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フロントエンドエンジニアの年収
残念ながらフロントエンドエンジニア、つまりWebやアプリでユーザーが直接目にする部分を開発者に特化した年収データはありません。そこで、プログラマーやシステムエンジニアを含めた年収を参考に解説します。
経産省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、SE・プログラマーの平均年収は593.7万円でした。ただし、高スキルのエンジニアの平均年収は1000万円程度を超えています。スキルレベルに応じて年収相場が変動しやすい職種といえるでしょう。
なお、日本における給与所得者の平均年収は436万円(国税庁「民間給与実態統計調査結果」)です。他業種と比較して、フロントエンドエンジニアを含むITエンジニアの平均年収は高めと考えられます。ただし平均年収は、以下の要素で大きく変わります。
- 年代
- 勤務形態
- 転職の有無
上記の要素別にフロントエンドエンジニアの年収の実態をより詳しく解説していきます。なお、フロントエンドエンジニア以外のITエンジニアの平均年収と給料事情について詳しく知りたいなら、以下の記事をご覧ください。
ITエンジニアの平均年収と給料事情|年収1000万円を目指すには?
参照:
経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017年)
国税庁「民間給与実態統計調査結果」(2019年)
【年代別】フロントエンドエンジニア平均年収
20代から40代までの平均年収を個別に解説していきます。なお、年齢別に平均年収を見る際の注意点として経験年数があげられます。経験年数と個人の能力が同じであれば、20代の人と30代の人が同じ年収になることもあると理解したうえで参考にしてください。
20代
経産省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、日本のIT人材における20代の平均年収は、413万円でした。
日本全体における給与所得者の平均年収436万円を下回るため、「低い」と感じるかもしれません。しかし、国税庁の調査対象の平均年齢は46.7歳です。
20代には新卒や他業種からの転職者など、ITスキルが比較的低い未経験者が含まれやすい特徴があります。同年代で比較すれば413万円というのは高い給与水準といえるでしょう。
フロントエンドエンジニアに限らずIT技術職は、未経験者やスキルレベルが低い人の年収が上がりにくい傾向があります。そのため、20代で年収が低い場合でも、以下のフロントエンドエンジニアに必要なスキルを磨けば、年収アップを目指せます。
- HTML
- CSS
- JavaScript
若いうちはスキルの習得を徹底して、年収の高いフロントエンドエンジニアになれるキャリアをスタートさせると良いでしょう。
30代
経産省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、30代のIT人材の平均年収は526万円でした。
日本の給与所得者における平均年収は436万円なので、比較的高い平均年収です。また、同調査における20代の平均年収413万円よりも上回る結果となりました。
30代になると、20代に比べて経験年数を重ねてスキルアップしたIT人材が増えてくるため、年収が上がりやすい傾向にあります。業務範囲が広がれば、スキルに応じた上流工程の働きが出来るようになる点でも、年収アップにつながっていると考えられるでしょう。
ただし、30代で異業界から未経験で転職する場合は即戦力となるのが難しく、30代でも低めの年収になってしまうでしょう。ただし、管理職やマネジメントの経験から評価を高められれば、年収アップも期待できます。
40代
経産省の「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」によると、40代のIT人材の平均年収は646万円でした。同調査における30代のIT人材の平均年収526万円を上回っています。
40代のIT人材は、20代で新卒からIT業界に在籍していた場合、20年のキャリアを重ねています。プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーなど、全体の管理を担当する役職手当で40代の年収アップにつながっているといえるでしょう。
参照:経済産業省「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」
転職・中途採用のフロントエンドエンジニア平均年収
厚労省の「賃金構造基本統計調査」(2019年分)によると、経験年数0年のシステムエンジニアの月給は約25.8万円、年間賞与などは19.2万円でした。したがって、約328万円が平均年収の目安となります。
