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個人事業主・フリーランスの従業員雇用手続き|保険と税金、助成金について

とにかく人手が足りない、常に自分の右腕になってくれる優秀な人材を確保したい……。個人事業主・フリーランスのなかには、こんなことを考えている人も少なくはないでしょう。

実はフリーランスでも、パート/アルバイトのみならず、契約社員、正社員を雇うことができます。しかし実際、人を雇う際の手続きは煩雑なのも確か。

そこで今回は、フリーランスが人を雇う際のプロセスと注意点をご紹介します。

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この記事の監修
あおば会計事務所 共同代表
税理士 小池 康晴(こいけ やすはる)氏

SESや受託開発を行うIT関連の企業やフリーランス(個人事業主)の顧客を多く持ち、それぞれのニーズを重視した税務アドバイスとコンサルティングを行う。IT業界の税務や新しいサービスの動向などにも精通している。中小企業庁による認定経営革新等支援機関の認定済み。

小池康晴氏プロフィールページ

目次

個人事業主の雇用手続きとは
雇用形態の種類
労働契約の締結
労働保険と社会保険
各種保険に未加入のままだとどうなる?
個人事業主が従業員を雇用するときの税金手続き
個人事業主の雇用調整助成金
雇用調整助成金以外の支援制度

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個人事業主の雇用手続きとは

「大きなプロジェクトを立て続けに受注した!」

しかし喜びも束の間、フリーランス仲間で作業をシェアしようと思ったけれど、全員忙しくて人が確保できずに困った……なんて経験をした人もいるのではないでしょうか?

また「もっと会社を大きくしたい」という目標を持っている人もいるでしょう。

そんな時に頭をよぎるのが人を雇うということ。

人を雇うにあたっての大まかなプロセスは

  • 1. 雇用形態を決める
  • 2. 採用活動を行う
  • 3. 雇用形態に応じて必要な書類を処理
  • 4. 所轄の場所に提出する

となっています。

そのためにも把握しておかなければならないのが、

  • 雇用形態
  • 必要な書類
  • 書類提出場所

という3つの項目です。

それぞれをもう少し詳しく見ていくと、下記の要素に分けられます。

雇用形態

  • 正社員
  • 契約社員
  • パート/アルバイト
  • 業務委託

必要な書類

  • 契約関係
  • 保険関係(社会保険・労働保険)
  • 税金関係

書類提出場所

  • 労働基準監督署
  • 公共職業安定所(ハローワーク)
  • 年金事務所・社会保険組合
  • 税務署

といった要素に分けられます。

どれも、大体の内容は推測することが出来ますが、明確なところは分からない、という人もいるかもしれません。

また「雇用の手続きは社労士(社会保険労務士)に任せればいいのでは?」という見方もあるでしょう。

しかしながら、個人事業主・フリーランスとして事業を展開していく上で、必要とあらば優れた人材を確保することと、労働環境を整えることは、必須の項目です。雇用のために必要な作業や一連の流れは、大まかにでも押さえておくようにしましょう。

関連記事 : フリーランスと労働法

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雇用形態の種類

人を雇う時、まず考えなければならないのが雇用形態についてです。
調べてみると、ひとことで「働く」といっても、さまざまな形態があることが分かります。

主な雇用形態

  • パート/アルバイト
  • 正社員
  • 契約社員
  • 業務委託

これらの雇用形態は、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?

パート/アルバイト 気軽に雇えるイメージがあるけど実際は?

法律的には、正社員よりも週あたりの労働時間が短い人がパートタイム労働者とされます。一般的にも、短時間だけ働き、正社員の補佐的な役割を担うといったイメージがあるでしょう。

そのため、学生が学業の合間に働いたり、主婦が扶養の範囲で週に数回だけ働いたり、というケースが多いようです。

雇う側としては「人手が足りないから、パートの人を雇おうか」と気軽に考えがちですが、いい人材が集まらなかったり、正社員などに比べて雇われる側も定着しづらかったりという問題もあります。

