個人事業主の主な業種一覧!開業の流れや個人事業税を解説 | レバテックフリーランス
個人事業主の主な業種一覧!開業の流れや個人事業税を解説
個人事業主として活躍できる業種は多岐にわたります。IT系やクリエイティブ系をはじめ、さまざまな種類の仕事が存在します。
この記事では、個人事業主が活躍する主な業種・職種を一覧で紹介します。自身のスキルや経験を活かした職種がきっと見つかるはずです。
さらに、個人事業主として開業するための準備や手続きの流れ、独立するメリット・デメリットなども詳しく解説します。個人事業税の仕組みや70業種の法定業種についても説明しますので、これから独立を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士 小池 康晴(こいけ やすはる)氏
SESや受託開発を行うIT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。中小企業庁による認定経営革新等支援機関の認定済み。
小池康晴氏プロフィールページ
個人事業主が活躍する主な業種・職種一覧
個人事業主が活躍する業種・職種はさまざまな種類が存在します。自身のスキルや経験を最大限に発揮できる領域を見極めれば、安定した受注や収入につながりやすいでしょう。以下、代表的な業種・職種を紹介していきます。
IT系の業種
IT系の業種は、業務に必要なITスキルに加え、パソコンとインターネット環境があれば開業できるのが特徴です。代表的な職種は以下の4つです。
- システムエンジニア
- プログラマー
- プロジェクトマネージャー
- Webマーケター
リモートワークと親和性が高く、案件の需要も比較的多いとされるため、高単価の案件を狙いやすい分野です。それぞれ詳しく解説していきます。
システムエンジニア
システムエンジニアは、システム開発における要件定義や基本設計といった「上流工程」を担当する職種です。クライアントの業務課題や潜在的なニーズを正確に読み取り、設計に反映させるための高度なIT知識が求められるため、案件単価が高くなりやすいのが特徴です。
また、クライアントや開発メンバーとのやり取りも頻繁に発生するため、コミュニケーションスキルやヒアリング・提案力なども欠かせません。技術力に加えてこれらの対人スキルを発揮できれば、クライアントから継続的に指名される存在になれるでしょう。
プログラマー
プログラマーは、システムエンジニアが作成した設計・仕様に基づき、プログラミング言語を用いて実際のシステムを構築する職種です。要求された仕様通りに動くコードの記述や動作テストを担うため、特定の開発言語やフレームワークなどに関する技術的な知識・スキルが求められます。
正確で品質の高いコードを迅速に書き上げるスキルがあれば、継続的な開発案件の受注や単価アップにつなげられます。自身の得意な言語や領域に強みを持てば、効率よくキャリアの選択肢を広げられるでしょう。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは、開発プロジェクト全体の進行管理や予算調整、人員の配置などを総合的に指揮する職種です。納期通りに高品質なシステムを完成させる責務を負うため、技術的な専門知識に加えて高度なマネジメントスキルが求められます。
システム開発の現場では、クライアントと開発チーム双方の認識を揃え、ゴールに向けて現場を牽引する力が欠かせません。リーダーシップを発揮して現場や顧客から頼られる存在となれば、次の重要な案件でも優先して声をかけられる可能性が高まります。
Webマーケター
Webマーケターは、Webを活用してクライアントの商品売上の拡大や集客向上を支援する職種です。
具体的には、オンライン上でのユーザー行動を分析して効果的なマーケティング戦略を立案し、SEO対策や広告運用といった実践的な施策を行います。そのため、高いデータ分析能力やマーケティングスキルが欠かせません。
施策の成果が数値として表れるため、自身の成果や実績を客観的に示せる点もWebマーケターならではの特徴です。データ分析に基づき、論理的な改善策を提案できれば厚い信頼を得られ、継続的な案件受注につなげられるでしょう。
クリエイティブ系の業種
クリエイティブ系の業種は、自身の感性や技術を作品として形にし、クライアントのブランディングや集客を支援する職種です。代表的な職種は以下のとおりです。
- Webデザイナー
- グラフィックデザイナー
- 動画編集者
- カメラマン・フォトグラファー
作品を通じてクライアントのブランディングや集客を直接支援できるため、ポートフォリオで過去の成果物や実績を示せれば、高単価な直取引や継続案件を狙えます。それぞれ詳しく解説していきます。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webサイトのデザインを担当・制作する職種です。具体的には、クライアントの要望を基にサイトの構成やレイアウトを決定し、実際にWebサイトとして形に仕上げていきます。
IllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを扱うスキルや、HTML/CSS、JavaScriptなどを用いたコーディングスキルが求められます。さらに、単に見た目を整えるだけでなく、ユーザーを迷わせない導線設計やスマホ表示に対応するレスポンシブ化など、UI/UXデザインを用いた設計を行うことも重要です。
訪問者の離脱を防ぎ、購入や問い合わせなどを後押しするサイトを制作できれば、長期的なパートナーとして良好な関係を築き、継続的な案件獲得につなげられるでしょう。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、チラシやポスター、ロゴや商品パッケージなどの印刷物を中心にデザインする職種です。具体的には、クライアントの目的に合わせてコンセプトを企画し、商品やサービスなどを魅力的に伝える視覚デザインへ仕上げていきます。
制作にはIllustratorやPhotoshopといったデザインソフトを使いこなすスキルが欠かせません。また、印刷物における基礎知識やターゲットの目を引く構図作り、ブランドイメージを正しく伝える表現力なども求められます。
質の高いデザインでクライアントの認知拡大や集客に貢献できれば厚い信頼を得られ、継続的な依頼や高単価なデザイン案件の受注につながるでしょう。
動画編集者
動画編集者は、YouTubeやSNS広告、PR動画などの映像コンテンツを制作する職種です。具体的には、クライアントの要望に基づいた映像内容の企画や、見やすい映像へ仕上げる編集作業を行います。
クライアントから共有された映像をカット・つなぎ合わせたり、テロップやBGM、効果音などを追加したりするため、映像編集ソフトを使いこなすスキルが必須です。
視聴者の関心を引きつけ、集客や売上につながる動画を提供できればクライアントからの評価も高まり、クリエイターとしての指名や継続依頼につながるでしょう。
カメラマン・フォトグラファー
カメラマン・フォトグラファーは、クライアントの要望や目的に合わせて写真撮影を行う職種です。人物や商品、企業PR写真など、撮影対象は多岐にわたります。
撮影時にはカメラを扱うスキルはもちろん、照明の扱いや撮影後の写真をレタッチする画像編集ソフトを使いこなすスキルなども欠かせません。
単に綺麗な写真を撮るだけでなく、クライアントの撮影目的や被写体の魅力を最大限に引き出す写真を提供することが重要です。作品の訴求力が高まれば、自身のファンやリピート客の獲得につながるでしょう。
ライティング・編集系の業種
ライティング・編集系の業種は文章を通じて読者に必要な情報を届ける職種です。代表的な職種としては以下が挙げられます。
- Webライター
- 編集者
- アフィリエイター
特別な機材を必要とせずパソコン1台で始められるため、初期費用や固定費を抑えられる点が強みです。それぞれ詳しく解説していきます。
Webライター
Webライターは、Webメディアの記事やコラム、インタビュー記事などを執筆し、読者の悩み解決や必要な情報を提供する職種です。一般的な文章作成力があれば始められる案件が多いため、初心者でも挑戦しやすい分野です。
ただし、信頼性の高い文章コンテンツを作成するには、正確な情報を集めるリサーチ力が欠かせません。さらに、検索上位表示を狙うためのSEO知識や読者の関心を引きつけるマーケティング視点などがあれば、集客や売上アップに貢献でき、高単価案件を受注しやすいでしょう。
編集者
編集者は、提供する文章コンテンツの質を高めるため、企画立案やライターの選定、原稿の校正・推敲、進行管理などを幅広く手掛ける職種です。
実際の文章を執筆するライターをディレクションするのが編集者の立場です。このため、クライアントの意図をより深く汲み取ってコンテンツのクオリティを担保し、質の高い原稿へ仕上げるスキルが求められます。
単に文章を整えるだけでなく、メディアの成長につながる企画力や分析力を養えば、制作現場を統括するディレクターとして、キャリアの幅を広げられるでしょう。
アフィリエイター
アフィリエイターは、自身のブログやWebサイトで企業の商品・サービスを紹介し、購入や申込などの成果に応じて報酬を得る職種です。
具体的には、記事内に広告リンクを掲載し、訪れた読者がそのリンクを経由して商品を購入したり、サービスに申し込んだりすることで収益が発生します。なお、2023年10月からのステルスマーケティング規制により、広告主から「広告」「PR」などの表示を求められるのが一般的です。
集客や収益化までには一定の期間を要しますが、購買意欲を高める魅力的な文章コンテンツを提供し続ければ、継続的にアクセスを獲得し、安定した収入につなげられるでしょう。さらに、検索ニーズの分析やSEO対策のスキルを身に付ければ、集客力が向上してさらなる高単価案件の獲得を目指せます。
