開業届の提出と社会保険の切り替え以外に何が必要?
個人事業主になるには?必要な知識と手続き

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会社から独立をして事業を始めるのならば、税制上、個人事業主か法人のどちらかの形態を選択することになります。株式会社や合同会社などの法人を設立するよりも、個人事業主は手続きや費用などの面で手軽なのが特徴の一つです。

費用や手間がかかる法人は、社会的信用が高い、社会保険に入ることが可能、個人事業主ではできない節税対策ができる、などのメリットがあります。一般的には手軽な個人事業主でスタートし、利益が上がってきたら事業の法人化を検討するケースが多いようです。

昨今注目の集まるフリーランスという働き方も、特定の企業や団体に雇われないという性質上、自分で事業を開始するということになります。フリーランスで働く場合も、まずは個人事業主から始めるのが無難でしょう。

ここでは、フリーランスに興味がある方や独立したいという方へ向け、個人事業主になるために必要な知識や手続きなどを解説していきます。

※この記事は2019年3月に加筆・修正を行いました
 


◆この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士 小池 康晴氏
IT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。
あおば会計事務所
 

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0. 目次

 1. 個人事業主とは
 2. 退職までにやること
 3. 個人事業主になるには
 4. 契約・受注・納品・請求への流れ
 5. 確定申告への心がまえ
 6. まとめ
 

個人事業主のなり方をお調べなら以下の記事もご参照ください

■会社員と個人事業主との大きな違いである確定申告の基礎知識について
個人事業主の確定申告とは?基礎を解説します

■個人事業主の節税の基本である経費と控除について
これも経費に?個人事業主(フリーランス)が知っておきたい経費になるもの・ならないもの
最大◯◯円の控除が受けられる!フリーランス(個人事業主)のための、お得で賢い節税対策入門

■確定申告の時期が迫ってきたら
フリーランス(個人事業主)がミス無く確定申告を終えるために押さえておくべき12のチェックリスト

■個人事業主だけでなく法人化も検討中なら
フリーランス(個人事業主)法人化のメリット・デメリットと、7つの必須手続きまとめ


 

1. 個人事業主とは

個人事業主と聞くと、小売店や飲食店を個人で営むような自営業をイメージする方も少なくないことでしょう。ですが、個人事業主は税制上の区分の一つ。冒頭でも軽くお伝えした通り、会社組織から離れフリーランスで働くというケースも事業を開始することであり、法人を設立していなければ、個人事業主としてフリーランスで働くということになります。

事業を開始するのならば個人事業主か法人かを選択することになりますが、今回の記事では前者、個人事業主にフォーカスしてお伝えしていきます。なぜ個人と法人を分けて考えるかというと、手続きの手間やかかるお金に大きな違いがあるからです。

もちろん面倒ではないのは個人事業主です。

法人は節税や信用の面でメリットはありますが、定款の準備や登記の必要があり、独立直後からまとまった売り上げが見込める場合を除けば、個人事業主として業務を始めるのが現実的だと言えるでしょう。

以下に、会社員や法人と比較した場合の、個人事業主の主なメリットとデメリットをまとめておきます。

また、個人事業主としてのメリットについて下記の記事でも触れていますので、併せてご覧ください。

フリーランス(個人事業主)のメリット

個人事業主のメリット

  • 登記などの費用もかからず、手続きも容易
  • 会計や税金の処理が簡単
  • やっただけの報酬が受けられる
登記などの費用もかからず、手続きも容易

株式会社や合同企業を設立し、事業を始める場合(法人化)、定款作成や諸官庁への届け出など手続きが必要です。

また費用も収入印紙代(電子定款の場合は不要)、公証人に払う手数料、定款の謄本手数料、登録免許税などを合わせると、「株式会社:約24万円」「合同会社:約10万円」がかかります。

個人事業主の場合は、法人として起業するよりは手続きも面倒ではなく、税務署に開業届出書を提出するだけで費用をかけることなく始められるという手軽さがメリットの一つです。
 

会計や税金の処理が簡単

個人事業主の場合は事業の利益をすべて自分の報酬とすることができますが、法人の場合はもっと複雑です。

自分1人の会社だったとしても、役員報酬として受け取り、経費として取り扱います。加えて、社会保険や年末調整などの手続きも必要になるため、1人での対応が難しい可能性も。その場合、税理士事務所などに相談する必要も出てくるでしょう。

