目次
個人事業主の廃業手続きとは
個人事業の廃業届の提出先
廃業手続きに必要な書類
個人事業の開業・廃業等届出書の書き方
個人事業の廃業届提出に必要なもの
個人事業の廃業届の提出方法
個人事業の廃業届の提出時期
個人事業の廃業届を出し忘れてしまったら
廃業届を出さないとどうなる?
廃業時期決定と不動産貸出のポイント
フリーランスの収入見込みをチェック
個人事業主の廃業手続きとは
個人事業主として事業を行うためには、税務署に「開業届」を、各都道府県に「事業開始等報告書」を提出する必要があります。そして何かしらの理由で廃業する際には、これらの届出を無効にするための廃業手続きをしなければなりません。
廃業の理由として、個人的な問題(健康上の理由や家族の問題・業績悪化など)だけではなく、法人格に格上げする場合も該当します。
関連記事 : フリーランス(個人事業主)法人化のメリット・デメリットと、7つの必須手続きまとめ
個人事業の廃業届の提出先
廃業届は、所轄の税務署と各都道府県税事務所にそれぞれ提出する必要があります。事業廃等申告書に関しては、都道府県ごとに提出する様式や申告期限等違うため、必ず事前に確認してから届出の準備を進めて行きましょう。
関連記事 : 個人事業主から会社員として就職するために必要なこと
廃業手続きに必要な書類
個人事業主が事業を廃止する際には、所轄税務署や都道府県税事務所に各種書類を提出することとなります。必要となる書類は、以下の通りです。
個人事業の開業・廃業等届出書
所轄の税務署および都道府県税事務所に提出する書類です。都道府県税事務所に提出する場合、書類の名称や提出期限が各自治体によって異なるケースがあるので、よく確認するようにしましょう。税務署の提出期限は、廃業日から1ヶ月以内とされています。
事業廃止届出書
事業廃止前、消費税の支払いを行っていた個人事業主が提出する書類です。提出先は所轄税務署です。
青色申告の取りやめ届出書
事業廃止前、青色申告にて確定申告を行っていた個人事業主が提出します。提出先は所轄税務署です。
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
個人事業主が従業員に給与の支払いを行っていた場合に必要となります。上記2点と同様、所轄税務署に提出する書類です。
関連記事:フリーランスを辞める際の手続き
個人事業の開業・廃業等届出書の書き方
個人事業の廃業届出書
それでは、個人事業の廃業届出書の書き方を記入例を見ながら説明していきます。
1. 届出の名称のうち、「開業」の文字のみ二重線で消しておく。
2. 事業の納税地を管轄する税務署を記入する。
3. 廃業届の提出日を記入する。(廃業日ではありません。)
4. 事業の納税地の住所・電話番号を書く。基本的には住所地に〇をつけるが、自宅兼事務所なら「居住地」、納税地の住所が事業所などであった場合は「事業所等」に〇をつける。
5. 他に事務所・店舗を構えている場合はこちらに記入する。
6. 個人事業主の氏名。生年月日を記入
7. マイナンバー12桁を書く
8. あなたが行っている事業の業種と屋号を記入する。
9.「廃業」に〇をつけて、「事由」に廃業する理由を簡潔に書く。
10. 廃業の場合、所得の種類は「全部」に〇をつける。ただし、事業の一部を廃業する場合は、「一部」に〇をしてカッコ内に廃業する業種を記入する。
11. 事業の廃業日を記入する。
12. 廃業理由が法人化の場合、記入する。
13. 該当するものに〇をつける。
14. あなたが行っていた事業を詳しく記入する。
15. 家族や従業員を雇用していた場合、項目に沿って記入する。
事業開始等申告書(※東京都を例に説明)
記入例:東京都主税局|事業を始めたとき・廃止したとき
廃業の場合は、「新(変更後)の欄のみ記載します。それでは記入する項目を見ていきましょう。
1. 事務所(事業所)欄を記入する。
2. 事業主の欄を記入する。「事由等」の欄は、「廃止」に〇をつける。
3. 最後の欄に、提出日・氏名・捺印・所轄の都税事務所の所在地を記入する。