コンサルティング系の業種
コンサルティング系の業種は、高度な専門知識や豊富な実務経験を活かし、クライアントの課題解決や事業成長を支援する職種です。分野はさまざまで、例としては以下の職種が挙げられます。
- ITコンサルタント
- 経営コンサルタント
- 人事・採用コンサルタント
専門的なノウハウの提供が武器となるため、大きな設備投資も必要なく、自身が培ってきた知識を活用してクライアントの課題解決に貢献したい方におすすめです。以下、それぞれの職種を解説していきます。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、クライアントの課題に対してIT技術を活用した解決策を提案する職種です。具体的には、課題解決に向けたIT戦略の策定やシステムの導入支援、業務の最適化などを幅広く支援します。
システムに関する専門知識が必要なため、システムエンジニアの経験があれば、それまで培ってきた技術的な知識をそのまま活かせるでしょう。加えて、相手のニーズを汲み取るヒアリング力や経営的な目線からの提案力、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント力なども求められます。
技術的な視点とビジネス視点の双方を兼ね備えたスキルが必要な分、成果次第で高い収入へとつながる場合もあります。
経営コンサルタント
経営コンサルタントは、企業の経営全般における課題への解決策を提案する職種です。売上向上やコスト削減、組織改革など、経営戦略の立案から具体的な実行策の提案まで、一貫して支援を行います。
経営という「企業運営の根幹」に関わる仕事であるため、ビジネスに関する深い知識や経営者目線での分析力・提案力が求められます。その分高い収入を得やすく、クライアントの課題に対して確実な成果を出せれば、長期的な顧問契約の締結につながることもあるでしょう。
人事・採用コンサルタント
人事・採用コンサルタントは、企業の採用強化や評価制度の構築、人材育成プランの策定などを専門的にサポートする職種です。近年は人手不足に悩む企業も多いといわれることから、人事・採用に特化したコンサルティングの需要も期待できます。
なお、企業に求職者を紹介・あっせんする業務まで請け負う場合は、職業安定法に基づく有料職業紹介事業の許可が必要になります。
組織の課題を正確に引き出すヒアリング力に加え、適切な解決策を提案するためには人事や労務の専門知識も求められます。
単なる採用支援にとどまらず、定着率を高める評価制度の設計まで幅広く手掛けることができれば、安定した受注を得やすいでしょう。
その他サービス系の業種
個人事業主には、以下のようなサービス系の業種でも活躍の場があります。
- 講師
- 士業(弁護士・税理士など)
- 理容師・美容師
- 通訳・翻訳者
それぞれ解説していきます。
講師
講師として、自身が持つ専門知識や技術的なノウハウを教える働き方もあります。内容は幅広く、自身の得意分野や実務経験に応じて選べます。以下はその一例です。
- プログラミングスクール
- Webデザインスクール
- 動画編集スクール
- 英会話・語学教室
- フィットネス・ヨガ教室
- マーケティング・ビジネス講座
近年は直接対面だけでなく、オンラインによるレッスンも可能なため、場所を問わず世界中の人にでノウハウを提供できます。集客のための工夫は必要ですが、受講者を継続的に集めリピート受講を実現できれば、安定した受注につながるでしょう。
士業(弁護士・税理士など)
士業は、専門性の高い国家資格と知識を活かし、クライアントの法律手続きや税務処理などを代行・支援する職種です。一般的に「8士業」「10士業」と呼ばれる括りがあり、具体的な資格は以下のとおりです。
| 分類 | 概要 | 主な該当資格 |
|---|---|---|
| 8士業 | 職権で住民票や戸籍謄本を請求できる 「職務上請求権」を持つ国家資格 |
弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、税理士、 社会保険労務士、土地家屋調査士、海事代理士 |
| 10士業 | 8士業(※)に主要な経済・ ビジネス系専門資格を加えた括り ※海事代理士を除く |
8士業のうち海事代理士を除く7資格、公認会計士、 中小企業診断士、不動産鑑定士 |
いずれも取得が難しい資格であり、高い専門性が求められる分、クライアントから信頼を得ることで高い報酬を得られるケースもあります。一度契約を結んで信頼関係を構築できれば、長期的な顧問契約へつながることもあるでしょう。
理容師・美容師
理容師・美容師も個人事業主として活躍できる業種です。それぞれ厚生労働大臣の免許(国家資格)が必要であり、専門技術と衛生管理の知識が求められます。