個人事業主と法人とを比較した場合、個人事業主の方が会計や税金の処理が簡便で、所得や課税額がわかりやすい点はメリットです。

ちなみに個人事業主が納める税金は主に、所得税、住民税、個人事業税、消費税の4つで、自分で納税額を計算するのは所得税と消費税です。住民税と個人事業税は、所得税の確定申告を行えば、納税額の書かれた通知書が送られてきますので、自分で納税額を計算する必要はありません。

なお、請負契約で仕事をするのではなく、企業に常駐して作業をする個人事業主のような準委任契約の場合は、個人事業税はかからないというケースもあります

「個人事業税の対象となるかどうか」は都税事務所や区役所などから届く「お尋ね」への回答で判断されます。この「お尋ね」が届いても回答しなかった場合、本来ならば個人事業税の対象でなかったとしても個人事業税が課されることもありますので、きちんと回答するようにしましょう。

消費税は、クライアントから預かった消費税を全て納税するのではなく、自分の仕入れや経費でかかった消費税を差し引いて納税額を計算します。なお、消費税を納税するの2年前の売上が1,000万円を超えた場合で、それまでは免税事業者として扱われることを覚えておきましょう。

やっただけの報酬が受けられる

個人事業主は自分で案件を選べるため、比較的、実力が単価に反映されやすい傾向があります。実力があり、報酬を重視するエンジニアにとって、個人事業主は魅力あるキャリアの選択肢といえるでしょう。

ただし、会社員ならば給与から税金や健康保険、年金などを引かれた金額が手取りになるのでわかりやすいですが、個人事業主の年収はいわば売上。個人事業主は報酬の中から税金や経費などを計上する必要があるため、当然ながら自由になるお金、つまり所得は報酬よりも少なくなることに留意しましょう。ビジネス用の口座を作るなどして家計と区別するのも手です。

もし、ご自分が個人事業主になられた場合に「どんな案件があって、どんな単価相場になりそうか」が気になる方は、レバテックフリーランスへご相談ください。ご経歴を基に、ぴったりな案件提案をメールにてお送りいたします。具体的な作業内容や単価などを把握するのに、お役立ていただけるはずです。

案件提案メールについて詳しく見る

個人事業主のデメリット

  • 社会的信用を得るまでに時間がかかる
  • 本業以外の作業も自分でやる必要がある
  • 代わりがいないので意外と時間が自由にならない
社会的信用を得るまでに時間がかかる

残念ながら会社や組織に属している人に比べて、一般的に個人事業主の社会的信用はあまり高くない傾向があります。

極端なところではクレジットカードやローンなどの審査が通らなかったという人もいるようです。特に、扶養する家族がいる場合などは、そういったケースもあるということは頭に入れておくといいかもしれません。また、大手企業ですと法人としか取引をしないというケースもあります。

本業以外の作業も自分でやる必要がある

会社員と比べ、個人事業主は経理などの事務作業や営業などの本業以外にも時間を割く必要があります。

特に、税金・年金・保険などは求められる知識も少なくないため、そこがハードルとなって個人事業主になることをためらう方もいるほどです。

代わりがいないので意外と時間が自由にならない

時間に融通が効くのが個人事業主のウリのひとつですが、果たすべき責任の重さも会社員時代よりもアップしています。

体調不良や想定外のアクシデントが発生したとしても、納期や成果物のクオリティに落ち度があると信用に関わってきます。

他にもコピーをとる、電話に出る、消耗品を買いに行くなど、ちょっとした雑務も積み重なっていくことで、思いのほか時間がとられるものです。
 

2. 退職までにやること

独立時にはいくつかやっておくことがあります。まずは、退職前にやっておくことを以下にまとめてみました。
 

  • 退職願を出す
  • 会社の備品を返却する
  • 会社から必要書類を受け取る
  • クレジットカードを作る/ローンを組む

 

退職願を出す

労働契約の解約について、民法では2週間前までに退職の意思表示をすればいいと定められていますが、通常は1か月前を目安に退職の意思を伝えるのが一般的です。

会社側としても、人が辞めるとなれば、その穴埋めのための準備が必要になるため、就業規則に1か月前と記載しているケースもあります。

就業規則と民法では民法が優先されるものの、エンジニアの場合は、独立後に退社した会社から仕事をもらうケースも多いと思いますので、会社のルールを尊重して円満退社を心掛けましょう。

