個人事業主の雇用保険ガイド|加入手続きや条件、いくらもらえるか

この記事でわかること
  • 雇用保険の対象にならない人の条件
  • 雇用保険制度の加入条件について
  • 従業員を雇用保険に加入させる個人事業主のメリット

個人事業主本人は雇用保険に加入できません。ただし、例外もあります。具体的には、ダブルワークをしている場合などで、条件次第で個人事業主も雇用保険に加入できます。

また、従業員を雇った場合は加入が必要になるため、雇用保険の概要や手続きの知識が必須です。

そこで、雇用保険の基本や雇用保険料の計算方法などを解説します。知識不足のままだと思いもよらぬトラブルに発展する恐れもあるので、ぜひ知識を身につけてください。

目次

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個人事業主が最低限知るべき雇用保険の基本

雇用保険は、失業や雇用継続に関する保険制度です。労働者の失業時や雇用継続が難しくなった際に、当面の生活維持や就職活動の促進の給付をしてくれます。

給付を受けるには、退職が決まってからハローワークでの手続きが必要です。受給が決定したら、受給説明会や失業認定などを経て、手当を受けながら就職活動を始めます。

支給される基本手当日額は、原則として「働いていた最後の6ヶ月間の賃金を180で割った45~80%の金額」です。

手当が給付される日数は、働いていた期間で異なります。10年未満なら90日、10年以上20年未満は120日、20年以上は150日です。ただし離職理由や離職時の年齢によっては、所定給付日数が変動します。

基本的に個人事業主は雇用保険に加入できない

雇用保険は、雇用契約の労働者の保険なので、個人事業主は対象外です。雇用保険が適用されるのは、個人事業主が雇用した従業員のみです。ただし、次のとおり個人事業主でも雇用保険に加入する方法はあります。

ダブルワークをすれば個人事業主も雇用保険に加入可能

個人事業主でも、ダブルワークで別の事業主に雇用されることで、雇用保険に加入できます。ただし、週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあるなどの条件を満たす必要があります。

また、会社員として働きつつ個人事業主として副業をしていても、勤務先の雇用保険に加入し続けられます。

ただし、雇用保険の対象となる勤務先を退職しても、失業保険はもらえない可能性があります。個人事業主として収入を得ている以上、無職にならないためです。受給資格を得られるかはハローワークに確認するのが確実です。

失業保険を貰う方法や雇用保険の代わりになるものについて詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
フリーランスは雇用保険に加入できない|退職後に手当をもらう方法

従業員を雇った場合は加入させる必要がある

人を雇っている場合、労働時間が週20時間以上、日数が31日以上の場合、雇用保険への加入が義務づけられます。保険料は事業主と労働者の両方が負担しますが、手当を受けられるのは従業員のみです。

また、労災保険への加入も必要です。両方とも提出期限があるため、遅延がないように手続きを済ませましょう。

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雇用保険制度の加入条件

個人事業主が雇用保険に加入できないように、雇用保険制度には加入条件があります。また、日雇い労働者や季節労働、ダブルワークなど、働き方によって条件は異なります。

従業員を雇う個人事業主にとって、加入条件を把握しておくことは大切です。確認しておきましょう。

労働者を雇用した場合の雇用保険への加入条件

雇用保険制度に加入するには、 週の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みが求められます。これらの条件を満たさないと、雇用保険へ加入はできません。それぞれ詳しい条件を解説していきます。

週の所定労働時間が20時間以上の従業員

「所定労働時間」は、就業規則や雇用契約書で決めた被雇用者の勤務時間で、通常の週で算出します。通常の週とは、祝祭日や年末年始、夏季休暇などを含まない1週間のことです。なお、残業時間や休憩時間は含みません。

ただし、シフト制や交代勤務などの変則勤務によって、被雇用者本人の1週間の勤務時間に変動がある場合はこの限りではありません。この場合、シフトや交代勤務が1周りしたときの合計労働時間を個人事業主が週当たりで算出します。

中には繁忙期だけ勤務時間を長くしている職場がありますが、この場合は年間の所定労働時間を52で割って算出する仕組みです。いずれかの方法で算出した週の所定労働時間が20時間を上回った場合、雇用保険や労災保険の条件の1つを満たすこととなります。

31日以上の雇用見込みがある従業員

「31日以上の雇用見込み」は継続した雇用が見込まれることを指します。したがって、まず就業規則や雇用契約書などに期間の定めがない場合や定められた雇用期間が31日以上である必要があります。

