開業の準備、開業届の出し方、個人事業税の算出方法について
個人事業主の業種

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独立・開業するには、事業計画書の作成や資金の調達など、さまざまな準備が必要です。当コラムでは、「今勤めている企業を退職して開業したい」と考えている方に向け、開業にあたって決めておきたいことや、知っておきたいことを解説します。

また、独立のメリット・デメリットについてもまとめていますので、独立が自分に合った働き方なのかどうか、今一度検討してみるのも良いでしょう。

引っ越しをした際、役所などで転居に関する手続きをしなければなりませんが、青色申告をしている個人事業主の場合は、その他にも必要な手続きがあります。転居の予定がある方は、あらかじめ確認しておきましょう。


◆この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士 小池 康晴氏
IT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。
あおば会計事務所

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0. 目次

1. 開業するにあたって決めておきたいこと
2. 独立するメリットとデメリット
3. 開業の基礎知識
4. 個人事業税について
5. 独立・開業の決断は慎重に

1. 開業するにあたって決めておきたいこと

開業する業種はどうするか

開業をするなら、まずは「何をどのようにやりたいのか」を明確にすることが大切です。
以下では、起業のイメージがしやすい「小売業」「飲食業」「サービス業」をの3つの業種についてご紹介していきますので、自分が何をやりたいのか考えてみましょう。

小売業

物を仕入れて販売するのが小売業です。食料品販売、衣料品販売、雑貨販売などがこれに該当します。大型スーパーが増えたことにより、八百屋、魚屋などの小売店は減少傾向にありますが、反対に独自性のある小売店が出現しています。例としては、「有機栽培の食料品店」「海外輸入雑貨店」などが挙げられるでしょう。
 
個人経営で小売業を行うなら、他店との差別化を図り「お客様にとっての唯一」にならなければなりません。価格だけでは、一度に大量仕入れを行う大手に負けてしまうからです。また、顧客のニーズの変化を汲み取り柔軟に対応していくことも、お店を長く続けていくためには必要不可欠だと言えます。

飲食業

レストランやカフェ、居酒屋などの経営を行う場合は飲食業となります。調理者として働いてきた人はもちろん、他業種から始める方も少なくない人気の業種です。しかし一方で、廃業率の高い業種とも言われています。
 
客観的なデータとして、「中小企業白書 2017年版」を見てみると、2015年度の全体の開業率は5.2%、廃業率は3.8%であるのに対し、飲食業は開業率9.7%、廃業率6.4%と、開業率も廃業率も高くなっていることが分かります。

飲食業も、小売業と同様、大手チェーンと価格競争を行うのは難しいので、オリジナリティのあるメニューや接客など、個人店ならではの強みを活かしていくことが求められるでしょう。

参照元:中小企業庁「中小企業白書 2017年版」

サービス業

サービス業は、物ではなく技術やサービスを提供する業種です。たとえば、税理士事務所や弁護士事務所、ヘアサロン、学習塾などが挙げられるでしょう。IT化が進む現在では、プログラマーやSEなどが、会社勤めを辞めて独立するケースも見られます。
 
サービス業は、小売業や飲食業と違って仕入れの必要が少なく、在庫不良などの問題がほとんど起こらないのがメリットです。業種によっては無店舗で起業することも可能なので、初期費用も抑えられます。

しかし一方で、サービスは目に見えないものであるため、集客がしづらかったり、他店との差別化が難しかったりするというデメリットもあります。

出店場所や拠点

実店舗を必要とする事業の場合は、出店場所を決めなければなりません。

お店の立地は集客に影響するので、慎重に行いましょう。好条件の物件は、人が集まりやすいですが、固定費となる賃料も高くなりますので、経済的に負担にならないかどうかよく検討する必要があります。

また、出店場所の候補が決まったら、周辺にターゲットとなる消費者が多いか、競合となる店が少ないかなどを調査しておくのもおすすめです。

店舗が必要ないサービスや、ネットでの販売などを行う場合は、自宅を事務所として利用することができます。その際、仕事で使用している分の家賃や光熱費などの費用については、家事按分することで、経費計上が可能です。

開業にかかる資金の計算と調達

実店舗型の事業の開業費用は、個人経営の小規模店でも1000万円程度はかかるとされています。これは、内外装工事や備品購入といった店舗投資物件取得に関する費用だけでなく、物件取得に関する保証金(敷金)などの費用もかかるためです。

また、開店後の運転資金も十分に用意しておかないと、資金不足に陥るおそれがあるので、何にどのくらいかかるのか、事前によく調べておく必要があります。

資金の調達に関しては、「親や友人、知人から援助してもらう方法」「公的金融機関を利用して借り入れを行う方法」の2つが考えられます。民間の銀行は、企業の過去の業績を評価し貸付を行うので、新たに起業する場合の融資は期待できません。