一方で、パートやアルバイトとして雇用されていても、長時間働き、業務内容やスキルについても、正社員とあまり変わらないケースも多く見られます。それでも正社員と待遇に大幅な差があるようだと、パートやアルバイトで働く人材側に不満がたまり、モチベーションが下がることにもつながりかねません。

正社員と契約社員 法律上の違いはひとつだけ

「採用時に正社員を募集したほうが良い人材が集まると判断した」
「自分が雇用したいと思った人材がローンを組む予定があるなどといった理由で正社員にこだわっている」

採用するにあたって、こういったケースもあることでしょう。

フリーランスが正社員を雇うことなんてできるんだろうか……?と頭を悩ませる人もいるかもしれません。しかし、実際には雇う側が個人事業主であっても、正社員を雇うことは可能です。

その場合、以下で述べるような、雇用保険、労災保険手続き等を行うことが必要となってきます。

そもそも契約社員と正社員の違いは、法律上において「契約期間が定まっているか」という点のみにあります。

つまり、正社員であれば「契約期限が定まっていない=定年までいてもいい」、契約社員は「契約期限を決めて働いているので、契約が更新されないと辞めなくてはならない」と考えられます。

しかし実際には、契約期間を更新するケースも多いようです。

さらに平成25年度より労働契約法の一部が改正され、有期労働契約が何度も更新されて5年以上を超えた時は、労働者の申し込みに応じて、無期労働契約に転換できるというルールができました。

参照 : 厚生労働省「労働契約法の改正について~有期労働契約の新しいルールができました~

契約社員は契約期間が定められており、会社の経営状況に応じて雇い止めしやすいというイメージを持つ人も多いようですが、この点は人を雇う場合、押さえておきたいポイントです。

業務委託 あくまでも社外の人

エンジニアのなかには、業務委託で働いている人も多くみられます。

これは、会社に雇われるのではなく、社外の人間として業務を遂行するという業務形態。法律上も社外の人、外注スタッフの扱いになります。

なので、個人事業主同様、社員とは異なり、労働基準法などの適用外となります。

関連記事 : フリーランスと労働基準法

労働契約の締結

個人事業主・フリーランスが人材を採用するときに労働者と信頼関係を構築するには、労働関係の法律に従って適切に手続きを行うことが大切です。雇用する際には労働契約書を締結する必要があり、誓約書を交わすケースもあります。また、法定三帳簿と呼ばれる帳簿の用意を行うことも必要です。

労働契約書の準備

雇用形態を決め、採用を行ったら、まずは労働契約を交わすことになります。これは口頭だけでなく、必ず書面で行うようにしたいもの。労働基準法により定められている労働条件は、書面での明示が必要となりますので、労働契約書には以下の労働条件を必ず盛り込むようにしましょう。

労働条件(必須項目)
  • 契約期間
  • 契約更新の基準(契約期間に定めがあり、更新することがある場合)
  • 業務をする場所、業務内容
  • 業務の始めと終わりの時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日・休暇、交替制勤務のローテーション等
  • 賃金の決定、計算と支払いの方法、締切と支払日の時期、昇給に関する事項
  • 退職(解雇の事由を含む)について

参照 : 厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。

なお、事業主が下記にあたる定めを行う場合、労働契約書内での明示が必要です。
定めをしない場合においては、下記の項目は明示する必要がありません。

労働条件(特定の定めを行う場合)
  • 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  • 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  • 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  • 安全及び衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰及び制裁に関する事項
  • 休職に関する事項

法定三帳簿の作成

人を雇ったら、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿(タイムカード)」を作成しなくてはなりません。これらは法定三帳簿と言われ、記載すべき項目も法律で定められています。

これらは労働保険の申請時にも必要となり、3年間の保存義務もあります。他にも、雇用主と従業員の間で誓約書を交わすこともあります。誓約書の内容は企業によって異なりますが、主に次のような項目が盛り込まれるようです。

誓約書の主な項目例
  • 就業規則を守る
  • 業務命令に従う
  • 個人情報・顧客情報を漏えいさせない など

特にエンジニアを雇用する場合、業務上、機密情報や個人情報に触れる機会も多いため、情報管理については細かい規定や罰則を設けるのが一般的です。ここでつまずくと雇用主の信用にも悪影響を与えかねません。