そのほか、退職願の具体的な書き方などは過去記事「退職願の提出」で解説しているので、そちらも併せてご参照ください。
 

会社の備品を返却する

仕事用に支給されているパソコンやモバイル端末、身分証明書や制服などはもちろん、名刺や通勤定期券も会社を辞める際に返却します。

意外と忘れがちなのが文房具などの小物類です。ボールペン1本でもけじめは大切。会社の備品は会社の私有財産ですから、持ち出すことは慎みましょう。
 

会社から必要書類を受け取る

独立後、すぐに事業を始めるなら会社から受け取るものはそれほど多くはありません。

雇用保険の受給手続きで必要となる雇用保険被保険者証、確定申告で必要となる源泉徴収票のほか、年金手帳を預けている場合は年金手帳も引き取りましょう。
 

クレジットカードを作る/ローンを組む

会社とのやり取り以外で会社員のうちにやっておきたいのは、クレジットカードをつくったり、ローンを組んだりすることです。

個人事業主になると、たとえば急にパソコンが壊れて買い替えるといった予期しない出費もあります。
こうした事態に対処するためにも、クレジットカードはつくっておいたほうがいいでしょう。

毎月決まった額の給与をもらう会社員とは違い、定期収入を得にくい個人事業主は審査が不利になりますので、独立前に準備しておくことをおすすめします。
 

その他

会社を辞めてサラリーマンから個人事業主になった場合、失業保険はもらえませんが再就職手当はもらえる可能性があります。失業保険、再就職手当について詳しく知りたい方は下記の記事も併せてご覧ください。

個人事業主は再就職手当を受けられる?

 

3. 個人事業主になるには

個人事業主としてスタートを切る際、最初にしておくのが「国民年金・国民健康保険への切り替え」「開業届出書の提出」です。

これについては、過去の記事「フリーランス1年目が「早めにやっておくべきだった」と後悔した22のチェックリスト」のなかで解説しているので、詳しくはそちらをご覧ください。

  手続き 窓口 期限 持ちもの
①厚生年金から国民年金への切り替え 市区町村役場 退職した日から
14日以内
年金手帳、厚生年金等退職の日付が分かるもの、印鑑、免許証などの身分証明書
②会社の健康保険から国民健康保健への切り替え 市区町村役場 退職した日から
14日以内
健康保険資格喪失書、印鑑、免許証などの身分証明書
③個人事業の開業届出書 税務署 1カ月以内 印鑑、免許証などの身分証明書
④青色申告承認申請書 税務署 2カ月以内 印鑑、免許証などの身分証明書
 

国民年金・国民健康保険への切り替え

会社を退職し、個人事業主になると基本的に「会社の健康保険から国民健康保険へ」「厚生年金から国民年金へ」と切り替える必要があります。退職した日から14日以内に手続きをする必要があるため、忘れずに手続きを行うようにしましょう。

なお、健康保険に関しては退職後20日内に手続きを行うことで、勤めていた会社の健康保険を任意継続することも可能です(最長2年間)。

関東のIT企業などに多い「関東ITソフトウェア健康保険組合」のようなメリットの多い健康保険でしたら、任意継続も検討する価値があるはずです。

そのほか、過去記事で「フリーランスなら押さえておきたい!今さら聞けない「税金・保険・年金」のキホン」で税金・保険・年金の基本知識を解説しているので、税務や保険に関する知識に不安のある方は併せてチェックしてみてください。
 

個人事業の開業届提出書の提出

個人事業主として活動を始めるにあたって、開業届出書の提出は必須です。用紙は税務署の窓口でもらうか、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。開業届には以下のような項目があるので、正確に記入しましょう。

・所轄の税務署名
・書類の提出日
・納税地
・氏名、電話番号
・生年月日
・マイナンバー
・職業
・屋号
・開業した場所の住所
・所得の種類
・開業日
・具体的な事業内容

納税地は、原則として「住民票のある住所地」となります。事業所の所在地を納税地にすることもできますが、その際は「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」の提出が必要です。納税地の異動に関する届出書を作成したら、税務署に送付あるいは持参しましょう。

下記のページは開業届の書き方や提出に関する注意点などもまとまっているので、一度チェックしておくとスムーズでしょう。
(参考 : [手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続 | 国税庁)

