やdivなどのHTMLタグの使い方や、ページの読み込み速度、被リンクなどさまざまな項目をチェックしています。
どのようなロジックで検索順位が決まっているのかについては完全に公開されている情報はないので、フロントエンドエンジニアは公開されている情報をもとに、試行錯誤してSEOの観点から見た品質を高めていく必要があるのです。
UI/UX設計の知識
UIとはユーザーインターフェースの略で、WebサイトのUIはページ上のコンテンツはもちろん、ボタン、メニュー、アイコンなどのことを指します。UXはユーザーエクスペリエンスの略で、UIの使いやすさを表す指標として用いられます。
UXの範囲はUIよりもさらに広く、UIを含めたすべての顧客体験を指しています。視認性や操作性を意味するUIというのは、UXに内包される要素のひとつになります。
たとえば、美しいデザインで構築した画面であっても、ユーザーが目的とするコンテンツになかなかたどり着けないページは、ユーザーにとって優れているとはいえないでしょう。このように、使い手にとって満足感を下げるような構成は、UXが良くないシステムであるといえます。ユーザー目線で使いやすいシステムを開発するためには、UI/UX設計の知識が重要です。
フロントエンドエンジニアがUIやUXに関する知識を身につけることで、実用的でユーザーにとって使いやすいWebサイトを構築するスキルが習得できます。また、UI/UX設計の優れたシステムは競合他社との差別化が図れたり、SEOの評価が上がったりする可能性がありますので、UI/UXを意識したシステム開発は大きなメリットを得られるのです。
サーバーサイド開発の知識
ユーザーが見えるブラウザ側で機能するフロントエンドに対し、ユーザーの目に見えないサーバー側で機能するのがサーバーサイドです。
フロントエンドエンジニアの作業範囲は案件によって異なりますが、基本的にはフロントエンドの開発を行い、サーバーサイドのコーディングはサーバーサイドエンジニアに担当してもらいます。サーバーサイドの作業は実施してもらうことから、フロントエンジニアにサーバーサイドの知識は不要と思われがちですが、そうではありません。
WebサービスやWebアプリケーションなどでは、フロントエンドとサーバーサイド間ではデータの受け渡しなどが行われます。フロントエンドとサーバーサイドの機能は密接に連携する傾向にあることから、サーバーサイドエンジニアとのコミュニケーションは頻繁に行われます。そのため、フロントエンドエンジニアにもサーバーサイドの知識が必要になります。
フロントエンドエンジニアがサーバーサイドの知識を持っていると、サーバーサイドエンジニアはもちろん、システムエンジニアなどの関係者と密接な連携を取ることができます。精度の高いコミュニケーションは、品質の高いフロントエンド開発に役立ちます。
サーバーサイドでは、PHP、Java、Perlといったサーバーサイド言語が使われています。CMSはPHPやPerlなどで構築されていることもあり、フロントエンドエンジニアに必要なスキルに関連する言語でもあります。基本的な記述方法やコードリーディングができるようにすると、仕事の幅が広がり、キャリアアップにつながりやすくなります。
コミュニケーションスキル
プログラミングスキル以外のコミュニケーションスキルも、よいフロントエンジニアであるためには必要なスキルといえます。その理由としては、社内や社外でコミュニケーションが発生することが挙げられます。
基本的に業務で行うシステム開発は、チームでの作業となります。担当する作業を分担しながら進めていくことから、コミュニケーションを取る機会は自然と発生します。メンバーが増えた際などでは作業の引き継ぎが行われることもあります。スムーズに説明ができるコミュニケーションスキルというのもフロントエンドエンジニアには求められます。
優れたデザインのWebサイトを作ることも重要ですが、それだけでは顧客の信頼を得るのに不十分なことがあります。システム開発では何よりも顧客の要望に合わせたシステムを開発するということが重要です。顧客がどのようなシステムを要望しているのかを聞き出して提案するためのコミュニケーションスキルはとても重要なスキルのひとつといえます。
