COBOLエンジニアの求人案件の動向|需要や将来性、転職に必要なスキルは? | レバテックフリーランス
COBOLエンジニアの求人案件の動向|需要や将来性、転職に必要なスキルは?
COBOLエンジニアを募集する求人・案件の数は、Javaなどの言語と比べると少ないものの、COBOLを扱える人材は転職市場における希少価値が高いと言われています。この記事では、COBOLエンジニアの仕事内容や需要のある開発分野、平均年収、転職に必要なスキル、将来性などを解説します。
なお、他にもさまざまなエンジニアの種類について知りたい方は「エンジニアの種類」の記事も併せてご覧ください。
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目次
COBOLとは?
COBOLエンジニアの仕事内容
COBOLエンジニアの求人案件
COBOLエンジニアの年収
COBOLエンジニアへの転職に必要なスキル
COBOLエンジニアの需要
COBOLの将来性
COBOLエンジニアに関するよくある質問
COBOLとは?
COBOLは1959年にアメリカで開発された、事務処理に特化したプログラミング言語です。半世紀以上の歴史があるにもかかわらず、以下のような特徴から、いまだに世界各国の大規模な基幹システムなどで利用されています。
- 英語と似た構文で未経験者でも比較的学習しやすい
- 膨大なデータの書き込みや並列処理などの高速処理が可能
- 可読性が高いため、実用性と保守性に優れている
- 10進数の桁数定義など計算処理の性能が高い
- 古い規格の互換性を保てるため、ライフサイクルの長いシステムに適している
COBOLはもともと、汎用機やメインフレームと呼ばれる、独自のOSやアプリケーションなどが搭載された大型コンピューターで利用されていたプログラミング言語です。現在のシステム開発は、特定のハードウェアやソフトウェアに依存しないオープンシステムが主流であるため、COBOLには大きく分けて次の2種類があります。
- 汎用COBOL : 汎用機で稼働するIBM COBOL、日立COBOLなど
- オープンCOBOL : マルチプラットフォームで稼働するUNIX COBOL、NetCOBOLなど
関連記事 :Javaプログラマーの仕事内容|未経験から仕事で使えるレベルになるには
COBOLエンジニアの仕事内容
COBOLエンジニアの活躍の場は、金融、製造業、流通業、自治体といった公的機関の基幹システムの開発現場が中心となり、仕事内容の例としては主に次の3つがあります。どの仕事も業務知識のある人が歓迎されるでしょう。
既存システムの機能追加・改修
制度改正や商品の変更などに伴う既存システムの機能追加・改修では、要件定義から基本設計、詳細設計、開発、テスト、保守まで一連の業務を担当することがあります。要件定義を担当できる人材を求める企業は多いため、顧客との折衝経験や、チームリーダー、プロジェクトマネージャーの経験があると選考で有利になるでしょう。
また、汎用機の開発現場では、IBMや日立などの汎用機の使用経験、PL/1やJCL、RPGといった汎用系の言語の知識がある人が求められる傾向にあります。
オープンシステムへの移行
汎用機の維持にはコストがかかるため、近年ではオープンシステムに移行する開発案件も増えています。こうした業務では、COBOLの資産を残しつつUnixやLinuxなどのマルチプラットフォームの環境に移行します。一部のバッチ処理、もしくは全ての言語を汎用性の高いJavaなどに置き換える開発現場も少なくありません。
このような開発現場では、Unix系OSの知識、JavaやJavaの開発フレームワークの使用経験などが求められます。
テスト・ユーザー支援
案件数はそれほど多くありませんが、機能改修や移行に伴うシステムテストや結合テスト、利用者の立場でテスト計画や検証などを行うユーザー支援業務といった仕事もあります。
いずれの案件でも、テスト計画の作成・実行、検証作業の実務経験がある人は歓迎されるでしょう。
関連記事 :DXエンジニアとは|DX人材に求められるスキルやおすすめの資格
COBOLエンジニアの求人案件
2021年1月時点で、レバテックフリーランスに掲載されているCOBOLの求人・案件数は88件です。一方、たとえば需要の高いJavaの求人・案件は2,800件近くに上っています。COBOL案件は新規開発の需要がほとんどないため、このように数が限られているのです。