なお、開業届出書は、控えとして記入済みのものをもう1部コピーしておきましょう。税務署に提出する際にはコピーと併せて提出し、印を押してもらったら控えとして手元に保管しておきます。

後述する小規模企業共済制度の申し込みなどで、開業届出書の控えが必要となるケースがあります。
 

青色申告承認申請書の提出

個人事業主になるにあたって考えておきたいのが、確定申告を青色申告でするか白色申告でするかの選択です。青色申告は65万円の特別控除が受けられたり、損失(赤字)を3年間繰り越したりできるのですが、その一方で簿記の知識がないと難しい、複式簿記の帳簿を作成するのが面倒というハードルがあります。

白色申告の方は金銭的なメリットはないものの、複式簿記の帳簿を付ける必要がないため、手軽さから白色申告を選ぶ方もいるようです。

ただ平成26年分から白色申告でも記帳は必須となったため、それ以前と比較すると若干手軽さは薄れたといえます。

もし、青色申告を選択する場合は、開業届出書を提出する際に税務署でまとめて手続きを行うといいでしょう。

こちらも過去記事「最大◯◯円の控除が受けられる!フリーランス(個人事業主)のための、お得で賢い節税対策入門」に解説がありますので参照してみてください。
 

その他にやっておきたいこと

これらの手続きと併せてやっておきたいことを以下にまとめました。

屋号の決定

芸能人の芸名、ライターのペンネームのように、個人事業主は商売上の名前として屋号を申請することもできます。屋号を申請する場合は、開業届を提出する際に「屋号」欄に屋号を記入すればOKです。

屋号はつけてもつけなくとも問題ありませんが、屋号をつけた場合、屋号付きの銀行口座を開設できるというメリットがあります。個人の口座と事業の口座を分けることで帳簿や家計の管理がしやすくなります。
 

GitHubでのコード公開やポートフォリオ作成

個人事業主として働く上で、営業の観点は欠かせません。

友人・知人からの紹介や勉強会での交流から依頼をもらったり、案件を紹介するエージェントやクラウドソーシングを利用したり、と案件獲得の手段はさまざまですが、エンジニアでしたらGitHubでコードを公開したり、技術ブログを書いたりと、アウトプットすることで技術力のアピールになり、営業活動につながります。
 

小規模企業共済の加入

小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する共済です。名前に「企業」とありますが、個人事業主でも加入できます。

掛け金は全額控除となるので節税効果にも期待でき、廃業時には全額が戻ってくるので、退職金代わりにも使えるのです。また、掛け金は1000円から7万円の間で自由に設定できるので、無理のない範囲で始めることもできます。

一方で、任意解約した場合、掛金の100%以上の解約手当金をもらうためには、掛金納付月数が240ヶ月(20年)以上である必要があるなどの条件もあります。そのため、必ずしも入ったほうがよいとは言い切れない面もあります。ご自身のライフプランと相談して加入を検討しましょう。
(参考:小規模企業共済とは - 中小機構)

なお個人事業主が加入する場合は、確定申告書の控えが必要となりますが、個人事業主になった初年度は確定申告書がないこともあります。その場合は開業届出書の控えを提示します。
 

「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出

 生計をともにしている家族や親族に事業を手伝ってもらう場合、その給与を所得額から控除することができます。その際に必要な書類が「青色事業専従者給与に関する届出書」です。適切な金額で税金を納めるためにも、必ず提出するようにしましょう。

青色事業専従者給与に関する届出書は国税庁のWebサイトからダウンロード可能です。
(参考 : [手続名]青色事業専従者給与に関する届出手続 | 国税庁)
 
ちなみに、青色事業専従者として扱われるのは以下の条件を満たしている配偶者や親族に限ります。

・青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族
・その年の12月31日現在で年齢が15歳以上
・その年を通じて6ヶ月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専従していること
※一定の場合には事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間
 
提出期限は、申請したい年の3月15日まで。その年の1月16日以降に、事業がスタートした場合、新たに青色事業専従者がいる場合は、働き始めてから2ヶ月以内に提出します。

事業開始前に家族や親族に手伝ってもらうことが分かっているなら、その段階で準備しておくと安心。その場合は青色申告承認申請書と同じタイミングで提出することができます。

また、「青色事業専従者が増える」「昇給する」という場合は、変更した内容で新たに届出をしなくてはなりません。青色事業専従者給与に関する届出書は変更届出書も兼ねているので、所轄の税務署長に提出しましょう。
 