今回紹介した記入例は、あくまでも東京都の場合です。その他の都道府県については、各都道府県の公式サイトを参照に記入するようにしましょう。もし、白色申告だけならこの届出は必要ありません。
個人事業主が死亡した場合の記載例
個人事業主が亡くなった場合、上記の廃業届と一緒に所轄税務署へ「個人事業主の死亡届出書」をすみやかに提出しましょう。提出期限が決まっているので、できるだけ早めに提出してください。この書類は、個人事業主ではなく相続人が記載します。氏名や住所の書き間違いがないように注意しましょう。
記載要領
・「死亡年月日」欄には、死亡した年月日を記載します。なお、元号は、該当する箇所に○を付します。
・「死亡した事業者」欄の「納税地」欄及び「氏名」欄には、死亡した事業者の納税地及び氏名を記載します。
・「届出人と死亡した事業者との関係」欄には、死亡した事業者と届出者との関係を記載します。
・「参考事項」欄には、事業承継の有無、事業承継があった場合の事業承継者の住所又は居所、氏名及びその他参考となる事項等がある場合に記載します。
この届出書の控えを保管する場合においては、その控えには個人番号を記載しないなど、個人番号の取扱いには十分にご注意ください。記載内容等についてご不明な場合は、最寄りの税務署にお問い合わせください。
参照 : 国税庁|個人事業者の死亡届出
個人事業の廃業届出のテンプレート
個人事業の廃業届出は税務署に行かなくても、国税庁のHPから簡単にダウンロードできます。期日内に提出できるように、ぜひ活用してみてください。
参照 : 国税庁 | 個人事業の開業・廃業届出書(提出用・控用)
記載要領 : 国税庁 | 書き方
関連記事 : フリーランスと法人の違い
個人事業の廃業届提出に必要なもの
廃業届を税務署へ提出際には、本人確認のため必要なものがあります。
- マイナンバー
- 本人確認書類
それでは、詳しく説明していきます。
マイナンバー
社会保障・番号制度、いわゆる「マイナンバー制度」の導入に伴って、平成28年1月から廃業届にもマイナンバーの記載が必要になりました。マイナンバーカードは本人確認書類としても必要です。
本人確認書類の提示または写しの添付
なりすまし等を防止するために、申請者の本人確認(番号確認及び身元確認)が必要です。本人確認書類としてマイナンバーカードをお持ちの方は、身元確認書類は必要ありません。
【本人確認書類について】
- 番号確認:正しいマイナンバー(個人番号)であることの確認
- 身元確認:手続きを行っている方のマイナンバー(個人番号)の正しい持ち主であることの確認
以上、2つの確認を行うことで「本人確認」が完了します。それを踏まえて、以下の本人確認書類(番号確認書類+身元確認種類)を揃えましょう
マイナンバーカード(個人番号カード)をお持ちの方
マイナンバーカードのみで、本人確認が可能
※e-Taxで提出すれば、本人確認書類の提示または写しの添付は不要
※マイナンバーカードの写しを添付される際は、表面及び裏面の写しが必要
マイナンバーカードをお持ちでない方
以下の番号確認書類と身元確認書類がそれぞれ1つずつ必要
【番号確認書類 : ご本人のマイナンバーが確認できる書類】
- 通知カード
- 住民票の写し又は住民票記載事項証(マイナンバーの記載があるものに限る)
などのうちいずれか1つ
【身元確認書類 : 記載したマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類】
- 運転免許証
- 公的医療保険の被保険者証
- パスポート
などのうちいずれか1つ
※マイナンバーカード(個人番号)の写しを添付される際は、表面及び裏面の写しが必要となります。
参照 : 国税庁|番号制度に係る税務署への申請書等の提出に当たってのお願い
郵送で本人確認書類の写しを添付する場合は、「本人確認書類(写)添付台紙)」が必要です。下記のURLよりダウンロードして、書類を作成しましょう。
ダウンロード先 : 国税庁|本人確認書類(写)添付台紙
関連記事 : フリーランスもマイナンバーの提出が必要!拒否することはできるの?