転職してフロントエンドエンジニアになった場合の年収は、経験やスキルによってバラつきが出ます。前職のエンジニア経験や管理経験を活かせれば、IT業界未経験やノンスキルの人よりも高い年収が期待できるでしょう。
フロントエンドエンジニアへの転職を成功させるポイントは、事前準備の徹底です。具体的には、以下3つが重要です。
- 転職活動前に自身がやりたいことを把握する
- ポートフォリオを制作する
- 求人に応募する企業の情報を集めておく
転職先の会社が開発するサービスやアプリなどを知ることはもちろん、自分が興味を持って続けられそうかも考えてください。
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」
【雇用形態別】フロントエンドエンジニア平均年収
フロントエンジニアの年収は、年齢以外にも雇用形態によって差が出ます。そこで、正社員やフリーランス、派遣社員別にフロントエンドエンジニアの年収を解説していきます。
正社員での年収目安
正社員として働くフロントエンドエンジニアの年収目安として、正社員のプログラマーやシステムエンジニアの平均年収を紹介します。
厚労省の「賃金構造基本統計調査」(2019年分)のデータから、企業規模10名以上の企業で働くシステムエンジニアの平均年収は約568.9万円です。
なお、正社員に特有のメリットとしては、雇用の安定性の高さがあげられます。仕事が少ない時期があっても、一定の給料は保障されます。
正社員の注意点は、景気や企業の経営状況によって、年収が左右される可能性があることです。上場企業に勤めていたり、自身が所属企業に貢献したりしていても、企業自体の業績が悪ければ、給料が下がってしまう場合もあります。
正社員のフロントエンドエンジニアとして年収アップを図るなら、チームのリーダー的な役割を獲得することです。チームメンバーを取りまとめるコミュニケーション能力なども要求されるので、意識して身につけるようにしてください。
参照:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(2019年)」
フリーランスでの年収目安
フリーランスのフロントエンドエンジニアの平均年収の目安として、レバテックフリーランスに掲載しているフロントエンドエンジニア案件の月額単価を紹介します。
レバテックフリーランスに掲載中のフロントエンドエンジニア案件の平均月額単価は、72万円です(2022年12月時点)。12ヶ月分に換算すると、平均年収は864万円になりますになります。
ただし、レバテックフリーランスの案件をもとに算出した金額であり、フリーランスのフロントエンドエンジニア全体の平均年収を示したものではありませんので、ご留意ください。
ちなみにレバテックフリーランスにおける最高月額単価は145万円(2022年12月時点)です。平均月額単価と同様に12ヶ月分を年収とすると1740万円。実力次第でフリーランスのフロントエンドエンジニアは年収1000万円を十分狙えるでしょう。
フロントエンドエンジニアの求人・案件一覧
フリーランス特有のメリットは、企業と雇用契約を結ばないため、働き方を自由に選択しやすいことです。クライアント先との契約時に希望条件を指定でき、得意な業務の獲得も可能です。
注意点として、案件が受注できないと無収入になる、案件や交渉の仕方によって年収が増減しやすいことが挙げられます。
フリーランスのフロントエンジニアとして年収アップを図るなら、高額の案件を獲得するのが方法の一つです。高単価の案件は求められる経験年数やスキルレベルも高くなる傾向にあるため、コツコツと成果を上げつつ需要の高いスキルの習得もしてください。
派遣社員での年収目安
厚労省の「労働者派遣事業報告書の集計結果」(2018年度)によると、情報処理・通信技術者の1日8時間当たりの平均賃金は3万389円でした。月に20日稼働した場合、年収は約608万円となります。なお、上記は有期雇用派遣労働者と無期雇用派遣労働者を合わせて算出した金額です。
派遣社員として働くメリットとして、希望条件やライフスタイルに合わせた柔軟な働き方がしやすいことが挙げられます。
注意点としては、契約満了にともなう「派遣切り」のリスクがあることです。派遣先の企業に貢献していたとしても、派遣先企業の業績によっては、派遣社員が人件費削減の対象になる可能性もあるため、正社員に比べると雇用の安定性が低いといえます。
なお、派遣期間を経て本人と派遣先企業の両者の合意のもと正社員になる「紹介予定派遣」という働き方もあります。紹介予定派遣で確実に正社員になれるわけではありませんが、未経験でITエンジニアを目指す方は検討してみても良いでしょう。
フリーランスの年収平均について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスの年収は平均いくら?年収1000万円以上の割合とは