近年は店舗を持たずにフリーランスとして面貸しサロンを活用したり、訪問施術を行ったりする働き方も増えています。ただし、理容・美容は原則として、保健所に届け出た理容所・美容所で行う必要がある点には注意が必要です。訪問(出張)施術は、疾病で来店できない方への施術や婚礼儀式の直前など、法令・都道府県条例で認められた場合に限られます。
SNSや外部の予約用プラットフォームなどを活用して集客を行い、自身の技術でリピート客や指名客を多く獲得できれば、実力に応じて高い収入につなげられるでしょう。
参考:美容師になるためには|公益財団法人 理容師美容師試験研修センター
通訳・翻訳者
通訳・翻訳者は、異なる言語間のコミュニケーションを円滑にするため、言葉や文章を正確に変換して伝える職種です。リアルタイムで言葉を伝える通訳と、文章を的確に置き換える翻訳の双方でニーズがあります。
特別な設備投資を必要とせず、自身の語学力だけを武器に開業できます。日常会話にとどまらず、医療やIT、法律・金融といった特定の専門分野の知識を磨くことで、替えのきかない言語のスペシャリストとして長く重宝されるはずです。
小売業系の業種
物を仕入れて販売する小売業も、個人事業主の業種の一つです。食料品販売や衣料品販売、雑貨販売などがこれに該当します。
近年は大型スーパーが増えたことにより、八百屋や魚屋などの小売店は減少傾向です。一方で、独自性のある小売店も出てきています。たとえば「有機栽培の食料品店」「海外輸入雑貨店」などが挙げられるでしょう。
実店舗のみでは大手の価格競争に巻き込まれやすい一方、独自性のある商品選定とECサイトの活用を組み合わせれば、全国の顧客を対象にビジネスを展開可能です。実店舗の固定費や在庫リスクを最小限に抑えつつ、世界中へ販路を広げることで、一個人でも大きな売上と高い収益確保を目指せます。
飲食業系の業種
レストランやカフェ、居酒屋などの経営を行う飲食業も、個人事業主として独立・開業が可能な人気の業種です。調理者として働いたことがある人はもちろん、料理の趣味を活かして他業種から挑戦するケースも少なくありません。
飲食業も小売業と同様、大手チェーンと価格競争を行うのは難しい傾向にあるため、個人店ならではの強みを前面に出すことが成功のポイントです。独自性のあるメニューや温かみのある接客などでファンを獲得できれば、リピーターに支えられる人気店へと成長させられるでしょう。
個人事業主になるために必要な準備
個人事業主として独立する際に必要な準備は、主に以下の4つです。

以下、詳細を解説します。
1. 開業する業種を決める
開業をするなら、まずは「何をどのようにやりたいのか」を明確にすることが大切です。これまでの実務経験や得意分野を軸に選べば、独立直後から即戦力として質の高いサービスを提供でき、顧客の信頼や案件の獲得につながりやすくなります。
加えて、将来的な需要の高さや経費にできる範囲、節税対策のしやすさなども総合的に考慮すると良いでしょう。
得意分野を活かせる領域を見極めつつ、経費にできる範囲や税制上の優遇措置をしっかり把握した上で最終決定を下すのが賢明です。
2. 拠点や出店場所を決める
実店舗を必要とする事業を行う場合は、出店場所を決めなければなりません。
お店の立地は集客に影響するので、慎重に行いましょう。好条件の物件は人が集まりやすい一方、固定費となる賃料も高くなるため、経済的に負担にならないかよく検討する必要があります。
また、出店場所の候補が決まったら、周辺にターゲットとなる消費者が多いか、競合となる店が少ないかなどを調査しておくことも大切です。
店舗が不要なサービスや、ネット販売などを行う場合は、自宅を事務所として利用することができます。その際、仕事で使用している分の家賃や光熱費などは、家事按分することで経費計上が可能です。
3. 開業にかかる資金の計算・調達を行う
個人事業主として開業する際は、必要な費用の全体像を把握して適切な資金調達を行うことも重要です。
たとえば、Web系の事業であればパソコンやツールの購入費などで済むケースが多いです。一方で実店舗を構える事業なら、数百万~1,000万円規模の開業資金がかかるのが一般的とされています。実店舗の場合、内外装工事や備品購入といった店舗投資にかかる費用だけでなく、物件取得に関する保証金(敷金)などの費用もかかるためです。
また、開店後の運転資金も十分に用意しておかないと、資金不足に陥るおそれがあります。何にどのくらいかかるのか、事前によく調べておきましょう。
資金の調達に関しては、「親や友人、知人から援助してもらう」「公的融資を活用する」といった方法が考えられます。民間金融機関は過去業績を重視する傾向があるといわれ、創業期は融資を受けにくい場合もあるからです。ただし、信用保証協会の保証付き融資のような創業期に利用しやすい制度もあるため、利用可能な選択肢を比較検討するのがおすすめです。
公的融資の代表例として、日本政策金融公庫があります。新規開業・スタートアップ支援資金をはじめとした創業融資を通じて、幅広い方の開業を支援しています。