4. 契約・受注・納品・請求への流れ

個人事業主として仕事をする場合、クライアント企業と直接仕事をするケースがありますが、こういうときには業務委託契約を結ぶのが一般的です。

個人事業主の場合、契約に関連して、見積書や納品書、請求書など、いくつかの書類のやり取りが出てきます。これについては、過去記事「ルーティーンワークが数倍捗る!フリーランス人生を快適にしてくれるツールまとめ」で解説した上で、便利なツールの紹介もしていますので、ぜひご覧ください。
 

  • 業務委託契約書
  • 見積書
  • 納品書
  • 請求書
  • 領収書

 

業務委託契約書

業務委託契約書には、契約日、契約期間、契約の形態などが書かれていますが、業務上発生した経費の扱いや納期遅れなどの際の措置についても書かれていることがあるので、契約を交わしたら必ず目を通すようにしてください。

ここで重要になるのは、コンプライアンス意識を持つことです。エンジニアの場合、クライアントの機密事項や顧客情報を扱うケースもありますので、情報の取り扱いには細心の注意を払う必要があります。

コンプライアンスというと大げさに聞こえるかもしれませんが、個人とはいえ事業なのですから、会社員時代とは意識を切り替え、経営責任を持つようにしましょう。

なお、具体的な書き方や知っておきたい作成ポイントなどを過去記事「業務委託の契約書の書き方について」でまとめていますので、併せてご覧ください。
 

見積書

独立したての個人事業主にとって、とくに悩ましいのは見積書です。相場感がつかめないうちは、高いか安いかの判断もなかなか難しいのですが、やはり大事なのは「自分が納得できる価格」です。

エンジニアの場合は、システム構築、コーディング、データベース作成など、項目を分けて考えていくと、納得のいく金額を計算しやすくなります。

また、納品後の更新作業やメンテナンスといった項目についてもあらかじめクライアントに伝えておくと、トラブルを防ぐことができます。

そういう意味では、日頃からクライアントとお金の話ができるよう、信頼関係を築いておくことも重要です。
 

納品書

商品を納品後に発行する書類。通常は商品発送時に同封しますが、Webサイトやアプリケーションなどの現物がない場合は現物がない納品物のため、別途発送します。フォーマットによって若干の違いはあるものの、記載されている項目は以下のような内容です。

・納品先(クライアントの宛先)
・発行日
・商品やサービスの内容、数量
・単価、合計金額
・納品者(自分の連絡先など)

納品書は、クライアントが「発注した案件が正しい形で納品されたか」をチェックするための書類です。企業によっては、納品書と請求書の突き合わせで金額の紐づけがされることもあるようですが、必ずしも発行するものではないため、納品書をやりとりせずに案件が終了するケースもあります。
 

請求書

商品の納品後、代金を請求するために発行する書類。納品の都度、またはクライアントと取り決めしておいた締め日に発行します。

記載する項目は、代金の振込先、支払期限が記載されている以外は納品書とほぼ同じ。納品書と金額が違う…ということにならないように確認はしっかり行いましょう。

納品が終わると完了した気分になりがちですが、請求書が発行されないと代金は支払われません。リマインダーを活用するなど、忘れないような工夫をしておきましょう。
 

領収書

納品後、代金の支払いが行われた後に発行する書類。記載する項目は請求書とほぼ変わらないですが、支払期限や振込先などの記載がありません。

代金を受け取ったことを証明すると同時に、クライアントが代金を支払ったことを証明する書類でもあります。面倒だからといって、入金前に発行すると「クライアントが既に支払いを完了した」ということになってしまい混乱の原因に。領収書は必ず入金確認後に発行するというクセをつけるようにしましょう。
 

レバテックフリーランスなら複雑な書類作成ナシで案件に参画できます

見積書や業務委託契約書、納品書、請求書など、個人事業主がクライアントとやり取りする書類はいくつもあります。こういった書類に不備があるとトラブルに発展しかねないだけに、一人でイチから作ろうとなると、なかなかハードルが高いのではないでしょうか。

一方、レバテックフリーランスでご提案している常駐型案件に参画いただいた場合は、見積書、業務委託契約書などをご自分でイチから作成する必要はありません。作業報告書と請求書の作成・送信を行えるツールも基本的にご利用いただけます。