参照:厚生労働省「平成30年度労働者派遣事業報告書の集計結果(労働者派遣事業・都道府県別)」
フロントエンドエンジニアが年収アップする方法
年収をアップさせるには、スキルを磨くだけでなくアピールなども必要になってきます。フロントエンドエンジニアが年収をアップさせる方法を詳しく紹介していきます。
知識やスキルを磨いて専門性を高める
フロントエンドエンジニアが年収をアップさせる方法の1つに、知識やスキルを磨いて専門性を高めることが挙げられます。
フロントエンドエンジニアにとって基礎ともいえるHTMLやCSS、JavaScript、PHPはもちろん、多数の言語を扱う能力や関連技術に関する情報を収集し、新しい技術に対応していくのも大切です。
また、Webサイトのデザインやコーディング、ディレクションなど、一人で広い業務範囲を扱えるようになれば、市場価値も高まり、年収アップにつながるでしょう。
スキルをアピールできるポートフォリオを作成する
年収をアップさせるには、ポートフォリオを作成してフロントエンドエンジニアとしてのスキルをアピールするのがおすすめです。
ポートフォリオとは、自分がこれまで手掛けた仕事や趣味で作成した作品などを見やすくまとめた一覧表のようなものです。転職の際やフリーランスが案件を獲得する際に、企業やクライアントに具体的な仕事例を知ってもらうために用います。
フロントエンドエンジニアの場合、資格や職歴よりも実際のスキルをチェックできるポートフォリオが好まれる傾向があります。ポートフォリオにできるような仕事がない場合は、ポートフォリオ用になにか作成するのも良いでしょう。
給料の高い企業への転職やフリーランスとして独立する選択肢も視野に入れる
給料の高い企業に転職したり、フリーランスとして独立したりすることで、今よりも給料アップが見込めます。ただし新しい環境で活躍できるだけのスキルが必要です。
フリーランスとして独立する場合は、独立後に案件を獲得できるかどうか見極めるためにも、会社員のうちに副業をしてみるのがおすすめです。もっとも、会社が禁止している場合もあるので、所属する会社の就業規則を確認したうえで行うようにしましょう。
年収1000万円を目指すにはスキルアップが大切
国税庁の「民間給与実態統計調査 業種別の給与階級別構成割合」(2019年分)によると、情報通信業で800万円以上の給与所得の割合は19.3%でした。業種全体でみても、年収1000万以上は5%以下と非常に少ないのが現状です。
フロントエンジニアで年収1000万円を稼げるのは、スキルの高い一部の人だと考えられるでしょう。
フロントエンドエンジニアが1000万円の年収を得る方法として、フリーランスの高単価案件の受注があります。フリーランス案件は、実務経験が一定年数以上ありスキルの高い人であれば、企業で働いていたときの収入を上回るような高単価の案件を狙えます。
たとえば月単価が85万円の案件を12ヶ月間受注できれば、年収は1020万円(税金や保険料を差し引く前の金額)になるでしょう。
年収1000万円を狙うのであれば、企業でフロントエンド開発経験をできるだけ多く積みつつ扱える言語やツール、フレームワークなどを増やしてください。
参照:国税庁「民間給与実態統計調査 業種別の給与階級別構成割合(2019年)」
未経験でフロントエンドエンジニアになるなら資格取得
未経験でフロントエンドエンジニアを目指す場合、どのようなスキルが必要かを知って磨いていくのが大切です。具体的には、HTML5やCSS3でのコーディングスキルやJavaScriptでのフレームワークやライブラリを扱えるスキルが必要です。
また、資格を取得するとスキルを対外的に証明できます。フロントエンドエンジニアの仕事に役立つ資格は以下のとおりです。
- Webクリエイター能力認定試験
- HTML5プロフェッショナル認定試験
- CIW JavaScript Specialist
- Ruby技術者認定試験
書籍やWebを活用での独学も可能ですが、完全に未経験で知識のない状態からでは身につくまでに時間がかかってしまいます。そのため、スクールやWebで実施されるe-ラーニングなど、プロによる効率的なレッスンを受けるのがおすすめです。
バックエンドエンジニアの平均年収
フロントエンドエンジニアと比較されやすく、キャリアチェンジもしやすいバックエンドエンジニアの平均年収について解説します。
フロントエンドエンジニアがユーザーから見える部分を構築するのに対してバックエンドエンジニアは、システム基盤の構築やデータベースの構築、データの操作など、ユーザーが直接触れることのない部分を担当します。
レバテックフリーランスにおけるサーバーサイド開発案件の平均月額単価は、75万円です(2021年12月時点)。12ヶ月分換算の平均年収は900万円になります。フロントエンドエンジニアの金額とほぼ同額です。