4. 事業計画書を作成する
業種やサービス内容、拠点、資金計画などが明確に決まったら、事業計画書を作成しましょう。
事業計画書は、開業資金の融資を受ける際に必要になります。融資を受ける予定がない場合でも、事業の方向性を客観的に確認するのに有効です。記載事項の例としては、以下が挙げられます。
- 事業概要・目的
- コンセプト
- マーケティング戦略
- 利益予測
- 資金計画
一から自分で作成するのが難しい場合、Web上で公開されているサンプルやテンプレートなどを利用するのも良いでしょう。日本政策金融公庫では、専用の「創業計画書」のフォーマットに加え、主要な業種別の具体的な記入例も公開されているため、参考にしながら作成を進めるのがおすすめです。
また、事業計画書の内容は充実しているほうが良いですが、ポイントを押さえて読みやすくすることも重要です。たとえば、商品説明にはイラストや写真を入れたり、数字を使う場合は表やグラフを使ったりすると、分かりやすく説得力のある計画書になるでしょう。
参考:各種書式ダウンロード 小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】|日本政策金融公庫
個人事業主として開業するときの流れ
開業の事前準備が済んだら、以下のような流れで開業の手続きを進めていきましょう。

それぞれ詳しく解説していきます。
1. 開業届を税務署へ提出する
個人事業主として新たに事業を開始したときは、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」の提出が必要です。事業開始の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに手続きを行ってください。
提出方法としては、e-Tax(電子申告)を活用したオンライン申請のほか、持参や郵送も選べます。
開業届の書き方や提出方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
個人事業主の開業届ガイド!書き方や提出方法、出すメリット・デメリット
2. 青色申告承認申請書を税務署へ提出する
節税効果の高い「青色申告」で確定申告を行いたい場合は、開業届と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を提出しましょう。青色申告を適用させれば、以下のようなメリットが得られます。
- 最大65万円の特別控除を受けられる(2027年分以降は控除区分が見直され、最大75万円の控除が新設される予定)
- 家族を従業員として雇う場合、その給料を経費にできる(青色事業専従者給与)
- 赤字(損失)を3年間繰り越して翌年以降の税金を抑えられる
提出期限は原則として、青色申告をしようとする年の3月15日までとなっています。ただし、その年の1月16日以後に新規開業した場合は、事業開始日から2ヶ月以内に提出が必要です。
税制上のメリットを活かすためにも、期限に遅れないよう早めに手続きを行いましょう。
青色申告について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
青色申告の必要書類を解説!種類や入手方法、確定申告後の保管期間
参考:青色申告制度|国税庁
3. 事業に必要な届け出や許可申請を行う
取り扱う業種によっては、税務署への届け出とは別に、行政機関へ許認可の申請を行う必要があります。たとえば、飲食店を開業する場合は保健所の営業許可が、美容室を開業する場合は保健所への美容所開設届と使用前の確認検査が必須です。
許認可を得ずに営業すると、無許可営業として法律違反になるおそれがあるため、事前に届け出や許可申請が必要かどうか必ず確認しておきましょう。
個人事業主になったら必要なこと
個人事業主になったら、以下のような手続きや準備も必要です。

抜け漏れがないよう、優先順位をつけて一つずつ確実に対応していきましょう。
1. 健康保険・年金を切り替える
会社を退職して独立した場合、健康保険と年金の切り替え手続きが必要です。退職すると会社員時代の健康保険や厚生年金から脱退するためです。
個人事業主が加入できる健康保険としては、以下のような選択肢があります。
- 国民健康保険
- 業種別の国民健康保険組合(例:文芸美術国民健康保険組合)
- 会社の健康保険の任意継続(最長2年間、退職日の翌日から20日以内に申請)
- 家族の健康保険(扶養)
年金は、国民年金への変更手続きを行いましょう。
国民年金と国民健康保険に切り替える場合、いずれも原則として退職翌日から14日以内に手続きを行う必要があります。
個人事業主の健康保険と年金について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
個人事業主が加入できる社会保険は?保険料を抑える方法も紹介!