もし、契約や費用請求などのやり方に不安があり、個人事業主になるのをためらわれているようでしたら、まずはレバテックフリーランスをご利用いただき、個人事業主を始めてみてはいかがでしょうか。諸々の手続きのご不明点や、実際にどんな案件があるかなどにもアドバイスいたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

フリーランスになるためのアドバイスを受ける

5. 確定申告への心がまえ

最後に、個人事業主の頭を悩ますことの多い確定申告について改めて取り上げます。

個人事業主になる場合、年度替わりの4月に独立する人も多いと思います。

確定申告書の提出期間は2月16日から3月15日(15日が土・日の場合は次の月曜日)と1年近く先の話だと思うかもしれませんが、白色申告にせよ青色申告にせよ帳簿は必要になるので、こまめに領収書や請求書を整理して、帳簿につけていくようにしましょう。
 

会計ソフトを利用すれば簿記の理解がなくとも安心

青色申告で65万円の特別控除を受けようとする場合は複式簿記(勘定科目を用いて借方・貸方に同じ金額を記入する)で帳簿を付ける必要があります。

とはいえ、個人事業主の方が必ずしも簿記をマスターしてから事業を始めるわけではありません。

簿記の理解が完璧でなくとも会計ソフトを利用すればハードルはグッと下がります。

以下に、主な会計ソフトを挙げましたので、まずは無料プランを試してから自分に合った会計ソフトの導入を検討してみましょう。

主な会計ソフト

製品 プラン 費用 備考
弥生会計オンライン セルフプラン 年額28,080円(税込) 初年度最大2ヶ月の無料体験あり
freee スターター 月額980円(税抜)/年額9,800円(税抜き) 30日間無料体験あり
MFクラウド会計 ライトプラン 月額1,980円(税抜)/年額21,780円(税抜) 45日間無料体験あり

過去記事「フリーランス(個人事業主)がミス無く確定申告を終えるために押さえておくべき12のチェックリスト」では、決算の準備や青色申告と白色申告それぞれの注意点などについて詳しく紹介していますので、ぜひ一読しておくことをおすすめします。

また、会計ソフトを使うにしても、会計や青色申告の知識があった方がベターです。過去記事「会計業務を効率化したいフリーランスがチェックするべきクラウド会計ソフト5選」では、会計処理や青色申告の知識をつけるため役立つ記事・サイトをご紹介していますので一度ご覧ください。

 

e-Taxを利用できるようになると利便性アップ

確定申告では、所定の申告書に必要項目を記入していくのですが、最近では電子申告、いわゆるe-Taxが定着しつつあります。
(参考:e-Taxホームページ)

e-Taxには「税務署に行かずとも自宅のネットで申告可能」「確定申告期間中は24時間受付」といったメリットがあり利便性は高いのですが、e-Taxでの申告にはいくつかハードルも存在します。

たとえば平成28年分の確定申告をe-Taxで行おうとした場合、「マイナンバーカードの交付申請を行い、マイナンバーカードの電子証明書をe-Taxに登録」(住民基本台帳カードを持っていない人の場合)、「マイナンバーカードをPCに読み込むためのICカードリーダーを購入」する必要があります。

さらに各項目に入力するにも、その場に相談する相手がいない状態で進めなければならないため、独立して最初の年にいきなり利用するのは困難に感じることも多いはず。

各税務署では、税理士が無料で記帳指導をしてくれる説明会も催されているので、地元の税務署のホームページなどで調べてみるといいでしょう。そうしてある程度慣れてきたところで、e-Taxの利用を検討するとスムーズでしょう。

そのほか、国税庁のWebサイトには、確定申告書や青色申告決算書などがダウンロードできるページもありますので、説明会や申告本番の前にダウンロードして予習しておくのもいいかもしれませんね。
(参考:確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書等 | 国税庁)

なお、先ほども紹介した過去記事「ルーティーンワークが数倍捗る!フリーランス人生を快適にしてくれるツールまとめ」では、手頃な価格で使える会計・確定申告ツールも紹介していますので、参考にしてみてください。
 

所得控除で税負担を減らそう

確定申告では、先述した個人事業主の納める税金のうち、その年の所得税(2年前の収入(売上)が1000万円を超えた場合は消費税も)を自分で計算して納めます。ざっくりいえば、1年間の収入(売上)から、経費や所得控除などを差し引いた「課税所得」に対してかかってくるのが所得税です。以下に所得税の税率と課税所得の計算方法をご紹介します。