さらに、雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合も含むのが特徴です。

ただし、雇用契約に更新規定がなくても、加入できる場合があります。同じ雇用契約により雇用された労働者が、31日以上雇用された実績がある事業所の場合です。この場合、31日以上の雇用が見込まれた時点から雇用保険に加入できます。

65歳以上の高齢者も加入対象

以前は、年齢が65歳以上になると、雇用保険に加入していても雇用保険料を徴収されず適用除外されていました。しかし、2017年から65歳以上の労働者にも適用されるようになりました。

65歳未満と同様、1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがあるという条件を満たす必要があります。この場合「高年齢被保険者」として雇用保険が適用されます。

経過措置を経て、2020年4月1日からは、65歳以上の被雇用者からも保険料を徴収するようになりました。

日雇い労働者と季節労働者の場合の加入条件

「日雇い労働者」とは、その日ごとに異なる会社での仕事や、30日以内の短期間の仕事をつなぐ働き方をする人を指します。この場合、いわゆる「日雇手帳」の交付を受けて雇用保険に加入します。

個人事業主は、従業員から賃金の支払いの際に日雇手帳を提出されたら、印紙を貼らなければなりません。日雇いであっても、以下の場合、一般の雇用保険に加入させなければなりません。

  • 31日以上継続して雇用する場合
  • 2か月続けて18日以上雇用する場合

なお、季節で区切って働く季節労働者の場合は、以下の場合で雇用保険に加入させる必要があります。

  • 4か月を越える期間を定めて雇用される場合
  • 1週間の所定労働時間が30時間以上である場合

季節労働者は、一般的に除雪や夏の観光の際など、季節的な理由で期間を定めて雇用される人を指します。通常の労働者とは条件が異なることを念頭に入れておきましょう。

ダブルワーク従業員や家族の場合の加入条件

雇用保険は二重で加入できません。したがって、ダブルワーク従業員の場合、原則として収入の少ない職場では未加入にし、収入の多い方の職場で雇用保険に加入します

家族が従業員である場合は、次の3つの条件を満たせば雇用保険に加入できます。

  • 事業主からの指示系統が明確であること
  • 他従業員と同じ就業形態で同様に管理されていること
  • その事業の取締役などの役員でないこと

雇用保険の対象にならない人の条件

雇用保険の対象にならない人の条件は、以下のとおりです

  • 1週間の所定労働時間が20時間未満
  • 31日間以上雇用する見込みがない
  • ダブルワークなど別に主となる雇用がある
  • 学生・社長・役員・監査役・個人事業主

上記の4つの条件をいずれか1つでも満たすと、雇用保険へ加入できないため、注意してください。

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従業員を雇用保険に加入させる個人事業主のメリット

雇用保険は加入する従業員側のメリットが多い印象がありますが、雇用する個人事業主側にもメリットはあります。たとえば、求人を出す際のPRポイントになったり、給付金・助成金をもらえたりなどです。

逆に、従業員を雇用保険に加入させないことでペナルティを受ける場合もあります。従業員を雇用保険に加入させる個人事業主のメリット・デメリットを紹介していきます。

給付金・助成金をもらえる

従業員の属性によっては、雇用保険に加入させることで「特定求職者雇用開発助成金」を受給できるます。特定求職者雇用開発助成金の受給対象となるのは、以下に当てはまる従業員を雇用保険に加入させた場合です。

  • 年齢が60~64歳の高齢者
  • 障がい者
  • 母子家庭の母などの就職困難者

また、試行的に一定期間雇用する「トライアル雇用」を行っている場合、「トライアル雇用助成金」が支給されます。

ほかにも、東日本大震災の被災離職・求職者や、雇用情勢が厳しい地域で従業員を雇用した場合にも給付金・助成金があります。給付金・助成金の制度があると知り、うまく活用しましょう。

求人の際にPRになる

雇用保険への加入は雇用側の義務であり、個人事業主側の社会的信頼につながります。求職者側も、雇用保険への加入を条件として探していることがほとんどです。したがって、雇用保険へ加入できる旨を明記することでPRになります。

求職者からの信頼を得られれば、応募も増え、より良い労働者を雇用できるでしょう。

雇用保険に未加入だとペナルティを受けるため注意

そもそも従業員を雇用保険に加入させないと、ペナルティを受けます。個人事業主が従業員を雇用した際は「労働保険関係成立届」の提出と労働保険料の納付が必要です。この2点を行わないと、労働保険料の徴収に加え追徴金も徴収されます。

雇用保険と労災保険をあわせて労働保険と呼びます。雇用保険に未加入の場合、労働保険が成立せず、もし労働災害が起きた場合は、労災保険給付額の40〜100%が追徴されます。