事業計画書の作成

業種やサービス内容、拠点、資金計画などが明確に決まったら、ワードやエクセルなどを用いて事業計画書を作成しましょう。

事業計画書は、開業資金の融資を受ける際に必要になります。もし融資を受ける予定がない場合でも、事業の方向性を客観的に確認するのに有効です。

事業計画書に記載する内容は、「企業概要」「事業の目的」「コンセプト」「マーケティング戦略」「利益予測」「資金計画」などが挙げられます。一から自分で作成するのが難しい場合、Web上で公開されているサンプルやテンプレートなどを利用するのも良いでしょう。
 
事業計画書の内容は充実しているほうが良いですが、ポイントを押さえて読みやすくすることも重要です。たとえば、商品説明にはイラストや写真を入れたり、数字を使う場合は表やグラフを使ったりすると、分かりやすく説得力のある計画書になるでしょう。

ライフプランの作成

事業計画書とは別に、ライフプランも作成しておきましょう。ライフプランは、収入の状況や将来の計画、今後発生するライフイベントを設定することで、一生にかかるお金の収支を把握するためのものです。ライフプランを立てておけば、結婚や子育て、マイホーム購入、老後の生活など、思い描いていた夢や目標を実現させるのに役立ちます。

今現在、生活にどれくらいお金がかかっているか分からないという方は、ひと月あたりの家計の支出額を把握し、どの程度の収入が必要なのかを知ることから始めましょう。そうすれば、経営目標も立てやすくなるほか、お金の使い方を見直すきっかけにもなります。

また、ライフプランをこまめに確認すると、プランに沿った行動が取れるようになります。事業を始めてみて、予定よりも収入が少なかった場合は、危機感を持って改善に取り組めるようになるでしょう。

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2. 独立するメリットとデメリット

独立で得られるものは大きいですが、その分、失敗した際のリスクもあります。開業を考えている方は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握し、個人事業主という働き方が自分に合っているかどうか、よく検討した上で決断しましょう。

独立するメリット

・やりたいことができる
仕事内容や職場環境、方針などを決めるのは自分です。雇用関係からも開放されるため、誰かに命令されることなく、自由に仕事を行えます。
 
・時間や場所に縛られない
自分でスケジュールを立て、自分のペースで仕事ができます。また、出勤する必要がないので、毎日の通勤ラッシュにストレスを感じることもなくなるでしょう。
 
・実力次第でいくらでも稼げる
仕事の成果は収入に直結します。実力次第では、会社員の頃を大きく上回る収入が得られる可能性もあります。
 
・定年がない
企業に勤めていると定年退職がありますが、自分で立ち上げた事業なら、定年はありません。体が元気なら、いつまでも働くことができます。

独立するデメリット

・すべて自己責任
会社員は、失敗しても怒られたり減給されたりするだけで済みますが、事業主となったらそうはいきません。最悪の場合、廃業して多額の借金を背負うことになる可能性もあるでしょう。
 
・収入が安定しづらい
企業に勤めていれば毎月決まった額の給与をもらえますが、独立した場合、月々の収入が常に一定になるとは限りません。同じように仕事をしていても、全く稼げなくなるということもあり得ます。
 
・健康管理が必要
体調を崩してしまっても、自分の代わりはいないので簡単には休むことができません。独立したら、定期的に健康診断に行くなど、今まで以上に健康面に気を使う必要があるでしょう。
 
・会社が持つ社会的信用がなくなる
個人事業主やフリーランスは、会社員よりも収入が不安定と見なされることが多いため、クレジットカードやローンの審査が通りづらくなる傾向にあります。

3. 開業の基礎知識

個人事業主として開業したら、「開業届」を税務署に提出する必要があります。以下では、開業届の概要や提出方法を解説します。

開業届について

ここで言う開業届とは、「個人事業の開業・廃業等届出書」のことです。事業を開始または廃業したときや、事業用の事業所を新設、移転、増設した際に提出する書類となっています。

提出時期は、事業の開始から1ヶ月以内ですが、期限が土日祝にあたる場合は、これらの日の翌日が期限になります。
 
参照元:国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

開業届の出し方

開業届は、国税庁のWebサイトからPDFファイルをダウンロードするか、近くの税務署で用紙をもらうことができます。用紙に必要事項を記入したら、納税地を所轄する税務署へ提出しましょう。税務署まで行く時間がないという場合は、郵送で提出することも可能です。

開業届の書き方が分からない場合は、以下を参考にしてみてください。

提出先と日付...納税地を所轄する税務署の名前と、提出日を記入。税務署名は、国税庁の公式サイトから調べることができます。

納税地...納税地を、住所地、居所地、事業所等から選択し、その住所と電話番号を記入します。

上記以外の住所地・事業所等...納税地以外に住所地や事業所があれば記入します。

氏名と生年月日...氏名と氏名のフリガナ、生年月日を記入し、氏名の横に押印します。

個人番号...マイナンバーを記入します。

職業...職業を記入します。どんな仕事をしているかが分かれば良いので、基本的に書き方は自由です。

屋号...店舗の名前にあたるものです。必須項目ではないので、空欄でも問題ありません。

届け出の区分...開業の部分を丸で囲みます。新規開業の場合、住所氏名は不要です。

所得の種類...所得の種類を選択します。小売業、飲食業、サービス業などは事業所得です。

開業、廃業等日...開業した日にちを記入します。

事業所を新増設、移転、廃止した場合...新規開業の場合は記入しません。

廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合...新規開業の場合は記入しません。

開業・廃業に伴う届出書の提出の有無...開業届と一緒に「青色申告承認申請書」または「消費税課税事業者選択届出書」を提出する場合は、有を選択します。

事業の概要...事業の内容を詳しく記入します。たとえば、「ラーメン屋の経営」「インターネットサービスの開発、運営」など。

給与等の支払の状況、その他参考次項、給与支払いを開始する年月日...従業員を雇う予定がある場合は、人数や給与、ボーナス、給与支払いを始める日にちなどを記載します。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書の提出の有無 …開業届と一緒に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出する場合は、有を選択します。