所得税率(2019年現在)
課税所得 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超~330万円以下 10% 9万7500円
330万円超~695万円以下 20% 42万7500円
695万円超~900万円以下 23% 63万6000円
900万円超~180万円以下 33% 153万6000円
1800万円超~4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超~ 45% 479万6000円

※平成25年~平成49年の間は、復興特別所得税を所得税と併せて納付する必要があります。
(参考 : 国税庁ホームページ 所得税の税率)

 

課税所得金額の計算方法

総収入金額-(経費+青色申告特別控除+所得控除)

上記の通り、経費や青色申告特別控除、所得控除の金額が大きくなるほど、課税所得が下がり、ひいては所得税を抑えることになります。そこで、次の項では節税に欠かせない所得控除について、基本を解説いたします。

なお、同じく節税で大切な経費については、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。

これも経費に?個人事業主(フリーランス)が知っておきたい経費になるもの・ならないもの
 

所得控除の基本

所得控除とは、家族構成や保険の加入状況などの個人の事情に応じて、一定の金額を収入から差し引くことができる制度です。所得控除は大きく分けると、「人」に関わるものを対象とした「人的控除」と「物」に関わるものを対象とした「物的控除」があり、トータルで14種類の所得控除が存在します。

○人的控除
医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、雑損控除

○物的控除
配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除


ここでは、扶養する家族がいる場合や小規模共済に加入している場合などに適用を受けられる可能性のある、個人事業主にとって身近な7種類の所得控除について紹介します。使える所得控除を見逃さずに申告することが節税につながるため、個人事業主になる前の心構えのひとつとして、目を通しておくとよいでしょう。

個人事業主にとって身近な所得控除の例
項目 概要
医療費控除 納税者本人とその家族が、年間10万円以上の医療費を支払った場合に受けられる。(※所得が200万円未満の場合は、総所得の5%)
社会保険料控除 1月から12月に支払った社会保険料や年金を控除することができる。配偶者や扶養家族の分も対象となる。
小規模企業共済掛金控除 小規模共済や個人型確定拠出年金の掛け金が控除の対象となる。
配偶者控除 納税者の配偶者の年収が103万円以下の場合に、一定の金額が控除される。
配偶者特別控除 納税者の配偶者の年収が103万円を超えている場合、納税者の所得金額や配偶者の収入に応じて一定の金額が控除される。(控除額は3~38万円まで幅がある)
扶養控除 納税者が16歳以上の扶養家族を有する場合に、年齢や同居状況に応じた額が控除される。
基礎控除 納税者全てが一律で38万円の控除を受けられる。
 
医療費控除の特例:セルフメディケーション税制について

平成29年分の確定申告から、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」を選択できるようになりました。基本的に医療費控除は、1年間の医療費が10万円を超えないと利用できませんでした。セルフメディケーション税制が始まったことで、一定の条件を満たせば対象となる医薬品(かぜ薬や胃腸薬など)の購入費用に対して控除を受けられるようになりました。

条件としては、健康診断や予防接種、がん検診など、病気の予防に向けた規定の取り組みを、納税者本人が行っていることを証明すること。もうひとつは、医師から処方される医薬品か、ドラッグストアなどで購入できるスイッチOTC医薬品を購入した費用が「1年間で1万2千円を超える」ことです。「1年間の医療費が10万円を超える」必要がある通常の医療費控除に比べ、控除を受けやすいといえるため、覚えておくとよいでしょう。

ただし、従来の医療費控除とセルフメディケーション税制の適用は、同時に受けることができず、どちらかを確定申告の際に選択する必要があります。実際にかかった費用から計算して「どちらがお得か」を選択しましょう。(参考:セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について | 厚生労働省)

6. まとめ

いかがでしたでしょうか。個人事業主というのは、開業届出書を出せば誰でも簡単になることができますが、事業である以上、そこには責任も義務も生じてきます。

キャリアプランとして独立を考える際には、ぜひそうしたことも忘れないようにしてください。

今回は、個人事業主になる際の手続きや注意点について、おおまかな流れで解説してきました。

過去のレバテック記事に詳しい解説があるものについてはリンクを張っていますが、すべてを説明できているわけではありません。不明点や独立への不安がある方は、ぜひレバテックにご相談ください。
 

最後に

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