コミュニケーション力に自信がないという人は、業務に関係ない雑談などを織り交ぜることから始めてみるとよいでしょう。関係者とは何気ない会話だったとしても、徐々に関係性が深まることで業務でもよりよいコミュニケーションが取れることもあります。
フロントエンドエンジニアがスキルアップするには
フロントエンドエンジニアに必要なスキルは多岐にわたります。これらのスキルを習得するためには、効率のよい学習方法を選択する必要があります。フロントエンジニアがスキルアップするための勉強方法例を2つご紹介します。
- 本やWebサイトを利用して独学する
- プログラミングスクールで勉強する
どの学習方法が自身に合っているかは、個人差によるでしょう。たとえば、自宅からの交通の便が悪い人がスクールに通って学習するのは移動時間のロスが大きくなりますし、自身のペースで進めたいという人に講義スタイルの学習は負荷になる可能性があります。このようにマッチしない学習方法を選択すると効率が下がってしまうでしょう。さまざまなスキルアップの方法を理解し、その中で自身に合っている学習方法を選択することが重要になります。
それぞれの勉強法には異なるメリットがあるため、時間がある場合には複数の学習方法を試してみるのも有効です。
本やWebサイトを利用して独学する
教材を利用して独学する勉強方法には、自身のペースで学習できる点がメリットとして挙げられます。まとまった時間が取りづらく、空き時間が少ないという人向けの学習方法です。
移動時間に繰り返し復習しやすいこともあり、通勤時間中にできる勉強方法でもあります。教材を利用する場合は情報が古い場合もありますので、信頼性の高いサイトや最新バージョンの参考書を利用するようにしましょう。
Webサイトでの学習は、Web上にある情報を読みながら覚えるもの、実際に手を動かしながら学習するものなどさまざまです。書籍も、参考書のように読んで学習するものや、資格取得向けの本では過去問題などの問題を解くことで学習できるものなどが多く出版されています。本やWebサイトを利用して独学する場合、自分の興味やレベルに合わせて選びやすいのもメリットです。
独学はモチベーションの管理が難しい勉強方法のため、適切な教材を選択するようにした方がよいです。具体的には、未経験者の場合は最初に難しい教材を選択しないようにするなど、自身のレベルに合わせることが大切です。
ただし、分からない問題にぶつかった場合に挫折してしまう可能性もあります。教えてくれる人がいないのは実際の業務でもぶつかる問題のため、慣れておいた方がよいのですが、自己学習するにあたっては挫折のきっかけともなり得ます。メンターや実務経験者など、困ったときに質問できる人を探しておくとよいでしょう。
プログラミングスクールで勉強する
スクールでは、事前に公開されているテーマをもとにして講師と1対1で学習する形式や、複数人のグループで学習する形式があります。移動時間を省きたいという人はオンラインで受講できるスクールを探すとよいでしょう。
プログラミングスクールを利用した勉強のメリットとしては、分からないことを講師に確認できることが挙げられます。実際にプログラミングをしているとエラーの解決で分からないまま挫折してしまう可能性があります。プロである講師がサポートしてくれることから、問題を解決できずに挫折してしまう可能性は低くなるので、モチベーションの面で不安がある人にもおすすめの学習方法です。
また、独学では習得しにくい実際の業務向けの技術や手法を効率よく学ぶことができるという点も挙げられます。講師が元エンジニア職の場合は、今学んでいる技術が実際の業務ではこのように利用される、といった実践向けのプログラミング情報を得ることができます。
また、自己学習するときのプログラミングとは異なる視点で勉強を進められます。独学ではほとんど自分しか自作のコードを読まないため、可読性にあまり意識が向かないでしょう。しかし、業務では複数人が同じコードを読むので、より可読性が重視される傾向があります。スクールでは自分が書いたコードをほかの受講者や講師が読むこともあるので、可読性を意識づける効果もあります。
スクールの形式は多種多様なため、「学びたい技術を学べるか」「コースの難易度は適切か」などの点を比較して選択しましょう。
最後に
簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!
※相場算出に個人情報の取得はおこないません。