4. 個人事業税について

個人事業主には「個人事業税」という地方税が課されます。以下では、個人事業税についての概要や算出方法、業種による税率の違いを解説します。

個人事業税とは?

個人事業税とは、地方税法等で定められた、法定業種に対してかかる税金のことです。この法定業種は現在70種類あり、ほとんどの事業が課税対象となっています。個人事業税を納める必要があるのは、事務所や事業所を設け、法定業種の事業を行う個人の方です。

個人事業税の算出方法

個人事業税の税額は、分かりやすく言うと、課税対象になる所得額から、事業主控除290万円を差し引き、その額に税率を掛けたものになります。

個人事業税は、住民税と同様、確定申告を行うことで納税通知書が送られてきますので、自ら計算する必要はありません。納付は8月と11月の年2回となります。

詳しい算出方法を知りたいという方は、以下の式で求められますので、参考にしてみてください。
 
( 事業所得 + 所得税の事業専従者給与(控除)額 − 個人の事業税の事業専従者給与(控除)額 + 青色申告特別控除額 − 各種控除 ) × 税率 = 個人事業税の税額
 
・事業所得…事業の総収入金額-必要経費-青色申告特別控除額で算出

・個人の事業税の事業専従者給与(控除)額…家族を従業員としている場合の給与(控除)額。青色申告なら給与額で、白色申告なら控除額となる
 
・青色申告特別控除額…個人の事業税には青色申告特別控除の適用がないため、所得金額に加算して相殺する
 
・各種控除…事業主控除として、年間290万円(事業を行っている期間が1年未満の場合は月割額)控除される。また、所得税、住民税、事業税のいずれかの申告を一定期限内に毎年行っている場合は、繰越控除も適用される。
 
・税率…3~5%で、法定業種によって異なる。
 
参照元:東京都主税局「個人事業税」

事業税の区分

個人事業税の税率は、次の区分によって決められます。
 
・第1事業(税率5%)
物品販売業、製造業、飲食店業、広告業、問屋業などの37業種
 
・第2事業(税率4%)
畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種
 
・第3事業(税率5%)
弁護士業、税理士業、デザイン業、美容業、コンサルタント業などの30業種。ただし、あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復、その他の医業に類する事業装蹄師業は、第3業種に区分されるものの、税率は3%です。

参照元:東京都主税局「個人事業税 法定業種と税率」

5. 独立・開業の決断は慎重に

事業を始める際には、事業計画や資金の調達、必要な手続きなど、やるべきことがたくさんありますが、起業自体はゴールではなくスタートにすぎません。勢いで開業したはいいものの、3年と経たないうちに廃業になってしまった、という例は少なからずあります。

すでに独立を決心しているという人も、今一度、客観的に自分の知識やスキルを把握するとともに、経済面やライフプランの面からも、独立という選択が本当に正しいのかよく検討しましょう。

また、万が一のときに備えて、ある程度の資金を残しておいたり、どのラインで撤退するかを決めておいたりするなど、最悪の事態を想定しておくことも大切です。

資金にゆとりがない場合は、借金のリスクを減らすためにも、少額の資金で始められるビジネスにするか、最初は費用を抑えて小規模で始めてみましょう。そうすれば、仮に失敗したとしても、ダメージを最小限に抑えることができます。

職種によってはフリーランスという選択肢もある

オフィスや店舗を構えて商売するだけが独立・開業とは限らず、フリーランスというスタイルも独立・開業に含まれます。

フリーランスとは、企業に属さず、案件ごとに契約を結んで作業をする形態のことで、代表的な職種には、エンジニアやデザイナーなどがあります。
 
フリーランスを選ぶメリットとしては、「初期費用を抑えられる」「フリーランス向けに案件を提案するエージェントがあるため、スタートしやすい」ということが挙げられます。
 
また、フリーランスになった場合の働き方としては、自宅で作業する「在宅型」と、契約先の企業で作業する「常駐型」があります。一般的にはフリーランスというと在宅型をイメージする方が多く、常駐型と聞いてピンとこない方もかもしれませんが、常駐型は企業からのニーズが高いため案件を獲得しやすいというメリットもあります。 

本記事で挙げた内容を基に自分に合った働き方を探してみてください。
 

最後に

簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!

※相場算出に個人情報の取得はおこないません。


※本記事は平成31年4月時点の情報を基に執筆しております。

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