COBOLの求人・案件一覧
月額単価は60万円台の案件が多く、クライアントは銀行や損害保険会社、クレジットカード会社など金融業界が目立ちます。相場より高い案件には上流工程から携わるものが多く、既存システムの改修、汎用機からオープンシステムやJavaに移行するプロジェクトが大半を占めます。ほとんどの案件で3年以上のCOBOLの開発経験を必要としており、以下のような付随スキルを求めるケースが多いでしょう。
- 汎用機の使用経験や知識
- Javaの使用経験
- OracleやSQLなどDBの知識
- Unix・Linuxの使用経験や知識
- シェルの使用経験や知識
- 顧客との折衝経験
- リーダー経験
一方、相場より月額単価が低い案件では既存システムの改修やテストが中心となり、上流工程から携わる仕事はあまりありません。求められるスキルはCOBOLの開発経験や業務知識、テストの仕様書・設計書の作成経験程度なものも多く、汎用機やUnix、DBの知識・スキルなどを求める案件は少なくなっています。
関連記事 : Shellの仕事|求人案件の概況や初心者の勉強法、シェルスクリプトを解説
COBOLエンジニアの年収
COBOLエンジニアの年収の目安は、レバテックフリーランスに掲載中の案件の平均月額単価から推算できます。2021年1月時点でレバテックフリーランスに掲載されているCOBOLの求人・案件の平均月額単価は61万円です。この単価で12ヶ月間稼働した場合を想定すると、COBOLエンジニアの平均年収は732万円となります。
しかし、フリーランスのCOBOLエンジニアになれば必ずこの年収を実現できるというわけではありません。相場より高い年収を得るには、汎用機の知識や、Unix系OS、DB、上流工程の実務経験などが必要になります。COBOLの実務経験がある人でも、単にCOBOLのスキルを持つだけでは相場より高い年収を実現するのは難しいでしょう。
また、エンジニアとしての経験が浅いうちは、平均よりも年収が低くなると言えます。未経験から転職した人が平均年収以上を目指すには、基本的に少なくとも数年はかかるでしょう。
関連記事 : Javaエンジニアの年収|未経験から転職して高収入を目指すには
COBOLエンジニアへの転職に必要なスキル
多くの求人では、COBOLの開発経験と、開発する基幹システムの業務知識を持つことを応募条件としています。この条件に加え、持っていると転職の際に有利になる可能性があるスキルを2つ紹介しましょう。
上流工程の経験
制度改正や商品の変更などにあたり、既存システムの画面変更や機能追加などの改修作業を行います。そのため、要件定義やシステム設計といった上流工程の経験がある人は、転職市場で歓迎されるでしょう。また、COBOL案件には大規模な開発案件が多いためか、プロジェクトマネージャーやリーダーとしての経験、もしくは将来的にそれらを目指す人を求める求人が少なくありません。
Javaのスキル・経験
オープンシステムへの移行プロジェクトでは、COBOLからJavaに完全移行する、あるいはCOBOLの機能を一部Javaに置き換えるというケースが多く、Javaの使用経験がある人を求める傾向にあります。Javaは大規模な基幹システムからWebシステムのサーバーサイド、Androidアプリの開発など、さまざまな開発現場で使われる言語なので、身につけておいて損はないでしょう。
関連記事 : Javaの勉強方法|独学で入門するための学習のコツとステップアップの流れ
COBOLエンジニアの需要
独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「ソフトウェア開発分析データ集2020」によると、2018年度にソフトウェア開発プロダクトで使われたプログラミング言語のうち、COBOLの利用比率は15.3%でした。COBOLはJavaに続き、2番目に利用比率が高いプログラミング言語となっています。
参照 : 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ソフトウェア開発分析データ集2020」
また、レバテックフリーランスの新規案件割合の動向を確認すると、2019年度のCOBOLの案件数は、2018年度と比べて1%弱増加しています。