個人事業主の年金ガイド!受給額の目安から老後資金の作り方まで解説
参考:
2. 事業用口座を開設する
開業したら、事業用の銀行口座を開設しましょう。必須の手続きではありませんが、プライベートの口座と事業用の口座を分ければ、資金管理や会計処理の負担を軽減できます。
また、屋号付きの銀行口座を開設しておくことで、取引先からの信頼度が高まりやすい点も魅力です。
事業用口座を開設するメリットについては、以下の記事でも解説しているので、併せて参考にしてみてください。
個人事業主が口座を分けないとどうなる?事業用口座のメリットや手続きも解説
3. 日々の帳簿付けと確定申告を行う
個人事業主は、日々の帳簿付け(記帳)と、それに基づいた毎年の確定申告が必要です。事業を開始したすべての事業者に記帳と帳簿の保存が法律で義務付けられており、原則として確定申告によって納める所得税額を確定させる必要があるためです。
特に青色申告で最大65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による正確な記帳が求められます。取引を溜め込まず、こまめに帳簿へ記載することが記帳漏れを防ぐコツです。帳簿付けに不安がある方は、青色申告用の会計ソフトを導入したり、税理士へ相談したりといった工夫を取り入れると良いでしょう。
青色申告と白色申告の違いについて知りたい方は、以下の記事もご活用ください。
4. インボイス発行事業者の登録をする
必要に応じてインボイス発行事業者の登録を行いましょう。インボイス(適格請求書)とは、正確な消費税率や消費税額などが記載された請求書のことです。
取引先が法人や個人事業主中心である場合、取引相手からインボイスの発行を求められるケースが増えています。インボイスがないと相手側が仕入税額控除を受けられず、消費税の負担が増えてしまうためです。
インボイス発行事業者になるには、税務署へ「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出する必要があります。ただし、登録すると「課税事業者」となり、消費税の申告義務が生じるため、自身の事業スタイルや顧客層に合わせて登録の有無を検討しましょう。
なお、「免税事業者」から登録した場合は税負担を軽減できる税制上の特例が用意されています。ただし、納付税額を売上税額の2割に抑えられる「2割特例」は、個人事業者の場合、2026年分(令和8年分)の申告までで終了予定です。さらに、2027年分・2028年分は納付税額を3割とする「3割特例」に移行する予定です。詳しくは国税庁のWebサイトをご確認ください。
インボイス制度については以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
【図解つき】インボイス制度にフリーランスはどう対応するべき?影響や検討ポイントを解説
5. 継続的な仕事の獲得手段を確保する
個人事業主になったら、継続的に仕事を獲得するための手段をあらかじめ確保しておくことも大切です。個人事業主が仕事を得るためには、自ら営業や集客を行う必要があるからです。
初期段階から複数の受注ルートを持っておくことで、将来的な収入リスクの分散につなげられます。たとえば、以下のような獲得手段が代表的です。
- エージェントサービスの活用
- クラウドソーシングの利用
- SNSを活用した集客
- 知人への営業
- イベントでの人脈作り
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個人事業主が納める税金の種類と個人事業税の仕組み
個人事業主が納める主な税金には、以下の4種類があります。
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 個人事業税
このうち「個人事業税」とは、都道府県に納める地方税の一つで、法律で定められた特定の事業を行っている個人に課される税金です。
以下、個人事業税の算出方法や税率について詳しく解説していきます。
個人事業税の算出方法
個人事業税の税額は、「課税対象になる所得額から事業主控除290万円を差し引き、その額に税率を掛けたもの」になります。一律290万円の「事業主控除」が適用されるため、年間の所得が290万円以下の場合は基本的に課税されません。
具体的な計算式は以下のとおりです。
-
個人事業税の税額