社内業務を円滑に進め、情報漏洩を防止したり不正を抑止するためにも、雇用の前段階で交わしておきたいものです。

関連記事 : 機密保持契約(NDA)って何?フリーランスが知っておきたい契約に関する基礎知識

労働保険と社会保険

労働保険と社会保険は、以下のように分類されます。

  • 労働保険…労災保険、雇用保険
  • 社会保険…健康保険、厚生年金保険

労働保険(労災保険/雇用保険)

労働保険は労災保険と雇用保険の総称です。労災保険は原則として雇用形態を問わず加入の義務があり、雇用保険は一定の基準に合致した場合に加入手続きを行う必要があります。

参照 : 厚生労働省「労働保険について

労災保険

【内容】
労災保険は正式には労働者災害補償保険と呼ばれ、労働者が業務や通勤が原因でけがや病気をした際に療養費用や休養費用を補償するためのもの。

【加入条件】
正社員、契約社員はもちろん、アルバイト1名を雇用した段階から加入する必要がある。雇用する側の個人事業主は加入対象外。

【書類提出場所】
労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)

雇用保険

【内容】
労働者が失業した際に、一定期間の生活を保障する。

【加入条件】
1週間の所定労働時間が20時間以上で、かつ、31日以上引き続いて雇用される見込みのあるもの。雇用主は加入対象外。

【書類提出場所】
労働基準監督署、公共職業安定所(ハローワーク)

【必要書類・手続き】
労災保険の加入手続きは、従業員を雇用した日(事業開始)の翌日から10日以内に、労働基準監督署に「保険関係成立届」を提出します。

参照 : 厚生労働省「保険関係成立届の記入見本

雇用保険にも加入する場合は、以下の届け出が必要です。

  • 上記同様、従業員を雇用した日の翌日から10日以内に、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険適用事業所設置届」を提出。
  • 加えて、従業員を雇用した月の翌月10日までに、公共職業安定所(ハローワーク)に「雇用保険被保険者資格取得届」を提出。

参照 : ハローワークインターネットサービス「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届

この際には、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿もしくはタイムカードなどの添付書類を提出するため、手続きまでに準備をしておく必要があります。

社会保険(健康保険/厚生年金保険)

社会保険に含まれるのは、健康保険と厚生年金保険です。個人事業主が労働者を雇う場合は雇用形態や人数によって、任意加入を選択できるケースと強制加入となるケースがあります。

健康保険

【内容】
業務外でのけがや疾病に対して、その医療費を補てんする制度

厚生年金

【内容】
労働者が老齢、障害、死亡といった保険事故により所得を喪失した場合、本人や家族の生活の安定を保障する制度。

健康保険も厚生年金保険も、加入条件や書類提出場所、手続きは同様です。

【加入条件】
個人事業主が雇った常勤社員が5人未満の場合、任意で社会保険に加入することが出来ます。(その際、従業員の半数以上が社会保険の適用事業所となることに同意し、事業主が申請して厚生労働大臣の認可を受ける必要があります)

一方、個人事業主が雇った常勤社員が5人以上になった場合、社員は社会保険に強制的に加入させることに。常勤以外のパートタイマーでも、1日または1週間の労働時間および1カ月の労働日数が、通常勤務者(正社員)の4分の3以上の労働者は適用されます。

採用側の個人事業者本人は国民健康保険、国民年金に加入することになり、健康保険や厚生年金保険に加入することはできません。

【書類提出場所】
年金事務所

【必要書類・手続き】
従業員を採用してから5日以内に、「健康保険・厚生年金保険新規適用届」「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を提出。被保険者に扶養家族がいる場合は「健康保険扶養者(異動)届」を提出します。

また、個人事業主の場合は、事業主の世帯主全員の住民票の原本などを添付しなければいけません。

【ポイント】
保険の加入書類はダウンロードして記入し、電子申請や郵送も可能。窓口に行く手間を省くためにも、上手に活用しましょう。電子申請や郵送については、日本年金機構のWebサイトに案内が記載されています。

参照 : 日本年金機構「健康保険料・厚生年金保険料に関する手続き

関連記事 : 個人事業主の労災保険

各種保険に未加入のままだとどうなる?