参照 : 【2020年7月発表】プログラミング言語別求人案件ランキング
古いプログラミング言語にもかかわらずCOBOLの需要がある理由は、企業経営の根幹となる大規模な基幹システムで使われることが多いためです。
また、汎用機からオープンシステムに移行する動きが加速していますが、基幹システムの刷新は、場合によっては数十億円もの多大なコストを必要とします。さらに、COBOLを使用する金融機関や流通業、製造業などの基幹システムは24時間365日稼働しているものが多く、障害やトラブルが起きたときの影響は計り知れません。
このように、移行に伴うコストとリスクの面から二の足を踏む企業も多く、近年クラウドやアジャイル開発に対応したCOBOLの開発環境を提供するソリューションが増えています。そのため、COBOLエンジニアの需要はしばらく続くと考えてよいでしょう。
関連記事 : Scalaの仕事内容とは?求人案件数や将来性、入門方法などを紹介
COBOLの将来性
COBOLの開発案件は、長い目で見ると減る可能性が高いでしょう。現役COBOLエンジニアの多くは40代~60代のベテランであるにもかかわらず、大学などの教育機関で初心者が学べるCOBOLの講座はほとんどないためです。さらに、現在はオープンシステムやWeb系システムで稼働する開発言語が主流となっています。こうした背景から、未経験からCOBOLを学ぼうとする人はあまりいません。
また、経済産業省が2018年に発表したDXレポートによると、レガシーシステムと呼ばれる古いシステムを使い続けると、2025年以降に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされています。
参考 : 経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」
COBOLが稼働する汎用機はレガシーシステムの一種で、すでに多くのメーカーが製造を終了しています。そのため、汎用機を使いこなせる人材の高齢化が進み、運用保守ができる人材不足や高い維持コストといった問題を抱えているのです。人材不足解消やコスト削減のため、汎用機からオープンシステムへの移行と、開発言語のCOBOLからJavaへの移行も加速しています。
COBOL案件は将来的には先細りとなる可能性が高いので、これからCOBOLを学ぶ人はJavaのように汎用性が高い言語も一緒に学習しておくとよいでしょう。
関連記事 : Pythonの勉強法|初心者の入門におすすめの学習方法とは?
COBOLエンジニアに関するよくある質問
最後に、COBOLエンジニアの仕事に関してよくある疑問にお答えします。
Q. COBOLエンジニアにはどんな求人案件がありますか?
A. COBOLエンジニアの求人・案件は、金融、製造業、流通業、公的機関をはじめとする、既存の基幹システムの改修や機能追加などが中心となります。現在は汎用機を刷新する動きも加速しているため、オープンシステムやJavaなどへのマイグレーションに対応できる人材を求める企業が増えています。
Q. COBOLエンジニアに転職するにはどんなスキルが必要ですか?
A. ほとんどの企業は、COBOLの開発経験と業務知識を求めています。要件定義から携わる開発案件は多いので、顧客との折衝経験がある人は転職市場で歓迎されるでしょう。また、正社員求人ではチームリーダーやプロジェクトマネージャーを求める企業も多く、マネジメント経験のある人は選考で有利になる可能性が高いと考えられます。
フリーランス案件では、UnixやDB、シェルの利用経験などがある人は高単価案件を狙いやすいでしょう。
Q. COBOLエンジニアの需要はどのくらいありますか?
A. 2021年1月時点でレバテックフリーランスに公開中のCOBOL案件は88件と、JavaやPHPなどの汎用性の高い開発言語と比べて数が限られています。しかし、COBOLは保守性と可読性に優れた言語であることや、大規模な基幹システムの移行には高額なコストがかかりリスクも高いことから、しばらくは需要があると考えてよいでしょう。
関連記事 : PHPエンジニアとは|未経験からなることは可能?仕事内容や転職方法を解説
最後に
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