=(「事業所得」+「所得税の事業専従者給与(控除)額」-「個人の事業税の事業専従者給与(控除)額」+「青色申告特別控除額」-「各種控除」)×税率
- 事業所得:事業の総収入金額-必要経費-青色申告特別控除額で算出
- 個人の事業税の事業専従者給与(控除)額:家族を従業員としている場合の給与(控除)額 ※青色申告なら給与額、白色申告なら控除額
- 青色申告特別控除額:個人の事業税には青色申告特別控除の適用がないため、所得金額に加算して相殺
- 各種控除:年間290万円の事業主控除(事業の期間が1年未満の場合は月割)のほか、青色申告者で所得税・住民税・事業税のいずれかの申告を一定期限内に毎年行っている場合は、損失の繰越控除(翌年以降3年間)も適用
- 税率:3~5%(法定業種によって異なる)
なお、個人事業税は、住民税と同様、確定申告を行うことで納税通知書が送られてくるので、自ら計算する必要はありません。納付は8月と11月の年2回となります。
事業税の区分
個人事業税の税率は、次の区分によって決められます。
| 事業税の区分 | 税率 | 業種 |
|---|---|---|
| 第1種事業 | 5% | 物品販売業、製造業、飲食店業、請負業、 広告業、問屋業などの37業種 |
| 第2種事業 | 4% | 畜産業、水産業、薪炭製造業の3業種 |
| 第3種事業 | 5% | 税理士業、デザイン業、美容業、コンサルタント業などの30業種 ※ただし、あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・ 柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業は、 第3種事業に区分されるものの、税率は3%となる |
個人事業税の対象となる業種や控除制度について知りたい方は、以下の記事もご確認ください。
個人事業主として独立するメリット
個人事業主として独立するメリットは以下の4点です。
- やりたい仕事を自由に選べる
- 時間や場所に縛られにくい
- 実力次第で収入を大きく伸ばせる
- 定年がなく自分の意思で働きたい時期まで働ける
それぞれ詳細を解説します。
やりたい仕事を自由に選べる
個人事業主のメリットの一つは、受ける案件や取引先を自分の意思で自由に選択できることです。事業方針や得意分野に合わせて、挑戦したいプロジェクトへ主体的にリソースを集中させられます。
また、相性の合わない取引先との業務を断る判断を自分で下せる点もメリットといえるでしょう。人間関係のストレスを抑えながら、理想のキャリアを追求できます。
時間や場所に縛られにくい
働く時間や場所をライフスタイルに合わせて柔軟にコントロールしやすい点も魅力です。業務の進め方やスケジュールの組み方をすべて自分自身で調整できるためです。
たとえば、自宅で作業したり、家族の予定に合わせて平日に休日を設定したりできるため、ワークライフバランスを整えやすくなります。
自身に適した働く環境や稼働時間を選べれば、業務効率の向上やストレスの軽減にもつながります。
実力次第で収入を大きく伸ばせる
個人事業主は、実力次第で収入を大きく伸ばせます。会社員のようにあらかじめ決められた給料の上限が存在せず、利益をあげた分だけ収入を伸ばせる仕組みだからです。
スキルを高めて高単価案件の獲得や価格交渉を行ったり、業務効率化でこなす数を増やしたりすることで、努力をそのまま収入へ還元できます。頑張った分だけ報酬として返ってくるため、高いモチベーションを持って事業に取り組めるでしょう。
定年がなく自分の意思で働きたい時期まで働ける
働く意欲さえあれば、自身の判断で何歳まででも現役を続けられる点も個人事業主の強みです。会社員のように一定の年齢で定年退職となる制度がないためです。
体調やライフステージの変化に合わせて仕事量もコントロールできることもポイントといえるでしょう。長年培ってきた専門知識や人脈を活かしながら、無理のないペースで活動を続けられます。
個人事業主として独立するデメリット
個人事業主として独立するメリットがある反面、以下のようなデメリットも存在します。
- すべて自己責任になる
- 収入が安定しづらい
- 自己健康管理が重要になる
- 会社員時代のような社会的信用を得にくい
開業を考えている方は、メリットだけでなくデメリットもしっかりと把握し、個人事業主という働き方が自分に合っているかどうか、よく検討した上で決断しましょう。
すべて自己責任になる