社会保険に未加入であっても、年金事務所から加入を推奨する通知が来た段階で加入すれば、通常の場合その時点からの加入が認められます。しかし、通知を無視し続けると、年金事務所による立ち入り検査が行われ、職権による社会保険への強制加入が行われます。この場合、保険料の徴収の時効となる最大2年間分がまとめて徴収されることになり、多額の支払いが発生することになるので注意が必要です。

また、労災保険に未加入の場合は、遡って保険料が徴収されるとともに追徴金も課せられます。さらに、未加入の状態で労働災害が起きた場合には、労災保険による従業員の給付の費用の全部、または一部の徴収も行われるので注意しましょう。労働災害によって重大な事故が起きた場合、事業主は多額の費用負担が発生するリスクがあるのです。

参照 : 厚生労働省「労災保険に未加入の事業主に対する費用徴収制度が強化されます

関連記事 : 国保未加入のリスク

個人事業主が従業員を雇用するときの税金手続き

従業員に給料を支払うことになったら、給料から所得税を天引き(源泉徴収)して、税務署に納めることが必要です。

そのためには、従業員を雇ってから1カ月以内に、税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出します。

参照 : 国税庁「[手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

源泉徴収税額と納付方法

事業主は給与や賞与の支払いの都度、源泉徴収を行って国に納め、年末調整で1年間の所得税額を再計算し、過不足を調整することが義務付けられています。給与などから源泉徴収して国に納める所得税を「源泉所得税」といいます。

源泉所得税額の基準となるのは、手当や残業代を含めた給与から社会保険料などを引いた金額です。この金額を基に「給与所得の源泉徴収税額表」から、源泉所得税額を求めます。「給与所得の源泉徴収税額表」には月額表と日額表があり、月給制の場合に用いるのは月額表です。

参照 : 国税庁「令和2年分 源泉徴収税額表

また、「給与所得の源泉徴収税額表」には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している従業員に適用される「甲欄」と、提出していない従業員に適用される「乙欄」があります。「甲欄」の場合は扶養親族の数によって源泉徴収税額が異なるので注意しましょう。

源泉所得税は実際に給与などを支払った翌月10日が納期限です。ただし、給与などの支払いを常時行う従業員が10人以下の場合は、特例の適用を受けて、1月~6月分を7月10日、7月~12月分を翌年1月20日を納期限として、年2回にまとめて納付することができます。

特例の適用を受けるには、所在地を管轄する税務署に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」の提出が必要です。源泉所得税の納付方法には、e-Taxで口座引き落としにする、クレジットカードで支払うといった方法があります。

参照 : 国税庁「[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

住民税の特別徴収と普通徴収

住民税は前年の所得にかかる税金で、従業員の1月1日の居住地に対して納めます。住民税は所得割と均等割を合わせた金額です。所得割は標準税率で「(前年の総所得金額等-所得控除額)×税率10%(内訳:市町村民税6%+道府県民税4%)-税額控除額」という計算式で算出できます。均等割は一律で「市町村民税3,500円+道府県民税1,500円=5,000円」です。

住民税の納付方法には、給与を支払う事業主が天引きして納付する特別徴収と、従業員本人が納付書で支払う普通徴収の2種類があります。所得税の源泉徴収義務がある事業主は、住民税も特別徴収で納付することが義務付けられています。

東京都の市区町村の場合は、毎年1月31日までに従業員が居住する市区町村に給与支払報告書を提出し、5月31日までに特別徴収税額決定通知書を受け取って従業員に配布します。そして、毎月の給料から差し引いた住民税額を翌月10日までに市区町村ごとに納付書で納入するという流れです。

ただし、常時雇用する人数が10人以下の場合は、市区町村長の特例の承認を受けて、6~11月分を12月10日まで、12月~翌年5月分を6月10日までを納期限として、年2回の納入とできます。