個人事業の廃業届の提出方法
廃業届を提出する方法は、次の3つがあります。
- 持参する
- 郵送する
- e-Taxソフトで送付する
それぞれ、どのような方法なのか詳しく見ていきましょう。
持参する
廃業届を持参する場所は、納税地を所轄とする税務署です。例えば東京都の場合、地区や市ごとに48ヵ所に分かれています。同じ江戸川区でも「江戸川北」と「江戸川南」があるなど、かなり細かく分かれているため、下記の国税庁のサイトで所轄の税務署はどこなのか確認しておきましょう。
参考サイト : 国税庁|税務署の所在地などを知りたい方
受付時間は、8時30分から17時までです。ただし、税務署の閉庁日(土・日・祝日等)は受付を行ってないのですが、送付又は税務署の時間外収容受箱に投函することで提出できます。
次に事業廃止等申告書を持参する場所は、各都道府県税事務所です。こちらも所在地は地区によって分かれているので、事前に開設時間などと合わせて確認しておきましょう。
郵送する
送付先は持参の場合と同様に、所轄の税務署です。廃業届を郵送で提出する際は、必要に応じて次の書類を同封してください。
- 青色申告の取りやめ届出書
- 道府県税事務所への提出書類
- 事業廃止届出書
- 給与支払事務所等の廃止届出書
- 所得税および復興特別税の予定納税額の減額申請書
廃業届の控えが欲しい場合は、届出書控えと切手を貼った返信用封筒も同封します。届出書控えには、マイナンバーを記載する必要はありません。また、先ほど紹介した本人確認書類を必ず同封するのを忘れないようにしましょう。
e-Taxソフトで送付する
国税庁が開発し運営する「国税電子申告・納税システム」、いわゆる「e-Tax」を利用してインターネットを介して税務署に提出することもできます。このシステムを利用するためには、マイナンバーカードが必要です。
まず、事前準備としてインターネット環境やパソコン・カードリーダーを準備します。次に、e-Taxソフトをダウンロードして必要な届出書を作成しましょう。作成したデータは、そのまま電子送付ができます。
引用元 : e-Tax
詳しい手順やマニュアル等はホームページに記載してあるので、参考にして導入・作成してみましょう。
関連記事 : 確定申告が楽になる?e-Taxのメリット・デメリットとは
個人事業の廃業届の提出時期
廃業してから1カ月以内に提出してください。なお、提出期限が土・日・祝日等に当たる場合は、これらの日の翌日が期限となるので覚えておきましょう。
各都道府県への届出については、それぞれ違いがあるので詳細については事前に確認した上で提出スケジュールを組んでおくと安心です。
関連記事 : 法人化・法人成りとは?個人事業主から法人になる意味は
個人事業の廃業届を出し忘れてしまったら
廃業届を出し忘れても、基本的には罰則はありません。ただ、廃業したことを税務署に知らせていないため、納税の義務が生じる場合があります。提出期限を過ぎてしまったとしても、気づいた時点でできるだけ早く提出するようにしてください。
関連記事 : 個人事業税とはどんなもの?納税対象者や計算方法をまとめました
廃業届を出さないとどうなる?
廃業届を出さない(出し忘れる)と、税務署では事業が継続しているとみなします。廃業届を出していないのに「もう廃業したから」と確定申告を行わないでいると「無申告加算税」という税金の支払いが命じられることがあります。また、廃業届が出されていなかった期間の売上高を推計した上で、納税を指示してくるケースもあるので注意が必要です。このように、廃業届を出さないままだと結果的に余分な出費が発生するので、できるだけ早く提出しましょう。
関連記事 : 確定申告の期限はいつからいつまで?遅れた際の手続きについて
廃業時期決定と不動産貸出のポイント
それでは廃業届を出す時には、どのようなことに留意すればいいのでしょうか。以下に、そのポイントを説明します。
廃業時期の設定
たとえ事業を廃止したとしても、後に清掃や片付けなどの費用がかかることがあります。そこで注目したいのが、所得税法第63条「事業を廃止した場合の必要経費の特例」。この規定により、廃業後に生じる費用であっても必要経費とみなすことができる可能性があります。本特例に則り廃業日を年末時期に設定することで、所得税の支払い額を抑えることができるでしょう。なお、項目によっては経費として認められない場合もあるので、その点は注意が必要です。
自宅を会社に貸し出すケース
法人成りによって社長所有の不動産を会社事務所などとして貸し出す場合、社長に家賃が入るため不動産所得が生じます。その場合、個人事業を運営していた時と同様確定申告を行うこととなります。したがって、「個人事業の開業・廃業等届出書」「事業廃止届出書」「青色申告の取りやめ届出書」の提出は不要となります。状況によっては、初めに紹介した書類全てを提出する必要はないという点に注意しましょう。
関連記事 : 法人化する目安・タイミングは?法人化・法人成りの費用までFPが解説
最後に
簡単4ステップ!スキルや経験年数をポチポチ選ぶだけで、あなたのフリーランスとしての単価相場を算出します!
※相場算出に個人情報の取得はおこないません。