このようにフロントエンドエンジニアとバックエンドエンジニアの年収に大きな差異はないと考えられます。フロントエンドエンジニアの業務を兼任するバックエンドエンジニアになれば、仕事領域が広いため年収アップの可能性が高まるでしょう。
フロントエンドエンジニアの今後の需要
フロントエンドエンジニアの需要は、今後すぐになくなる心配はないといっても良いでしょう。
昨今のIT技術は、企業はもちろん個人にとって身近な存在になってきています。特に、スマートフォンを所持している人は年々増加傾向にありますが、スマートフォンを含むモバイル端末での画面表示も、フロントエンドエンジニアの作業範囲になります。
モバイル端末に関わるシステム開発の求人募集が数多く見受けられるのは、スマートフォンなどの通信端末機器の所持率が向上していることも要因だと考えられるでしょう。
また、既存システムのメンテナンスは、企業やサービスがある限り続いていきます。既存のシステムに加えて、企業を成長させるための新規のシステムを開発することもあるでしょう。
フロントエンドエンジニアの需要はまだまだ多く、今後も減りにくいと予想できます。フロントエンドエンジニアは、Web開発が進歩してきたことにより生まれた比較的新しい職種といえますが、今後新しい技術が生まれれば将来性もさらに期待できるでしょう。
フロントエンドエンジニアのキャリアパス
フロントエンドエンジニアは、キャリアパスの選択肢も広い職種です。Webデザイナーやコーダー、Webディレクター、バックエンドエンジニアといったさまざまな職種とやり取りをしながら、Webサイトを制作するためです。
代表的なフロントエンドエンジニアのキャリアパスを2つ解説していきます。
バックエンドエンジニア
データベースやサーバー周りの知識などを身につければ、バックエンドエンジニアと兼任するキャリアパスが開かれます。フロントエンドとバックエンドを両方経験することで、ユーザー側とシステム側の両方に配慮した開発を行えるようになり、幅広い開発現場から重宝されるでしょう。
バックエンドエンジニアについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
バックエンドエンジニアとは?未経験から目指すステップや必要なスキルも解説
Webディレクター
システム自体の仕様を決める立場として、Webディレクターになるキャリアパスもあります。Webディレクターは、Web制作・運営の責任者のため業務の難易度は高くなります。しかし、自分でシステムの仕様などを決められるので、結果がダイレクトに反映されるやりがいのある職種といえるでしょう。
コーディングやテストといった下流工程は、フロントエンドエンジニアよりも少なくなるので、現場作業よりもマネジメントの得意な人に向いています。Webディレクターについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
Webディレクターがフリーランスになるには?案件獲得の方法も解説
フロントエンドエンジニアの案件例
「AWS」「GCP」などのクラウドサービスや「Vue.js」「React」といったよく使われるライブラリ・フレームワークが代表的な案件です。開発経験があれば、収入アップにつながるでしょう。
フロントエンドエンジニアの求人・案件一覧
なお、設計業務が含まれる求人では、給与が高くなる傾向にあります。システム開発の設計工程では、実際に開発を担当していないと詳細な設計書を作るのが難しいため、実務経験のある中級者以上が行うためです。
一方で、プログラミングやテストなどの工程は、作業によっては難易度が低く、未経験者でも始められる場合もあります。その分、提示される年収が低くなる可能性があるでしょう。
フロントエンドエンジニアへの転職前に年収相場を知ることが大切
フロントエンジニアの年収は、経験やスキルによって差があるため、転職前に事前に年収相場を知っておくのがおすすめです。未経験からの転職だけでなく、経験者が転職を行う際にも、年収は転職先を判断する一つの判断材料になるでしょう。
今よりも収入アップを考えている場合は、高いスキルを身につけることで、高単価の案件を獲得できたり、高収入を得られる企業へ転職できたりする可能性があります。
未経験や経験の少ない人の場合は、まず実務経験を積むために、単価の低い案件を受注したり、年収にこだわらず企業へ就職したりするのも手です。スキルと実務経験がある程度蓄積したら、転職やフリーランスへの転身して、年収を上げていきましょう。
※本記事は2022年12月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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※相場算出に個人情報の取得はおこないません。