参照 : 東京都主税局「個人住民税と特別徴収について

給与の仕訳

従業員に給与を支払ったとき、控除した源泉所得税や社会保険料は分けて記載します。具体的な記載は以下の通りです。

<例:給与20万円、源泉所得税5,000円、住民税7,000円、社会保険料3万円、雇用保険料1,000円のケース>

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
給料手当(給料賃金) 200,000円 現金(預金) 157,000円 7月分給与
    預り金 5,000円 7月分源泉所得税
    預り金 7,000円 7月分住民税
    預り金 30,000円 7月分社会保険料
    預り金 1,000円 7月分雇用保険料


税金や保険料を支払ったときは、保険料は事業主負担分と従業員負担分を分けて記載します。

<例:社会保険料6万1,000円(健康保険料2万円、厚生年金保険料4万円、子ども・子育て拠出金1,000円)、住民税7,000円が引き落とされた場合> 

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
法定福利費 31,000円 普通預金 61,000円 7月分社会保険料
(事業主負担分)
預り金 30,000円     7月分社会保険料
(従業員負担分)
預り金 7,000円 普通預金 7,000円 7月分住民税


関連記事 : 個人事業主が納める税金の種類|計算方法や税金総額のシミュレーションを紹介

個人事業主の雇用調整助成金

雇用調整助成金とは、景気や産業構造の変化の影響を受けるなど、経済上の理由から事業の縮小を余儀なくされる事業主が、休業や出向、教育訓練などの雇用調整を実施することで、従業員の雇用を維持した場合に助成を受けられる制度です。雇用保険が適用される事業主が対象となっているため、個人事業主も条件に合致すれば、助成を受けられます。

雇用調整助成金の助成額は、休業手当や教育訓練を行ったときの賃金相当額、出向元事業主の負担額は中小企業の場合2/3、中小企業以外は1/3で、1日8,330円が上限です。また、教育訓練を実施したときは1人1日当たり1,200円が加算されます。

また、新型コロナウイルス感染症の影響によって事業の縮小を余儀なくされた事業者が、労使協定に基づいて休業を行う場合は、1日1万5,000円を上限に最大で休業手当などの10/10を助成するという特例が設けられています。特例は2020年4月1日~12月31日までの期間を1日以上含む賃金締切期間が対象です(2020年9月時点)。

参照 : 厚生労働省「雇用調整助成金

雇用調整助成金の申請期間・条件

雇用調整助成金を申請できるのは、休業や教育訓練を実施した初日から1年間で最大100日分、3年間で最大150日分です。出向の場合は最長で1年分になります。なお、新型コロナウイルス感染症の緊急対応期間中に実施した休業などは、上記の支給限度日数とは別に支給を受けられます。

雇用調整助成金を受給できるのは雇用保険の適用事業主で、従業員のうち被保険者が対象です。

また、雇用調整助成金を受ける主な条件は以下の通りです。

  • 最近3ヶ月間の売上高や生産量などの月平均値が前年同期と比較して10%以上減少。
  • 雇用量の最近3か月間の月平均値を前年同期と比較して、中小企業は10%超かつ4人以上、中小企業以外は5%超かつ6人以上増加していない。
  • 休業の場合、労使協定によって所定労働日の全一日にわたって実施する。または、事業所の従業員全員を対象に一斉に1時間以上実施する。
  • 教育訓練の場合、休業の同様の条件のほか、講習日に業務に就かないこと。また、講習は職業に関する知識や技能、技術の習得や向上を目的とし、受講者本人がレポートを提出。
  • 出向の場合は、3ヶ月以上1年以内に出向元事業所に復帰。
  • 過去に雇用調整助成金を受給している場合は、直前の対象期間の翌日から1年以上経過。

新型コロナウイルス感染症に伴う特例は、新型コロナウイルスの影響による経営環境の悪化により、最近1ヶ月間の売上高や生産量などの月平均値が前年同期と比較して5%以上減少し、事業活動が縮小している事業主が対象です。雇用保険被保険者以外の従業員に対する休業手当も、緊急雇用安定助成金として支給されます。

参照 : 厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

雇用調整助成金の申請手順(特例期間)