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雇用保険料の計算方法

雇用保険に支払う保険料には、労働者が負担する分と雇用主が負担する分があります。保険料は毎月の賃金の合計額に、その年度の保険料率を乗じて計算します。2023年度の保険料率を、事業の種類ごとに表にまとめました。

  雇用保険料率 労働者負担 事業者負担
一般の事業 15.5/1,000 6/1,000 9.5/1,000
農林水産・清酒製造の事業 17.5/1,000 7/1,000 10.5/1,000
建設の事業 18.5/1,000 7/1,000 11.5/1,000


上記の表をもとに、一般の事業で月額20万円の賃金の場合で計算してみます。この場合、労働者が1,200円、雇用主が1,900円で合計3,100円を保険料として納めることになります。

なお、事業者負担の内訳は上記の表からさらに失業等給付と雇用保険二事業に分けて考えられます。保険料率は年度によって異なるため、詳しい内訳や最新の保険料率を確認したい方は、厚生労働省のホームページをチェックしてみてください。

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個人事業主が知っておきたい雇用保険の手続き

従業員を雇うとなると、雇用保険に加入が必要になるケースがほとんどです。従業員を雇った場合と辞めた場合の手続きの方法を解説します。知らずに期限を破ってペナルティを支払うことのないよう、しっかり確認しておきましょう。

従業員を雇った際の手続きの方法

従業員を雇った際は、以下の順序で手続きを行います。期限はそれぞれ、従業員との保険関係が成立時から起算します。

ステップ 提出書類 提出場所 期限
1 保険関係成立届 労働基準監督署 10日以内
2 労働保険料の概算保険料 労働基準監督署、都 日本銀行歳入代理店(全国の銀行・信用金庫・郵便局等)のいずれか 50日以内
3 雇用保険適用事業所設置届 ハローワーク 10日以内
4 概算保険料申告書 労働局または労働基準監督署 50日以内


なお、2で納付する金額は、保険関係成立から年度末日までに労働者に支払う賃金の見込み総額に保険料率を乗じた金額です。

雇用保険は所定の労働時間を満たす人のみが加入できる保険です。短時間勤務など労働時間が基準に満たないアルバイトやパートは加入できないケースもあります。従業員の勤務体系を把握し、必要であれば雇用保険の手続きを行いましょう。

従業員が辞めた際の手続きの方法

従業員が退職した場合の手続きは以下の手順で行います。

  • 1. 従業員が退職した日から10日以内に、ハローワークに雇用保険資格喪失届・離職証明書を提出する
  • 2. ハローワークから交付された「離職票−1」、「離職票−2」を離職者に送付する

離職票は、従業員が失業給付を受ける際に必要になります。ハローワークから交付されたらできるだけ早く送付しましょう。

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社会保険は雇用保険を含めて5種類

社会保険は雇用保険含めて5種類あります。個人事業主と雇用される従業員と、それぞれどの保険が適用されるのかを表にまとめました。

従業員は基本的にすべての保険が適用されます。勤務時間などの問題で健康保険に加入できない場合は、国民健康保険や家族の扶養に入ることもあります。

個人事業主の社会保険について詳しく知りたい人は、以下の記事をご覧ください。
個人事業主の社会保険|加入義務や負担額をケース別に解説

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雇用保険に関するよくある質問

ここでは、雇用保険に関するよくある質問に答えていきます。

Q. 雇用保険の加入条件は何ですか?

雇用保険の基本的な加入条件は以下3つです。

  • 31日以上の雇用見込みがある。
  • 週の所定労働時間が20時間以上。
  • 学生ではない。

上記すべての条件を満たせば、雇用保険に加入できます。

Q. 雇用保険料はどのように計算されますか?

支払うべき雇用保険料は、以下の計算式をもとに算出できます。

給与額(賞与額)×雇用保険料率=支払う額

なお、2023年度の雇用保険料率は6/1,000です。雇用保険料率は年度によって異なるため、厚生労働省のホームページでチェックしてください。

Q. 雇用保険の加入手続きに必要な書類は何ですか?

雇用保険の加入手続きに必要な書類は、以下の4点です。

  • 保険関係成立届
  • 概算保険料申告書
  • 雇用保険適用事業所設置届
  • 雇用保険被保険者資格取得届等

Q. 個人事業主は雇用保険に加入できますか?

雇用保険は労働者が解雇などで失業するリスクをカバーする保険です。個人事業主本人は労働者に該当しないので、雇用保険に加入できません。

※本記事は2023年10月時点の情報を基に執筆しております。

最後に

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