事業活動におけるすべての決断と、それに伴う結果やリスクを自分一人で負う必要があります。個人事業主は会社員のような組織の後ろ盾がなく、個人の権利と義務のもとですべての事業取引を行う立場にあるためです。
契約締結や資金繰り、税務処理といった事務作業から万が一の損失対応まで自ら判断して対処しなければならず、高い自己管理意識が求められます。
収入が変動しやすい
毎月一定の給与が支払われる会社員とは異なり、個人事業主は働いた分・成果を出した分だけ報酬を得られる一方で、受注状況によって月々の収入が変動しやすいです。
このため、案件の減少や契約終了のリスクに備え、既存顧客との信頼構築や複数ルートからの受注獲得など、計画的に事業を運用する工夫が求められます。
自己健康管理が重要になる
体調を崩して休業した際の手当や補償が存在しないため、日ごろの健康管理が重要になります。会社員のような有給休暇のような制度もなく、病気や怪我で業務が停止すると直接収入の減少につながるからです。
万が一の事態に備えて民間の就業不能保険への加入を検討したり、無理のない稼働スケジュールを組んだりして、リスクを分散させる工夫が求められます。
会社員時代のような社会的信用を得にくい
独立直後で事業実績が浅い段階では、社会的な信用を得るまでに一定の時間がかかります。会社員のように所属している企業の信用力や毎月一定で給与が支給されることがないため、個人としての実績や収入がある程度安定しないと評価されにくいからです。
たとえば、クレジットカードの作成や住宅ローンの審査、オフィスの賃貸契約などで慎重に判断される傾向があります。このため、各種審査や契約手続きは会社員のうちに済ませておいたり、開業後に地道な実績を積み重ねていったりすることが大切です。
個人事業主の業種に関するよくある質問
ここでは個人事業主の業種に関するよくある質問に答えていきます。これから個人事業主として活動を検討している方は、不安や疑問点を事前に解消し、スムーズな開業準備や事業運営に役立てていきましょう。
Q. 個人事業主に多い業種は何ですか?
システムエンジニアやプログラマーなどのIT系や、Webデザイナーやグラフィックデザイナーなどのクリエイティブ系など、さまざまな業種があります。
そのほか、ライティング系やコンサルティング系の業種に加え、講師や士業、美容師・理容師、通訳・翻訳、小売業・飲食店業などの各種サービス業なども多く存在します。
Q. 個人事業主は複数の業種や事業を行えますか?
個人事業主は、一つの名義で複数の業種や事業を自由に兼業することが可能です。事業の数そのものには法律上の制限はなく、開業届の事業内容欄に複数の事業を記載するだけで手続きが完了するためです。
Q. 個人事業税の課税対象になるのはどんな業種ですか?
個人事業税の課税対象となるのは、地方税法によってあらかじめ定められた70種類の法定業種です。
具体的には、物品販売業や製造業、飲食店業などの第1種(37業種)、畜産業や水産業などの第2種(3業種)、税理士業、デザイン業、美容業、コンサルタント業などの第3種(30業種)に分類されます。
Q. 個人事業税がかからない業種はありますか?
地方税法で定められた70の法定業種に該当しない業種であれば、原則として個人事業税は課税されません。ただし、同一の業務内容であっても契約形態や事業の実態によって分類が異なる場合があるため、自身の業務がどの区分にあたるか確認しておきましょう。
Q. 起業を検討する際に気をつけることはありますか?
客観的に自分のスキルを把握するとともに、経済面やライフプランの面からも「独立」という選択が本当に正しいのかよく検討することが大切です。勢いで開業したものの、3年以内に廃業になってしまったケースも少なからずあるためです。
また、万が一のときに備えて、ある程度の資金を残しておく、どのラインで撤退するかを決めておくなど、最悪の事態を想定しておくことも大切です。
Q. 個人事業主とフリーランスの違いは何ですか?
両者の違いは「税務上の区分」と「働き方のスタイル」のどちらを指すかにあります。
個人事業主とは、継続・反復して独立した事業を営む個人を指す税務上の区分です。一方のフリーランスは、特定の組織に属さない「働き方」を意味するため、個人事業主もフリーランスの働き方に含まれます。
※本記事は2026年9月時点の情報を基に執筆しております。
最後に
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