雇用保険調整助成金は、休業の場合、以下の流れで申請を行います。

  • 1. 休業の計画を立てる
  • 2. 休業協定書を作成して従業員の代表と合意する
  • 3. 労働局またはハローワークに休業等実施届を提出する(新型コロナウイルス感染症に伴う特例期間中は不要)
  • 4. 計画通りに休業を実施し、従業員に休業手当を支給する
  • 5. 雇用保険調整助成金の支給申請書を作成する
  • 6. 労働局またはハローワークに雇用保険調整助成金の支給を申請する

参照 : 厚生労働省「はじめての雇用調整助成金

申請の必要書類(特例期間)

個人事業主が休業により、特例期間に雇用調整助成金を申請する場合、必要なものは以下の通りです。

  • 休業実績一覧表:従業員1人ずつ氏名及び雇用保険被保険者番号、休業の日数、時間手当などを記入するほか、休業手当支払い率などを記載。従業員の代表者の署名が必要。
  • 雇用調整助成金支給申請書:事業主の基本事項や振込口座、休業を実施した月と1年前の同じ月の売上、解雇や雇用維持の状況、休業手当合計額、休業延べ日数などを記入。
  • 支給要件確認申立書:支給要件に関する確認事項の書類。
  • 比較した月の売上などがわかる書類:売上簿やレジの月次集計、収入簿などを休業した月と前年の同じ月の分。
  • 休業させた日や時間がわかる書類:タイムカードや出勤簿、シフト表など。
  • 休業手当や賃金の額がわかる書類:給与明細のコピーや控え、賃金台帳など。
  • 振込口座の確認資料:通帳またはキャッシュカードのコピー。

参照 : 厚生労働省「雇用調整助成金支給申請マニュアル

関連記事 : フリーランスエンジニアを目指す前に|年収や働き方など会社員と徹底比較

雇用調整助成金以外の支援制度

2020年8月時点では、新型コロナウイルス感染症による影響に対して雇用調整助成金以外にも以下のような支援制度があります。

  • 家賃支援給付金
  • 持続化給付金
  • 新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)
  • 新型コロナ対策資本性劣後ローン(日本政策金融公庫)
  • 持続化補助金
  • IT導入補助金

この他、都道府県や市区町村独自の支援制度も設けられました。たとえば、以下のような制度です。

  • 業態転換支援事業(東京都)
  • 飲食デリバリー代行業者利用支援事業(埼玉県さいたま市)
  • 「STOPコロナ」小規模事業者緊急支援事業(埼玉県熊谷市)

※個人事業主の給付金や助成金に関する最新情報は、政府・官公庁・各自治体などの発表をご確認ください。

関連記事 : フリーランス・個人事業主の新型コロナウイルスに関連する支援(給付金・補助金・助成金など)

個人事業主の従業員雇用手続きに関するよくある質問

個人事業主の従業員雇用手続きに関するよくある質問と、その回答を以下にまとめました。

個人事業主が従業員を雇用するときの雇用形態にはどんな種類がありますか?

主な雇用形態には「正社員」「契約社員」「パート・アルバイト(短時間労働者)」があります。正社員とは、一般的に期間の定めのない労働契約を締結している者を指し、契約社員とは、期間の定めのある労働契約を締結している者を指します。パート・アルバイト(短時間労働者)は、パートタイム労働法の中で「1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されています。

個人事業主が従業員を雇用するために契約書を交わすときの注意点は何ですか?

従業員を雇用するときには、契約期間に関すること、期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること、就業場所、従事する業務に関すること、始業・終業時刻、休憩、休日などに関することなど、原則として従業員に書面で交付しなければいけない項目が労働基準法で定められています。また、退職手当に関すること、賞与などに関することといった、定めをした場合に明示しなければならない項目もあります。

参照 : 厚生労働省「労働基準法の基礎知識

個人事業主が従業員を雇用するとどのような保険の加入手続きが必要になりますか?

個人事業主が従業員を雇用したとき、従業員が加入するべき保険には、雇用保険や労災保険、健康保険、厚生年金保険があります。加入条件は保険の種類によってそれぞれ異なるので注意しましょう。たとえば、雇用保険は、31日以上引き続き雇用されることが見込まれ、1週間の所定労働時間が20時間以上の従業員が被保険者となります。

最後に

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